米陸軍は、次世代小銃として「ステルス小銃」の開発を計画していると言う
参考」:U.S. Army develops ‘stealthy’ rifles
小銃までステルス化?小銃の欠点、騒音と閃光を消す
米陸軍は最先端技術を用いて、小銃発砲時の騒音と閃光を無くし、敵に気づかれにくく、射点がばれ難い「ステルス小銃」の開発を計画している。
この次世代の小銃は、小銃本来のパワーを損なうことなく、発砲時のデメリットを究極的にはゼロにするというもので、発砲時の聴覚的な欠点である騒音と、視覚的な欠点である閃光を消すことで、特に夜間における戦場での優位性獲得を目指している。

出典:US Air Force photo by Alejandro Pentildea
では、騒音と閃光はどうやって消すのか?
そもそも発砲時の騒音の正体は燃焼ガスの爆発音であって、映画やドラマなどによく登場する「サイレンサー(正しくはサプレッサー)」を取り付けることで、この騒音をある程度「抑制」することが可能だが、完全に「無音」にすることは出来ない。
さらに閃光の正体は、燃焼ガスによる発火炎であり、銃身長が長い銃器や、装薬量の少ない弾薬を使用すれば、弾丸が銃口を離れるまでに火薬が燃焼し終えるために燃焼ガスが漏れることは少ないが、その逆の場合、銃口から燃焼ガスが漏れ発火炎となる。

出典:Rama / CC BY-SA 2.0 FR フラッシュサプレッサー(SIG SG550)
この発火炎を抑制するために「フラッシュサプレッサー」があるが、発火炎を抑制する代わりに発砲時の騒音が大きくなってしまうデメリットがある。
米陸軍が研究しているのは、銃身内部を密閉?(銃身内部を真空状態に保つ)し、燃焼ガスが銃口から漏れないようにし、発火炎を発生させないという「ガスパージシステム」を開発しているという。
銃口から燃焼ガスが漏れないということは、発砲時の騒音を閉じ込めるという意味でもあり、騒音を消すためにも有効な手段らしいが、どの程度の騒音削減効果があるのか詳細は不明だ。
米陸軍が言う「ステルス小銃」の開発が本当に可能なのかは未知数だが、仮に実用的な範疇で完成すれば、夜間戦闘において非常に有利なのは言うまでもなく、敵からすれば、どこから撃たれているのかを察知するための音と光を奪われ反撃をしようとしても出来ないだろう。

出典:Public Domain M2ブラッドリー
さらに、その技術を大型の機関銃(機関砲)にも応用すれば、M2ブラッドレー歩兵戦闘車など装甲車両の生存性向上に繋がるかもしれない。
ただし、このステルス小銃は大規模な正規戦では、あまり意味がなく、アフガニスタンやシリアなどので行われている「不正規戦」でこそ活躍しそうな気がするが、気がかりな点もある。
小銃にとって、最も必要な性能は「確実な作動」であって、これを阻害するような余分なものは、基本的に小銃の「信頼性」を損なうことに繋がるため、現場の兵士には嫌われる事が多い。
一時、未来の小銃だと持てはやされた「複合銃(XM29)」も結局は、サイズや重量が問題になり開発中止になった。
果たして、ステルス小銃は実用的な小銃として完成するのか、それともネタ扱いの珍兵器になるのか、非常に気になってしまう。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army Photos by Paolo Bovo
エネルギーを中に留め置くとなると熱問題は深刻でしょうね。
連続発射を前提としない狙撃銃なら許容できるかも。狙撃には欲しい能力でしょうし。
低威力で構わないなら、ロシアに発射ガスを薬莢内に密閉する無音拳銃が有るけどね・・・・・・