ロシア軍がヘルソン市やドニエプル川右岸地域を放棄して撤退したため国内では「愚行か?裏切りか?」という馴染みのフレーズによる批判が高まっており、クレムリンを擁護するアナリスト達は国民を宥めるため大忙しだ。
参考:После Херсона России предстоит ответить на проклятый вопрос своей истории
参考:Россия меняется, чтобы победить
ただレンドリース法による支援は最終的にウクライナの債務になるため「PDA経由による支援」の方が好ましくはある
プーチン大統領は連邦領に編入したウクライナ領4州(ドネツク、ルガンスク、ザポリージャ、ヘルソン)について「必ず守る」と宣言したばかりだが、ロシア軍がヘルソン市やドニエプル川右岸地域を放棄して撤退したため「愚行か?裏切りか?」という馴染みのフレーズによる批判が高まっており、クレムリンを擁護するアナリスト達は国民を宥めるため大忙しだ。
奇抜なレトリックを連発してクレムリンを擁護してきたペトル・アコポフ氏は「特別軍事作戦での良くないニュースに加え、ウクライナと交渉する用意があるという外務省の声明に対する国民の憤慨はミリュコーフの有名なフレーズ(愚行か?裏切りか?)に振り回された時代を思い出させる」と指摘、何のための戦っているのか、我が軍の背中を刺すような行為は許せない、ロシアの国益を諦めようとする裏切り者は止め無ければならないといった批判は的外れで国のためにならないと警告した。
ミリュコーフはロシアの第一次大戦参戦を強く支持していたものの政府政策の無能さ(食料危機、軍需企業への燃料供給中断、鉄道輸送の混乱など)を厳しく批判、さらに「政府が議会に相談なくドイツとの恥ずべき和平を模索している」と糾弾したミリュコーフは「これは愚行か?それとも裏切りか?」と繰り返し発言、これが国民の政府批判を焚き付けて革命に繋がるのだが、アコポフ氏は「まさに現在のロシアはミリュコーフの苦しみと同じ状況に直面している」と国民に訴えている。
つまり国益のため兵士が前線で苦労しているにも関わらず「ウクライナと交渉する用意がある」という外務省の声明に過激な愛国者は「裏切られた」と感じ、本来敵に向けられる敵意が政府に向かい「クレムリンと国民の一体感を損ない始めている」という意味で、存在しない裏切り者を探し吊るし上げようとする行為こそ愚行であり、勝利を目指す者に疑惑の目を向ける者のこそ国家に仇なすもだと注意し、プーチン大統領や軍を信じるべきだと書いているの興味深い。
さらにデビッド・ナルマニア氏はヘルソン市やドニエプル川右岸地域からの撤退について「勝利するためロシアは変化している。クレムリンや軍は土地よりも人命を優先するという歴史上稀な決断を下した」と評価しており、ウクライナや西側諸国との戦いは消耗を前提にした長期戦になるので「辛抱強く我慢することが重要だ」と批判的な国民を諭し、最終的にヘルソン市はロシアに戻ってくるので安心しろと述べている。
ロシア軍は米国が提供したHIMARSのせいで死地に変貌したドニエプル川右岸地域をどうにか整理することができ、動員という切り札で当面の兵士不足を解消、制裁による影響で問題を抱えながらも産業界を戦時体制に移行、しているため冬場を活用してロシア軍を再編できればドネツク、ルガンスク、ザポリージャ、ヘルソンの占領地域を保持することも可能かもしれない。
問題は戦いの勝敗を左右する砲兵戦力の火力=消耗が激しい砲弾供給で、長期戦になればなるほど西側諸国が支援するウクライナが有利になるため、何としてもロシアは西側諸国の足並みを崩して支援を止める必要があり、米国では中間選挙で共和党が優勢なためウクライナ支援が見直されるリスクがある。
現在のウクライナ支援は米軍備蓄を自由に引き出せる大統領権限(PDA)に基づき行われており、年間1億ドルのPDA上限を議会が引き上げることで成立しているため、これに共和党が反対すればPDA経由によるウクライナ支援に支障をきたすことになるのだが、バイデン政権は議会にPDAを封じられてもウクライナ・レンドリース法(正式名称はウクライナ民主主義防衛レンドリース法案/S.3522)があるので直ぐに支援が止まることはない。
ただレンドリース法による支援は最終的にウクライナの債務になるため「PDA経由による支援」の方が好ましくはある。
関連記事:ウクライナ軍がドニエプル川右岸地域の奪還に成功、歓喜に包まれる解放地域
関連記事:住民が歓喜の声、ウクライナ軍がヘルソン市解放に成功
※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России
共和党が支援見直しますかね?
