ロシア国防省は11日「クピャンスク東市内を完全に解放した」と発表したが、ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは19日「成功の前借りで勝利を祝うな」「クピャンスク方面の報告は現実とかけ離れているだけでなく、この状況は情報戦において敵側に有利に働いている」と批判した。
虚偽の成功が積み重なりすぎて情報戦分野でウクライナ軍につけ込まれる=ロシア軍は自ら自身の信頼を毀損している
ロシア国防省はクピャンスク方面について6月20日「ロシア軍がモスコフカを解放した」と、7月6日「ロシア軍がソボリフカを解放した」と、10月17日「ロシア軍がピシュチェインを解放した」と、10月30日「ロシア軍がサドベを解放した」と、11月6月「5日以内にクピャンスク東部を解放する」と、7日「クプヤンシク・ヴズロヴィイ、クリリフカ、ペトロパブリフカの敵を掃討中」と、10日「クピャンスク東市内のパン工場を占領した」「オリヴィノ駅に南東に位置する森林公園を攻撃している」と、11日「クピャンスク東市内を完全に解放した」と報告。
国営メディアも「クピャンスク東市内解放」を大々的に報じ、ロシア人ミルブロガーが運営するRYBAR、Two Majors、Arkhangel Spetsnazaも「ロシア軍がクピャンスク東市内を解放した」と言及したものの、これまで東市内解放について詳しく述べてこなかったが、RYBARは19日「成功の前借りで勝利を祝うな」「クピャンスク方面の報告は現実とかけ離れているだけでなく、この状況は情報戦において敵側に有利に働いている」と批判した。
“クピャンスク方面では数週間前から次々と報告が上がっており、どれもこれもロシア軍の勝利を謳歌している。小綺麗な迷彩服をまとった男が地下室で紙に書かれた内容を読み上げ、戦場での大きな成功や重要拠点の制圧について語っているが、この報告の殆どが現実からかけ離れているだけでなく、この状況は情報戦において敵側に有利に働いている。ウクライナ軍は客観的な映像で反撃し、この状況に必要な危機対策を講じているのだ”
“ロシア軍がサドベを解放し、クプヤンシク・ヴズロヴィイやクリリフカで掃討戦が進行中だという公式発表があった。オスキル川東岸地域の線路沿いでも幾つかの駅が「解放された」「掃討戦が進行中だ」と発表され、19日には再び「根拠のないクピャンスク市コロンタエフカ地区での成功」が発表され、これは10月30日のサドベ到達を間接的に否定するものだ。さらに解放したはずのピシュチェインでもウクライナ軍指揮所の破壊映像が登場してロシア軍の成功が否定されている”
“素顔を隠した人々によって宣言されたクプヤンシク・ヴズロヴィイやクリリフカの掃討戦がどのように進められているかという問題はひとまず脇に置いておくが、ウクライナ軍は最近、クピャンスク西市内にある乳製品工場の敷地内を移動するウクライナ軍兵士の様子を公開した。これまでの勝利報告に基づくなら乳製品工場は前線の後方地域のど真ん中にある。このような「いい加減な勝利報告」はクピャンスク方面特有のもので、例えばポクロウシク方面のロシア軍は口先ではなく実際の前進で成功を示しており、この成功は両軍が公開する映像で確認されている”
“逆にクピャンスク方面のロシア軍は実際の前進ではなく「見せかけの前進を報告する習慣」を思い出したようだ。もしかするとウクライナ軍が公開した乳製品工場の映像は過去のものかもしれないが、我々にはそれを否定する客観的な証拠がない。そのためウクライナ軍は情報戦によって「ロシア軍がクピャンスクから追い出された」と語ることができ国民や兵士の士気を高めることができる。事実と異なる虚偽報告を行った場合、次に何が起こるかは過去の事例からも明らかだ”
地下室で紙に書かれた内容を読み上げる小綺麗な迷彩服をまとった男とは「ロシア国防省の公式映像に登場するクピャンスク方面の現地指揮官」のことで、現地指揮官が映像の中で「担当前線の状況を報告する」というフォーマット自体は全方面に共通するものの、薄暗い地下のみで報告映像を撮影するのはクピャンスク方面特有の特徴だ。
