ロシア軍がイジュームやリマンを立て続けに失ったことでクレムリンや特別軍事作戦を擁護してきた人々も不満や批判を隠さなくなり、クレムリンと国民との関係は気まずくなる一方だ。
確な情報が共有されず嘘が上から下に伝達されるロシア軍、ウクライナ軍と比較してある種の経験や装備が劣っている
ロシア軍はハルキウ州北東部での反撃を想定していなかったためバラクレヤ、クピャンスク、イジュームを一瞬で失いオスキル川西岸地域に後退、さらにオスキル川を渡河してきたウクライナ軍の阻止に失敗してしまいリマンを含むドネツク州北部の占領地まで失ってしまい、ロシア人もクレムリンや特別軍事作戦への不満や批判を隠さなくなってきた。
ロシア軍南部管区の副司令を務めたこともあるアンドレイ・グルリョフ議員は「何ヶ月も良いニースがなくリマンではロシア軍が降伏した。ウクライナで一体何が起こっているのか?」と番組司会者に質問されたが、軍事的には説明がつかないと前置きした上で「なぜリマンの防衛を強化しなかったのか分からない。どれだけ兵士が英雄的に戦っても軍事的能力には限界がある。我が軍に潜む問題は正確な情報が共有されず嘘が蔓延っている点で、このシステムは下から上ではなく上から下に進む」と主張。
つまり司令部が不都合な情報を共有せず「プロパガンダ的な嘘情報」を組織に流すため対応が後手に回るという意味だが、グルリョフ議員が「上から下への嘘が蔓延っている」と批判した直後、Skypeの通信が切断されているためグルリョフ議員の指摘も「不都合な情報」なのだろう。
露コメルサント紙のマキシム・ユーシン氏も出演した番組の中で「支配が確立されていない領土を解放名目で自国領に編入する行為は世界的にも聞いたことがない」と述べてクレムリンを公然と批判、さらに国防委員会の副委員長を務めるドミトリー・サブリン議員も「ウクライナ軍と比較してロシア軍はある種の経験や装備が劣っており、一度立ち止まって軍を再編成する必要がある」と主張、もはやクレムリンや特別軍事作戦を支持して擁護してきた人々でさえ不満や批判を隠さなくなってきた。
特に動員される兵士の質について「酔っ払い=アルコール依存症をウクライナに投入しても現状を打開する力にはならない」と多くの人々が指摘しているのが興味深く、詳細を国民に一切明かさず「特別軍事作戦は順調だ」と200日以上も主張してきた国防省を信用する者は国内でも稀な存在になりつつある。
プーチン大統領は占領下のウクライナ領(ドネツク、ルガンスク、ザポリージャ、ヘルソン)を連邦領に編入することで「国外で行われていた特別軍事作戦」を「ロシア領を守るための祖国防衛戦」に移行、国民の愛国心を焚きつけようとしたが動員への不満は高まるばかりで、対外的には「ロシア領への攻撃は戦いのエスカレーションを招く」とアピールすることでウクライナや西側諸国の勢いを削ごうとしたが、逆に「併合した地域を守る」と宣言した部分を次々とウクライナ軍に奪還されクレムリンと国民の関係は気まずくなる一方だ。
因みに露国営メディアはヘルソンでの反撃についても「敵がドニエプル川沿いにDudchany方面への前進を試みたがロシア空軍に打ち負かされた」と報じて問題ないと嘯いているが、新たにMykhailivkaがウクライナ軍によって解放したことを示す視覚的な証拠が登場しており、ウクライナ軍はドニエプル川沿いにロシア軍を15km以上(視覚的に確認されている部分のみ)押し戻している。
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※アイキャッチ画像の出典:Telegram経由
ウクライナ軍の情報封鎖は上手い戦略だったということか。
いつの間にかドニエプルを渡っている可能性すらありそう。
ドミトリー・サブリン議員が主張した「ウクライナ軍と比較してロシア軍はある種の経験や装備が劣っており、一度立ち止まって軍を再編成する必要がある」の「ある種の経験や装備」とはズバリ「情報」だと思います
