軍事的雑学

米軍が調達する空中発射兵器のリアルな価格、AIM-9Xは約5,000万円、AIM-120Dは約1億円

中々、知る機会の少ない航空機が搭載する空中発射兵器の調達単価を「The Drive」が報じており、FMS方式で購入する国に課される「その他の費用」がどれだけ必要なのかよく分かる。

参考:Here Is What Each Of The Pentagon’s Air-Launched Missiles And Bombs Actually Cost

ミサイル1発のお値段は?国防総省が発表した予算案から判明したリアルな価格

防衛装備品の価格というものは製造ロットや発注数などによって価格が変動し、米国製兵器をFMS方式で調達すればサポート費用や手数料が含まれた総額しか開示されないため装備品本体の純粋な「単価」を知る機会は殆どない。

今回は国防総省が2021会計年度予算案に盛り込んだ空中発射兵器の購入予算を元に単価を割り出した「The Drive」の記事を参考に、FMS方式(対外有償軍事援助)による上乗せ分やサポート費用などが含まれていない純粋な「単価」を見ていく。

出典:public domain AIM-9X

短距離空地空ミサイル「AIM-9Xサイドワインダー」の単価については、海軍発注分が約43.1万ドル(約4,700万円)で空軍発注分が47.2万ドル(約5,300万円)となっている。ただし、この価格はAIM-9X BlockIIやF-35用のAIM-9X BlockⅢ+を含んだ平均単価であり個々の単価については不明だ。

米国の防安全保障協力庁(DSCA)が公開しているFMS方式によるAIM-9Xの販売価格は総額表記なので純粋な単価は不明だが、単純に総額を調達数(模擬弾も含む)で割ると1発あたりの調達価格は80万ドル(約8,900万円)から90万ドル(約1億円)前後となる。

中距離空対空ミサイル「AIM-120D」の単価については海軍発注分が約99.5万ドル(約1.1億円)で空軍発注分が109.5万ドル(約1.2億円)となっており、カナダがAIM-120Dを50発調達するのに約1億4,000万ドル、英国が200発調達するのに約6億5,000万ドル要求されたのでFMS方式でAIM-120Dを調達した場合、1発あたりの調達価格は280万ドル(約3.1億円)~325万ドル(約3.6億円)となる。

出典:public domain AIM-120

何度も言うがFMS方式の価格にはミサイルだけでなくメーカーによるサポート費用や保守パーツ、トレーニング機材や関連費用、ミサイルを引き渡すための輸送費まで含まれているため、導入兵器の保守契約を別途に一括契約している米軍の調達価格と比較しても割高に感じるだけだが、逆を言えば米軍の調達単価を見れば兵器の純粋な調達価格が判明するため、どれだけその他にかかってくる費用が高額なのか分かってしまう。

因みに他の空中発射兵器の調達単価は以下の通りだ。

AGM-88G AARGM-ER 対レーダーミサイル 620万ドル 6億9,000万円
AGM-114 ヘルファイア 7万ドル 780万円
AGM-158A JASSM(B型D型も含む) 120万ドル 1億3,000万円
AGM-158C LRASM 390万ドル 4億3,000万円
AGM-179A JAGM 32万ドル 3,600万円
GBU-39 滑空爆弾 3.9万ドル 430万円
GBU-53 滑空爆弾 19.5万ドル 2,100万円
JDAMキット(爆弾本体を含まず) 2.1万ドル 230万円
Mk.82 無誘導爆弾(500ポンド) 0.4万ドル 44万円
Mk.84 無誘導爆弾(2000ポンド) 1.6万ドル 180万円

お馴染みのAGM-65マーベリックやAGM84ハープーンが抜けているのは、2021会計年度予算案での調達が予定されていないためだ。

AGM-65マーベリックやAGM-114ヘルファイアといった空対地ミサイルの後継として開発されたAGM-179Aの調達が始まっており、いずれはAGM-114ヘルファイアも姿を消すだろうし、AGM84ハープーンの調達が消えているのも後継のAGM-158C調達が始まっているためで、いずれはハープーンの保守サービスも打ち切られることになるだろう。

今回は中々知る機会の少ない航空機が搭載する空中発射兵器の調達単価をまとめてみたが、FMS方式で購入する日本から見ると米軍の調達価格は割安に見えてしまうためボッタクられていると感じてしまうが、米軍も調達価格とは別途に保守契約をメーカーと結んでいるため最終的な費用面で大きな差はないと思う。

ただ防衛装備品の価格はもう少し透明化されなければならないとは感じる。

 

※アイキャッチの出典:VanderWolf Images / stock.adobe.com

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 2月 20日

    すごいね、こういうデータを発表するブログはほとんどない。

    • 匿名
    • 2020年 2月 20日

    空対空ミサイルなんて一発2000万円ぐらいと思ってたけど、こんなに高かったんですね
    買える事が出来る国は限られてるなぁ

    • 匿名
    • 2020年 2月 20日

    専門誌でもこういう兵器の価格表はないからブログは参考になるし、すごいな

    • 匿名
    • 2020年 2月 20日

    F35のライセンス生産は割高だからと完成機輸入の話が出たとたん、三菱が工程見直しで割安に出来るって発表する闇

    • 匿名
    • 2020年 2月 20日

    アフガニスタン戦争かイラク戦争の時にトマホークが1発1億円ってニュースでやってて「高いなあ」と驚いた記憶がある。(今はもっと高いみたいだけど)
    為替とか生産数の関係もあるのかもしれないけど、あんなに小さいAIM-120Dが1億円以上するとは驚き。

    • 匿名
    • 2020年 2月 20日

    なんだかんだ言いつつやっぱりボッタクリだよなぁ
    国産が割高だとよく批判されるけど、どう考えても多少高くても国産にしたほうがいいだろ

    • 匿名
    • 2020年 2月 21日

    ケロロな御仁曰くAAM5の量産単価5,200万円らしいけど、AIM-9X並みだったのですね。
    Wikiの5,500万円〜6,000万円でも、調達数が少ない事を加味したら、結構健闘してる感じですかね。

    • 匿名
    • 2020年 2月 21日

    AIM-120CとAIM-120Dは引き渡し開始時期が20年違いますが、40万ドルから100万ドル台まで値上がりしてますね。
    物価も2倍なので機能向上している分とD型は量産効果が出はじめて安くなっているんだと思いますが、調達価格とインフレは注視する要素だと思います

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