軍事的雑学

潜在的輸出先はイスラム圏? トルコ、マレーシアに第5世代戦闘機「TFX」計画への参加を要請

トルコの第5世代戦闘機「TFX」を開発しているトルコ航空宇宙産業は、マレーシアを同開発プログラムへ招待したと報じられている。

参考:Turkey invites Malaysia to join its TF-X future fighter jet program

トルコが第5世代戦闘機「TFX」開発プログラムにマレーシアを招待?

トルコ航空宇宙産業は、マレーシアに対し第5世代戦闘機「TFX」開発プログラムに参加を要請したと明らかにし、現在、相手国の回答を待っている状況だと語った。

補足:恐らく開発プログラムへの参加を要請というのは共同開発という意味ではなく、第5世代戦闘機「TFX」の購入=共同で同じ機体を運用すればスケールメリットが発生するという意味だろう。

トルコは、第5世代戦闘機「TFX」の潜在的な輸出先(もしくはパートナー国)としてマレーシア、インドネシア、パキスタン、バングラデシュ、カザフスタンを挙げており、この5ヶ国は国教もしくは国民の大半がイスラム教を信仰している点が共通しており、イスラム教を信仰する国が入手可能な第5世代戦闘機=ステルス戦闘機という点が最大の売りなのだろう。

それを裏付けるかのようにトルコ航空宇宙産業は、開発中の「TFX」はイスラム教徒にとって初めての本格的な戦闘機になると話しており、さらにトルコが開発した訓練/攻撃機「Hurkus」の導入をマレーシアに提案したことを明らかにした。

米国の第5世代戦闘機が政治的に入手不可能な国、特にイスラム教の影響が大きい国にとってトルコの第5世代戦闘機「TFX」は魅力的に映るかもしれないが、同機の開発は行き詰まっており、試作機すら存在しない段階で潜在的な輸出先の囲い込みを始めても、色よい返事が貰えるとは到底思えない。

トルコの「TFX」開発において最も問題なのが搭載エンジンの開発だ。

出典:JohnNewton8 / CC BY-SA 4.0 TFXのモックアップ

当初の計画では、英国のロールス・ロイスから技術移転と開発のサポートを受け、TFXのための新しいエンジンを共同開発する予定だったのだが、トルコが突然、共同開発したエンジンの知的財産権を全てトルコ側へ譲渡することを要求したため、ロールス・ロイスはTFX用エンジンの開発から手を引いてしまった。

トルコは、ロールス・ロイスの代わり戦闘機用エンジンを供給してくれる相手を見つけようとしたが、提示している条件(共同開発したエンジンの知的財産権を全てトルコ側へ譲渡&輸出無制限)があまりに一方的過ぎるので結局、名乗りを挙げる企業は出てこなかった。

結局、トルコはロールス・ロイスに対し、再交渉を行いたいとラブコールを送っているが、ロールス・ロイスはアンカラに派遣していた技術者を全て引き上げさせ、他のプロジェクトへの再配置を済ませているため、とびきり条件が良くなければ食いついて来ないだろう。

出典:CeeGee / CC BY-SA 4.0 戦車「アルタイ」

トルコにしてみれば、兵器国産化最大の目標は海外輸出であり、戦車用パワーパックの問題で戦車「アルタイ」の輸出が思うように行えない(輸出にはドイツの許可が必要)失敗を繰り返す訳にいかず、開発する第5世代戦闘機「TFX」は海外輸出を行い、投資分を回収し、トルコ人労働者の雇用を生み出す存在でなければ意味がなく、だからこそトルコはエンジンの知的財産権や輸出制限に執着しているのだ。

果たしてトルコが言うように、第5世代戦闘機「TFX」はイスラム教の影響が大きい国にとっての「希望」になるのか、まだ誰にも予測できない。

 

※アイキャッチ画像の出典:JohnNewton8 / CC BY-SA 4.0 TFXのモックアップ

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 1月 15日

    なんか、エリツィン政権の末期みたいに感じる

    トルコの政権の転覆は無いんだろうけど、大統領のファミリーが経済、軍事、外交を掻きまわしてる

    ファミリーが経済、政治を書き回して、クレムリン改築を契機としたスキャンダルで、エリツィン大統領は下野して当選したばかりのプーチン首相が大統領・代理、数か月後の大統領選挙でプーチン大統領の誕生。(ファミリー・経済マフィアはエリツィン・ファミリーへの終生・免責を手に入れた、ファミリーでない経済マフィアは海外に亡命)
    アラビアのロレンス(イギリスの情報将校)を使ったイギリス・フランスの企みで、第一次世界大戦で、アラビア半島、エジプト、シリア、イラク、マグリブを失ったオスマン・トルコ帝国(ドイツ側)
     トルコ共和国になってからはボロボロだね。 なんか、中東の韓国?って感じる

      • 匿名
      • 2020年 1月 15日

      たしかに政権がどうなるかわかりません。
      ですが、そのまえに債務不履行宣言があるでしょう。

        • 匿名
        • 2020年 1月 15日

        >債務不履行宣言
        それは言ってはいけません(笑

        2000年の変動相場への移行で、0.7-TRY(トルコリラ)/USD(アメリカドル)だったのが、1.5-TRY/USDになったが安定はしてたが、2010年代には徐々に下落、2017年以降は爆下げで、現在は5.5-TRY/USD。
         建国100周年(2023年 目標は世界第10位の経済規模及び輸出額5,000億ドル)に向けてトルコ共和国は外国から借金をして鉄道網、橋梁、道路網の整備を実施したけど・・・

