インド海軍が進めている、非大気依存推進(AIP)機関搭載のディーゼル式潜水艦調達プロジェクトに韓国が急遽参加することになった。
参考:대우조선, ‘7조원’ 인도 잠수함 수주전 극적 합류 – 매일뉴스
日本が潜水艦を輸出したいのなら、輸出先のニーズを満たす必要がある
韓国メディアによれば27日、インド海軍が進めている、非大気依存推進(AIP)機関搭載のディーゼル式潜水艦調達プロジェクトへ入札希望していたスウェーデンのサーブ社が突然、辞退を表明したため、インド海軍からプロジェクトへの入札参加を打診された韓国の大宇造船海洋は、急遽、入札に参加することになったと言う。
このプロジェクトは、6隻のAIP機関を搭載したディーゼル式潜水艦を計4,500億ルピー(約6,900億円)で調達(インド国内での建造が条件)するというもので、1隻あたりの導入価格(恐らく各種保守サービスが含まれている価格)は約1,150億円になる。
補足:プロジェクトの総額については7,000億ルピーという報道もあるが、韓国メディアによると4,500億ルピーらしい。

出典:海上自衛隊 そうりゅう型潜水艦
インドは当初、日本のそうりゅう型潜水艦にも興味をしてしており、2015年にインドの国防相が来日した際、海上自衛隊のそうりゅう型潜水艦について高い関心を持っていると述べた。そして2017年には、日本やドイツ、フランス、スペイン、スウェーデン、ロシアの企業に対し、プロジェクトへの入札参加を打診した。
しかし日本は自ら、このプロジェクトから撤退を決めてしまった。
現地、インドの報道によれば、日本は兵器輸出の経験がないため入札ではなく、両国の政府間協議によって、そうりゅう型潜水艦の輸出協議を希望していたが、インド政府が協議に応じる気がなく、日本の撤退に繋がったという。
単純に価格面で見た場合、そうりゅう型潜水艦の建造費は約500億円から640億円(リチウムイオン電池搭載の11番艦おうりゅうの価格)なので、日本も十分に参加する余地があったと思われるが、恐らくネックになったのは、対地攻撃用の巡航ミサイルを発射できる能力と現地建造を要求された点だ。
日本には国産の対地攻撃用巡航ミサイルがなく、仮に受注できても米国製以外の巡航ミサイル発射能力を要求された場合、日本のシステムに国産や米国製兵器以外の統合経験がないので、どのようにこの問題を解決するのか非常に怪しく、さらに「魚雷発射管」方式ではなく「垂直発射管」方式を要求されると、日本は垂直発射管の設計経験がないので、もはやお手上げで、恐らく勝負にならないのではないだろうか。

出典:public domain ロサンゼルス級に搭載されたMk 45
さらに現地でインド企業と共同で建造するという点も、日本には経験がなく、技術移転や技術流出を防ぐためのノウハウも持ち合わせているとは言い難く、だからこそ日本は入札ではなく、政府間協議によって潜水艦の輸出合意を取り付けようとした可能性が高い。
これは決して日本の潜水艦建造技術や、海上自衛隊が運用中の潜水艦が、他国に劣っているというわけではない。
専守防衛という極めて特殊なドクトリンの採用と、憲法9条の曖昧な解釈によって保有できる兵器の範囲に制限があるため、日本の防衛産業が海上自衛隊向けに建造する潜水艦には運用用途に制限(対潜水艦、水上艦戦闘に特化)がある。
便宜上、これを日本仕様と呼ぶ。
現在、これまで潜水艦を持つことのなかった国が、新しく潜水艦保有国になろうと通常動力式(AIP機関搭載型も含む)の潜水艦に興味を示しているが、潜水艦や水上艦への攻撃能力以外にも、対地攻撃能力や巡航ミサイルの搭載、特殊部隊の運用能力など多機能な潜水艦を求めているため、日本仕様の潜水艦をそのまま提案しても、輸出先のニーズを満たす事ができない。
特に、通常動力式(AIP機関搭載型も含む)の潜水艦を輸出するなら、高い確立で現地での建造(潜水艦建造に必要な技術の移転)を要求されるのは、もはや一般化しており、これを認められない、技術流出といって拒否するくらいなら、端から潜水艦の海外輸出など止めておいたほうが良い。
もっと言えば、日本の潜水艦建造技術は他国が真似できないほどレベルが高く、日本が潜水艦を輸出すると言えば世界の国々はきっと欲しがるだろうと勝手に盲信し続けている限り、防衛装備の海外輸出は絶望的に不可能だ。
