軍事的雑学

軍事的雑学|何が違うのか?自衛隊が3種類も導入する「巡航ミサイル」の違い!

日本が導入を検討していると言わている、3つの長距離巡航ミサイルについて今回まとめてみました。

なぜ3種類も巡航ミサイルを導入しようとしているのか?

現在、防衛省が検討中の長距離巡航ミサイルは3種類あります。

米国ロッキード・マーティン社製、空対地ステルス巡航ミサイル「AGM-158A“Joint Air-to-Surface Standoff Missle”(JASSM)」の射程延長版、「AGM-158B JASSM-ERと、空対艦ステルス巡航ミサイル「AGM-158C“Long Range Anti-Ship Missile”(LRASM)」

ノルウェーのコングスベルグ・ディフェンス&エアロスペース社製、対艦・対地用ステルス巡航ミサイルJoint Strike Missile(JSM)」

先日、コングスベルグ社が日本政府へのJSM供給契約を結んだと発表しました。JASSM-ERとLRASMは、現在、三菱重工業に依頼して、F-15とF-2への適合調査を行っています。

 

空対地ステルス巡航ミサイル「AGM-158B JASSM-ER」

まずは、空対地ステルス巡航ミサイル「AGM-158B JASSM-ER」とは、どんな兵器なのか?

元々は、1986年に陸海空の3軍共同開発に取り組んだ「AGM-137“TSSAM”」が元にになっています。

GPS補正付きの慣性航法を搭載した、世界初の“ステルス”巡航ミサイルとして開発がスタート。しかし技術的に困難、3軍の細かな要求の違い等の理由から、開発期間が伸び、結果的に開発予算オーバー。当初、1発あたりの価格を約72万ドルに設定していましたが、1994年には200万ドルまで価格が上昇することが確実になったため開発中止

巡航ミサイルで有名な“トマホーク”ですら1発143万ドルは高すぎると言われ、価格に見合った攻撃目標にしか使えない(通常弾頭の場合)と批判されていたので、1発200万ドル(約2.2億円)以上になることが確実視されていた「AGM-137」が、完成していても同じ批判を受けただろうと予想できます。

そして翌年の1995年、米空軍単独でもう一度開発が始まります。

それが空対地巡航ミサイル「AGM-158“Joint Air-to-Surface Standoff Missle”(JASSM)」です。特徴は、「低価格」「ステルス」です。1発の価格は、85万ドル(約9,500万円)と、高いと批判されたトマホークよりも安くなっています。射程は370km。当然空軍が保有する多くの航空機(F-22は除く)に搭載可能。

おそらく、大きさから考えるとF-35のウェポンベイ内に搭載することは不可能だと思います。

出典:米国空軍 AGM-158 JASSM

JASSMの射程370kmを、925kmに延長したのが、今回日本が導入を検討している「JASSM-ER」です。1発の価格は135万ドル(約1.5億円)とトマホーク並なお値段に!

因みに、2018年9月にJASSM-XRの開発がスタートしてしています。重量2,300kg、弾頭重量910kg、射程1900kmという、JASSMの性能を2倍に、大きさも2倍にした感じ。2023年までに開発を完了する予定だと言われています。

 

空対艦ステルス巡航ミサイル「AGM-158C LRASM」

次は、空対艦ステルス巡航ミサイル「AGM-158C LRASM」とは、どんな兵器なのか?

空軍の「AGM-158B JASSM-ER」を、元にして作られた海軍バージョン。射程は800kmとJASSM-ERに比べ少し短くなっています。おそらく弾頭の大きさを増やしたのか、MK.41VLSからの発射を考慮して軽くしたのか、LRASMについてはの詳細について不明。

出典:wikimedia commons public domain

実は、LRASMにはA型とB型が開発される予定でした。上記がA型で、B型は亜音速のA型とは異なり、ラムジェットエンジンを搭載した超音速巡航ミサイル「ブラモス」のような性能を目標として開発を行っていましたが、後に開発中止。残念・・・

 

対艦・対地用ステルス巡航ミサイル「JSM」

最後に、対艦・対地用ステルス巡航ミサイル「JSM」とは、どんな兵器なのか?

対艦巡航ミサイルの「ナーヴァル・ストライク・ミサイル」をベースに、F-35Aに搭載できる対艦・対艦用巡航ミサイルとして開発されたのが「JSM」です。「AGM-158B JASSM-ER」や「AGM-158C LRASM」との違いは、F-35Aのステルス性能を犠牲にせず、F-35Aのウェポンベイ内部に搭載できるという点。

From Strak Jegan wikimedia Commons/File:Joint Strike Missile Mockup at JA2016.jpg 00:00, 12 February 2019(UTC) License=CC BY-SA 4.0

そのため、JASSM-ERやLRASMに比べ、大きさも弾頭重量も半分程度なので、1発あたりの威力が小さい。射程は約500km程度。現在、F-35Aの狭いウェポンベイ内に搭載できる巡航ミサイルはおそらくこれだけ。

先日(3月12日)、ノルウェーのコングスベルグ・ディフェンス&エアロスペース社が、日本と「Joint Strike Missile(JSM)」供給のための契約を獲得したという報道がありました。一番最初に配備されそうなのはJSMになりそうです。

F-35のウェポンベイのために3種類になった

まとめると「AGM-158B JASSM-ER」、「AGM-158C LRASM」は、F-15やF-2に搭載する為、もしかすると護衛艦にも搭載する可能性も。

「JSM」はF-35A専用で、追加導入がほぼ確定しているF-35Bにはサイズ的に搭載不可。

出典:wikimedia commons public domain 米国空軍配布資料を航空万能論GF管理人が加工

F-35Bは、F-35Aに比べて導入国も生産数も少ないし、A型よりも小さいウェポンベイに収まる兵器は少ないし、新しく開発する国や企業も少ないでしょうね。もし開発するとしても米国と英国ぐらい?

ステルス性能を捨てて、機外に搭載するなら選択肢が増えるんですけど、そうするならF-2でいいじゃん!ってなりそう(笑)

以上が、日本が導入を検討していると言わている、3つの長距離巡航ミサイルについてのまとめでした!

 

※アイキャッチ画像の出典:航空自衛隊ホームページ

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  1. 2019年 4月 05日
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