Breaking Defenseはトランプ政権の不確実性を理由に「米国製システムは今後の選択肢においてデフォルトではなくなるだろう」と予想したが、カナダのブレア国防相も「F-35A以外の選択肢も検討している」「全てをF-35Aで更新する必要があるのかどうかだ」と発言した。
参考:Jagmeet Singh says NDP would cancel F-35 contract and build fighter jets in Canada
参考:Canada reconsidering F-35 purchase amid tensions with Washington, says minister
武器システムの主権回復は米国以外の国にとって至上命題になるかもしれない
米国のBreaking Defenseはトランプ政権の不確実性を理由に「米国製システムは今後の選択肢においてデフォルトではなくなるだろう」と予想し、F-35Aの潜在的な顧客と見なされてきたポルトガルでもPÚBLICOの取材に応じたヌーノ・メロ国防相が「世界は変わってしまった。我々の同盟国はあらゆるシナリオ下で戦闘機を運用するための要素(メンテナンス、スペアパーツ、アップグレードなど)に制限を課す可能性がある」と言及、トランプ政権の不確実性を考慮してF-35A導入を否定するものと受け取られている。

出典:Lockheed Martin Aeronautics
さらにカナダでもトランプ政権の態度(カナダ合併発言や関税問題)を理由にF-35A導入計画の中止を求める声が高まっており、カーニー政権のブレア国防相も14日「空軍の要求要件を満たすプラットフォームとしてF-35Aを選定したが、我々は他の選択肢も検討している。全てをF-35Aで更新する必要があるのかどうかだ」と述べ、国営放送のCBCは「既に16機分の購入資金を支払済で2026年に引き渡し予定だ。これをブレア国防相は受け入れるものの、残りのニーズ(72機)は選定結果で2位となったグリペンで満たすことを示唆した」と報じた。
野党関係者らも「現在の米国から戦闘機を購入することは安全保障上の利益ならない。カナダで戦闘機を製造する企業から購入すれば雇用創出だけでなく、自国で戦闘機を製造し、維持も管理も国内で完結できるという安全保障を確保できる」と述べ、これはグリペンをカナダ国内で生産することを意味している。

出典:Public Domain CF-18A/B
ポルトガルはF-35A導入契約に署名していないため将来の決定に自由度が確保されているものの、カナダはF-35A導入契約に署名しているため計画を一方的に中止すると違約金が発生する上、新たな戦闘機の取得は手続き的にも法的にも長い時間を要し、これをCF-18の寿命が尽きる前にクリアするのは非常に困難で、最も可能性が高いのはグリペンを直輸入することだけだろう。
今のところポルトガルやカナダの発言は「政治的駆け引き」と思われるものの、これに続くNATO加盟国(特にドイツ)が登場すると状況は深刻になり、武器システムの主権回復は米国以外の国にとって至上命題になるかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:SAAB
グリペンは、エンジンがアメリカ製ですが、F35は製造・アップグレードの進捗も怪しいですし、選択肢として興味深いですね。
アメリカ製の武器購入は、有事に米軍による援助を得られる効果も、想定されるわけですが。
NATOが、アメリカ脱退~解体という最悪の見通しを妄想しても、カナダ・ポルトガルが本国攻撃される事態を想定しにくいんですからね…
ポーランド・韓国・日本・イスラエルなどとは、国情が違うなと感じてしまいます。
追記です。
アメリカ=トルコが電話会談を行っており、トルコがF16・F35問題について秋波を送っています。
インドも、トランプ大統領を刺激しないように秋波を送っていて、カナダ・欧州との違いが鮮明ですね。
(2025年3月17日 米トルコ首脳が電話会談、ウクライナ・シリア問題を協議 ロイター)
(2025年3月17日 トランプ氏、2期目に「明確なロードマップ」を持つ=インド首相 ロイター)
性能落とす覚悟があれば
EJ200乗せられますしね。
EJ200のアップデートの予算通りやすくなったかも。
ロマンとして、いろいろ興味深いですよね。
カナダに用がなくても、米国を弾道ミサイル攻撃・爆撃とかするにはカナダを通らないといけないのでNORADを共同運用しているわけで。
サンタ追跡が、主任務にならなければよいのですが…
グリペンは航続距離が短い、ってずっと言われているけどカナダの国土的にそれは大丈夫なんだろうか…?
直輸入するにしても、スウェーデンもグリペンは余って無いのでは(世界が変わったんだし)
CF-18が現役なくらいだしF-35の後列にグリペンEなら十分な気もします。
生産はブラジルに手伝ってもらえば何とかなるのでは。
設計が新しくKF-21じゃ駄目ですかね?
黄色人種の機体だから選定外とか?
エンジンが直でアメリカ製なんで…
一応エンジンの国産化ねらって研究開発してるけど順調に行っても国産エンジン機が出るのは30年代後半のロードマップ…
グリペンでいいんじゃないの?カナダなら
せっかくだからアローIIどうか
仮想敵が米露で実戦はおそらくないでしょ
俺なら格好良さでラファールのF4かな
真面目にやるならSSBNで刺し違える
通常戦は諦めてコーストガードと治安維持用の小規模陸軍であとは解体、見栄張らずにニュージーランドやアイルランドの様に楽しよう
当面はグリペン、その先はGCAPって落としどころでは。まあF3ではなくテンペストでしょうが。
対米自立はともかく、「仮想敵」なんて言ったらメキシコのように轢かれるのがオチでしょう
トルコもタイフーン40機の取得に向けて動くみたいな話も聞くし、トランプの復讐に付き合わされるアメリカ企業は大変やね。
三菱重工の株が上がり続けてて怖い
> 三菱重工の株が上がり続けてて怖い
高所恐怖症になりますよね。
PER40倍とかほとんど新興IT株並みの扱いですよ。
更に他の出遅れてた防衛関連のマイナーな株も超絶爆上げしております。
さすがにバブルじゃないかこれ?
