米国関連

約80年ぶり? 米海軍、真珠湾攻撃で沈没した戦艦を原潜として復活させる

米海軍は、日本帝国海軍の真珠湾攻撃で沈没したネバダ級戦艦2番艦「オクラホマ」とペンシルベニア級戦艦2番艦「アリゾナ」の名前を約80年ぶりに復活させ、バージニア級原子力潜水艦の最新型「ブロックV」の1番艦(SSN-802)をオクラホマ、2番艦(SSN-803)をアリゾナと命名した。

参考:Acting SECNAV Names Two Newest Virginia-Class Subs for Greatest-Gen Heroes of Pearl Harbor

日本の真珠湾攻撃で沈没した英雄が約80年の時を経て蘇る

米海軍の原子力潜水艦は、伝統的に米国を構成する50州の州名に因んで艦名をつけているが、これまでオクラホマ州とアリゾナ州の州名は原子力潜水艦の艦名に用いられていなかった。

出典:public domain 大爆発を起こしたアリゾナ。同艦は真珠湾の艦艇群の中でも、もっとも被害が大きかった。

これは1941年12月8日、日本の真珠湾攻撃によって戦艦「オクラホマ」と戦艦「アリゾナ」が沈没、両艦合わせて1,669人(オクラホマ429人、アリゾナ1,177人)もの将兵が戦死したことに配慮しているためだが、今回、バージニア級原子力潜水艦の艦名として約80年ぶり(正確に言えば78年ぶり)に、オクラホマとアリゾナを復活させることになった。

出典:U.S. Navy photo illustration by Mass Communication Specialist 1st Class Paul L. Archer

この命名式に出席したトーマス・モドリー海軍長官代行は、第2次世界大戦に参戦した米国人を指す「最も偉大な世代(the Greatest Generation)」という表現を何度も使用し、オクラホマとアリゾナに住む市民達が、真珠湾で倒れた英雄たちを永遠に忘れず記憶し続けようとする海軍を理解し支持してくれるならば、他に望むべきものはないと語った。

因みに、ユタ州も日本の真珠湾攻撃によって沈没したフロリダ級戦艦2番艦「ユタ」への配慮のため使用されてこなかったが、2015年9月にバージニア級原子力潜水艦「ブロックⅣ」の最終艦(SSN-801)として74年ぶりに復活を果たしている。

ただし、日本の真珠湾攻撃では、もっと多くの戦艦が沈没したり損傷を受けているのに、なぜ戦艦「オクラホマ」、戦艦「アリゾナ」、戦艦「ユタ」だけが欠番扱いされてきたのか?

恐らく、上記の3艦以外の戦艦は、全て修理され戦列に復帰しているためで、それらの艦の州名は継続使用されている。

つまり戦艦「オクラホマ」、戦艦「アリゾナ」、戦艦「ユタ」は損傷が激しく、引き上げられないまま海の底に眠っているため74年以上、欠番扱いされてきたのだろう。

出典:public domain 引き上げられている最中の戦艦「オクラホマ」

補足:戦艦「オクラホマ」は引き上げられたが損傷が大きいため復旧を断念、スクラップとして売られサンフランシスコへ向かう途中、嵐に遭遇し沈没してしまったため、真珠湾の海の底には眠っていない。

日本でも第2次世界大戦に参戦した空母や戦艦、重巡洋艦につけられていた艦名が、自衛隊の護衛艦名として復活しつつあり、いずれ「やまと」や「ながと」などの艦名も復活する日が来るかもしれない。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo courtesy of HII by Ashley Cowan バージニア級原子力潜水艦

調達よりも維持する方が大変? 戦闘機「F-22A」は退役にまでに1機約320億円が必要か前のページ

露のステルス戦闘機「SU-57」量産初号機が墜落、原因は尾翼の不具合次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米議会、陸軍にUAVの脅威から戦車を保護するための計画を報告するよう要求

    米国の下院軍事委員会は陸軍に対して「無人航空機の脅威から装甲戦闘車輌を…

  2. 米国関連

    米陸軍がERCA開発を中止、市場で入手可能な自走砲導入に方針を転換

    米陸軍は2025年度予算案の中で「拡大射程砲(Extended Ran…

  3. 米国関連

    米海軍はレールガン実用化を断念、開発資金の供給打ち切りを議会に提案

    米海軍は10年以上も実用化に向けて開発を続けてきたレールガン・プログラ…

  4. 米国関連

    厳しい未来を予想する米陸軍、来年度の国防予算配分で陸軍は冷遇される?

