北米/南米関連

米国や韓国が懸念、欧州がカナダの戦闘機や潜水艦調達で有利な立場を確保

米国や韓国では「カナダがEU融資プログラムに合流したためカナダの戦闘機や潜水艦調達で欧州勢が有利になった」と報じられ、韓国メディアも「韓国製潜水艦はSAFE融資の有利な条件を背景にしたドイツ製潜水艦に勝つのが難しくなった」と指摘している。

参考:Canada could use EU loans for next-gen warplane, submarine purchases
参考:캐나다, EU 무기 공동조달 ‘SAFE’ 공식 합류…非유럽국 중 처음
参考:캐나다, ‘256조’ 유럽 방산기금 전격 합류…K-방산·F-35 ‘쇼크’
参考:[단독] 캐나다 싱크탱크 “EU 자금, 잠수함 도입에 투입 전망”…’60조’ 수주전 TKMS로 기우나

米国や韓国といったEU非加盟国の防衛企業にとってカナダ市場は遠いものになるかもしれない

カナダのカーニー首相は「我々が冷戦時代から今日まで国際舞台で支配的な役割を果たしてきた米国と肩を並べてきたが、もはや米国の優位性は過去のものになった。現在の米国は覇権的地位を金銭獲得のため利用し始めており、米国市場へのアクセスに料金を課し、集団安全保障への相対的な貢献度も減らしつつある。世界は重大な転換点に差し掛かっており、カナダは自らの道を切り開く時が来た」と述べ、米防衛産業に偏っていた国防投資の分散化、加防衛産業の優先、EUが主導する欧州再軍備計画への参加など表明し、6月末にEUとの戦略的防衛・安全保障パートナーシップに署名した。

出典:EU

この協定の目的は「加盟国の再軍備を加速させる1,500億ユーロの融資プログラム(Security Action for Europe)」への加企業参加を切り開くことで、マクギンティ国防相は1日「カナダがSAFEに参加することで最終合意が成立した」「これによりカナダは弾薬、ミサイル、ドローン、砲兵システム、歩兵兵器などの分野でSAFEに参加できるようになる」「これはカナダにとって非常に大きな機会で大規模な民間投資を促進させるだろう」と発表したが、SAFEへの参加は同時に「カナダが装備調達でSAFE融資を利用できる」という側面ももつ。

巨額の資金が必要な装備調達は常に「財源確保」に悩まされ、SAFE融資はトリプルAに格付けされたEU債権での資金調達を可能にし、多くの国がSAFE融資の資金で装備の共同調達を予定している。この件についてDefense Newsは「カナダの戦闘機、潜水艦、海洋監視システムなど多くの装備調達がSAFE融資の対象になるかもしれない」「カナダはEUが主導する共同調達への参加に前向きで、北極圏や北大西洋の防衛と言った複数の国にまたがる安全保障問題で関係国との協力を選択する可能性が高い」と予想した。

出典:Hanwha Aerospace Europe

つまり「F-35A契約の見直しや12隻の潜水艦調達先で欧州諸国との協力が有利になった」という意味になり、韓国メディアも「カナダがSAFE融資を活用するとドイツ製潜水艦を調達する資金調達コストを削減できる」「そのため韓国はSAFE融資の有利な条件を背景にしたドイツに勝つのが難しくなった」「しかもドイツとの協力やSAFEへの合流は欧州との安全保障協力を強化するという大義名分付きだ」と報じている。

因みにSAFEへの非加盟国参加には手数料が必要で、まだ金額が確定していないためカナダのSAFE参加は確定していないないものの、米国や韓国といったEU非加盟国の防衛企業にとってカナダ市場は遠いものになるかもしれない。

関連記事:カナダは欧州再軍備計画への参加交渉で合意が成立、英国は交渉決裂
関連記事:カナダとEUが防衛協定に署名、不確実な米国依存を削減するための第一歩
関連記事:英国とEUが貿易・防衛関係の再編で合意、英国は漁業権で譲歩か
関連記事:カナダが潜水艦調達の入札手続きを開始、勝敗を左右するのは維持管理パッケージ
関連記事:ドイツ国防相がカナダに212CDをアピール、韓国の潜水艦よりも優れている
関連記事:カナダの潜水艦調達を巡る戦い、最終候補をドイツと韓国に絞ったと発表
関連記事:Saabは最短3年でカナダにグリペンを納品、スウェーデン国防相は共同生産を提案
関連記事:カナダのF-35契約見直し、政府とSAABがグリペン取得を交渉中だと認める
関連記事:カナダ産業相がF-35契約維持に追加利益を要求、駄目ならグリペンE調達を示唆
関連記事:カナダのF-35A導入見直し、結果を左右するのは軍事的合理性ではない

 

