北米/南米関連

エンブラエル、中東地域に対するC-390のマーケティングでBAEと協力

18日に開幕したファンボロー航空ショーでエンブラエルとBAEは「C-390のマーケティングで協力することに合意した」と発表して注目を集めている。

参考:Farnborough 2022: Embraer, BAE Systems sign teaming MOU

中東地域に対するC-390のマーケティングに協力する見返りとしてBAEはEveの軍用モデル開発を受注

アフガニスタン撤退やウクライナ侵攻を受けて約1,500機前後と推定される中型軍用輸送機=C-130Hの更新需要が活発化、ブラジルのエンブラエルは「ロシア軍によるウクライナ侵攻で大規模な武器や物資の輸送が始まりC-390への関心が高まってる」と明かしていたが、オランダ空軍がC-130Hの後継機に有力視されていたC-130JではなくC-390を選択したため「同機に対する関心の高まり」を裏付ける格好になった。

出典:Public Domain C-130J

さらに今年5月に開催したEBACE2022でエンブラエルは「C-390のマーケティングを拡大するのに不可欠な戦略パートナーと協議中だ」と明かしていたが、18日に開幕したファンボロー航空ショーでエンブラエルとBAEは「C-390のマーケティングで協力することに合意した」と発表して注目を集めている。

中東地域に対するC-390のマーケティングに協力する見返りとしてBAEは「エンブラエルから垂直離着陸機『Eve(2021年時点で17社から1,700機以上の受注を獲得した商業用eVTOL)』の軍用モデル開発を受注する」と明かしており、オランダ空軍が「平均稼働率、運用性、メンテナンス性、技術要件の全てでC-130Jを上回った」と評価するC-390のセールスは今後大きな飛躍を遂げるかもしれない。

因みにエンブラエルは「国産輸送機の開発に取り組む韓国航空宇宙産業(KAI)はアジア地域で最も重要な航空産業企業だ、同社は海外市場で自社製品の積極的なマーケティングを展開している」とEBACE2022で述べているため、東南アジア諸国に対するC-390のマーケティングを強化するためエンブラエルはKAIとの協力関係を模索している可能性が高い。

関連記事:エンブラエルのC-390、宿敵C-130Jを破りオランダ空軍採用を決める
関連記事:ウクライナ侵攻の影響で輸送機需要が活性化、C-390への関心が高まる

 

※アイキャッチ画像の出典:Embraer KC-390

どんどん増えていくHIMARS、まもなくウクライナへの追加提供を米国が発表前のページ

ドイツ、T-72を250輌提供したポーランドへ提供する戦車の数は20輌か次のページ

関連記事

  1. 北米/南米関連

    最終金額で躓いたフランス、コロンビアから自走砲を受注したのはイスラエル

    コロンビア陸軍の自走砲調達は仏製のCaesarで確定していると見られて…

  2. 北米/南米関連

    コロンビアがクフィル後継機調達計画を再開、ラファールが有力候補に浮上

    グスタボ・ペトロ大統領は22日「行き詰まっていたクフィル後継機調達計画…

  3. 北米/南米関連

    運用限界に達したコンドルAWACS更新用、チリ空軍が英国から中古E-3Dを3機取得

    チリ空軍は英空軍から退役した早期警戒管制機E-3D(セントリー AEW…

  4. 北米/南米関連

    ブラジルが空母「サン・パウロ」を約2億円で売りに出す、勿論スクラップとして

    ブラジル国防省は11日、空母「サン・パウロ」を最低入札価格127万ドル…

  5. 北米/南米関連

    ブラジル陸軍が調達予定の装輪自走榴弾砲、フランスのカエサルとイスラエルのATMOSが競合

    ブラジル陸軍はトラックタイプの自走榴弾砲を新たに36輌調達する予定で、…

  6. 北米/南米関連

    カナダがレオパルト2の追加提供を発表、ウクライナ向けA4戦車大隊は定数を確保

    カナダのトルドー首相はウクライナ侵攻の節目にあたる2月24日「レオパル…

コメント

    • マル
    • 2022年 7月 20日

    空自のC-130の後継に良さそうだけどなぁ、米帝と関係ズブズブな以上結局C-130J買うしかないのかなぁ…

    6
      • hogehoge
      • 2022年 7月 20日

      海自のC130R後継ならアリでしょうけど、
      空自の場合はC2持ってるので、C130H後継は未舗装滑走路や多用途で使えるC130Jの方がいいと思いますよ。