さらに言えば、ロシア国営メディアは「◯◯を解放した」という報道では「どこ解放したのか」「ロシア軍が何処まで支配しているのか」「前線位置が何処にあるのか」を分かりやす見せる戦況図をつけることが多く、クピャンスク方面でも10月30日の「サドベ解放」までは戦況図を記事に乗せていたものの、クピャンスク東市内の解放発表以降はクピャンスク方面の戦況図なしで「ロシア軍の成功」を報道している。
RYBARはクピャンスク方面について「成功の前借り」を何度も指摘してきたが、今回の報告は「虚偽の成功が積み重なりすぎて情報戦分野でウクライナ軍につけ込まれる=ロシア軍は自ら自身の信頼を毀損している」と指摘しており、ヘルソン方面クリンキー方向、シヴェルシク方面、トレツク方面で繰り返された「成功の前借り」がクピャンスク方面でも問題を引き起こしているのだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России























どのマッパーも解放の公式発表そのものすら報じませんよ。
クピャンスクに関しては完全にデタラメですから。
誰が嘘解放の主体なのかよく議論になってますが、
今回の場合は”西部”軍になりますね。
他の部隊は前進して成果を上げているのに、ドニエプル軍と西部軍だけ街1つの解放もなしです。ドニエプル軍は大人しいですが、西部軍司令部にとっては我慢ならないのかもしれません。
なんかSNSの情報空間という新しいレイヤーが追加された「戦場の霧」ですねえ。
やっぱりこの層で生成AIが出てくるのが時間の問題のような気がする。
ゲーム画像でフェイク作るのは既に行われていましたし。
善意に解釈して、クピャンスクで大規模な成功でハリコフ近郊のウクライナ軍の注意を引き付ける作戦としても、実際の戦闘が無ければ、すぐばれて、逆に兵を抽出されて、別の戦線へ増援されるだけ。露骨すぎて、意図がわからん。騒ぐだけ騒いで、戦闘せず、西側市内の兵力の蓄積中。そうとも見えんし。逆に、先日の西側市内へ突入した得意のトンネル作戦が大失敗に終わっていると感じてしまう。レイバーも、愚にもつかないこのことを、何度も、勝利の前借り批判する理由は無く、何か意図があるのか、この方面の司令官が単にあほなのか、よくわからん。
前借り報告の批判が出るくらい進捗がないのならこの地域のウクライナ軍はよほど優秀で人員が足りているということでしょう
今のロシアの戦法はある程度無能でも成果を出せる方向にチューンされてるのでロシア軍側が無能なだけで説明するのは厳しいですし
にわかに外交による停戦の話が再燃してるのでロシアが占領した(してない)クピャンスクを含むハルキウの返還をロシアの譲歩とする、が交渉の場である話かなとは思った
交渉になれば戦場の実態より仲介者のトランプのご機嫌取りができればどうとでもなるので
(両軍ともにですが)政治外交ステージになっているので、政治外交マターになっているものがどのくらいあるのかでしょうね。
『中間管理職の悲壮』我々目線で考えれば、上司は急かして=部下・現場から突き上げられる、どの組織でもあるのだなと感じています。
ベトナム戦争のように、あまりにも訳の分からない命令をだしていると『指揮官も命が危ない』と思うわけですが、相手方のリークのような形ででも弊害がでているのか少し気になっています。
無理に突っ込んで兵を死なせるのではなくて、偽旗で時間を稼いでいるうちに、ここのロシア司令官はアホだからそこまで守備兵は必要ないとウクライナが守備兵を引き抜いてくれたら、あら不思議!何もしないでウクライナ守備兵を減らしましたってなっちゃう気がします。
その後で美味しくいただきましたとなったら、なかなかの策士ですね。多分、ロシアの司令部は許さないでしょうけどね。味方の司令官からも相当嫌われるでしょうし。
国防省が発表してたので、さすがに嘘報告があったにしても参謀系が今はチェックしてるでしょうし、よほど巧妙な嘘でない限りそれが原因じゃないでしょう。
なので参謀本部あるいは上層部の意向での情報戦かと思っていたのですが…これに対してRybarは改めて一度は乗りながらもやっぱり逆効果だからやめろと言ってる…
他の方も指摘してるように、時期的にも裏で動いてた米露交渉のための発表かもしれませんが、それにしても米国もすぐに気づくし良くないと思うんですがね。