米国務省は16日、カナダに対して大規模なCF-18A/B用アップグレードパッケージ「Hornet Extension Program」の販売を承認した。
参考:Canada – Hornet Extension Program Related FMS Acquisitions
F/A-18E/F BlockⅡ並にアップグレードされるカナダ空軍のCF-18A/B
カナダ空軍は1982年~1988年に調達した戦闘機F/A-18A/Bの派生型「CF-18A/B」を使用中で運用期間は30年を越え、そろそろ後継機への移行準備に入るのが理想的なのだがカナダの次期戦闘機計画は長い間迷走を続けたため計画(今年7月に選定作業が始まる予定)が遅れており、カナダ空軍はCF-18A/Bを最大であと15年使用しなければならない。
そこでカナダはCF-18A/Bに対して新たなアップグレードを施して次期戦闘機と置き換えが完了する2035年まで能力を維持することにしたのが、今回米国が承認したCF-18A/B用のアップグレードパッケージだ。

出典:Public Domain CF-18A/B
パッケージに含まれているAN/APG-79(V)4は、F/A-18E/Fが搭載しているAN/APG-79の能力縮小版で米海軍がレガシーホーネットのレーダー換装用に採用しているものと同じだ。このレーダーの優れている点はレガシーホーネットの機首部分にそのまま収めることが出来るため換装作業が比較的簡単で低価格であることが挙げられる。さらにフル機能版のAN/APG-79と同じAESA式なのでCF-18A/Bが装備しているAN/APG-73よりも目標をより遠く、より早く、より正確に捕捉して追尾することができる。
そしてカナダ空軍にとって念願のオフボアサイト攻撃能力を備えた短距離空対空ミサイルAIM-9X BlockⅡの統合と弾薬の購入だ。

出典:Public Domain 短距離空対空ミサイルAIM-9X
カナダ空軍のCF-18A/Bにはいち早く戦闘機用のヘッドマウントディスプレイ「JHMCS」を統合してあるのだが、肝心のAIM-9Xがなく比較的旧式のAIM-9L/Mしか持っていなかったためJHMCSの能力を活かしきれていなかった問題が解消することになる。
この他にも自動地面衝突回避システム(Auto-GCAS)の統合や地中貫通弾タイプのAGM-154C購入などが含まれており、このアップグレードを受けたCF-18A/Bは現行のF/A-18E/F BlockⅡに近い能力を獲得することになるのだが、2個飛行隊分しか調達が予定されていないためカナダ空軍が運用する全てのCF-18A/Bがアップグレードを受けるわけではない。
補足:カナダは単座のCF-18Aを98機、複座のCF-18Bを40機調達したが事故で18機を失い、レガシーホーネットの生産が終了しているため保守部品の調達が難しいため80機程度しか実際に稼働していない。恐らく残りは部品取りのため保管状態にあると思われる。ただCF-18A/Bの運用に必要な保守部品の枯渇は予想上で、これ以上の稼働機減少を避けるためカナダはオーストラリア空軍が退役させるF/A-18A/Bを部品取りの名目で23機取得する予定だ。
因みに今回のCF-18A/Bアップグレードパッケージにかかる費用は最大8億6,230万ドル(約930億円)で、2個飛行隊分36機で割ると1機あたりの費用は約26億円になる。これが安価なのか高価なのかは意見が分かれると思うが、カナダ空軍の次期戦闘機選定は企業からの提案書提出が遅れ4ヶ月ほどスケジュールが遅延しており先行きが不透明なのでCF-18A/Bはまだまだ退役するわけには行かない。
果たして7月末に再設定された提案書の提出期限は、今度こそ遵守されるのか注目される。
関連記事:カナダ、新型コロナの影響で戦闘機CF-18A/B後継機選定の延期を決定
※アイキャッチ画像の出典:Patcard / CC BY 3.0 CF-18A/B
F-35プログラムに参加してんのに導入しなかったらそっちのほうがおどろきだわ。
事故で18機喪失ってなんか多くね?そんなもん?
