北米/南米関連

戦力集結が止まらないカリブ海、米空母打撃群が米南方軍作戦地域に到着

カリブ海に向うよう命じられたフォード級空母とアーレイ・バーク級駆逐艦はモロッコ沖で移動を停止していると報じられていたが、米南方軍は11日「空母フォードが率いる空母打撃群が南方軍の管轄地域に入った」「空母打撃群にはアーレイ・バーク級駆逐艦3隻が加わる」と発表した。

参考:Gerald R. Ford Carrier Strike Group Enters U.S. Fourth Fleet

これだけの戦力を「麻薬を運搬していると疑われる船舶」の攻撃に動員する必要は何処にもなく、現在の作戦規模ならMQ-9の投入だけで事足りるだろう

トランプ政権は米軍を麻薬対策の一貫としてカリブ海に派遣し、その戦力はワスプ級強襲揚陸艦、サン・アントニオ級揚陸艦、タイコンデロガ級巡洋艦、アーレイ・バーク級駆逐艦3隻、沿岸戦闘艦、攻撃型原潜、特殊戦支援艦、潜水艦支援艦、病院船、補給艦2隻までに膨れ上がり、これまでに麻薬を運搬していると疑われる船舶を20回攻撃したものの、この攻撃の大部分はMQ-9によるもので、動員した戦力で何を狙っているのかは謎のままだ。

出典:U.S. Marine Corps photo by Cpl. Maurion Moore

トランプ政権内部でもカリブ海作戦について「ベネズエラのマドゥロ大統領を排除することが目標なのか、それともマドゥロ大統領から譲歩を引き出すことが目標なのか」といった基本戦略すら決まっておらず、トランプ大統領自体が「仮に軍事力を行使してもマドゥロ大統領を退陣に追い込めるのか」と疑問視しており、民主党や一部の共和党議員らは「議会承認なしに軍事作戦を勝手に始めた」「そもそも麻薬運搬の疑いがある船舶を攻撃すること自体が違法だ」と批判されている。

そのためカリブ海作戦を擁護する法的根拠を議会に提出したものの「正当性の根拠」は非常に曖昧な内容で、民主党の議員らは「考えを改めさせられるような内容は1つもない」「差し迫った脅威が具体的に何なのか説明がない」「この作戦で何を達成したいのか良くわからない」「仮に作戦を実施する権限が大統領にあったとしてもいつまで続くのか」と、特に情報委員会のジム・ハイムズ下院議員からは「カリブ海作戦の根拠に『甚大な損害をもたらしているフェンタニルの排除』を挙げながら『コカインを輸送していた船舶を破壊した』と説明しており、現在の軍事作戦は明らかにフェンタニルと無関係だ」と指摘されている始末だ。

出典:管理人作成

そのためトランプ政権は「今のところベネズエラを直接攻撃する法的正当性がない」と認め、カリブ海に向うよう命じられたフォード級空母とアーレイ・バーク級駆逐艦はモロッコ沖で移動を停止していると報じられていたいものの、米南方軍は11日「空母フォードが率いる空母打撃群が南方軍の管轄地域に入った」「空母打撃群には第2艦隊のアーレイ・バーク級駆逐艦ベインブリッジとマンハ、さらにウィンストン・S・チャーチルが加わる」と明かし、フォード級空母に随伴するアーレイ・バーク級駆逐艦の数は1隻(ベインブリッジのみ)から3隻に増加している。

11日時点でベインブリッジはトリニダード・トバゴの北東約800海里の地点を航行しているという情報もあり、これが事実なら既にベインブリッジはカリブ海に入っている可能性が高く、何をやるのかハッキリしないまま戦力の集結だけが進んでいる状況だ。

出典:U.S. Navy photo by L.t j.g. Gina Gulli

フロリダ州メイポート基地からカリブ海に向かったサン・アントニオ級揚陸艦フォート・ローダデールが何処にいるのかは不明だが、これだけの戦力を「麻薬を運搬していると疑われる船舶」の攻撃に動員する必要は何処にもなく、現在の作戦規模ならMQ-9の投入だけで事足りるだろう。

因みにカリブ海に海外領土をもつ英国とオランダは「現地情報の共有が米国の違法な作戦に利用される」という理由で、カリブ海を航行する船舶情報の共有を停止した。

関連記事:トランプ政権、今のところベネズエラ国内を攻撃する法的正当性がない
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Mariano Lopez

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コメント

  • コメント (8)

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    • MK
    • 2025年 11月 14日

    攻撃(侵攻)の是非はともかく、何で今まで後回しにしていたのだろう。基本反米で中東やらアジアより地政学的にも優先しそうなもんですが。

    10
      • Kaeru
      • 2025年 11月 14日

      南アメリカ攻撃すると難民となって合衆国になだれ込むからでは
      それに、大義名分的にも資源的にも中東やアフリカのようなうまみがなかったんでしょう
      シリアとかあの辺もイスラエルの希望だろうし

      23
        • keep
        • 2025年 11月 14日

        ベネズエラには石油がありますよ
        世界屈指の埋蔵量が有るのにどうしてこうなった

        4
          • たむごん
          • 2025年 11月 14日

          超重質油なので、コストが高いんですよね…

          カナダ(アルバータ)のように、天然ガスを利用できる=輸送コストが安いなどできれば補ってあまりあるメリットがあるのですが、その辺りが違いかなと。

          19
      • たむごん
      • 2025年 11月 14日

      鶏肋なのかもしれませんね。

      3
    • たむごん
    • 2025年 11月 14日

    落としどころ何を目指しているのか、興味深いですね。

    海兵隊だけでは、出来る事も限られるでしょうし。

    5
    • kitty
    • 2025年 11月 14日

    うーん、空母打撃群で麻薬密輸船を撃沈。
    牛刀どころでない。

    8
    • 折口
    • 2025年 11月 14日

    トランプ氏は二期目の就任後に「偉大な時代の大統領」としてセオドア・ルーズベルトとウィリアム・マッキンリーの二人の大統領を挙げていましたが、中南米への軍事的威圧による経済利権の囲い込み(いわゆる棍棒外交)はまさに彼らのレガシーでした。今回の空母打撃群の洋上展開がそれを意識しているのはほぼ間違いないと思います。棍棒外交は米西・米比戦争を通じて米国に中南米・アジア利権へのアクセスをもたらしましたが、特に中国利権は大日本帝国との総力戦という結果にも繋がっています(アメリカの帝国化)。
    MAGA的には、自分たちは麻薬問題などで中南米に搾取されているのだから同地域から搾取するのは当然くらいの算数があるのかも分かりませんが、中南米も相当の不安定要素を抱えた領域なので迂闊に手出しするのは良くない気がするんですよね…。昔と違ってラテンアメリカ系の移民の相当数がアメリカに帰化して米国民化していますから、戦争で中南米を不安定化させたら影響が直で米国内にも波及する可能性だってあるでしょうし…。

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