北極海を挟んでロシアと対峙している上、あれだけ広大な領空を持ってるのにグリペンで大丈夫なのか
ユーロファイターとかラファールみたいな双発戦闘機のほうが安心感ある。
カナダは前首相が超リベラルでSDGs, DEI,LGBTQに傾倒し予算をこれらに集中しすぎて経済を滅茶苦茶にしてしまいました。
カナダはおそろしいことに先進国で唯一中央銀行の金保有率が0というありえない異常事態になっています。ちなみに他の国はすべて金保有率を急速に上げているので世界的に金がおそろしく値上がっています。
その上貿易対米依存率が80%近いという国なのに関税戦争を受けて対抗するという気がおかしいとしかいえない状況です。
エコノミストの予想もカナダ経済の縮小と大きなリセッションを予想しています。ブルームバーグ経済記事(エコノミスト・トゥ・グエン氏署名記事)
トランプ政権は最低でも4年続きますしUSAIDがほぼ解体となって民主党の経済基盤が破壊されつつあるため次の大統領も少なくとも共和党から出ると言われていて下手すればバンスが大統領となりかねません。
ここでさらに米国と縁を切るとかカナダは本当に米国の属国化あるいは州になりかねないのではないではないでしょうか。
カナダは仰る通りで、感情的に反応しすぎたように感じます。
オンタリオ州の電力遮断・電力値上げは最悪級の悪手であり、エネルギー安全保障に関るため虎の尾を踏むリスクあると見ていました。
アメリカはシェールガスが余りまくってますから、出力アップ・ガス火力発電所建設さえすれば、永久に切り替えられるだけですし…
外貨準備のGold、日本も低いわけですが、カナダも米ドル依存なのに何考えてるんでしょうね?
とはいえ感情的に見えても民意に従うしかない状況もその逆もありますしねぇ…
100年先を見据えて貿易対米依存率を下げていく第一歩なのでは?
何故百年先を見据えて選ぶ機体が、もう十年も持たないであろうグリペンなのか…
第4世代機は先進国と直接ぶつかる国のハイ機としては微妙ですがそれ以外の用途ではまだまだ現役ですよ。
実際ラファールもF-16も普通に売れてます。
対峙する脅威と距離の割に機数にも隊員にも余裕のない我が国の事情は割と特殊ですので一般化しない方がいいかと。
カナダは北極挟んでロシアと対峙してるとはいえ日本と比べればかなり距離がありますからね。
日本みたいなガチガチの前線国ならともかくカナダとか南欧みたいなどっから誰が攻めてくるんだよみたいな国安いので十分やろ
トランプだけでなく、LMにも問題がある上で、F-35人気が冷めるのは確かに分かるが、結局それがGCAPへの初期投資ではなく、4.5世代の非ステルス機新規導入になるのが残念というか虚無というか。自力でステルス機作ろうと足掻いてるトルコや韓国のがマシに見える。
結局は30年代の世界を見据えた長期的な計画がある訳でもなく、28年までのトランプ任期を凌げれば良いと言う打算的な話でしかない。今から新規に購入したお高いグリペンは今後何十年使い回せる?30年代のステルス機に勝てる見込みある?場繋ぎなら旧式機のアップグレードなり、F-16Vなりでやりゃ良い話だし、それが出来ないのは政治家のプライドか?
まあ、カナダが第5世代戦闘機と戦うシナリオってなかなか思いつかないんですよね。
主たる任務は戦略爆撃機の迎撃でしょうし。
一応、多国籍軍への派遣もやっているので、派遣先でってこともあるかもしれませんが、そういう任務で敵国にステルス機が居る時代ってかなりの世紀末感。
そういや、チェックメイトは頓挫中ですが、中国はステルス機を輸出していただろうかと調べたら、FC-31をパキスタンがお買い上げしていました。
うん。まあインド、ガンバ!
まず第一にロシアとか中国相手に自分達はNATOとしても何の戦力にもならないことを証明するのは大丈夫じゃないでしょ?
>新たな戦闘機の取得は手続き的にも法的にも長い時間を要し、これをCF-18の寿命が尽きる前にクリアするのは非常に困難
って話なので。
日本とじてはF-35の価格が上がりゃなきゃいいねとか、またGCAPなんか止めて米国製品を買えとか言われないかぐらいの影響でしょうかねえ
NORADから抜ける訳にはいかないだろうし。
注文済みの16機だけ受け取って、他は別にしては?。
F-35AはNORAD配下で米空軍と共同運用にしておいて。
グリペンでも良いし、タイフーンでも良いし。
などと思います。
平和だ。
これ関連なのかははっきりしませんが、サーブ社の株価は先月から急騰して2倍になっていますね
ステルス機と違って気軽(?)に使えるワークホース的な機体も必要だから、グリペン導入に関しては良いんじゃないかな。採用した後にアレが載せられねえだの、航続距離が足らねえだの文句を垂れなければいいが。
ワークホースにしても今買うのか…
そもそも今の非ステルスは余りに高いし、個人的にワークホースとして気軽に使う代物をステルスと同じ値段で買いたくない。
欧州や米国の各企業のステルス機ラインナップが揃えば非ステルスも適正価格に落ちるだろうし、そこまでは既存機の延命で良いんじゃないかなと。