オランダの国営放送「Nederlandse Omroep Stichting(NOS)」が、オランダ空軍所属のF-16が、自機が装備する“M61A1 20mmバルカン砲”で、自機を攻撃したと報じています。
参考:F-16 boven Vlieland geraakt door eigen kogel
信じられないような事故、F-16が自身が発射した弾丸に攻撃を受ける?
複数のメディアの情報を総合すると、この信じられないような事故は今年1月21日、オランダ空軍所属の2機のF-16が、フリーラント島にある訓練場に設置された標的に対し、F-16が固定装備している“M61A1 20mmバルカン砲”を発射した時に事故は起こった。
F-16 boven Vlieland geraakt door eigen kogel.https://t.co/lNI49cxIKD
De F-16 die in januari aanzienlijke schade opliep tijdens een oefening boven Vlieland blijkt geraakt te zijn door zijn eigen munitie. Zeker één afgevuurd patroon richtte schade aan aan de beplating van… pic.twitter.com/NS1a365oju
— NL Nieuws (@NieuwsNu123) 2019年4月4日
発射された20mmバルカン砲の弾丸は標的ではなく、20mmバルカン砲を発射した機体を攻撃し、機体に重大なダメージを与え、一部の破片がエンジンにも損傷を与えた。幸いなことに操縦していたパイロットは無傷で、損傷したF-16を操縦しフリースラント州にあるレーワルデン空軍基地に緊急着陸した。
オランダ空軍が調査を行ったが、F-16に固定装備された20mmバルカン砲の弾丸が、どうして発射した機体を攻撃できたのか謎のままらしい。
現在も空軍が調査を継続中で、一体いつまで調査が続くのか見当もつかないらしい。
過去に、幾つかの事例として、戦闘機が発射したミサイルが、発射した戦闘機を撃墜してしまったことはあるらしい。
しかし、適切に装備された固定装備の機銃から発射される弾丸が、飛行中の自機を捉えるのは、ほぼ不可能だと言われている。しかし、過去に1件だけ、信じられないよう事件が起きている。
自身が発射した機銃弾で撃墜された唯一の事例
1956年9月21日、F-11F-1「タイガー」を操縦していたパイロット“Tom Attridge”は、高度13,000ft(約4,000m)で水平飛行中に、固定武装の20mm機銃の試射を行った直後、機体を降下させること1分後、自身が試射した20mm機銃の銃弾に撃墜されるという事故が起こった。
水平に射撃した20mm銃弾の弾道直進性が落ち、地上へ放物線を描きながら落下するコース上に、ちょうど戦闘機が下降してきて、奇跡のようなタイミングで、F-11を撃ち抜いたという話。

出典:Public Domain グラマンF11F-1 タイガー
補足:F-11F-1とは、グラマン社が開発し、米海軍が採用した単座単発の艦上戦闘機。海軍の主力戦闘機の座を狙ったが、当初の軽戦闘機と設計された機体と非力なエンジンを搭載していたF-11に、時代の変化に対応(全天候化、純粋な制空任務だけではなく、爆撃任務への対応等)するだけの余力はなく、F-8やF-4の前に敗れ去った。そのため就役期間もたった4年というレアな戦闘機。しかし運動性能は良かったため、米国海軍の曲技飛行隊「ブルーエンジェルス」の使用機として12年間、活躍することになる。
当初、パイロットは、機体に起こった異常をバードストライクだと判断し、基地へ報告後、付近の森に機体を不時着させ無事生還する。その後、海軍とグラマン社による調査により、衝撃的な結果「F-11が放った20mmの弾丸が、F-11を撃墜させた」という報告を行う。
この事件後、軍は機銃射撃後の降下角度に制限を設けなるなど規則を修正し再発防止を行った。
嘘のような本当の話。
こんな信じられない事件が、過去発生しているので、今回のF-16の事故も、同じような理由によるものではないかと管理人は予想しますが・・・
さて、事件の真相は如何に?
※アイキャッチ画像の出典:Pixabay
トムキャットも自機のミサイルで落とされてる。