コロンビアのペトロ大統領は4月「次期戦闘機としてグリペン導入に関する意向書に署名した」と発表、優先交渉権を獲得したSaabも15日「コロンビア政府と契約を締結した」「受注総額は31億ユーロ=約5,500億円」「2032年までに17機(単座15機と複座2機)を納入する」と発表した。
参考:Saab signs contract for Gripen E/F with Colombia
SaabはF-16Vとラファールを破る勝利を確定させ、31億ユーロの契約を獲得した
コロンビアは緊張が高まるベネズエラとの関係を懸念して空軍の近代化=クフィルC10/C12の後継機選定に取り組んでおり、Lockheed MartinはF-16Vを、Airbus(窓口はスペイン)はトランシェ1のリース(当初はトランシェ3を提案)を、Saabはブラジルでライセンス生産されているグリペンEを、Israel Aerospace IndustriesはクフィルC10/C12のエンジン換装(J-79→F-414)を含むアップグレードを提案し、この中でもっと費用が安価だったのはクフィルのアップグレードだったと報じられている。

出典:Public domain コロンビア空軍のクフィル
政府や空軍は対米関係を重視してF-16V導入(約14機)交渉を水面下で進めていたものの、国民が実質的な増税=税制改革に反対してカラスキジャ財務相が辞任、それでも怒りが収まらない国民はドゥケ大統領の辞任を要求し、後任のマヌエル財務相は「不要な出費」と批判を集めていたクフィル後継機調達計画への資金供給を「行わない」と表明したためF-16V導入計画は頓挫してしまうが、新しく大統領に就任したペトロ大統領は2022年12月「クフィル後継機調達計画を進める」と発表した。
ペトロ大統領は「現在検討されているオファーはF-16V、グリペンE、ラファールの3つ」「空軍が希望するF-16Vには米国による制限(詳しい内容は不明だが同機が使用するミサイル入手に関するものらしい)が懸念事項として浮上」「最も安価な選択肢であるグリペンEは他の候補よりも性能が劣るという点と支払い条件(猶予期間と支払い期間がタイト)が最も厳しい」「フランスが提案してきた融資条件=20年間の分割+支払い開始まで5年の猶予期間付きが最も有利」と説明。
El proceso de renovación de la flota de superioridad aérea es un asunto de soberanía nacional, lucha contra el crimen organizado e interdicción aérea. ¡Ojo, infórmate bien y no caigas en noticias falsas!👀
🧵 (1/11) pic.twitter.com/SMm2A9Zxbe
— Presidencia Colombia 🇨🇴 (@infopresidencia) December 22, 2022
それでも優先交渉者に選ばれたのはラファールではなくグリペンEで、今度は現地メディアが「米国はコロンビアへのF414再輸出を認めないだろう」と報じたものの、Saabは「戦闘機調達は事実と異なる噂に直面することがある」「我々はコロンビアにグリペンEを提案するのに必要なライセンスを全て取得済みだ」と述べて現地メディアの報道を否定、ペトロ大統領も「コロンビアとスウェーデンはグリペン導入に関する意向書に署名した」「我々が取得するのは最新技術が搭載され、ブラジルに配備されているものと同じグリペンだ」と発表。
スウェーデンのジョンソン国防相も「ペトロ大統領がグリペンを選択したと発表したことは本当に喜ばしい。我々はコロンビアにとって長年のパートナーであり、グリペンを選択したことは戦闘機分野でも戦略的な協力が可能になったことを意味する」と述べたものの「契約に向けた交渉はこれからだ」と付け加えていたが、Saabは15日「コロンビア政府とグリペンE/Fの契約を締結した」「受注総額は31億ユーロ」「2026年から2032年までに17機(単座15機と複座2機)を納入する」「この契約には武器、訓練、各種サービスが含まれる」と発表し、SaabはF-16Vとラファールを破る勝利を確定させた格好だ。
Después de la carta de intención firmada por el gobierno del Reino de Suecia, y de aprobar la defensa aérea estratégica del país como proyecto priorizado informo:
Los flota de aviones que se adquirirá, es completamente nueva, ultima tecnología, ya implementada en Brasil, y son…
— Gustavo Petro (@petrogustavo) April 2, 2025
因みにペトロ大統領は「Saabとの契約にはオフセットとして太陽光パネル生産工場や水道建設、医療機関のインフラ整備などの商業的な相殺義務が含まれる」と言及していたが、Saabとコロンビア政府は戦闘機契約と同時にオフセット契約も締結し、Saabは「この包括的な産業パッケージには航空、サイバーセキュリティ、医療、再生エネルギー、浄水技術などの分野でコロンビアに利益をもたらす」と説明している。
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※アイキャッチ画像の出典:Saab





















グリペン凄いですね。
コロンビア=ブラジルが、良好な外交関係なわけですから、それも後押しする要因になったのかもしれませんね。
なんだか抱き合わせ商法が功を奏したように見えるが、今回のコロンビア相手ではコレが正解だったのだろう
一番びびるのは、クフィールのエンジン載せ替えだったりする件
コロンビアのクフィル、
開発国より使い倒されてません?