※アイキャッチ画像の出典:SAAB

米軍もShahed型無人機を導入、米中央軍が中東に配備したLUCASを公開前のページ

ロシア軍は通信インフラの破壊を強化、ウクライナ軍のドローン運用を封殺次のページ

関連記事

  1. 北米/南米関連

    ブラジルの自走砲調達、フランス、イスラエル、スウェーデン、トルコ、スロバキアが競合か

    ブラジル陸軍が装輪式自走砲を調達するため提案依頼書(RFP)を発行、フ…

  2. 北米/南米関連

    カナダ国防省、要件を満たす次期潜水艦候補を調査するため6ヶ国と協議中

    カナダ国防省はヴィクトリア級潜水艦の後継艦について31日「要件を満たす…

  3. 北米/南米関連

    アルゼンチン、フォークランド諸島の領有権を外交交渉で回復したいと表明

    アルゼンチンではハビエル・ミレイ新大統領が誕生したばかりだが、同国の外…

  4. 北米/南米関連

    コロンビ空軍、次期ジェット練習機に韓国製のFA-50を選択か

    コロンビ空軍の関係者は「次期練習機に韓国製ジェット練習機のT-50の派…

  5. 北米/南米関連

    エンブラエルがフライングブーム方式対応のKC-390開発を発表、米空軍採用を目指す

    C-390の積極的なマーケティングで注目を集めるエンブラエルは19日、…

コメント

  • コメント (24)

  • トラックバックは利用できません。

    • p-tra
    • 2025年 12月 04日

    兵器売買はほぼ政治だという事が良く理解できますね。
    ミリタリーギークとして兵器の細部があーだこーだ言うのは楽しいが
    それが兵器の取捨選択のメインだと考えるのはイカれてる。
    税金の配分は結局政治家が決めることですからね。
    ラファールのようにどんなに実戦でひどいパフォーマンスだろうと売れる
    ものは売れるというのが現実であり、売れるようにするまでの路線を
    整えるのが兵器売買では重要ということでしょう。
    ある意味ホンモノの実戦とはかけ離れた世界だと言えます。

    34
    • Ard
    • 2025年 12月 04日

    韓国はまあアレだけど、アメリカは普通にトランプちゃんが悪いので反省してもろて

    48
    • ラーメン
    • 2025年 12月 04日

    韓国はドンマイだがアメリカは・・・金ピカ大統領が原因の謂わば自業自得みたいなもんだから同情の余地は無いな。

    41
      • dd4
      • 2025年 12月 04日

      そりゃ米政府からすれば、兵器ビジネスより本当の脅威となるヤクブツ問題を優先するのは当然では?
      むしろそこまでしてヤクブツの自由を守りたがるカナダの方がよくわからない

      13
        • せい
        • 2025年 12月 04日

        トランプがあんな発言する前に打てる手はいくつもあったと思うんだよね
        そこを飛ばして武力に頼る旨の発言して、嫌われたら文句言うのはそういうとこやぞ、、、としかならんわぁ

        25
    • 足柄
    • 2025年 12月 04日

    露とお隣りとは思えない判断するからカナダは計算できないわ
    韓国との縁は要るだろうに
    米帝が尻拭いしてくれるはずっていう甘えあるよね

    3
      • バーナーキング
      • 2025年 12月 04日

      いや別に韓国と縁切った訳でも不義理働いた訳でもないでしょう。
      単に「ドイツが少し条件的に有利になった」というだけ。

      43
    • たむごん
    • 2025年 12月 04日

    外交が、兵器ビジネスに直結するのが、非常に分かりやすいですね。
    日本が、もがみ型改をオーストラリアに売却成功しましたが、指揮統制システムをフィリピンに売却する話しもできてました。

    昭和平成は、経済力やODAを背景に、アジア諸国に兵器売込みしやい力があったのに足踏みしちゃいましたね。
    冷静に考えれば、アジアの兵器需要を、(アメリカはともかくとして)欧州にとられてきたのは失敗でもあるなと。

    令和は、積極的に巻き返そうとしているわけですから、日本の防衛産業の今後に期待しています。

    35
    • 赤狐
    • 2025年 12月 04日

    いいんじゃないかと思いますけどね。
    これはカナダという国が、もっと言うとカナダの支配層が実は何処を向いていたのかを如実に示すものだと思うのです。
    特に米国にとっては実はこの動きは長期的には有益です。トランプ達だけでは無く、恐らくは民主党の指導者達にとってもです。
    本音がどういうものなのかが観察出来る今は貴重な研究期間です。
    米国という国が、実は西欧社会全体にとってどういう存在なのか。
    これをトランプが暴れた事で図らずも?、ちょこちょこと姿を現してきていると思うのです。

    20
      • たむごん
      • 2025年 12月 04日

      仰る通りですね。

      『欧米』日本だと、一括りで当たり前になっていますが、完全に間違っているというのが証明されたと思います。

      アメリカ目線で見ても、アメリカが本気で切羽詰まった時に動かれたら困るわけですから、早めに分かったのは今後の教訓(前例)として確実に生かされるでしょうね。

      12
        • 赤狐
        • 2025年 12月 04日

        何しろトランプ政権はトランプ自身が余程アクロバティックな事をしない限りは、四年経たずに過ぎ去ります。
        しかし、兵器調達、特に高度兵器の調達は四年で済む訳ありません。四年後民主党政権になる可能性が高いのですが、それでも欧州製を志向しています。
        でも、SAFE融資を活用出来るじゃないですか、って言われそうですが、国防ってそんなものではないでしょうとなる。少し都合よく調達出来るからあちらから調達しまーす、なんて事になる訳がない。
        とすると、潜在的に元々このような方向性はあった事になる。第一次トランプ政権の時から? 下手するともっと前?

