軍事的雑学

軍事的雑学|S-400導入のトルコ、F-35が無理ならロシア製ステルス機戦闘機「Su-57」?

トルコのロシア製地対空ミサイル「S-400」導入を巡る、米国とロシアの綱引きが激しさを増し、その中で強かに振る舞うトルコ外交。どこに着地することになるんでしょうか?

米国の圧力にも、強気のトルコ。

ステルス戦闘機「F-35」の開発にも出資し、現在、国内でF-35向け部品製造も行い、今後F-35Aを100機導入予定のトルコ。

米国製地対空ミサイル「パトリオットミサイル」の導入を止め、ロシア製地対空ミサイル「S-400」導入を進めていますが、また動きがありました。

3月29日、トルコのメヴリュット・チャヴシュオール外相が、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談し、現在進めているロシアからのS-400導入に関する手続きについて話し合いを行ってると述べました。さらに「私たちはロシアと契約したので、この契約・合意を守る必要がある」と強調。

トルコのエルドアン大統領も「ロシアとのS-400の契約は既に確定された契約で、白紙に戻すのは不可能だ」と何度も断言。

このまま行けば、今年の7月にはトルコにS-400が到着し、10月には実戦配備に入る予定らしい。

出典:pixabay トルコが導入する予定のF-35A

この様な動きに米国も、トルコが万が一S-400導入を強行した場合に備え、トルコへのF-35引き渡しをブロックできる法案の検討に入りましたが、それでもトルコは「F-35開発や生産で責務を果たしたトルコを、米国の都合で、一方的にF-35プロジェクトから追放することは出来ない」と言って、米国の圧力に全く動じる気配なし。

そんな事よりも、トルコはシリア北東部、クルド人勢力圏内からの米軍完全撤退を要求。

昨年、トランプ大統領がシリアからの米軍完全撤退を表明したにも関わらず、今年1月になって米軍部隊の一部残留に方針転換。これはIS掃討作戦で友軍&シリアの反体制派でもあるクルド人勢力が、米軍の撤収でトルコから攻撃を受ける可能性があるための措置。

トルコは、シリアのクルド人勢力を国内の非合法武装組織「クルド労働者党」の一部だと見ているので、米軍がシアリ国内のクルド人地域に駐屯(IS掃討の名目)したことさえ、快く思っていませんでした。

そのIS掃討が完了し、米軍の駐留目的が失われたにも関わらず撤退しない米国に、ロシア製地対空ミサイル「S-400」導入という形で不満を表明しているという見方もあります。

 

トルコを支えるロシアの動き。

クルド人勢力を庇う米国、それに不満のトルコがロシア製地対空ミサイル「S-400」導入、それが気に食わない米国がトルコへのF-35供給拒否、ここまで拗れた状況を更に掻き回そうと、ロシアが新たな行動にでました。

参考:Russia’s Fifth-Generation Su-57 Jet Already Has Export Permit – Source

ロシアのスプートニクの報道によれば、3月28日ロシアは、Su-57(旧T-50、別名:Pak Fa)を輸出するための書類を政府に提出済みで、プーチン大統領が数週間以内に輸出への最終承認を与えるだろうと言っています。

これは、トルコのチャヴシュオール外相が「もし米国がF-35を供給しないのなら、トルコはロシアから戦闘機(Su-57)を買うことが出来る」と発言したことに対応し、ロシア側が本当に、Su-57の輸出準備を進めていると言うこと。

出典:pixabay ロシアのSu-57

もしトルコが本気「S-400」導入を行い、その結果、F-35導入を米国にブロックされても、次の手は確実に打ってあると言う意味です。

余談ですが、Su-57はロシアでの正式名称ではなく、現在でもロシア政府、ロシア軍ではT-50が正式名称。しかし輸出のため現在、T-50からSu-57への正式な名称変更も検討しているらしい。

やる気満々のロシア(笑)

以前の記事でお伝えした、トルコの第5世代戦闘機TFX計画へのロシア企業によるエンジン開発支援の申し出も含め、「米国と手を切ってもロシアがついている」感が半端ない。

もう、トルコのロシア乗換え、NATOからの離脱は確定か?

ロシアにとっては、黒海への唯一の出入り口である、ボスポラス海峡をもつトルコをロシアが陣営に引き込めれば、有事の際、黒海への米海軍やNATOの艦艇を遮断出来るようになる上、平時でも黒海への艦艇派遣リスク(海峡閉鎖で黒海に閉じ込められる)を考えると、派遣に躊躇するかもしれません。

今年は、中東に加え、地中海でも一悶着ありそうな予感がします。

最後に、Su-57の動画をどうぞ。非常にカッコいいSu-57が見られます。

※アイキャッチ画像の出典:Attribution: Vitaly V. Kuzmin, File:MAKS Airshow 2013 (Ramenskoye Airport, Russia) (526-01).jpg / CC BY-SA 4.0

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 3月 30日

    ロシアの観点でみると、トルコを自陣営に入れて黒海全域を勢力圏に収めれば、ウクライナ・ルーマニア・ブルガリア・ジョージアの海上交通を遮断できるようになる。ソ連崩壊後にEUに入ったルーマニア・ブルガリア、親EUのジョージア・ウクライナをけん制し、あわよくばロシア勢力圏に取り戻そうという試みなのだろう。

    • 匿名
    • 2019年 4月 01日

    いずれ中国に主権を渡す日本にとっては全くなんの関係も無いお話し

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