なぜなら潜水艦や水上艦への攻撃特化した「最強」の通常動力式(AIP機関搭載型も含む)潜水艦など、日本以外に欲しがる(正確には日本の諸事情のため、その部分しか伸ばしていくことが出来ない)国はなく、多少、潜水艦や水上艦へ攻撃能力が落ちたとしても、幅広い任務へ投入できる多機能な潜水艦を世界は求めているからだ。
当初、日本の高い技術力という言葉に誰もが、日本が防衛機器の輸出を解禁すれば世界から注目を集めるだろうと期待したが、輸出解禁から5年が経過しても、ただの1件も輸出実績を獲得することができていない。
結局、これが現実であり、世界が日本の防衛機器につけた点数でもある。
今回、インドの潜水艦調達プロジェクトへ入札を希望しているのは、ドイツのティセンクルップ社、フランスのDCNS社、ロシアのルビーン・デザインビューロー・アムール造船所、そして急遽参加が決まった韓国の大宇造船海洋だ。
なぜ、日本はここに参加することを自ら止めたのか、なぜ防衛機器の輸出を解禁したのか、今一度、よく考える必要がある。
※アイキャッチ画像の出典:海上自衛隊
日本の工場関係ないなら潜水艦ビジネスは旨みがないわ
市場が小さすぎる 将来インドが300台ぐらい作るんならまだしも6台スポットで資本投下した工場は他所のもん
日立の鉄道みたいに市場があるなら人物金投資して初期受注がハイブリット型というリスク案件に突っ込むのありだけど
そもそも、日本が防衛技術の輸出を解禁したのは「F-35の製造や整備に必要な国際的な後方支援システムへの国内企業の参画」や「国連への武器弾薬の提供」と言った問題が、以前の武器輸出三原則では出来ない為に、このままでは自衛隊装備の新規導入はおろか、維持さえ出来ない状況に追い込まれたからで、武器輸出が主目的ではないからね。
更に言えば「輸出先で求められる最良の兵器は、自衛隊が求める最良の兵器では無い」ので、武器輸出が成功しないからと言って、ガッカリするべきでは無いと思う。
事実、日本と他国(米欧が主体)による兵器技術の共同研究は、防衛技術の輸出解禁で、これまでよりかなり進んでいるからね。
近い将来、これらの研究が何らかの形で実を結ぶ可能性はあると思う。
この方の言うとおりですね
元々民主党時代の野田政権が認めた武器輸出解禁で、売るためのものでは有りません
そもそも今回は条件合わないから入札に参加すらしない訳で、世界の評価とか最早意味不明です
日本側が断ったのですから
潜水艦輸出と言えばオーストラリアですが、オーストラリアの件の現実を筆者は知っているのでしょうか?
現地生産等美味しい話で受注したフランス企業は本契約前に条件変更を言い出しもめている状況です
機密の塊の潜水艦が簡単に済むわけが有りません
加えてインドの兵器関連の目的は技術を得ての国産化で有り、安易に技術を渡すことも良くありません
特に今回はロシアに対する当て馬でしょうし
武器輸出に意欲的などという事実は一切無く、日米との安全保障上信頼の出来る国と信頼できる条件が合致した場合輸出の可能性があるというものに過ぎない
韓国など武器輸出を前提に開発予算組んでる訳ではない
なぜこんな記事になるのか不思議だ
安易な潜水艦輸出など国民の反発を招くだけ
現在インドは条件を全く満たしておらず、参加するはずがない
武器輸出国になる前に自衛軍が持てる憲法改正が先だ
外交が独立しないと無理だろうね。
アメリカから横槍が入る。
そういう意味では、韓国を見倣うべきかも。
アメリカは1950年代のバーベル級以降、通常動力型潜水艦を一切建造しておらず、既に建造技術は失われています。
また潜水艦の輸出にも消極的であり、戦後新造艦の輸出実績もありません。
ここが航空機とは全く違うところで、近年関係が良好なインドへの輸出にわざわざアメリカが横槍を入れる理由がありません。
今まで輸出しようとしたときに横槍なんて入っていない
なんでもかんでもアメリカに結びつけるべきではない
実績どころか撃つ気もない攻撃兵器はただの張り子の虎だよ。周辺国に対する威嚇が主目的の日本なら意味はあるけど、いつ中国やパキスタンと核を撃ち合うか分からないインドには無用の長物というやつ
それよりは汎用かつニッチな兵器、つまりUS-2ですよ。C-2やP-1はA400MやP-8というライバルが強いからね。もしFFMが期待通りに出来上がるなら、それの輸出というのもありかもね
インドは、軍事的には親ロシアだから、最初から無理でしょう。
筆者さんの様な考えになるのかな?
解禁の背景が書かれてないのは
なんでだろう?