      まぁ個人的には今後の対艦攻撃に輸送機投下型のスウォーム攻撃が発展すると思っているので、
      C130R後継もC390よりは、より大型で自動投下機能もあるC2の方を推しているんですが。

      8
        • 戦略眼
        • 2022年 7月 20日

        財務省的にも機種を増やしたがらないので、C-130Jでしょうね。

        5
      • けい2020
      • 2022年 7月 21日

      そんな陰謀論とは別に、C-390は良い輸送機だけど整備体制は完全に別になるから難しいぞ

      それにC-390は、C-2と高速巡航できる同系統で、一回り規模が小さいので
      整備体制も含めてC-2で良いってなる

      5
    • あばばばば
    • 2022年 7月 20日

    C-130Jも登場から20年が経過し陳腐化しているし、エンブラエルC-390の導入はあり得ると思うが、川崎C-2の調達が終わらない限り、次の輸送機の話に移らないと思う。
    しかしそれも遠くない未来。C-2の調達は22機で終了することになっており、現在の調達数は17機。(今年の発注はない)。
    そして、油圧部品製造メーカーが撤退したので、代替メーカーが決まらない限り次の発注もない。物価高騰も相まって、ワンチャン22機前に調達終了もあり得ると思っている。

    C-390の価格がC-130Jよりも安いらしいが、財務省がロッキードの回し者くさいしどうなるか……

    3
      • きっど
      • 2022年 7月 20日

      今年度の防衛予算請求は天井無しという事ですし、ウクライナ支援で酷使されているC-2の需要は高まるばかりでしょうから、カビ臭い22機調達の縛りなんてどっかいきそうですがね
      当初予定の40機や、それ以上すら普通に有り得るかと

      11
        • あばばばば
        • 2022年 7月 20日

        陸海空合わせて予算二倍であるし、高騰する価格を倍増予算で吸収して現状維持がやっとでは?
        US-2の部品製造メーカー撤退も考えると、注文が倍増かしようがメーカー側の利益が薄すぎて、さらなる増産の決定は厳しいのではないだろうか。
        今はもうMHIの航空機部門ですら撤退している様相だし、特に航空機部門は民間航空機需要が低迷している以上、防衛産業だけではやっていけないだろう。
        やるべき事は、利益率を高める事と、複数年度にわたる装備調達の際に、部品であるエンジン等の複数年度分一括調達を認める事の見直しではないだろうか。

        4
          • 戦略眼
          • 2022年 7月 20日

          U-2の貨物機化は、出来ないのかな。
          晴空の様にとは、言わんが。
          滑走路不要で、島嶼輸送にはもってこいなのだが。

            • 戦略眼
            • 2022年 7月 20日

            US-2の貨物機化ですね。
            失敬しました。

            • 南極1号
            • 2022年 7月 20日

            U-2の貨物機化・・
            どこに荷物を積むんじゃ⁉️ 
            強いて言えば、両翼のポッド❓

            4
            • ナイトアウル
            • 2022年 7月 21日

             自分の認識だと晴空は人員輸送に特化した物で、それならばUS-2で快適に人員輸送コンセプトがあったので作れない事はないと思う。二式大艇の魚雷みたいな重量物は翼下への搭載で胴体外形を大きく変えるような改造はしていないはず。

             あなたはどのような物を輸送すると考えて分からない分からない、今も昔も後部ドアから入れられるサイズを積めるだけ積むのが精一杯でしかない。US-2だって軽い物なら機内にギチギチに詰めて航空機輸送パレットに使われているような固定用のネット?でズレないようにして運ぶ。
             流石にMANPADSとかのミサイルとかの重量物とかだと安定する積み方する必要あるからそこまで効率よくは収納出来ないがそれは仕方ない事。

              • aaa
              • 2022年 7月 21日

              US-2の胴体の幅は狭く、大型の貨物は載せられそうもない
              140億円するのに基本運べるのは人員だけというのでは魅力的ではないね
              特殊部隊輸送機としてなら使えるという声もあるが、夜間着水できない特殊部隊輸送機なんて誰も買わないだろう

              3
          • 名無し三等兵
          • 2022年 7月 20日

          予算2倍はまだ早計です
          財源の見込みが立たない以上は絵に描いた餅ですよ

          2
    • 無印
    • 2022年 7月 20日

    こうやって少しずつC-130のシェアが食われて行くのかな
    アメリカはfuture combat systemなんて無茶な計画進めるより、新型の輸送機を開発すべきだった
    VTOLとかステルスとか無い「普通の」輸送機を

