軍事的雑学

韓国にとって不都合? 台湾、F-16Vメンテナンスセンター設立支援を米国に要請

台湾の漢翔航空工業(漢翔航空工業股份有限公司:AIDC)は、同国にアジア・太平洋地域として初となるF-16V専用のメンテナンスセンター設立を狙っていると、香港の「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」が報じている。

参考:Taiwan seeks US help to set up first F-16V ‘Viper’ fighter jet maintenance centre in Asia-Pacific

台湾が狙うのは、米空軍のメンテナンス重要取り込みと政治利用か?

台湾は老朽化した144機のF-16A/B(Block20)を、最新型のF-16V(Block70)仕様にアップグレード中(AIDCが担当)で、更に追加でF-16Vの新造機を66機調達することになっており、アジア・太平洋地域で台湾は最大のF-16V運用国になる予定だ。

そのため漢翔航空工業(AIDC)は、台湾にアジア・太平洋地域として初となるF-16V専用のメンテナンスセンター設立に動いており、米国のF-16の部品製造を担当するサプライヤーと協議を行い、米国政府に対してもメンテナンスセンター設立の支援を求めているとサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が報じ、これに韓国が反応した。

出典:Morio / CC BY-SA 3.0 米空軍のF-16C Block 50

そもそもF-16は、F-35のように機体メンテナンのための国際整備拠点(MRO&U)を明確には設定しておらず、運用国の空軍によって日々のメンテナンスが、開発メーカーのロッキード・マーティン社によって機体の大掛かりな整備やオーバーホールなどが実施されている。

しかし、世界中に展開する米空軍のF-16を整備のため、本土にあるロッキード・マーティン社へ持ち込むのは効率が悪いため、世界各地の企業に委託しているのが実情だ。

アジア・太平洋地域でF-16を最も多く運用しているはトルコ(260機以上)だが、東アジア・太平洋地域で言えば韓国(169機)になり、韓国の韓国航空宇宙産業(KAI)は自国のF-16だけでなく、この地域に展開している米空軍のF-16に対する大掛かりな整備やオーバーホールを請け負っている。

補足:第4.5世代戦闘機「KFX」を開発中の韓国航空宇宙産業(KAI)は2022年9月まで、米空軍のF-16、90機に対して大掛かりな整備やオーバーホールを行う契約を受注している。

出典:Al Jazeera English / CC BY-SA 2.0 台湾空軍のF-16A/B

台湾は、恐らく「F-16V専用」のメンテナンスセンターを公に設立することで、F-16Vの導入を表明したインドネシアや、既存のF-16をV仕様に改修中のシンガポール等の整備需要を取り込もうと狙っている可能性もあり、この地域の展開する米空軍の非V仕様F-16整備需要を取り込めれば、政治的にも利用することができる。

但し、この構想は中国との対立を煽る可能性が高いため、米国政府の承認が必要になる。

韓国は、台湾にメンテナンスセンターを設立するのは中国の反発を買うので不可能だと見ているが、もし台湾にメンテナンスセンターが設立されれば韓国が独占してきた、この地域に展開している米空軍のF-16整備事業が脅かされる可能性があり完全に無視することは出来ない。

実際、韓国の航空産業(韓国航空宇宙産業や大韓航空など)は、米軍のF-15やF-16、A-10やCH-53などの航空機に対する、大掛かりな整備やオーバーホールを請け負っており、少なくない金額を稼ぎ出している。

日本にとっては、あまり関係のない話だが、韓国の防衛産業にとっては寝耳に水のことだろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:玄史生 / CC BY-SA 3.0 台湾空軍のF-16A/B

関連記事

  1. 軍事的雑学

    中国はSTOVL型F-35Bが欲しくて堪らない、果たして独自開発は可能か?

    環球時報の英字紙「Global Times」は、現在、空母や強襲揚陸艦…

  2. 軍事的雑学

    米空軍が悲鳴! F-15C更新用の「F-15EX」導入が1年先送りになる可能性浮上

    米空軍のデービッド・ゴールドフェイン参謀総長は、このまま2020会計年…

  3. 軍事的雑学

    兵士は地雷原を徒歩で突破? 韓国軍、トラブルや予算不足で「ヘリコプター戦力」が崩壊寸前

    韓国メディアは、軍の保有するヘリコプターは頻繁に故障し、老朽化した機種…

  4. 軍事的雑学

    尖閣諸島も作戦半径内!中国、正式にステルス戦闘機「J-20」配備を宣言

    7月28日、香港のサウスチャイナ・モーニング・ポストは、中国人民解放軍…

  5. 軍事的雑学

    平均稼働率は20%? ドイツ軍、戦闘機「トーネード」や歩兵戦闘車「プーマ」等の稼働率

    ドイツのデア・シュピーゲル誌は、ドイツ軍の主要装備が依然として故障との…

コメント

    • 匿名
    • 2019年 11月 23日

    メンテナンスセンター設立に対し仮に中国が反発場合は名分はどうなるのでしょうね。自分としては米製新兵器購入よりは大義が立ちにくいイメージがあります。

    • 匿名
    • 2019年 11月 23日

    GSOMIA延長決定で見過されがちだと思うけれど、この所韓国が中国へ擦り寄っている状況を見れば、米国もF-16等のオーバーホールを韓国へ委託するべきか疑問に感じているだろうから、案外この件は実現するかも知れないね。
    トランプ政権なら、対中関係への配慮なんて無視するだろう。

    • 匿名
    • 2019年 11月 23日

    中華民国軍って大陸のシンパが大量にいるって聞いたことあるんですけど大丈夫なんですかね

    • 匿名
    • 2019年 11月 23日

    韓国でのメンテナンスなんて、不安しか湧かない感じ。

      • 全てF-35B
      • 2019年 11月 23日

      そうか、韓国が整備しているから、堕ちるのか!
      沖縄県民は、韓国での整備を止めさせる運動をしないと!

    • 匿名
    • 2019年 11月 23日

    韓国棄てるなら台湾は取りにいくんじゃないかな。
    多分成立すると思う。

    • ヒロシです‥‥(アカ潰された)
    • 2019年 11月 23日

    韓国はもういらない❗新しいドクトリンが必要。

    • みかげ
    • 2019年 11月 23日

    台湾にも韓国にも悪いが、日本にメンテナンスセンター置いてほしいな こういうものこそ沖縄において雇用につなげたらいいのに

      • 匿名
      • 2019年 11月 24日

      生産基盤の無い離島かつ有事には最前線になるとこにメンテ施設置くとかそんなバカな…

        • 匿名
        • 2019年 11月 24日

        有事で最前線の点は、韓国や台湾も似たようなものでは?
        中国、北朝鮮の何れが相手でも最前線となり得る沖縄よりは、まだましかも知れないけど。

          • 匿名
          • 2019年 11月 24日

          >中国、北朝鮮の何れが相手でも最前線となり得る沖縄
          地理的な関係さえ無視なの?

    • 匿名
    • 2019年 12月 15日

    、韓国の航空産業(韓国航空宇宙産業や大韓航空など)は、米軍のF-15やF-16、A-10やCH-53などの航空機に対する、大掛かりな整備やオーバーホールを請け負っており、少なくない金額を稼ぎ出している。

    韓国なんてチマチマ技術盗んだり情報をレッドチームに流しててもおかしくないからねぇ
    もうレッドチームに行くみたいだし台湾にメンテナンスセンター作って完全にこちら側に引き込んだ方が良いのでは?
    今や韓国の方が中国の属国ですよ・・・北にすり寄る=バックの中国

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

PAGE TOP