情報に関する受け取り方や流し方、特に大事な情報を流す時は事実を重視し嘘は極力排除する(逆に事実を流した場合、作戦上不利になる時は情報封鎖を行う)姿勢やその為に必要な経験・装備に関して、ロシア軍はウクライナ軍に対して圧倒的に劣っている感が有ります
それなのに、ロシア軍は自分達やプーチンの願望を優先して、情報では無く「自らの思い込み(=プロパガンダ)」を部下や国民へ向けてへ垂れ流しているのですから、もうこの戦争は勝負あったと言う他は無いです
要するに、プーチンやロシア軍はこれまで自分が垂れ流して来たプロパガンダの毒が自分に回って来た感じですね
> プロパガンダの毒が自分に回って来た
新型コロナ用ワクチン、自国製のやつを普及させようとしたら陰謀論が蔓延し過ぎてて、(少なくともその時点では)性能は悪くなかったのに接種率が低空飛行になっちゃったりもしてましたね
情報だけではないと思う。ただインテリジェンスとインフォメーション、プロパガンダを変な書き方していると感じるが自分だけだろうか、日本語なら日本語で英語なら英語で書いた方が分かりやすいと思うし、プロパガンダの意味を変に勘違いしてないだろうか?ゼレンスキー大統領だろうが各国の為政者だろうが皆プロパガンダの垂れ流しよ。
該当する装備が軽く考えても9種考えられるけど幾つかはゼロベースの開発でも無く、形にはなっている奴があるんだから量産体制に移行できないのかとは思う。
ロシアって結構色々な兵器を作っている印象があったがこの戦争が始まって改めてロシア装備を見てみると意外と持っていない兵器があって驚いている。現時点で投入の可能性が高そうな装備が今年発表の新型巡航ミサイルのみで、どこまでの量産がされてるか微妙なんだよな。
>つまり司令部が不都合な情報を共有せず「プロパガンダ的な嘘情報」を組織に流すため対応が後手に回るという意味だが、
日本人としては、どうしても台湾沖航空戦を思い出してしまいますね
ロシア国民の視点、心情からしたらそうなるのも仕方ないとは思うけど
戦争そのものへの批判じゃなくて、旗色が悪いことへの批判なんだよな……
変な方向に転ぶのも心配だけど、これ、なんとかしてウクライナがロシア軍を完全に叩き出しても次の戦争への火種が燻り続ける気がして仕方ない
だからって、ウクライナやこっち陣営に何ができるってわけでも無いけど
そこに配慮するってのは、イコールでロシアが勝利するということでしかないし
ウクライナの情報部門の責任者が、今回の戦争が終わっても次が起こるだろうというコメントしてたね
ロシアはウクライナが独立して以降、紛争で延々とウクライナの国益を奪う方向で活動していて、
そういうモーメントがある以上、仮に国土から完全に叩き出して停戦しても「次はもっと上手くやろう」と考える。
ロシア人がどれだけ死んでどれだけ経済損失が出てもそれは変わらない
国際社会にできることはまずウクライナの優勢で終わらせること。
そしてロシアの経済と人的資源にできるだけ大きなダメージを与えて
そのいつか来る、次の戦争までの間隔をできるだけ長くすることぐらい
勝った後はすぐNATOに入ってしまうのが一番ですね
ロシアに勝った後は西側にいるウクライナ加盟を阻む勢力は消滅すると思うので、
意外にもすんなり入れそうな気がします
安定した恒久平和なんてありませんよ、とりあえずロシアを倒す、それでいいじゃないですか。
侵略や戦争の芽はこれからも雑草みたいに生まれ続けます、根気よく草むしりを続けていく気力を失わないことです
我等とて敗戦するまではアジアの狂暴な軍事大国と畏れられ、そしてこれからどこに行くのか誰にも判りません
今為すべきを為す、それだけです
それが判ってるから、ザルジュニー司令官の「勝っても次の戦争への休憩期間になるだけ」
というようなコメントに繋がってるんでしょうね。
それは結局また自国民の流血を伴うわけで、アタマが痛いんだろうなぁ…。
先の方の言う情報だけでなく、