レガシーホーネットを後15年使うんだ…
空自もF-15をあとそれくらい使いそうですけどね。
F15もF18も良い戦闘機ですよね。
レガホと同時期のSJはそんなに引っ張れないかと。
アップグレードほ良いけど、機体がよく保つね。
艦載機を陸上使用だからかな?
保守部品が無いのが驚き。
ボーイングは、仕事していないのか?
経緯は
保守党がF-35Aを選定、 <–これにイチャモン 公正な選定ではない、F-35A購入ありきの選定と
その後、自由党が政権を握る ジャスティン・トルドー首相が正式にキャンセル。
FA-18E/F購入の話もあったが、こっちはボーイングが拒否
理由はデルタ工区がボンバルディア/CS-100の購入を決めた事案はカナダ政府の違法な補助金の結果と提訴
あのアホのトルドー首相は提訴を取り下げない限りFA-18E/Fは購入しないと宣言、ボーイングはじゃあ売らないと宣言(金額が違うからね)
このCF-18A/Bのアップグレードはこれからも揉めるでしょうね
訂正 デルタ航空(アメリカ)
>おそらく残りは部品取りのため保管状態にあると思われる。
っていうことをよく聞きますが具体的にどこら辺の部品をさすのでしょうか。
カナダクラスの国でしたら内製化できそうですが。
(あくまでも素人考えです)
>カナダクラスの国でしたら内製化できそうですが。
無理では? カナダにはそんな実力のある兵器企業は無いですね。
カナダ空軍がFA-18A/Bを保管できているのかは疑問ですね。
FA-18E/Fの購入がダメになった2017年にはオーストラリア空軍のFA-18A/Bを購入ってニュースが出てました。(なお、これは無くなった模様)
オーストラリア空軍のFA-18A/B(最大では約半分の46機)の購入契約をアメリカのAir USA(アグレッサー部隊契約をアメリカ空軍と結んでる)と締結、残りは26機?
Australia To Sell Retired F/A-18 Hornet Fighters To Private Aggressor Firm Air USA
March 4, 2020
リンク
「開発遅延により予定より高騰して納入が遅延する可能性が高いF35はキャンセルする。」←まあ、わかる。
「F35のかわりに、開発が完了していて実戦経験もあり価格や納入時期が安定しているスパホを導入する。」←わかる。
「ボーイングがボンバルディアを提訴したからスパホをキャンセルする。代替機の目途はない。」←代替機の目途もないのキャンセルとか馬鹿かな?
「代替機の導入が遅れるから4世代機のレガホをアップグレードする。」←素直にスパホを導入してればアップグレードの手間も生産終了した部品をかき集める手間も要らずにすんだのに、バカなの?
理屈で考えればカナダのやってる事は馬鹿な事だけど、メンツがかかってる事だからな。言うのは易しいが、実際一国が一つの企業に袖にされる訳にもいかないからスパホは諦めたんだろ
まぁ、それでメンツが保たれても戦力は保てなくなりそうだけど
しかも結局ボーイングに金払うのは変わらん、と言う…
これボーイングに発注するんですか? 違うように読めるんだけど、おいら英語力無いから間違ってたらごめん。
仕事で購買もしますが、NG先の商品を第3社を迂回して購入するのは良くやります、そういうことでは?(組織の面子が立てばヨシ)
主要な請負業者として
> The Boeing Company, St. Louis, MO;
が3番目に入ってますよ?
そうなんですが、FMSだから米国防総省が発注先で、ボーイングやレイセオンは米国防総省の請け負い先になるんじゃないんですか? つまり契約書類上はカナダとボーイングは無関係かなって読んだんですが違いますかね
失笑の一言。
FMS契約でxxxに発注されたって報道される
本当に発注されたら当然ボーイングは嫌がらせができる、FMSでの納期遅延、金額アップは日常茶飯事