ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARはトレツク方面について19日「嘘報告とウクライナ軍の度重なる反撃に関連した否定的状況が明らかになった後、現地のロシア軍司令部は状況を少なくとも部分的に好転させた」と報告したが、側面を確保できていないためトレツク制圧には程遠い状況だ。
参考:Дзержинское направление: наступление российских войск к северу от Дружбы
ロシア軍は状況を取り繕うための無謀な攻撃を指示するかもしれない
RYBARはトレツク方面について19日「嘘報告とウクライナ軍の度重なる反撃に関連した否定的状況が明らかになった後、現地のロシア軍司令部は状況を少なくとも部分的に好転させた」と報告し、この方向の状況について以下のように説明している。
“トレツク市内では戦闘が続いている。敵は依然として北西郊外から市内の中心部に増援を送り込み続け、まとまった戦力で反撃を行うことが可能だ。ロシア軍も機動的な防衛を行っているものの、トレツク中心部は巨大なグレーゾーンのままだ。そのため1週間前に開始されたドゥルジバ方向への前進は興味深い。我々の情報によればロシア軍はドゥルジバ方向の2ヶ所で大きく前進することが出来た。この方向で活動するロシア軍の機械化部隊に問題がないわけではないが、運河の西岸地域に新たな足場を確保しつつある”
“本当ならトレツク攻略前にドゥルジバ方向の北側地域を抑えるべきだった。この一帯を攻略前に確保出来ていればトレツク市内の北側を火力管制下に置くことが出来たため、作戦を実施する価値は十分にあったはずだ。作戦実施の困難さか、作戦上の不手際かは分からないが、現地のロシア軍司令部はこれを実行しなかった。もし今回の攻勢がディリイフカ、ビラ・ホラ、オレクサンドロ・シュルティネ方向に到達すれば激しい戦闘が続いているチャシブ・ヤールの状況も改善されるかもしれない”

出典:93-тя ОМБр Холодний Яр
要するにセベロドネツク、リシチャンシク、ソレダル、バフムート、アウディーイウカ、クラスノホリフカ、セリダブ、ヴフレダル、クラホヴェ、ヴェリカノボシルカも半包囲する形で制圧したのに「どうしてトレツクはドゥルジバ方向を放置したまま攻略に乗り出したのか」「トレツク北側地域が開いたままなので制圧しきれず反撃を許している」という意味で、RYBARは「オレクサンドロ・シュルティネ方向に突破できればトレツクとチャシブ・ヤールの両方で状況改善が見込める」と言いたいのだろう。
但し、ロシア軍がレオニディフカ、ペトリフカ、シュチェルビニフカ方向に足場を築いているという報告も幻かもしれないため、ロシア軍がトレツクを占領するには正味なところ「両右翼の前進」が必要で、これが現在のロシア軍に可能なのかどうかは謎だが、ロシア国防省は既に「トレツク完全解放(RYBAR曰く2回目)」を宣言して兵士に勲章も与えているため、状況を取り繕うための無謀な攻撃を指示するかもしれない。
関連記事:ウクライナ人はクルスク危機を、ロシア人はトレツク完全解放の嘘を報告
関連記事:ロシア国防省がトレツク解放を発表、RYBARは確認も否定も出来ない
※アイキャッチ画像の出典:93-тя ОМБр Холодний Яр
なんでったってロシア軍は犠牲の大きい都市の正面攻撃に拘泥するのだ?
ポクロウシクやクルスク方面のように淡々と半包囲と補給線の打撃に注力すればいいだけなのに。なんらかの理由で短期決戦に持ち込む必要があるならまだしも、時間はロシアの味方なのだから、半年でも1年でも掛けてじっくり攻略すれば良い。そうすればウクライナの継戦能力が先に尽きる
グロズヌイさんに同意見です。
トレツクの事情は分からないのですが、なぜかトレツクでは、ロシア軍のいつもの両翼包囲や補給線の遮断をせずに、当初から正面攻撃で少しずつ占領していきましたね。トレツクの場合は、ロシア軍の現地の司令官か部隊の問題か、地形やウクライナ軍の防衛線とか何か事情があったのでしょうか?
ウクライナ側としては、同じような条件での市街戦はウクライナ軍の好むところです。また、一旦占領されてもウクライナ軍が周囲の拠点から反撃しやすいです。
しかし、今回のトレツクの反撃はゼレンスキーの政治的な戦略かも。ウクライナ軍は反撃に入って突撃を繰り返していますが、トレツクの奪還は無理だと思います。たぶん、この反撃は一時的なものになるのではないでしょうか。
チャシブ・ヤールではさほど大きな混乱が起こってないだけに、
その成功体験がトレツクへの対処を誤らせた可能性はあるかも
前にも書いたと思うけど、トレツクの露軍は後方の部隊もおらずスカスカなのだと思う。
全線で制圧しようとしてる大きめの都市は5つを超えている。
スジャは兵站を切れたので無血開城となったが、他では決定打を繰り出せていない。
ザポリージャでも行動を開始した様が、目的とそれに必要な兵力があっての作戦だろうか。
それならチャシブヤールでも先にやれると思うが。
田舎の小集落など獲っても陽動作戦にならない。
双方とも、何がしたいのかよく分からない戦争。
巨大なグレーゾーン→(巨大なドローン地帯)って事でしょうか。西側からのドローンがなければとっくに。
巨大なグレーゾーンのままってことは、ウクライナの支配領域に復帰もしていない。
トレツクという都市防衛の攻守は既に一度逆転しているわけで、今度はロシアが守るトレツク支配領域にウクライナが攻めかかっている。兵力と火力で優位がないなら、都市を攻めるほうが消耗が大きくなり息切れするのが基本的。ウクライナはトレツクで「戦い続ける」ことはできるだろうが、その消耗は成果に見合うのだろうか。2023年の夏にバフムートの南あたりで、シルスキーが拘って結局消耗しただけの結果の再現になるような気がする。
パイプライン作戦の前からウクライナの攻勢はストップしロシアが少しずつ取り返しているのが視覚的証拠で確認されています。
市内の北部は既に時間の問題で動きが鈍かった南部もロシアが反撃しています。
ロシア側OSINTの一部では「スジャでの作戦行動を隠匿するためにわざとトレツクで下がった」などという意見すらありますが、状況を見る限りでは単に嘘報告が更に嘘報告を招いて嘘の雪だるまが出来てたのではと思います
ウクライナ軍前線部隊、すごい粘りと思います。
嘘報告は無意味だなわけですが、両軍の戦力比・部隊の質がどうなっているのか気になりますね。
トレツク市街地の北側は、衛星写真を見れば開けていますから、トレツク市側から管制できなければ守りにくいかもしれませんね。
ロシア軍の空爆映像、クレバンピク・カテリニフカ(トレツク市北西方向)に17.18日頃に上がっていますが、この付近に無人機の拠点か何かあるのでしょうかね?