ありのままの事実を受け止める大人として必要なはずの度量ってやつも、
彼等には装備されてなさそうですね。
目が覚めるにはまだ足りんか…。
結局のところ、プーチン政権が確立し続けたのは、ロシア国民が強いロシアという大国主義を望んだからなんでしょうね。
侵略行為や併合化に対して政権批判すれば命に関わりますが、軍事的撤退や配置転換に対して政権批判をする事は許されるという風潮を見ますと、弱い指導者はロシアでは許されないという共通認識を持っているのでしょう。
もしプーチン政権が自国民によって打倒される事があるなら、それは戦争犯罪による断罪では無く、弱さを見せたからであって、より強硬な極右政権が台頭して来る気がしてなりませんね。
やはりロシア人は1000万人ぐらいは肥料にならないと、
やはり駄目なんだろうと確信できてしまう
ソ連以降ロシアは戦時賠償が発生するような明確な敗戦を経験してないが今回はそうなる可能性がある。
ロシアRTS(株式指標)も開戦で外国資本が逃げたことで暴落したが
戦況が有利だった7月までは開戦前の水準まで回復した。
ところが9月後半以降は戦況の不利が伝えられるとともに下降してきている。
先行き不安煽るようなニュースがこうも続くと、
政治的な思想と関係なく厭戦気分になるのは普通な気がする。
ウクライナのS-300のミサイルは在庫まだまだあるんだろうか?
SAMは南部戦線の命運を左右する装備だと思うからまだたくさん残ってればいいんだけど
プーチン何やってんだ、もっとちゃんと情報統制しろ
まだへたられるには早い。もっと西側との対立とダメージを負って貰わねば…
今はまだ資源を交渉に使えば、致命傷にならずにおさめられる可能性がある
内乱やテロが起きるくらいまで突っ張れなんて贅沢言わないから、せめて一冬は続けて
次回「プーチン死す」
デュエルスタンバイ!
BBCによれば、ロシアの新聞でもリマンでの敗北や、動員がうまくいっていないことについて、政治問題になるという論調で書かれているそうです。遠まわしだけれどプーチン批判でしょう。負けている戦争に動員されて死ぬほど虚しいことはないので、さすがのロシアメディアも提灯記事ばかり書けなくなったのかもしれません。4州併合の高揚感はどこにも無いようで、プーチンにとって誤算でしょう。リマン奪還はナイスタイミングだったと言えます。
動員兵がほとんど訓練されずに送られていますが、一説によるとこれはプーチンの指示で、戦況を改善するためにとにかく急げ、動員兵を早く送れと言ってるそうです。受け入れ側も準備できているわけがなく、犠牲が無為に増えるだけで、その実態はいずれロシア人にも知られることになるでしょう。
ドニプロ川の西岸にはロシア軍が2万5千人いると言われていますが、それが殲滅されてヘルソンも取られるとなると、リマンどころではない衝撃がロシアを襲うわけですが、その時にどうなるでしょうか。
>「ウクライナ軍と比較してロシア軍はある種の経験や装備が劣っており、一度立ち止まって軍を再編成する必要がある」
そのまま立ち枯れてしまえ
酔っ払いが蔓延しているのは軍だけじゃなく、ロシアそのものの伝統的な宿病みたいなもんだし
たぶんこれからもどうにもできない気がする
批判続出といっても文明国らしい視点で戦争を批判してるんじゃなくて、
我々はもっと上手くやれたと言ってるだけなんだよな
更生の見込みのない犯罪者のようだ
プーチンが最重視してるヘルソンに集結してる2万5千だかの兵には
なけなしの精兵やベテランが相当数含まれてるはず。
これを包囲撃破出来れば、いよいよロシア軍には徴兵された素人軍団しか残らないのでは…。
これは本当にクリミアの早期奪還さえ現実味帯びてきましたねぇ…
プーチンの実績ってスポーツ振興と節酒、禁煙政策くらいか
とは言え呑兵衛さんが動員されてたあたりそれも上手くは行かなかったみたいだ(笑)
川沿いは砲兵の格好の的のように思えるけど、あえてこのルートを掘っていくってことはロシア軍はもう弾残ってない?
