北米/南米関連

運用限界に達したコンドルAWACS更新用、チリ空軍が英国から中古E-3Dを3機取得

チリ空軍は英空軍から退役した早期警戒管制機E-3D(セントリー AEW.1)を3機取得したと報じられており、現在運用中のコンドルAWACSをE-3Dで更新するらしい。

参考:Chile buys three Boeing E-3D Sentry aircraft from UK

契約金額が明かされていないため高いの安いのかは何とも言えないが、果たしてチリ空軍はE-3Dを何年運用することが出来るだろうか?

チリ空軍はイスラエルで改造されたコンドルAWACSを運用中だがベース機は1950年代に開発されたボーイング707のデモンストレーターとテストベッドとして使用された機体で、1969年にLAN・チリ航空に売却され21年間の商業運行に従事したのち1990年にチリ空軍が同機を取得してAWACSに改造、以降32年間も運用を続けてきたが流石に機体の耐久性が限界に達しているため早急に後継機を用意する必要性に迫られていた。

出典:Hippocamelus / CC BY-SA 3.0

そのため英空軍からE-3Dが退役すると直ぐに協議を開始、直ぐに売却交渉がまとまりチリ空軍の乗組員やエンジニアを英国に派遣してトレーニングを受けている最中だと英国のジェーンズは報じており、今年中に訓練を終えてチリにE-3D(内1機はスペアパーツ取りとしての目的で取得したため実際に運用するのは2機だけ)を持ち帰るらしい。

因みにE-3もベース機はボーイング707で、2019年に民間航空会社での運用が終了して同機のサプライチェーンは撤退するか737などの他機に転身を図ったため全く残っておらず、米空軍も運用・維持コストが嵩むE-8C/Joint STARSの早期退役を開始、来年9月までに承認された4機のE-8Cを退役させ余剰人員となる同機のパイロットやオペレータの配置転換を進めると発表してしており、E-3についても予定になった後継機調達が昨年正式に動き出している。

出典:Public Domain E-3のコマンド&通信コンソール

チリ空軍は恐らく調達資金や時間的な問題から英空軍のE-3Dに飛びついたのかもしれないが、同機を運用・維持していくための環境は悪化の一途とを辿っており、英空軍のE-3Dも30年以上飛行しているため残された寿命はそこまで多くないだろう。

契約金額が明かされていないため高いの安いのかは何とも言えないが、果たしてチリ空軍はE-3Dをあと何年運用することが出来るだろうか?

余談だが退役したはずのE-3D(恐らくチリ空軍の訓練?)は今月18日、ニューカッスル上空を飛行中にサブシステムがダウンして緊急事態を宣言、北海上空で燃料を投棄した後にワディントン空軍基地へ向かったらしい。

関連記事:英空軍の早期警戒管制機「E-3D」運用が終了、後継機E-7Aの運用開始は2023年予定
関連記事:米空軍がE-8C/Joint STARSの早期退役を開始、来年9月まで議会が認めた4機を処分

お知らせ:国際的な安全保障環境の悪化で取り上げたい話題を全てカバーしきれないため、記事化に追いつかない話題のTwitter発信を再開しました。興味のある方は@grandfleet_infoでチェックをお願いします。

※アイキャッチ画像の出典:出典:Royal Air Force / OGL v1.0

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コメント

    • 無無
    • 2022年 1月 21日

    近未来にはこの分野も安めの無人機に代わると見越して、そこまでのつなぎでしょう、
    しかもイギリスとしては、フォークランドを巡り剣呑なアルゼンチンへの当てつけでもあろうし

    6
    • そら
    • 2022年 1月 21日

    チリって外交的にはどんなとこだっけか?
    ブラジルとかと仲悪いのかな?
    早期警戒機が必要なイメージなかった。

    4
      • 名無し
      • 2022年 1月 21日

      そのあたりはWikiでも一読を、外交・政治的には中道国って感じ
      この国の国防上の問題はなんと言ってもその特異な国土形状で、グーグル地図さんを
      見れば一目瞭然、南米の側面に張り付いた一本糞って感じで、これほど守り難い国は
      なかろうってぐらい、よくまあこの形状で一つの国として独立出来たもんだと思う
      アルゼンチンには絶対、太平洋を拝ませないな国でもある
      国土に縦深が無く警戒線の長さは半端ないので早期警戒機は必須だろうって思うが
      この国の地勢では今なら無人機の方が向いていると思うけど、それまでの繋ぎ導入
      ではないかと思う。

      11
    • Goodman80
    • 2022年 1月 21日

    日本のE-767の中身は時代遅れのE-3Bなんだが、空自は更新の検討すら行っていない。空自って何にも考えていない、この国大丈夫か?米国はE-8すら退役の機体が出てるのに。

    1
      • samo
      • 2022年 1月 21日

      E-767はまだ生産中のB767ベースだから、部品調達にはまだ困らない
      電子機器については更新したばかりだし、
      米軍のE-3も更新したばかりで、これもいきなり全てなくなるわけじゃない
      そもそもE-3の問題は、B707の生産が途絶えてから長らく立ったが故の、B707のパーツ不足に原因があるものだから
      電子機器のパーツ不足の問題が起こりえるのはまだ先

