カナダのカーニー首相は選挙中「カナダ製の空中早期警戒機を取得する」と約束し、Saabは28日「カナダにGlobal6000/6500ベースのGlobalEye提供準備が整った」と発表、これに対して米ディフェンスメディアは「それでも入札からBoeing=E-7を排除すべきではない」と訴えた。
参考:Saab ready to offer GlobalEye for Canada’s Airborne Early Warning and Control program
参考:GlobalEye conversion capacity will rise to four annually, Saab says
米国人が容認出来ないことはカナダ人も容認出来ないと考えるが妥当
カナダのカーニー首相は選挙期間中「我々は主権に対する米国の脅威に備えなければならない。米国は我々の土地、資源、水、そして我々の国を狙っているのだ。彼らは我々を支配するためカナダを壊そうとしている。そうさせないためには現実を認識し、もっと努力する必要が、この新たな現実に対応した計画が必要だ」「自由党が政権を獲得すれば2030年までに(GDPに占める国防支出の割合)2%を達成する」と述べ、選挙公約の中でも新型潜水艦、大型砕氷船、無人航空機、水中無人機、カナダ製の空中早期警戒機、自走砲、地上配備型防空システムの取得に言及。
カナダ国営放送のCBCは5日「韓国が200億加ドル以上の防衛装備品に関する取引を提案してきた」と、6日「現代重工業とHanwha Oceanが潜水艦の売り込みで手を組んだ」「米国製システムへの懸念が高まってるため潜水艦の戦闘管理システムが非米国製なのは重要なポイントだ」と報じ、米国のディフェンスメディアも「カナダとの不透明な関係が続く中でカナダ市場へのアクセスを失うのではない」と心配していたが、Saabは28日「カナダにGlobalEyeを提供する準備が整った」と発表。
Saabは「GlobalEyeシステムの中核をなすのはカナダ製のプラットホーム=Global6000/6500だ」「この実績があるプラットホームに最先端のセンサーとミッションシステムを組み合わせることで費用対効果の高いソリューションを提供できる」「SaabはBombardierとの強力なパートナーシップを通じてカナダ国内からの調達を最大化し、付加価値の高い雇用を創設し、カナダ企業をグローバルサプライチェーンに統合することで防衛産業を支援できる」と述べ、同時に「早期警戒機の需要増に応じてGlobalEyeの生産を最大年4機まで増やす」とも発表した。

出典:U.S. Air Force photo by 2nd Lt. Mark Goss
War Zoneは「GlobalEyeはE-7とは異なり2つ目のレーダーを備えた監視機で、機体下部に搭載された海上監視専用のレーダーはジェットスキーや潜水艦の潜望鏡のような小型の物体も遠距離から検出可能だ」「E-7も搭載レーダーで海上監視も可能だが基本能力ではなく、2つ目のレーダーも搭載していない」「北極圏におけるプレゼンス強化を目指すカナダにとってGlobalEyeの能力は関心を引くものになるだろう」「しかもベース機体がカナダ製なので産業上の利点も大きい」と述べたが、それでも入札からBoeingを排除すべきではないと訴えているのが興味深い。
“カナダはCP-140の後継機にP-8を選定した。E-7はP-8と同じ737ベース、さらに米空軍もNATOもE-7を導入するため高度な相互運用性はもちろん相当な共通性も提供できる。しかしトランプ大統領は関税の対象国として真っ先にカナダを上げ、合衆国51番目の州にすると繰り返し主張している。そのためカナダにとって運用能力の独立性は非常に重要な問題となり、GlobalEyeを選択すれば米国が支配するサプライチェーンやネットワークからの解放されるだろう”

出典:flybyeigenheer/CC BY-SA 2.0
“過去にもBoeingは「Bombardierが補助金を受け取って市場価格よりも安価にCシリーズを販売し、Boeingの売上を脅かしている」と訴え、両国間で経済摩擦が発生したためカナダはF/A-18E/F調達を中止した。その痛みもP-8を選定するころには事実上忘れ去られており、今回もオタワとワシントンの関係がどうであれ入札からBoeingを排除するのは懸命ではない”
New York Timesもカーニー首相が選挙で勝利した際「トランプ大統領が何度も『カナダに関税を課したい』『カナダを51番目の州にしたい』と言及しているのは事実だが、カーニー氏は脅しに執着するのではなく取引に集中すべきだ。どうせトランプ大統領が脅しをかけてきたとしても冗談半分なのだから」と助言していたため、War Zoneも「政治的対立は一時的なものなので相互運用性や共通性を優先してE-7を選択すべきだ」と言いたいのかもしれないが、もし「どうせ冗談半分」「何れ忘れ去られる」で独立と主権を侵害する発言を片付けられるなら国同士の戦いなど起こらないだろう。