最初にジャベリン供与したのも、ロシアが攻めてくると警告したのも共和党では?
上下両院を共和党が抑える分割政府なら誰のせいかはっきりするから共和党も迂闊な事はしないハズ
しかし、ねじれに陥ると責任の所在が曖昧になるから互いにバッシングしあってウクライナ支援はおろか軍の予算すらまともに執行できなくなる。
米国にとってもいつまで支援を続けるのかってのは重要な問題で、
それをいつ決めるのかってのも同じぐらい重要な問題ですからね。
共和党としては時期的な区切りをどこかにつけておきたいのかも知れません。
もちろん、その時になったら支援をやめるって意味ではないとは思いますが。
共和党議員にもウクライナ支援賛成派は多いし、アメリカ議会に党議拘束は無いので、少なくとも軍事支援については維持されるのではないかと防衛研究所の高橋さんも言ってましたね。
仮に「共和党」が支援見直そうとしても、
共和党内の保守派とその支持者がそれを許さないでしょう
造反しててでも止めると思いますよ
そもそもアメリカの軍事産業は共和党にも民主党にもガッチリと食い込んでおり
余程、劣勢なら兎も角、確実に成果を出しているウクライナ戦争から
敢えて抜け出そうと言う動きはかなり限定されるのでは?
全く何の成果も得られなかったアフガンですら10年間で100兆円もの予算を投じたことを思えば
まだまだ「たったの」7兆円程度ではアメリカが引くとは思えませんね。
自国主体の作戦に出す金とそれ以外に出す金とでは国家としても国民視点でも基準が異なるかと
まして近年は対中というアメリカに直接関わっている金のかかる難題が存在感を増しているわけですし
>まして近年は対中というアメリカに直接関わっている金のかかる難題が存在感を増しているわけですし
まあそういうアメリカの戦略のグランドデザインの中での差配になるでしょうね。
今のアメリカの主題は中国潰しですから、中国を潰すストーリーにウクライナ情勢が組み込まれているのであれば手厚い支援、組み込まれていない、つまり例えば台湾有事の際には米軍は参戦を”本当に”決めていて、中国を直接軍事的に戦って潰すストーリーなのであればリソースを割く優先順位が下がりますから今後は手薄い支援になる可能性がありますよね。
ロシアでは弱体化のことを変化と呼ぶのか。勉強になりますん。
イジュームやリマンの時も敗走では無く撤退とか言っていたような?
プーチンが何か言うたびにカウンターを喰らっているのを見ていると、ギャグかと思ってしまう。
そしてクレムリンやその取り巻きの妙なプロパガンダまでがワンセット。
ロシア的表現法
ロシア軍は攻勢に出た ⇒ 敵陣の前で全滅しました(バフムート)
ロシア軍は再配備した ⇒ 敗走した(イジューム)
ロシア軍は撤退した ⇒ 全滅した(リマン)
アメリカですら旗色が悪いと「大本営発表」するから多少はね(戦艦ヒラヌマ撃沈とか)
米国中間選挙は想定より現政権が負けなかったし、なりよりも親ロシア?のトランプ推薦候補が多く落選したから
共和党内もトランプ派から主流派が勢力を取り戻し、ウクライナ支援が大きく変わることは当分ないかと。
しかしロシアの思惑からして長期戦は確定ですね…
実際共和党支持でもトランプ率いるQアノンに比べりゃバイデンのがマシと考えてる層も多いみたいですねぇ。
ともかくトランプとロシアがつながったことははっきりしたし
あいつはもう信用できん
ロシアンマネーはアメリカだけでなく、日本にも流れ込んでいるでしょうね。
当たっているよねウラジミール?
某S国会議員「ロシアが劣勢という情報はどこからくるのか。あと2ヶ月もすれば真実がわかるだろう」
侵攻当初、トランプが「プーチンは天才だ」とか言ってた頃までは確かに繋がってたと思いますけど、いつ時点からかわかりませんけど今は訣別してるんじゃないですかね。
繋がりがはっきりバレるのは危険すぎるし、この状況下でちゃんと働いてくれるかもわからないわけですし。
トランプからしたら割に合わない取引相手になってしまってます。
あと、ワグネルのプリゴジンが最近過去の大統領選で工作してたのをバラすという謎の行動をしてて、「なんでこんなことするんだろう」と思ってましたけど「我々と縁を切ったらバラしますよ」ということになっていたとするんなら一応説明は付くんですよねえ。
>「我々と縁を切ったらバラしますよ」
統〇教会かな?
>「我々と縁を切ったらバラしますよ」
ただ、その台詞の脈絡だと「トランプとロシアはまだ繋がったまま」という結論になりませんかね?