        まあ、カナダが日本政府や防衛省が想像もつかないほど国家防衛やそれにまつわる装備調達を気楽に考えている可能性もありますから、今の所はまだ一応わかりませんw

        8
          • たむごん
          • 2025年 12月 04日

          仰る通りです。
          早ければ来年、中間選挙まで1年切ってるくらいですからね。

          欧州のそこまで、何がいいのかちょっと分からないんですよね。
          EU=欧州という基準で見たら、カナダなんかも余所者なわけですから…

          『独立の住民投票』アルバータ州の住民投票が来年ありますが、カナダ政府も外ばかり目を向けてる場合なのかなあと少し眺めています。

          7
    • DEEPBLUE
    • 2025年 12月 04日

    そこまでしてフェンタニル禁止出来ないって、阿片蔓延してた中国みたくなってないカナダ?

    17
      • dd4
      • 2025年 12月 04日

      ひょっとしてヤクブツ利権ってそこまでお美味しいのでしょうかね…
      中国系の移民や、その層出身の政治家も増えているとは聞きますが…

      8
    • Kaeru
    • 2025年 12月 04日

    いまさら二線級の戦闘機とか買う時点で真面目に自分たちで血を流す気なさすぎでしょ…
    EUとカナダはお気楽でいいよな

    16
      • バーナーキング
      • 2025年 12月 04日

      とはいえF-35は未だに戦えるTR3機が納入されてないからなぁ。
      しかもカナダはMRO&Uもアメリカに頼むしかないので、そこが信頼できなくなっちゃったF-35なんて石の狸でしょう。

      23
      • まさし
      • 2025年 12月 05日

      カナダはそうですが、EUなんかウクライナ戦争の件で
      みんな慌てふためいてますよ。
      やれ兵役復活だ、防衛の見直しだって。

      1
        • でんでん
        • 2025年 12月 05日

        そりゃあEUの現・反露国は慌てるでしょう
        プーチンはソ連時代と違って仲良くしたがってたし、ガスや石油を売ってくれて経済的にも貢献、特にドイツは原発を廃止出来たわけですから
        ロシアの化けの皮が剥がれて「こりゃマジで西進してくるぞ!?」と慌てるのはさもありなん……
        兵器産業と兵士獲得を盛り上げたら、その他の産業に皺寄せがいくのでそりゃ頭を悩ませるでしょう

          • まさし
          • 2025年 12月 05日

          しかも我が国も他人事ではないのですからね。
          ただでさえ少子高齢化を理由に税金どうするかの瀬戸際に台湾有事、まさに泣きっ面に蜂ですわ。

        • Kaeru
        • 2025年 12月 05日

        慌てふためいてる「風」でまだ本気じゃないと思うよ
        他国に売り込む前にまずは必死こいてEUの空軍と陸軍を満たすだけの戦闘機と戦車を作ったほうがよくないかな

      • 特盛
      • 2025年 12月 06日

      二線級?いやいや、F-16もラファールもグリペンも未だ普通に売れてるし、第5世代なんて3種くらいしかない上に高額でそれぞれ課題も残されてるのに第5世代じゃないから型落ちなんて話しはおかしいと思うぞ

      3
        • バーナーキング
        • 2025年 12月 07日

        言葉の定義問題だけど「ニ線級」は否定できないんじゃないかなぁ。
        「数や技術的に安定しない一線級」と「こなれて安定した可用性の高いニ線級」のどっちが実戦、あるいは抑止の役に立つか、という話はまた別として、
        スペック上は紛れもない第5世代で怪物エンジンF135積んだF-35が一線級で、F404/414単発で航続距離もペイロードもアビオの出力も相応の軽戦闘機グリペンがニ線級(以下)、というの自体を否定する人は少ないのでは…

        3
    • あうあうあー
    • 2025年 12月 05日

    予想通りの流れになったということなのでは

    1
    • ファッツ
    • 2025年 12月 08日

    豪州が駄目だった以上は日本の潜水艦売れそうな最後の有力候補だったけどコリャ駄目そうだな…。流石にインドネシアやエジプトに最新鋭の潜水艦売りたく無いしフィリピンは未だ其処までの余力はとても。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  5. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
PAGE TOP