出典:Department of Defense photo by Staff Sgt. Danny Gonzalez
New York TimesもWar Zoneも逆の立場で「どうせ冗談半分」「何れ忘れ去られる」と言えるなら本物だが、そうでないなら選挙公約=カナダ製の空中早期警戒機を曲げてまで「Boeingを含めて入札すべき」などと言うとカナダ人の怒りを増幅させるだけだ。
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※アイキャッチ画像の出典:SAAB
P-8をほしがっている/いた他国に売却して現在哨戒機を作っている唯一の日本にP-1を買うかしたりしたらネタになりそうですな
日本は駆け込み寺ではないのですが
あとホーネットもぽーいしてカナダがタイフーンを導入してもおもしろいかと
なんというかムーブ的にはそうなりそうですよね。
あとは中古のグリペンの導入か
ウクライナ戦況の更新パッタリ止じゃってる。
マジでどうしたんかな?
P-1どうですか、潜水艦・護衛艦もどうですか、カナダさん!
三菱重工の受注高が10兆円、川崎重工の受注高も2兆6000億円まで積みあがっているのを見かけましたから、重工各社は防衛分野を含めて受注に挑める余力があるのならば是非(絶好調で喜ばしい話しですね)。
ウクライナに、GlobalEyeを投入する話しがありましたので、実戦での戦果がどういったものだったのか気になりますね。
War Zoneの言う通りなら、E-7の負けでは?。
元々、E-3を退役させE-7を選んだ理由に、
長射程AAMに狙われやすいと言うのがあったと思います。
低軌道のレーダー衛星に変わるまでの暫定の意味もある、
と言ってもいたような・・。
Global6000/6500はボーイング737よりも小型だし、
その意味でもE-7よりも適役と思えます。
能力がさして変わらないのなら。
NIFC-CA / CECを考えると正直GlobalEyeは厳しいだろう
そもそもカナダがNIFC-CA / CECを使用するような戦闘を想定しているかでしょう。
してるでしょうねぇ
CEC自体は60年代くらいからある概念。マクロ視点なら仮想敵国がロシアなうえNATOの一員として戦うこともあるし、ミクロ視点ならF-35とAIM-120の射程を最大限活かすためにも必要でしょう
なんで苦しいんだ?システムを載せる容積の問題?
ほんまアメリカは俺様俺様のジャイアンやな
なんでそれが許されてたかって肝心な所ではのび太を守ってたから
のび太を守らないジャイアンはただの悪ガキや
ボーイングはお得意のロビー活動でトランプに顧客に対する口の利き方をおしえてやったらどうだ
日本も早くボーイング抜きの国防を考えた方が良い
ボーイングの息が掛かっている装備を軽く上げるとGBU-39、JDAM、F-15、ハープーン、ヘルファイア、スキャンイーグル、CH-47、V-22 、AH-64、衛星、パトリオットPAC-3(ボーイングのシーカー)等々で簡単に抜く事なんて出来るのかなとは思う。
衛星や打ち上げロケットはむりやろうなぁ
でもこのリスト見る限り今の半分くらいは抜けそうだな
少しずつ依存度を下げるのはありかと
どちらかというとカーニー氏の物言いの方が面白いですね。
「51番目の州になれ」というトランプの物言いも返し方次第では別にカナダの主権をそのままにして、流石に併合はされない形で切り返す事も出来たはずです。
でも、カーニー氏は煽っておられる。そして大事な事はこのカーニー氏の姿勢をカナダ市民は元より、英国やフランスやドイツの首脳などが支持しておられる事です。
水面下での陣営の組み替えが物凄いスピードで起こっている気がしますね。俺はそちらの方向からGCAPは壊れるかもと言う気がします。
ボーイング君はまずはまともな物を納入できるようになってから文句言ってくれ
ゴミばかり引き渡しおって
カナダは今後F-35導入を検討してたはずだからE-7のほうがいいとは思うが、レガホ80機くらいの空軍なんだからそんなにゴージャスなのは買えないし運用できる人材もこれから増やすレベルだろ