その脅しが効くのは相手がまだ明確に決別を宣言していない状況で、それを決断しようか迷っている場合のみだと個人的には考えるので。
しかしウクライナにジャベリンを渡したのはトランプ
これもうわかんねぇな
ではロシアは立て直して再びドニエプル河を越えられるのか?
ウクライナが河を渡れる以上よりも、無さそう
そもそも開戦直後にロシア軍がドニエプル河を越えられたのは
ヘルソンの一部の政治家や軍人がウクライナを裏切ってロシア軍を手引きしたから。
決してロシアが自力でウクライナ軍を押しのけて渡河作戦を成功させたわけではない。
裏切者が処分され、ウクライナが守りを固めた現状では、ロシアがドニエプル河を渡るのは不可能だろう。
PDAはバイデンが在任する限り400億だと思ってたけど。議会がストップをかけられるのか…。
議会が大統領令に拒否権を行使しても、大統領がその拒否権に同意しなければそのまま大統領令が発効するんで、
まず止められませんね。
もっとも、共和党内に何十人といるがっちがちの保守派はウクライナ支援に賛成(それどころか今の支援は生ぬるいと主張している)しているので、
共和党が仮に党として支援停止を主張したとしても、党内でコンセンサスを得ることは不可能でしょうね。
というより、共和党支持者はウクライナ支援は基本的に賛成で、
支援停止を支持しているのは、どちらかというと無党派層に多く、その無党派層取り込みのために、野党である共和党候補が支援停止を主張しているという流れです。
目先の票がほしいがために、従来の主張を引っ込めるのは、野党という立場ではするしかないことではあります
アウトレンジされ続ける以上、後退に意味はないでしょう?
対岸から砲撃で防御というのは絵に描いた餅では。
「クレムリンや軍は土地よりも人命を優先するという歴史上稀な決断を下した」
この考え方が受け入れられるなら征服略奪蛮族ヒャッハーと引き換えに国民の犠牲を受け入れてたロシアが国家として成長しているなと感じるのですが、難しいから無理な攻撃や死守を繰り返していたわけで、実態が昔のままなら本格的に士気崩壊しますね。征服欲以外のモチベーション、非悪魔化などの怪しいプロパガンダを兵士や国民を信じているとも思えません
> ウクライナや西側諸国との戦いは消耗を前提にした長期戦になるので「辛抱強く我慢することが重要だ」と批判的な国民を諭し、最終的にヘルソン市はロシアに戻ってくるので安心しろと述べている。
こんな風に宥めなければならないところを見ると、ロシア軍中枢はどう考えているのか知らないが、大多数のロシア国民はヘルソン市に再度侵攻することを当然のように思っているのでしょうね。
ロシア本国を叩くことが出来ない以上、ロシア国民の意識も変わらないんだろうな。戦争は長引くし、ロシアの本質もなかなか変わらなさそうですね。
ロシア軍がようやく正気に戻った、ロシア人こそが歓迎すべきモーメントだと思うんですが、やっぱり今までのプロパガンダが尾を引いてますね
正気に戻るつ〜〜のはだ、、軍事侵攻によらず政治的にウクライナを中立化すればどこからも苦情はでなかったはずという取り返しのつかない話よ
西側による政治工作は平時でも絶えず行われているはず、それに対して軍を出すという形を選んだ時点でプーチンは敗けていたんですよ
我等民間人がいくら他人から悪口言われても、反撃に暴力に出たら犯罪者と逮捕の対象でしかない、その程度の話
ある意味ロシア軍はオロかなプーチンの犠牲者
動員兵を十分な装備も無しに前線に送っておいて人命重視も無いですが、ヘルソン撤退については確かに人命重視ではあるのでしょう。熟練兵をこれ以上失うわけにいかないというロシアの苦しい状況を表していると言えます。
ただウクライナ軍も黙って見てたわけではなく、渡河地点や交通の要地を執拗に砲撃していたようなので、どの程度無事に撤退できたのかは気になるところです。
ヘルソンは州都であり、占領していた州都を失うのは初めてなので政治的なインパクトは大きいと思えます。次はルハンシクか、メリトポリか。
ロシアの司会者がこういう事を言っていた
「ヘルソン撤退については何も言いたくない。もし私がヘルソン撤退を支持したら、我が国の領土保全に疑問を呈したとして投獄。かといって反対すると、我が軍を貶めたことになりこれまた投獄。私は刑務所に行きたくない。」
新しいアネクドートが誕生した瞬間を目撃してしまった
地名を言ってはいけない例のあの場所、の誕生ですね。
勝利するための変化なら、まずはクレムリンに居座るマフィア独裁の一掃からでしょうに。
まあそうなると、ロシアがこの戦争をやる意味自体が無くなりますが。
>土地よりも人命を優先するという歴史上稀な決断を下した
真面目な擁護らしいのですが、何やらアネクドートの香りがしますねえ
ロシアの伝統に反したプーチンの運命やいかに?
