軍事的雑学

また技術移転?韓国、日本を含む5ヶ国が製造中の「第3世代暗視装置」国産化

米国、ロシア、ドイツ、イギリス、日本の5ヶ国でしか生産されていない第3世代の軍事用暗視装置を、韓国が世界で6番目に国産化すると報じている。

参考:군용 야간투시경 국산화된다…핵심부품 ‘영상증폭관’ 유럽서 기술이전 추진

第3世代の軍事用暗視装置「国産化」を進める韓国

第3世代の軍事用暗視装置は、ヒ化ガリウム(GaAs)素子を使用した光増倍管を採用することで、検知可能な帯域が近赤外領域まで拡大し、イオンバリア・フィルムで被覆することにより感度を向上させ25%程度、第2世代に比べて有効視認距離が伸びている。

軍事用暗視装置の中でも、第3世代は高性能なため開発国や生産国によって輸出が制限されているため、入手できる国や組織は限られている。

陸上自衛隊に採用されている第3世代の軍事用暗視装置には日本電気が製造する双眼式の「JAVN-V6」と、米軍がNATOが採用している「AN/PVS-14」をライセンス生産した単眼式の「JGVS-V8」がある。

出典:public domain 陸上自衛隊のJAVN-V6

韓国でも第3世代の軍事用暗視装置「PVS-04K」を国内で製造しているが、ヒ化ガリウム(GaAs)素子を使用した光増倍管を製造する技術がなく、これをフランス企業のPhotonis社から輸入することで賄っているが、韓国はPhotonis社から技術移転を受けることで、光増倍管の国産化を進めているという。

余談だが過去(2010年)、韓国は光増倍管の製造技術国産化を試みたが失敗している。

では、なぜPhotonis社は韓国に光増倍管の技術移転を行うのか?

韓国メディアによれば、韓国軍が米軍が使用している軍事用暗視装置を輸入して使用するなど、国産品にこだわらない姿勢を打ち出したため、Photonis社が危機感を覚え、韓国企業に光増倍管製造を許可したという話で、この話が実現すれば韓国は世界で5ヶ国しかない第3世代軍事用暗視装置を製造できる国家となると言っている。

問題だらけのPhotonis社製光増倍管を国産化しようとする韓国

しかし、この話には落ちがある。

韓国企業のIPEC社が開発・製造している第3世代の軍事用暗視装置「PVS-04K」は、第3世代の性能に達していない性能詐欺で問題になっている。

PVS-04Kには、標準的な第3世代の光増倍管よりも性能が高いと主張するPhotonis社の光増倍管を輸入して使用しているが、米国の光増倍管製造企業Harris社が、Photonis社の主張が正しいのか比較実験をしたところ、全くのデタラメで、標準的な第2世代よりも性能が低いことが確認された。

出典:MBC制作「PD手帳」 スクリーンショット

Harris社がPhotonis社の製品と比較(Image Intensifier)した図で、FOM値は解像度とSN比を掛け合わせた数値で、この数値が高いほど暗視性能が高いと考えられ、수명시간は動作寿命の時間を意味している。

出典:MBC制作「PD手帳」 スクリーンショット

動作寿命の比較(左がPhotonis社、右がHarris社)

出典:MBC制作「PD手帳」 スクリーンショット

400時間経過

出典:MBC制作「PD手帳」 スクリーンショット

800時間経過

出典:MBC制作「PD手帳」 スクリーンショット

画質の比較(左がPhotonis社、右がHarris社)

では、韓国国防部はこのように性能が低いIPEC社の軍事用暗視装置を、なぜ採用したのか?

第3世代の軍事用暗視装置の候補には、サムスン社製と当時無名だったIPEC社製が最終選考まで残り、大方の予想ではサムスン社製が有力視されていたが、何故か無名のIPEC社製が採用されてしまった。

後に判明するのだが、当時、韓国国防部はIPEC社製暗視装置の性能テストを実際には行っておらず、IPEC社が提出した資料のみで採用を決定し、IPEC社はPhotonis社が主張する数値をそのまま書き込んだ資料を提出しただけで、結局、誰一人、IPEC社製暗視装置の性能を確認せず、採用が決まってしまったという話だ。

しかも、実際に納品された「PVS-04K」は、何故か仕様書の重量よりも重くなっており、IPEC社の説明通りに銃へ装着して使用すると電源がOFFになり、修理のためIPEC社へ送り返しても部品がないと修理を拒否されたという。

韓国国防部は、このような問題を当時から把握していたが、特に措置を講じなかった。

結局、第2世代よりも性能が低いと言われているPhotonis社製の光増倍管製造技術を移転されたところで、果たして本当に第3世代レベルの軍事用暗視装置が完成するのか非常に怪しく、PVS-04Kの技術的問題まで含めれば、韓国にまともな軍事用暗視装置が作れるのかという疑問が湧いてくる。

採用経緯を考えれば、恐らく韓国特有の国防不正の可能性が非常に高いが、2015年、この問題を検証するための韓国陸軍内にタスクフォースが設置されたが、突然、担当者が移動になりタスクフォース自体も解散、結局、IPEC社の軍事用暗視装置がなぜ採用されたのかについて真実の解明は行われないまま、闇に葬られてしまった。

もう一度言うが、韓国はPhotonis社から技術移転を受けることで、光増倍管の国産化を進めているという。

一体、どんな暗視装置が完成するのか非常に興味深い。

 

※アイキャッチの出典:Grispb / stock.adobe.com

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 9月 16日

    韓国特有の国防不正(ポッケナイナイ)にはいくつかのタイプに分かれるけど、
    これは退役軍人会がやってる商社による輸入ってやつですね
    統営艦(潜水艦の救難艦)の無人潜水艇(有人のはイギリス製)とか、燃える軍服とか、踵が剥がれる軍靴とかって、比較的小物のやつ、
    なんせ、アメリカの兵器関係の会社では韓国軍に売りたいなら退役軍人(もち高官)を採用シル! って言われてるぐらい。 
     何故? SF空港での墜落事故に代表される様に(教官の前ではサングラスはかけられない、高度が低すぎるのは判っていたが指摘できない)、韓国の、年齢を伴った、上下関係は極めて異常だから(吉本興業もこれに近い?)。

    • 匿名
    • 2019年 9月 16日

    詐欺は詐欺を呼び、詐欺師のもとには詐欺師が集まる
    韓国人の近くには韓国人のような人間しか近寄らない

    • 匿名
    • 2019年 9月 17日

    そもそも最初に書かれている5か国に技術移転元のフランスがいないんですけど

    • 匿名
    • 2019年 9月 17日

    まさに闇の中の暗視装置。

    • 匿名
    • 2019年 9月 17日

    はじめまして。暗視装置に興味がある者です。
    本文中に、

    「PVS-04Kには、標準的な第3世代の光増倍管よりも性能が高いと主張するPhotonis社の光増倍管を輸入して使用しているが、米国の光増倍管製造企業Harris社が、Photonis社の主張が正しいのか比較実験をしたところ、全くのデタラメで、標準的な第2世代よりも性能が低いことが確認された。」

    と有りますが、この比較実験データというのは何処かで閲覧できるのでしょうか?
    お手数をお掛けしますが、ご教授頂けましたら幸いです。

    • 名無し(´・ω・`)
    • 2019年 9月 17日

    アナログ光電子増倍管を使用しないGaAs素子によるデジタル式の暗視装置。
    暗視用のレンズも特殊なんだよね。
    普通のガラスレンズだとガラスの温度を拾って真っ暗になる。

    日本はこれ用の特殊なレンズ素材を作っているが、これがまた高額。

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