    • 匿名
    • 2020年 1月 15日

    アルタイ戦車の時もイスラエルに売ると言って三菱に逃げられたんだよな。
    輸出したいのは分かるけど条件が無茶過ぎる。

      • 匿名
      • 2020年 1月 15日

      失笑、どこでそんな情報を

    • 匿名
    • 2020年 1月 15日

    国産戦闘機の開発は明らかに強欲で自己中心的考えでしかないのに、イスラムのためなんて取って付けた大義を持ち出すなんて、本当に薄っぺらですね。

    • 匿名
    • 2020年 1月 15日

    ゆうてもトルコが足掻くのは必要だろう。持ってる国がエラそーにいうことじゃない。

      • 匿名
      • 2020年 1月 17日

      実のところ日本だって五十歩百歩なのに、妙にトルコや韓国に対して優越感持ってる奴がここのコメ欄にはいっぱい居るのがなんだかなぁ…

        • 匿名
        • 2020年 1月 17日

        第4.5世代戦闘機だと量産&配備済み
        第5世代戦闘機については、要素技術を開発済み
        コンセプトの固まっていない第6世代戦闘機について、先頭での開発着手

        トルコや韓国と、どこら辺が「五十歩百歩」なのだろう?

    • 匿名
    • 2020年 1月 15日

    外国技術を買い込んでまず消化し、自国での開発能力を上げる前に輸出バイアスが強すぎる
    中核技術開示を受ければ即座に国産化可能と嘯く棒国の悪癖を真似てどうするのか
    パテントを買い込めば地の涯でも半導体製造くらいは可能な世の中だが、そのパテントを自主開発するとなれば話は別

    • 匿名
    • 2020年 1月 15日

    イスラム圏に売り込むならTFXをインドネシアに売り込んでKFXと悪魔合体する可能性も微レ存ですが、そうなってもエンジンは両国がライセンス生産しているP&W F100かGE F110、またはKFXのGE F414をパクってくるしかないのでアメリカと一戦交えないと無理ゲーですね。

    • 匿名
    • 2020年 1月 15日

    >トルコ航空宇宙産業は、開発中の「TFX」はイスラム教徒にとって初めての本格的な戦闘機になると話しており、

    TFX用エンジンが取り上げられることが多いのですが、主要な電子機器(航法、レーダー、敵味方識別、兵器システム)はトルコ国産機器で実現できるのかが分からんね。
    トルコは親日国ということで嫌いではないがイスラム国に機体を納入となると、機体製造の軍事機密が回りまわって紛争当事国に流れないかが心配。

    • 匿名
    • 2020年 1月 15日

    まだ開発としては初期段階なんでしょうけど、F-35計画から締め出されたのに
    今度は第5世代機を別途開発して売りさばこうってのは
    アメリカからの強烈なお仕置きがありそうで何だか怖いですね。

    • 匿名
    • 2020年 1月 15日

    >開発中の「TFX」はイスラム教徒にとって初めての本格的な戦闘機になると話しており

    パキスタン・イスラム共和国のJF17は、軽戦闘機だから「本格的な戦闘機」ではない、とでもトルコは主張したいのかな?

    >トルコは、第5世代戦闘機「TFX」の潜在的な輸出先(もしくはパートナー国)としてマレーシア、インドネシア、パキスタン、バングラデシュ、カザフスタンを挙げており

    パキスタンは、﹙恐らく中国の支援のもと﹚第五世代戦闘機のPACの開発に乗り出す様で、
    トルコが現状の我儘を撤回しないと、PACの方が先に市場へリリースされるかも。

    • 匿名
    • 2020年 1月 16日

    トルコは、国産エンジンのテストを2026~2027年に完了、2029年までに国産エンジンでの初飛行をしたいと言ってる様ですが、技術提携に目処が立ったのかな?

    • 匿名
    • 2020年 1月 16日

    電子機器といえば、敵味方識別装置はトルコで使うものはアメリカから購入して、輸出仕様は付けないのかね?
    F-35からも追放されている国に輸出してもらえるんだろうか?
    トルコはまぁEUにも入れてもらえてないし、NATOで肉壁だけさせられるくらいなら、いっそインドとかと同じ東西どちらにも属さない立場に立つのもいいんじゃないかと思ったり

      • 匿名
      • 2020年 1月 16日

      NATOから抜けた途端にキプロス問題でNATO全軍がギリシャを守る為に敵になるよ。
      そうなると現状ではトルコとイスラエルは良い関係を築けているけどNATO(アメリカ)に逆らってトルコに肩入れするわけにいかないイスラエルとの関係も疎遠にならざるを得ない。
      こうなるとロシアの圧力に逆らえる後ろ盾を完全に喪失してTFXも雲散霧消でSu-57を買えと脅迫されるか、協力とは名ばかりで粗方の権利をロシアに持ってかれた形でTFXが具現化するか、どの道トルコにとってろくなことにはならないだろうね。

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