      • 匿名
      • 2022年 7月 20日

      そうですね。
      しかしアメリカ軍は「今までの常識を超えた全く新しい概念の装備」を開発して「世界を驚かせて尊敬を集める」ことで「優越感に浸りたい」と思っているのです。
      だからアメリカ軍に「普通の航空機」を求めても無駄なのですよ。

      2
      • 南極1号
      • 2022年 7月 20日

      C-130の主翼を再設計してターボファン双発・・っていう案はないのかな?
      ないか。

    • みくす
    • 2022年 7月 20日

    エンブラルとボンバルディアいつもごっちゃになる。
    そしてMRJ(笑)のどさくさで急にボンバルディア高額買収したその後、どうなったのだろうか。

    4
    • もり
    • 2022年 7月 20日

    日本は技術はあれどこういう所で失敗してんのよね
    いいモノを作れば売れる、ってのは競合が一切居ないレベルでないと成立しない訳で
    それこそF-35ABCを日本単独で純国産単独開発しました!レベルのすげー物な

    まぁ現実的に不可能なので柔軟に行こうぜ?

    4
    • 58式素人
    • 2022年 7月 20日

    レスに出ていたUS-2ですが、波高3.0m未満の海上(シーステート4?)で離着水できるそうですが。
    日本の航空業界が暇ならば、昔の止めたプロジェクトで有望なものを復活したらと妄想しています。
    例えば、WIG(地面効果翼機)など。船と飛行艇の合いの子で、大きな輸送量が見込めます。
    ソ連で作っていた”カスピ海の怪物” もその一種類です。航空機のエンジンを使用して、
    100tくらいの荷物を積んで、海上10mくらいを時速100km/hくらいで航行するものです。
    他には、ホーカーシドレー(現BAE)が作りかけたP.1154 というV/STOLの軽戦闘機など。
    ハリアーの後継機で、M2.0を出す予定の機体でした(はエンジンから開発が必要ですが)。
    いずれも止めたのがもったいないと思えるプロジェクトでした。
    他所と同じことをしていても、潰し合い(現にそうなっています)をするだけですから。

    1
      • 全てF-35B
      • 2022年 7月 20日

      WIGは静水域でないと無理だし、V/STOL戦闘機はF-35Bがある。
      やるとしたら、US-2の貨物機化くらいかな。

      1
      • 2022年 7月 20日

      > 波高3.0m未満の海上(シーステート4?)で離着水できるそうですが。

      冬の日本周辺なら3mの波なんて平常値ですよ
      それで大量遭難が発生してる訳ではない
      US-2の着水の映像を見ればすぐ分かりますが、あんなに機体に無理がかかるアプローチでは船より高い波に耐えることは不可能です。
      まあヤマハの船外機を付けてる様な小型漁船よりはマシですが、あれは外海に出る船ではない

      • 58式素人
      • 2022年 7月 20日

      素人なりに少し言います(あくまで素人なのでご容赦)。
      WIGの航行する高度は、翼の全幅の1/2だそうです。
      ですから、全幅30mならば、巡航時の高度は翼下15mになります。
      離着水は静水域でないとまずいと想像できますが、
      巡航中はあまり気にしなくても良いのではと思います。
      波の高さ15mとは非常に荒れている状態ですから、普通の船でも避けるでしょう。
      飛行機よりはずっと燃費が良いそうなので、研究の価値はあるかと。
      F35BはF4ファントムより重いので、もっと軽い方が勝手が良いかと。
      P.1154は最大離陸重量が、F35Bの空虚重量とほぼ同じです。

        • 3
        • 2022年 7月 21日

        > WIGの航行する高度は、翼の全幅の1/2だそうです。

        もっと低いと思います
        それなら旧ソ連のカスピ海の怪物の最大のやつは全幅が40m以上あるので高度20mを飛行するはずですが、残っている写真や映像では実際の高度はそれより遥かに低い様に見えます

          • 58式素人
          • 2022年 7月 21日

          ご教授ありがとうございます。
          素人も、もう少し知識と資料を増やしてみます。

    • 匿名
    • 2022年 7月 20日

    XF2Y-1 シーダートェ…😫(有望でもなんでもない)

    • 名無し三等兵
    • 2022年 7月 21日

    国際市場への売り込みは、これからは1国1社単独の売り込みじゃなくて
    海外メーカーとパートナーシップ結んで国際共同が主流かな
    日本も政治的なゴタゴタが無ければ韓国と組めれば良かったんだけど

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  2. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  3. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  4. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  5. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
PAGE TOP