Roshelのシモノフ最高経営責任者は「これまでに1,700輌以上のSenator(多目的装甲兵員輸送車)をウクライナに引き渡した」と明かし、FPVドローンの普及で「戦場の移動手段」に求められるのは「防弾・耐爆性能が同等品と比較した場合のコスト効率と入手性だ」と力説した。
参考:Manufacturing armoured vehicles in Canada
RoshelとSenatorの評判も「実績のない新興企業が開発した装甲車輌」から「ウクライナで実戦を経験して高い評価を獲得した企業と装甲車輌」に変化
カナダのRoshelはFord製ピッアップトラックをベースにした多目的装甲兵員輸送車=Senatorの製造を2018年に開始、ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まるとカナダの軍事支援パッケージにSenatorが採用され注目を集めたが、カナダメディア=CP24の取材に応じたシモノフ最高経営責任者は「ニーズを満たすため従業員を大幅に増やした」「現在ではフルタイムで働く従業員数は約500人」「これまでに1,700輌以上のSenatorをウクライナに引き渡した」と明かした。
ウクライナに当初供給されたのは平和維持活動、法執行活動、装甲兵員輸送車や歩兵機動車としての軽任務に対応したSenator-APCだが、Roshelは2023年に耐地雷・伏撃防護に対応したSenator-MRAPを発表、防弾・耐爆性能はNATO基準のSTANAG 4569 Level2 2a/2b/2cを、一部の能力はLevel3(8kgまでの対爆風耐性と3a対応)基準を満たしており、さらに量産を容易にする設計を取り入れているため月120輌も生産することができ、シモノフ氏も「Senatorの価格は約60万ドル(恐らく米ドルなく加ドル)」「当社のターンアラウンドタイムは業界最短で1輌あたり最大2週間だ」と述べているのが興味深い。
Senator-MRAPの防弾・耐爆性能はHawkei(100万ドル以上)やEagle(88.6万ドル)とほぼ同等なのに調達コストが安価で、しかもベース車輌が専用設計ではなく商用車輌からの改造なので入手性が非常に優れており、シモノフ氏はSenatorと戦場の現実的なニーズが如何に結びついているかを力説している。

出典:117 окрема механізована бригада
“ウクライナとロシアの戦いでは従来のドクトリンが全面的に変更され、300ドル程度のFPVドローンで数百万ドルの装甲車輌を破壊することが可能だ。保護能力の面でSenatorと他の装甲車輌は同じ仕事をすることができ、SenatorはTNT25kgが爆発しても耐えることが出来る。この性能はウクライナに送られている数百万ドルの装甲車輌の保護能力に匹敵する。これがウクライナを含むパートナーがSenatorを繰り返し選択・購入する理由だ”
FPVドローンの普及で「戦場の移動手段」は短期間で破壊される可能性が高く、このような戦場で求められるのは「防弾・耐爆性能が同等品と比較した場合のコスト効率と入手性」で、Senatorは「その両方」を満たしているため1,700輌以上もの発注があるのだと言いたいのだろう。
因みにシモノフ氏はSenatorのウクライナ供給について「90%以上は米国、欧州、ウクライナからの資金で調達された」「自国政府からの発注=資金投入がもっと増えれば有り難い」「現在の安全保障環境は今まで以上に自国の能力に頼る必要がある」「今こそ防衛力強化を通じて自国の雇用を維持するときだ」「Senatorを購入にするには約60万ドルの費用がかかるものの、この投資はカナダ経済に還元され、カナダの労働者とイノベーションを支えることになる」とも述べている。
カナダ陸軍がLight Utility Vehicleの調達に向けてHawkeiをテスト中で、恐らくシモノフ氏は「Hawkeiと同等の保護能力を備えた装甲車輌が国内で調達できる」「しかもHawkeiより安価だ」と言いたいのかもしれない。
カナダ陸軍がHawkeiをテストしたのは2020年の話で、その当時と現在ではLUVに求められる要件も様変わりしている可能性が高く、RoshelとSenatorの評判も「実績のない新興企業が開発した装甲車輌」から「ウクライナで実戦を経験して高い評価を獲得した企業と装甲車輌」に上書きされているため、カナダ陸軍がSenatorを購入しても不思議ではない。
関連記事:カナダ、NASAMSに続き200輌の装甲兵員輸送車をウクライナに提供
関連記事:軽装甲機動車の後継車輌、今年度中にテスト用のハーケイとイーグルを取得
※アイキャッチ画像の出典:Roshel Senator APC
ロシア軍の非装甲ATVでは些か心許無いので、この手の車体にRWSと金網を装備するのがポストウクライナ戦争のトレンドになりそうです。非装甲ATVはヘリコプターに搭載可能、登坂能力が高いので状況によって使い分けることになる。
金網や鳥籠だと重いし、すぐに破損してしまうので、
車両の周囲でナイロンコードを高速で旋回させてUAVを叩き落とすのはどうだろうか。ナイロンコードも当然破損するが中にリールで保持しておいて破損したらその都度繰り出せば良い。
装備名称「ウィードカッター」または「絶・天狼抜刀牙」。
やはり実績・・・!!