初期の名目を忘れていませんか。
「ロシア系住民の保護」のために侵攻したので、何よりも重要なのは「都市の占領」でしょう。
>世の中には価値観が二つある。
>「人の命よりも尊いものがある」「人の命ほど尊いものはない」
>人は戦争を始めるとき前者を理由とし、終わらせるときに後者を理由にする。
銀英伝より
>「ロシア系住民の保護」
だからわざわざ撤退前に「住民の避難」と謳ったのでしょうよ。
既にロシア系住民は避難した後なので「ロシア系住民の保護」は為されたという建前は一応守ってますよ。
もっともアメリカの議会は日本と違っていて党議拘束はほとんどないから、共和党が勝ったといっても議員個人の考えや、選挙区からの要請で民主党の提案した法案でも共和党所属の議員でも賛成するしその逆もある。
真面目にどうなったらロシアは終われるんだろうなぁ。
本気で追い詰められて核の危機が差し迫ったらロシア本国の攻撃なんてことにはならないんだろうか(ウクライナにやったことの逆パターンで完成されたものをやられる)
ま、ないか。長期戦か
プーチン政権に異議を唱える連中を右も左も粛清して、
完璧な独裁を保てば意味不明な理屈でも負われるでしょう。
焼き打ちに興じた日露戦争後のかつての我が国の国民と同様の
世界観を国民が持っているのは確かなので自発的に変わる
こともないし、対抗勢力も弱すぎるので。
その場合は大きな北朝鮮として、テロと不法物品を
撒き散らす不安定な地域帝国になりそう。
負けを認めようものなら、怒り狂ったラシスト・国粋主義者がプーチンを引きずりおろすでしょう。
プーチンの最大の失敗は何かっていうと、西側と対立したことでもなく、世界から孤立することでもなく、自国ロシアの国粋主義者たちを「その気にさせてしまった」こと。
国粋主義者をその気にさせておいて血と汗を流させておいて、できませんでしたと梯子を外すことは、自分の首に縄をかけて脚立を蹴飛ばすのに等しい。それこそ内戦まっしぐらでしょうね。
攻めるも地獄、退くも地獄。
共和党は勝ったといえる状況ではないので派手なことはしないかな
何より国民はウクライナ支援が大勢で議員も同調しているのでロシアが選挙当日にヘルソン撤退を発表したのもシグナルかと…
ワグネル部隊は9月の露軍ハリコフ敗走時と同様、ヘルソンで敗北しても、どこ吹く風でバフムト攻めしてますね。ドネツク西のDNR攻勢継続は、(ウクライナ実行支配と接する)ドネツク市西防御の一貫なので、まだわかりますが。ワグネル隊はロシア軍他部隊をライバル視していますが、他戦線で露軍が負け続ければいずれ自軍にも影響出ること認識すらしていないんでしょうね。
ワグネルにとっては報酬が全てなので、この戦争でロシアが勝とうが負けようがどっちでもいいのだろう。
ただ、割り当てられたエリアを攻略すれば報酬が出ることになってるので、壊れたBotのように突撃を繰り返しているのだろう。
おかしいのはワグネルではなくて、戦略的に意味のない場所をいつまでも攻めさせ続けているロシア軍だと思うが、
この割り当てを決めたのはロシア軍ではなくてプーチンなのかな?
プリゴジンの目にはポストプーチン時代の権力争いしか見えてないのだろうね。
ここで武勲を上げておけば後々優位に働くだろうから。
そのために動員兵を使い潰しながらバフムト攻めやってんだろう。我利我利亡者だよコイツは
新ユーラシア主義を唱えプーチンにロシアの帝国主義を吹き込んできた思想的メンターのアレクサンドル・ドゥーギンがプーチンに「三行半」を突きつけました。
ヘルソン放棄を引き合いに出して、国を守る責任を果たさなければお前は死ぬことになるぞ、と。ヘルソン撤退のインパクトは、ロシアの国粋主義者にとって大きく、政府に裏切られたと感じている。
この戦争の行く末はかならず、次の選挙かクーデターかはしらないが、プーチンおろしに繋がります。
一切の譲歩も交渉も撤退も受け付けない、それこそ核使用も厭わないような、ほんものの過激派が表舞台に出てくる事になる。
プリゴジンみたいな海千山千のやつらは、そうした過激派の連中を支持層として利用し、バックボーンに置きながら権力を狙ってくるでしょう。