    米陸軍はバイデン政権が打ち出した国防予算7,150億ドルの下では空軍や…

  5. 米国関連

    米国が19番目のウクライナ支援パッケージを発表、AGM-88HARMを追加提供

    バイデン政権は19番目のウクライナ支援パッケージを19日に発表、このパ…

  6. 米国関連

    次期フリゲート艦「FFG(X)」プログラムに暗雲、米海軍を信用していない議会が横ヤリ

    米海軍はアーレイ・バーク級駆逐艦フライトIIIを1隻調達するコストで次…

コメント

    • 匿名
    • 2019年 12月 26日

    配慮だけじゃなくて、験担ぎということもあると思う。奇襲で沈められた艦というのは、不吉とまではいかなくてもめでたい名前ではないし
    日本でも「ともづる」とか「ふそう」「やましろ」とかはこう……

      • 匿名
      • 2019年 12月 26日

      「うねび」は絶対イヤ。

      • oominoomi
      • 2019年 12月 26日

      「むつ」もちょっとあかんでしょうね。

    • 匿名
    • 2019年 12月 26日

    アベに対するメッセージだろうな
    「お前の正体は分かってんだぞ」っていう

      • 匿名
      • 2019年 12月 26日

      ?????

           (´・ω・`)
         /     `ヽ.   お薬増やしておきますねー
        __/  ┃)) __i |
      / ヽ,,⌒)___(,,ノ\

           (´・ω・) チラッ
         /     `ヽ.   
        __/  ┃  __i |
      / ヽ,,⌒)___(,,ノ\

           (´・ω・`)
         /     `ヽ.   今度カウンセリングも受けましょうねー
        __/  ┃)) __i |
      / ヽ,,⌒)___(,,ノ\

      2
        • oominoomi
        • 2019年 12月 27日

        「アベ」に対する異常な偏執、トランプから脅されているという被害妄想
        診断名「妄想性パーソナリティ障害」

        1
      • 匿名
      • 2019年 12月 26日

      管理人さんへ
      時々書き込みが反映されずに無かったことにされてるけど
      なんかのワードで弾いてるんだったらまずこういうアホを排除して欲しいんもんだが…

      2
      • 匿名
      • 2019年 12月 26日

      あなたはなんでもアベなんでしょ?

      1
    • 匿名
    • 2019年 12月 26日

    「お船」に染まったアレな連中がまたなんかやらかさなきゃいいが…

    • 匿名
    • 2019年 12月 26日

    回り回って戦艦復活しないかな〜
    ミサイル防御は戦艦の対空力と防御力みたいにならんかね

    1
      • 匿名
      • 2019年 12月 26日

      中国の公船は体当たりする為に、巨大化してるらしいですからね。撃たなきゃ大丈夫と。
      だとしたら大きいことはいいこと、なので戦艦クラスの重装甲がものを言う。
      うーむ、ロマン。

      • 匿名
      • 2019年 12月 26日

      対地攻撃には凄い便利だよね。湾岸戦争で無茶苦茶役に立ってた。海から40キロしか届かないAー10みたいなもんだけど、弾数は段違い、昼夜天候を選ばず敵策源地を40キロ押しやれる。

      1
        • 匿名
        • 2019年 12月 27日

        ズムウォルトの事はもう 許してあげてほしい

    • 匿名
    • 2019年 12月 26日

    タイトル詐欺!!

    宇宙戦艦ヤマト方式かと期待したじゃないか!!w

    1
      • 匿名
      • 2019年 12月 27日

      そら、そう思うわな。

    • 匿名
    • 2019年 12月 26日

    3つとも大陸内陸にある海無し州なんで、あまり軍艦の名復活に有権者の興味がなかっただけでは
    それか、あのあたりの上下院議員の関心を高める必要が海軍に生じたとか

    • 匿名
    • 2019年 12月 27日

    大和 長門は 戦略原潜につける為に温存しておこう

      • 匿名
      • 2019年 12月 28日

      独立国 「やまと」

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  3. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  4. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  5. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
PAGE TOP