日本に武器商人の仲間入りをしてほしいと
言うことかな
売るなら顧客ニーズに合わせなきゃってことでしょ
それが白物家電か武器かの違いだけで
日本が武器輸出規制を緩和したのは、他国との共同開発を行う際に、開発パートナーの輸出に制限がかかってしまうからです。
そもそもが「国産兵器を売りまくろう」という目的ではなかった為、「顧客ニーズに合わせる」という考えが乏しかったのも当然で、「潜水艦持ち出しだと」氏の仰っているのはそういうことです。
びっくりするほど海外の情報なんて入ってこない。
海外進出の美味しい情報だけをトップが知り、トップダウンで部下にやらせる。が、情報が全くない。
部下が苦労して半分推測してまとめた情報で、仮に作った仕様が一人歩きして大々的に宣伝してプロジェクトを始めてしまう。当然現実問題に直面して行き詰まる。
三菱リージョナルジェット(MRJ)なんてその典型例だろう。
この愚かなコメント欄は日本が潜水艦輸出に失敗したという事実を直視していない。
そこを筆者は問題としてるのであって飛行艇だとか旨味が有るだの無いだのの話はしていない。
潜水艦輸出に失敗した、というよりは、最初から参加していない、と見るべきです。
武器輸出三原則が国際共同開発や国際平和維持活動の障害となっていたことが規制緩和の主な理由であり、国産兵器の販売は主目的ではありません。
従ってハイリスクな案件に積極的に関わることはないのです。
インドがこのプロジェクトで搭載を予定しているミサイルはブラモスだということです。(世界の艦船No.848)
ならばセンサーとの統合の上で圧倒的に有利なのはロシアであり、その他は当て馬にも見えます。
またメイク・イン・インディアを掛け声にしているインドは、技術移転を強く求めてくるでしょう。
恐らくスウェーデンや日本が辞退した理由はその辺りだと思います。
この手の記事で必ず槍玉に挙げられてしまう我が国憲法。
9条を含めて戦後の国際的な安全保障に立脚した至極グローバルスタンダードな憲法なのに、我が国の安全保障上のデメリットと解されることが多い。
これらは憲法学上の無知と我が国の継戦能力の低さを理解していない事に起因する。
世界は今、ステルスブームの真っ只中。火付け役はアメリカであり、中国、ロシアが乗っかり日本も便乗中だ。
でも仕方ない。戦争コンセプトを語れる程の経験はなく、またリーダーシップを取る必然性がない。では、どうするのか?
それは防衛産業を官民含めて成熟させるしかない。これには国民的な理解が必要だ。右も左も主権国家日本を維持する為には、必要な事だと理解せねば。
交戦権など1928年の不戦条約より何処の先進国も保持していない。問題は、少子高齢化で益々継戦能力、兵站の維持が難しくなってくる。事は潜水艦だけに留まらない。
この手の記事で必ず槍玉に挙げられてしまう我が国憲法。
9条を含めて戦後の国際的な安全保障に立脚した至極グローバルスタンダードな憲法なのに、我が国の安全保障上のデメリットと解されることが多い。
これらは憲法学上の無知と我が国の継戦能力の低さを理解していない事に起因する。
世界は今、ステルスブームの真っ只中。火付け役はアメリカであり、中国、ロシアが乗っかり日本も便乗中だ。
でも仕方ない。戦争コンセプトを語れる程の経験はなく、またリーダーシップを取る必然性がない。では、どうするのか?
それは防衛産業を官民含めて成熟させるしかない。これには国民的な理解が必要だ。右も左も主権国家日本を維持する為には、必要な事だと理解せねば。
交戦権など1928年の不戦条約より何処の先進国も保持していない。問題は、少子高齢化で益々継戦能力、兵站の維持が難しくなってくる。事は潜水艦だけに留まらない。
>>潜水艦特出しだと
>日本に武器商人の仲間入りをしてほしいと
>言うことかな
この記事のどこをどう読むとそういうニュアンスで受け取れるのか・・・
あの所のオーケストラエンジンは直したのかな
兵器輸出はトルコの戦車エンジンでやろうと思えばできた
しかし結局自分たちが戦争に荷担するリスクで話は立ち消えに
アメリカみたいに武器を使うのにも人権や規制で縛るのなら売れるわけがない
いや、そんなキレイなお題目でなく
単にトルコが技術移転した上でその技術で輸出商売するって契約だったから
全く旨味無いのにそんなもん飲めるかと蹴っただけでしょ
分離発注でインドや中国の鉄を使う現地生産のリスク込みで受注する価値があるの?
ガワだけ造ってもアレを使える様に載せろ。
コレを載せろ。
重心の位置が変わっても何とかしろ!
