軍事的雑学

軍事的雑学|韓国型戦闘機「KFX」で第5世代に対抗は不可能?インドネシアから見たKFXの真実!

韓国のKFX開発のパートナーであるインドネシアが、KFXについて、どの様に考えているのか書かれた興味深い記事を見つけたのでご紹介します。

これはインドネシア政府の公式は立場でも、インドネシアメディアの記事でもありません。

インドネシアの軍事情報を発信するブログメディアの記事ですが、インドネシアがKFXについて、どの様に考えているのか参考になると思います。

参考:PROYEK JET TEMPUR KF-X/ IF-X DAN HEGEMONI TEKNOLOGI KOREA ATAS INDONESIA

KFXは第5世代に対抗できるほど洗練された戦闘機ではない

インドネシアにとってKF-X/TF-X(以下、KF-X)とは、これまで習得したターボプロップ機が開発可能な航空技術のレベルを、技術移転によって高めるためのプラットフォームとして考えているらしい。

KF-Xプロジェクトに携わっているインドネシア技術者によれば、インドネシアはターボプロップ機開発のために技術を90%確保しているが、ジェット戦闘機を開発するために必要な技術は60%しか確保出来ていない。そのため、KF-Xプログラムを通じてジェット戦闘機開発のための技術を、ターボプロップ機並に引き上げることを望んでいる。

出典:Pixabay

インドネシアでは、非ステルス機よりかは性能が上で、ステルス機よりも性能が劣るKF-Xは、第5世代戦闘機で空が埋め尽くされる未来に対応できるほど、洗練された戦闘機ではないと考えている。そんなKF-Xプログラムへ参加するきっかけは、韓国との輸送揚陸艦と潜水艦建造を通じた、防衛機器の技術移転成功が参加を決断させた。

しかし、韓国は海軍の防衛機器分野においては、独自の優れた技術と製品を持っていたが、航空技術は米国に大きく依存した構造になってる。インドネシアは、KF-Xプログラムが米国の政治と防衛産業の複雑なプロセスに巻き込まれていることに、後になって気づいたと言っています。

米国との2ヶ国間で技術的合意がなく、米国の同盟国でもないインドネシアは、ロッキード・マーティンがKF-X開発のために提供する21の主要技術にアクセスを韓国側(KFXの開発担当企業:韓国航空宇宙産業)に禁止された。

この問題を解決し、技術にアクセスするためには、インドのように米国との関係改善を行う必要がある。

出典:public domain 合衆国のオバマ大統領と、インドのモディ首相

2016年、当時のオバマ大統領がインドを「主要な防衛パートナー」に格上げした。2018年、トランプ大統領がインドの地位をSTA-1に格上げし、NATOの加盟国と同等の扱いを受ける日本や韓国に次いで、STA-1待遇の国となった。インドがこの様に米国との関係改善を達成できたのは、何十年もの交渉の結果であって、インドネシが直ぐに米国との関係改善を達成するのは不可能に近い。

このような状況を踏まえて、インドネシアはKF-X開発に参加しても得られる技術的対価が、予想からあまりにかけ離れていたと考えるようになり、計画からの離脱も検討した。しかし政治的・経済的な側面から2ヶ国間に与えるダメージを懸念し、韓国との再交渉を行うことになった。

インドネシアが再交渉で韓国に要求した「国内でのKF-X製造と輸出の権利」は、分担金に比べて過度な要求という指摘があるが、欧州の例をみればそうではないことが分かる。ユーロファイター開発に参加したスペインの出資割合はたった13%だが、これがスペインのユーローファイター輸出を妨げる事にはならなかった。

韓国もKF-Xプロジェクトの共同開発国を失いたくなければ、KF-X製造と輸出の権利をインドネシアに与えるだろう。

Attribution: KAI / CC BY 2.0 韓国が開発したTA-50

インドネシアは、韓国からKT-1訓練機、T-50高等訓練機、張保皐潜水艦を初めて購入した国であり、今後も私たちの国で継続した影響力を築くためには、私たちの要求を受けいるだろうが、依然として、韓国の米国技術への依存が障害になるだろうと主張している。

 

インドネシアの目的はKFXの配備ではなく技術の習得だった

KFXについての再交渉は、現在、非公式で行われていると言われていて、その詳細は不明だ。

インドネシア現地の「ガルド・ナショナル」の報道によれば、再交渉でインドネシアが要求する内容は以下の通り。

  1. 既存の契約条件(負担金以外の全項目)を維持しながら分担金の引き下げ。
  2. 分担金支払い期限を2031年まで延長
  3. インドネシアの技術者が129の戦闘機技術を習得出来るよう契約内容を修正
  4. 負担した分担金の割合に応じた知的財産権の確保
  5. インドネシアがIFXを輸出する権利の確保
  6. IFXを16機導入、残りは状況に応じて導入を決定する

補足:元々、インドネシアが第3国にIFXを輸出するには、韓国政府の同意が必要という条件で合意してたが、今回要求している「IFXを輸出する権利」とは、韓国政府の同意が必要ない権利の事を意味している。

Attribution: Alvis Cyrille Jiyong Jang (Alvis Jean), KFX-2017SeoulADEXMiniature.jpg / CC BY-SA 4.0

インドネシアが期待しているKFXとは、韓国側が期待している夢のような戦闘機ではなく、技術習得のための踏み台としてしか見ていないことが分かった。

再交渉内容にも挙がっている様に、インドネシア側は当初、最低でも50機は導入すると約束していたKFXの導入数を減らそうとしている。これはKFXは第5世代に対抗できるほど洗練された戦闘機ではないという記事の指摘に沿った要求の変更だと言える。

インドネシアとしては、期待外れの技術習得の代わりに、KFXの国内生産(恐らくは、部品を韓国から輸入し組み立てたもの)と輸出の権利(出資割合に応じた輸出で得る利益の配分)、KFX製造に関するワークシェアの要求へ、方針転換したと見ることが出来る。

出典:Pixabay

これはインドネシアの記事でも指摘しているが、ユーロファイターを共同開発したユーロファイター社の形態のようなことを言っているのだろう。

ユーロファイターの開発は、ユーロファイター社を設立し、出資した国に対し、出資金に応じたワークシェアを行っている。そのため戦闘機の製造や輸出による利益は、出資国に分配される仕組みだ。

一方で、現在のKFXは共同開発の形をとっているものの、あくまでも韓国が開発する計画に出資し便乗する形。

KFXの製造に関してワークシェアが行われているのかの不明。出資に応じた利益の配分や、輸出に関する利益も韓国が独占する内容になっているか、出資金に応じた割合の受け取りになっていないと予想される。

韓国としては出資に対する、インドネシアへの対価は技術移転で十分だと考え、インドネシアとしても当初は納得していたが、肝心の技術移転が期待外れに終わりそうなので、急遽、ユーロファイターのような利益配分とワークシェアを持ち出してきたインドネシアに驚いているだろう。

果たして、交渉の行方はどうなるのだろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典:Attribution: Alvis Cyrille Jiyong Jang (Alvis Jean), KFX-2017SeoulADEXMiniature.jpg / CC BY-SA 4.0

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