      ただし、米軍からの退役がほぼ決まった状態なので、更新含めたサポートは早晩停止、AWACSの戦略見直しは迫られ、
      早期の陳腐化は避けられない情勢なので、今後10~20年内に置き換えは必要
      それまでは、E-2Dの導入で時間を稼ぎつつという流れになる
      ちなみに、置き換えはについては、AWACSと言う機種に対する戦術の見直しも含まれるので、ただ機体を置き換えるというやり方は駄目だということを付け加えておく

      32
      • はやぶさ
      • 2022年 1月 21日

      E-767の能力向上改修はこれまで継続してやっているはずだけど、更新の検討もしてないって何の話?

      21
      • くらうん
      • 2022年 1月 21日

      E-767に関しては自衛隊にしては珍しく逐次改修がされてきたし、管制能力に関しては全同種機の中でもトップクラス。
      原型機のサプライチェーンも当面は安泰。
      能力的にベストとまでは言えないかもしれないけど、E-2Dとのハイローでまだ空自戦力の中では実戦に耐えうる装備なのでは。
      あと長距離AAMの登場で民間機ベースAWACSの存在自体が岐路に立っている時だから、性急に後継機買うより専用機化やセンサーとコマンダーの分離化とか今後の方向性を模索する方が今はいいかも。

      31
      • 7C
      • 2022年 1月 21日

      E-767の機材は細かくアップデートされてるしつい最近ミッションコンピューターから何から機材を最新のものに刷新したばかりだよ

      E-3がネックになってるのはレーダーそのものの性能よりB707由来の機体の部品の方がきつくなってる事が主要因みたいだし、E-8に至っては戦場監視機というE-3とは全く異なるカテゴリの任務の機体で今後の戦場での活躍の見込みが薄いし維持費用が厳しいから退役してるという話では?
      なのでE-8すらではなくE-8「だから」速やかに退役してるのでしょう。E-3以上に使える戦場がもうないであろう機材だし

      そして更新の検討っていっても仮想敵のロングレンジAAMがどんどん高性能化してる中で早期警戒機は今後も使えるのか?って疑問が出て来てる情勢で何に更新すればいいのって疑問もあるよ
      米軍だって当面は老朽化が深刻なE-3の代わりにE-7を間に合わせで入れる位しか話は出てないし次世代の早期警戒システムはまだ検証の段階でテストすらしてないのでは?

      なのでこの状況でE-767を更新するメリットはあんまりないでしょう
      というかE-2Dも揃えててE-767も中身を丸っと最新の機材にアップグレードしてる状況でこれ以上何を更新する必要があるの?って思う
      現行保有してるE-767の飛行寿命が来た段階で次世代の早期警戒システムに乗り換えた方がはっきり言って将来の展望もあるのでは?

      21
    • 戦略眼
    • 2022年 1月 21日

    何時も思うが、B-52が維持出来るなら707系列の維持もできそうなんだが。

    2
      • 無無
      • 2022年 1月 21日

      もともとの製造ラインの規模が違うせいではないかな。民間機のラインは爆撃機のそれよりも大きいから、いったん需要が小さくなると設備の維持費が大きな負担になる。エアバスの2階建て巨人機が早々と打ち切りになったのはそれだろう
      最近にロシアがTu160の再生産を始めてるので驚いたんだが、数十機でも始めから細々と手作り感覚なら維持できるのかなと
      中国もバジャーの生産を改造しつつ細々と続けてるし

      16
    • もり
    • 2022年 1月 21日

    日本、アメリカ、中国、ロシア、インド、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、韓国の様な世界軍事BIGゲームプレイヤー以外の国々のニュースって面白いよね

    中国に比べて日本はー!とか
    アメリカに比べてイギリスはー!とか
    ロシアに比べてドイツはー!みたいな規模や感覚が染み付いてると中小国の軍事事情は物凄くギャッブを感じて楽しい

    9
      • ブルーピーコック
      • 2022年 1月 21日

      中小国の独自生産兵器とか、数が多くて把握しにくいものの、その国の事情が見えたり、意外に良い性能してて面白いですよね。

      9
    • ブルーピーコック
    • 2022年 1月 21日

    同じイスラエルのIAIのG550 CAEWじゃダメだったんだろうか。予算と時間の兼ね合いの結果なのか。銅の価格が上がってチリ経済も上向いてるかなと思ってたんですが、左派政権誕生で先行き不透明と。うーむ。

    無人機が全てを解決するにはまだまだ発展途上ですし、アメリカのRQ-170センチネルのようにハッキングされてしまう恐れもあるので、まだ完全には無人機任せに出来ないんでしょうけども、さすがにこれは機体年齢が高すぎるのでは

    2
      • 匿名
      • 2022年 1月 21日

      予算的、技術的に出来るんならE-767にした方が無難じゃあないですかね?
      空自の767の改装がボーイングにあるだろうし。
      レーダーの移植さえ出来るんなら

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