カナダ政府は無人航空機に使用されるEO/IRセンサーやレーザー目標指示装置のトルコ輸出を一時的に停止すると発表、トルコはカナダの決定について「二重基準」だと反発している。
参考:Ankara blasts Canada’s suspension of military technology sales
カナダ、イエメン内戦に関与している国への輸出はOKでナゴルノ・カラバフ紛争に関与するトルコへの輸出はNO?
カナダのL3Harris Wescamは世界的に人気の「EO/IRセンサー」を製造している企業で、特に同社が製造するMXシリーズは米軍など多くの国や組織で採用されたEO/IRセンサーとして有名だ。
トルコの無人航空機メーカー「バイラクタル」も同社が製造するUAVにMXシリーズを採用しているのだが、昨年10月シリア内戦への関与を理由にカナダ政府がトルコ向けの軍需物資輸出承認プロセスを停止(事実上の武器禁輸措置)を発動したためEO/IRセンサーが入手できなくなりUAVの製造に大きな影響を受けることになったが、これはトルコにMXシリーズを輸出していたL3Harris Wescamも同じで両者は外交ルートとロビイスト経由でカナダ政府高官に禁輸措置の解除を働きかけ、最終的に禁輸措置からEO/IRセンサーやレーザー目標指示装置など除外することに成功した。
しかし今度はL3Harris Wescamが製造するEO/IRセンサーを搭載したトルコの無人航空機「バイラクタルTB2」が無許可でアゼルバイジャンに輸出され、アルメニアとの紛争に使用されているのではないかという疑惑が浮上している。
指摘を受けたカナダ政府は「調査を行う」と発表したが、カナダが輸出したEO/IRセンサーを搭載するUAVのアゼルバイジャン輸出を許可していたのかという疑惑については沈黙を貫いており、輸出承認プロセスを管轄するカナダ国際関係省も「個別の軍需物資輸出に関する許可についてはコメントはしない」と説明して批判を受けていたが、カナダのシャンパーニュ外務大臣は5日「調査が完了するまでトルコへの輸出を一時的に停止する」と発表した。
In line with 🇨🇦’s robust export control regime and the ongoing investigation, I have suspended the relevant export permits to #Turkey.
🇨🇦 calls for measures to be taken immediately to stop the violence and protect civilians. pic.twitter.com/mCLmjWKq4G
— François-Philippe Champagne (FPC) 🇨🇦 (@FP_Champagne) October 5, 2020
これに怒ったのがトルコだ。
トルコ外務省は6日「カナダ政府は国内の反トルコグループからの影響を受けずダブルスタンダードとは無縁の決定を下すことをトルコは期待している」と声明を発表、さらに「カナダはイエメン内戦に関与している国への武器輸出に問題があるとは考えておらず、逆に地域の安定に繋がるとして輸出を続けているため同じNATO加盟国への武器輸出を制限する理由が見つからない」という耳の痛くなるような一言まで付け加えている。
補足:カナダにとって最大の防衛装備品輸出先はサウジアラビア(28億6,400万ドル:2019年)で、イエメン内戦に関与しているサウジアラビアへの輸出を問題視しないでナゴルノ・カラバフ紛争に関与するトルコ(1億5,100万ドル:2019年)への輸出だけを問題視するのは二重基準だと言いたいのだろう。
果たしてカナダはトルコの反発を受けて一時的な措置を解除するのか、それとも正式な禁輸措置を講じるのか?は不明だが、UAV用のEO/IRセンサーはL3Harris Wescamが独占しているわけではないので仮にカナダからの供給が止まっても、同じ様にアゼルバイジャンに肩入れするイスラエル(ラファエル)からEO/IRセンサーを調達(トルコの防衛産業企業アセルサンが国産EO/IRセンサーを製造中なので、多少性能が落ちてもいいなら国内調達という手もある)することも不可能ではない。
ただL3Harris Wescam製のMXシリーズを使用する前提で設計されているバイラクタル製UAVに他社製のEO/IRセンサーを調達して統合するのは時間と手間がかかるため、トルコとしても「避けたい」というのが本音だろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Savunma Sanayii Başkanlığı トルコの無人航空機「バイラクタルTB2」
サウジアラビアはOKで
トルコはダメは筋は通らんよな
サウジアラビアの場合、イエメン内戦ではアルカイダ傘下の組織でISも支援しているアンサール・アル・シャリーアと対立するイエメンの暫定政府を支援している関係上、武器禁輸なんかしたら「テロとの戦いを遂行している国家の作戦を妨害する」と言うシャレにならない結末になるから、只の領土紛争に介入しているだけのトルコとは立場が違うよ
後、サウジアラビアは以前イエメン内戦の一方の勢力であるフーシ派&イランから弾道ミサイルやドローンで本土を攻撃されている過去もお忘れなく
サウジへのSRBM発射はサウジによるイエメン空爆など軍事介入実施以降の話でしょ
だからと言ってフーシ派&イランのSRBMに対抗出来る装備を禁輸しろと言うのはご無体な話
(そもそもイランが禁輸に応じるとでも?)
それに今回のイエメン内戦で先に手を出したのは、イエメン暫定政府から政権を奪おうとしたフーシ派だったのを忘れないでね
(イエメン暫定政府が正義とは言わない)
輸出禁止は人道問題なのでテロとの戦いかどうかは関係ない。
ドイツやアメリカはサウジアラビアに禁輸を求めてた
「無許可でアゼルバイジャンに輸出した」かどうかが争点なんだけど、その辺りをハッキリさせないまま禁輸ってのはカナダも強引だよな
政府の好き嫌いとロビー活動で方針がコロコロ変わるなら、取引相手としてはちょっと危うい印象
トルコも良くやるなぁ…強硬的な外交とはいえ日本も学ぶ所がありそうな感じ。
我が国の外交も、もっとハッキリと物言ったり多少は攻撃的にすべきだと思う。北朝鮮テロ集団みたいなのは極端だが。
学ぶべき所ありますかね?
トルコは殆ど仲間を作らないで周辺各国と問題を起こしているだけで
あれでは単なる狂犬でしょ
強気でハッキリ物を言う部分は見習い、仲間を作らないという部分は反面教師として見よう。
対岸の火事に関わるなよ、商売するなら鎮火してからでいいから
変な目で見られてまで取引するほどの相手でもなし
動画見るとバイラクタルTB2が意外とよくできていて驚いた
こんなのあるとそりゃ便利だろ、中国がUAV開発に力を入れるわけだ
ブログの最後の記載が心苦しく感じます。
主様にはご迷惑をお掛けしております。
大多数は良識的な方々なのでいろいろと教えて頂き感謝しております。
今後とも一部の過激な書き込みに乗せらぬようにいたします。
イスラエルがUAV市場の商売敵を黙らせる為に裏で手をまわした可能性も
安かったらほしいなぁ。