注文どおりの規格の木材や鉄鋼が納品されるのは日本くらいなのに、おまけにスキル不明の現地採用。
こんな可能性があるなら参加は無理です。
そうやって国内製造に拘って殿様商売してるから売れないんじゃない
毎度毎度技術盗まれたくないとか面倒だから売れなくていいなんて負け惜しみにしか聞こえんわ
ロシア製兵器を共同開発してズブズブのインド軍と
退役軍人を含め防衛不正がメッカのインドで現地生産?
これで売るアホは
海上自衛隊が何処の国とカチあってるのか忘れたお花畑だけだろ
安部ちゃんが実績作りたくって息巻いてた前回オーストラリアと
契約したフランスは契約後即効で中国に潜水艦の情報抜かれたのに
シーレーン防衛の要の潜水艦技術をたった7000億で売れとか
軍事力1・2・3・6・7位が集まっている日本の国防なめすぎ
白物家電とか国内製造に拘らず現地生産で技術移転したら市場奪われて衰退したんじゃ?
軍事技術になると衰退だけにとどまらないんだけど皆それを恐れているんでしょ
売らなきゃ国家予算が足りないとかいうレベルならともかく
そうでないなら無理しなくていいと考えるのは自然だと思うけどね
勝った負けたの話に矮小化するようなものではないと思うな。
戦略的にインドとの関係は重要だし、関係部署にとっては輸出実績も欲しいだろうけど、インドはそういう部分の足元を見て一時期の中共と何ら変わりのないメイクインインディア政策やっている。
得られる対価と失われる優位性、面倒臭さを天秤にかけて、撤退もやむなしと判断されたならそういうことなんでしょうよ。
なんでも売ったもの勝ちという発想は子供みたいだわ。
そもそも売るつもりが無いのなら初めから武器輸出なんてやるべきでは無いだろう。
あれこれ日本と外国の政府から横槍を入れられそうな軍需品の輸出なんて一企業は本腰入れにくい。コマツは撤退したが他の企業でも本音では撤退したいのでは?
三菱のレーダーなど良い物もあるからミーテイアのように共同開発という選択肢ができるようになっただけマシなのかも
兵器輸出は単純な商売ではなく未来の敵を作る可能性がある事業
インドに売った場合、それを使う先はパキスタンか中国
現在、我が国とパキスタンは友好国、中国とは歴史問題や軍事的に仮想的国ではあるが経済的に重要な関係にある
この二国と敵対する覚悟なしにインドへ兵器輸出なんてあり得ない
兵器輸出するなら政治家も国民もまず覚悟を決める必要がある
日本の武器輸出は共同開発の為に解禁されたが単独での輸出としてはどの程度の本気度だったのか。ましてや潜水艦となれば高度な機密の塊だし最初から外交上の付き合いという気もしなくもないなあ。
その通りだと思います。
だから輸出用のモデルも開発していない。
ドイツは潜水艦を積極的に輸出していますが、自国海軍の212A型はイタリア向けだけにしか許可せず、その他の国へはより保守的な設計の214型を売っています。
海上自衛隊が運用している最新型の潜水艦を輸出するとなれば、慎重にならざるを得ないのは当然です。
管理人さん、防衛機器の輸出に関する考え方を問う内容として読ませて頂きました。
コメント、、として
無理なく日本の防衛装備を対中国で組める相手国へ提供するには何が必要かという、
視点では興味深い内容です。日本独特のドクトリンのもとで随一の能力を持つ潜水艦隊を維持
するとしても、諸外国の潜水艦に求める能力は変わり始めており、より攻撃力を重視す
る方向に傾いています。防衛装備だけに限らず製造技術まで相手国へ提供することの是非
などは先を見据えた議論と意思決定が要る筈ですが、そこまで及んでいないように見えます。
インドは兵器輸入の際に、技術供与の要求が毎回かなり激しいと聞く。
尖端技術に乏しい事と、兵器輸入大国である事から、額の大きさからこの面では譲歩せよという気分が強いのだろうか。
US-2の輸出プロジェクトが中々進まないのも、技術供与の点で話がまとまらないのが大きな理由なのだろう。
ちなみにトルコがS-400輸入に邁進するのも、政治面の話がもちろん主因だが(クルド分離やクーデター未遂に米国の影)、
PAC-3の技術供与の面で、アメリカから期待する回答を得られなかった事も一因の様である
むしろこれで良かったんじゃね?
日本仕様 っと作者は言っているけど、
世界レベルで進出しないのなら、現地特化の兵器になるのは当たり前だし
本気で輸出を望むなら、現地仕様で作る必要が有るけど、無音航行特化→対地攻撃ハッチ付加だと実質再設計が必要だし
そうでもしないのなら、中途半端な物が出来るから、
合わないなら合わないで、撤退で良いと思う
無理に勝ちにこだわる必要もないと思う