実績は、全てを納得させる・・・!!
RoshelとSenatorがHawkeiを破って一つ上の男に…?
日本のセキュリコはどこ行っちゃのかしら?と思ったら、豊和工業に買収されて無くなっていたでござる。
あそこ、防弾車の防弾グレードとか、ホームページで解説していて面白かったのに。。。
税金を使われる支援国からすればたまったものではないですが、生産に携われる企業からすればウハウハですわな
Oryxによると、110台しか破壊が確認されていないから、生存率がかなり良いのかな。
記事内容と少しずれますが。
よその記事で、ウクライナ軍は、英国製のフェレット偵察車
(Mk 1/2)を何処からか入手して使っているとか。
やっぱり、車体が小型であるのが良いように思えます。
大型になると、色々な(ATGM/ドローンetc)物が命中しやすくなるし、
それに対する防護も必要になってさらに大型化するような気がします。
じゃあ日本はジムニーをカスタムだな
ジムニーを採用するならインド軍やイタリアのカラビニエリが使っているモデルではなく、フランスのテクナム社のフィネック2仕様ですかね。ベース車のはずなのに全くジムニーに見えませんけど。
ウクライナのフェレット装甲車に関しては個人レベルでの所有や民間車両レベルの安価さでの購入が可能な事から全周防御7.62mm能力を持つ車両として寄贈された可能性が高く、ウクライナがそのコンセプトを望んで入手したかで評価は変るでしょう。
現在のウクライナ仕様においては防護の為にゴテゴテした状態でフェレットのコンセプトを生かし切れているのかは疑問です。
小型軽量でライフル弾の抗堪性を持ち、悪路走破性が高く、機関銃レベルの固定武装もある。NBC防御無し適当に始動すれば駆動系がやられる、何かしらの固定装備のセンサー類は無し、重機関銃以上の威力の物には無力、ドアがない事での乗降のしにくさ、ガソリンエンジンである事のデメリット。
個人的に国として小型車両を必要とするならVBL装甲車の方がディーゼルエンジン・NBC防御選択余地あり・全周7.62mm抗堪・防御された内部からの視界は広い・ドアがある事での利便性が有って良いと思いますけどね。
小型のメリットばかりでデメリットを考えているのかとは思うし、そんなに小型が良いなら有人ではなく無人の装甲車にロボット(タンク型・犬型)でも良いでしょう、最悪防御は無視してコンパクトでも良い。
機銃レベルの攻撃や偵察に特化したような有人小型車両を今から作る意味は無いと思うし、小型にするならBMPとかみたいな人間の事を蔑ろにするような仕様は問題無いと考えますか?そうでないなら小型にした分は増車するしか無いしそれは必要人員増加するし費用の増加を意味します。
ご教授ありがとうございます。
個人レベルの寄贈では、とのこと。ありそうですね。
”無人の装甲車にロボット(タンク型・犬型)でも良いでしょう”
その通りですね。実際に製作されているようだし。
免許持ってる人なら誰でも運転できるから特別な訓練が必要ないのも利点かな。
ロシア側が出しているドローン攻撃動画を見ていると西側製の重装甲車輌が尽きてるだけにも思えます。
登場頻度が多いのは旧東側T72やT64、BMP1に2、次いでM113、その次がブラッドレー。
ベルゴロド侵攻部隊は当初バギーやカートに回帰していたようですがロシアほど多用してはいない。
MRAPは2023年の反攻やクルスク侵攻以降あまり見かけず、最近はまたハンヴィーの露出が増えてたり。
特攻ドローンで飽和した戦場では軽装甲機動車のような物を大量使用する他に損耗を抑える手段が無いのかなと。
車載のドローン対策は何が正解になっていくんだろか。ハードギルとソフトキルの両面で色々とやっていくんだろうけど。
てか自衛隊はイーグルとハーケイのどっちを選ぶんだい。