ラファール派ですけどグリペンは良かったですね
自分も、えぇ?(困惑) ってなりましたけど、コロンビアの安保環境考えると、ブラジルと敵対しなきゃF414搭載クフィルでも充分かなぁ、とは思いましたね。
ゲリラ相手は勿論、まともな稼働機が少数のベネズエラ然りで。
そもそもクフィルがミラージュ5のコピー機体+F-4のJ79エンジンという組み合わせなので、そこで「さらにF414に載せ替えるか」というのも驚きですよね。
ターボジェットエンジンをターボファンエンジンに載せ替えるケースはシンガポールのA-4でもありましたが、あれもF404のアフターバーナーなしモデルだったので。縁を感じてしまいます。
個人的にはクフィル改造タイプが見たかった
どの程度強化されるのか、電子機器など現在の厳しい戦闘に耐えられるのかとか
…無理だろうなぁ(汗
正直言って発電量以外はすでに近代化されているあたりあんまり性能あがらないのでは?
一番安上がりだろうけど
一応EL/M-2052への換装の余地はあると思うんですが、提案されてないとこ見ると競争力のあるコスパを実現できないんですかね。
インドでF414を現地生産する合意を平気でちゃぶ台返しした辺り、エンジン周りのリスクは常に付きまとうと思うんですよね…
>「フランスが提案してきた融資条件=20年間の分割+支払い開始まで5年の猶予期間付きが最も有利」と説明。
スウェーデンの提案では何年分割での支払いなのかわからないですが、ぱっと見金額が大きくとも10年、20年分割だと年間あたりでしょっぱい金額にしかならないですね…
隣国のペルーがF-35よりも高い値段でF-16Ⅴの契約を結び海外サイトで話題となっていましたが、ブラジル製造のグリペンE/Fは運用面で見れば良い契約だと思います。
麻薬取り締まりでトランプ大統領に因縁付けられ財政支援停止と制裁されましたし、現政権下では米国製高額兵器購入リスクは大きいですし。
しかしクフィールのエンジン換装型とは中々刺激的な機体でぜひ試作品を見てみたいものですね。
以前管理人さんも記事で紹介してましまが、ブラジルはグリペンの生産工場を整えてたりするので立地的にも有利な面もありますね。
ラファールは駄目だったか
融資含めれば本命だと思ってたけど、軍事以外のインフラが効いたのかな?
バックオーダー抱えすぎてて納品が何時になるのかわからないのかも知れない。
台湾のF-16も一向に納品されないし、カタログ性能だけ高くても手元に来ないんじゃ意味ないよね。
なんかSaab社員がコロンビアポーズで勝ち誇っているシーンを幻視してしまった。
納入される頃には隣国ベネズエラは体制転覆されているでしょうけど、その後が見通せないのでやはり備えは必要ですね。
太陽光パネル生産工場作って安い中国製にどう対抗するつもりなんだろ?
こういうオフセット投資事業が赤字で焦げついた場合ってどうなるんでしょう…