動員が始まって自分達のケツにも火がついてきた。
これ以上負けが込めば自分たちが動員されちゃうもんな。
ネットに触れられるロシア国民はテレグラム通して情報は入手出来てるので
プロパガンダしかないロシアメディアは始めから信じてないです。
逆にネットに触れない高齢者はロシアのプロパガンダに染まってますが。
この期に及んでも まだプーチキン批判は出ないのか?
別に軍のせいではないだろうに。
さらにはまだ挽回できると考えてるノー天気さ。
ロシア人とは とことんダメな連中だわ。
ナチスドイツに勝った事で勘違いしちゃってるんだろう。
レンドリースが役に立たなかった事にロシアでは成ってるらしい。
スターリンもフルシチョフも役に立った事を言ってたし、下記の援助が効かないはずない。
今回これがウクライナに有ることが理解できていない模様。
こう言う所も統制国家はダメだな。
レンドリース
航空機2万2,000機以上、戦車1万台、ジープ4万4,000台、トラック37万5,000台以上、重機約8,000台、ライフルなどの銃器2万丁、爆薬34万5,000トン、魚雷艇202隻、駆潜艇105隻、貨物船90隻、さらには食品、鉄鋼、非鉄金属、石油製品、綿、皮革、アルコール、毛布、軍用履物、ボタンまでソビエト連邦に供給した。
ロシア国内も必ずしもプーチン支持の一枚岩ではなく、これまでも幾ばくかの批判や戦争反対の意見は水面下では継続的に存在していたのでしょうが、動員令での動揺と混乱をきっかけににわかに表面化してきたように見受けられます。
最近少し話題に上がるyoutubeでのロシア人への街頭インタビュー動画を見てみましたが、やはりナマの声や表情からは感じさせられるものが多い。
言葉はわからなくとも、不安や焦燥、動揺、そして何より政治権力の決定に対してどうしようもないという諦めや無力感といった感情が、多くのインタビュー回答者から共通して感じられます。
当面、軍事的にはよほどのことがない限りはウクライナの優勢が続きそうな勢いですが、なかなかどうして、それだけの話ではないですよね…。
>そして何より政治権力の決定に対してどうしようもないという諦めや無力感といった感情
程度の差はあるでしょうが、政治的な流動性が欠如した場合、洋の東西を問わずそのような感情が起きるのですね。
それも真なりと思いますが、ロシアでは有史以来、民主主義や公正な選挙が実現したことがない事をお忘れなく。
政治への感覚は本邦江戸時代の「お上」の感覚と近いように思えます。
ロシア国内で盛り上がっている軍隊の指揮統制に係わる歴史的文化的な部分の省察、何かミスリードっぽい気がするんですよね。上意下達式の軍隊が現場主義型の軍隊に必ず負ける訳では無いし、何なら西欧や自由主義側の国にも上意下達型の硬直した命令系統の軍隊ってありますからね(フランスとかその傾向が強い)。そもそもかつてのソ連軍や旧日本軍がそうであるように、そういう硬直的かつ強靭な組織がアホみたいな強さを発揮する局面って一定数あるんですよ。
ロシア軍がウクライナに勝てない問題ってそんな文化だの社会学だのの領域じゃなくて、もっと低層の戦術レベルのレイヤーの話なんじゃないかなあ…。つまり、軍政改革が中途半端に終わったことで「小さなソ連軍」と化してしまったことが、この戦争での足腰の弱さに繋がっているんじゃないかと。
あと、将軍の判断が云々というのはどう考えても将軍や参謀本部より上の政治マターでしょう。将軍や軍隊の問題じゃなくて大統領府の問題ですよ。
ロシアは民主主義の皮を一応形式的にかぶっているだけで
プーチンはまるで皇帝のように君臨しており、盤石な専制体制を敷いている
クレムリンと国民の関係かぁ・・・、仲が良いも悪いも無いだろう
全ての決定権はプーチンが持っている、国民は何の決定権も持っていない
全てプーチンの気分次第で与えられたり奪われたりするだけ
今更、基本的人権や、言論の自由や、政治信条を主張する権利とか
まるでそういった権利を持っているかのように批判とか議論とか
しているのは何だか滑稽だな
あんたらそんな権利持ってないっつの、まだ気付いてないんだろうか
どなたもまだ指摘されていないので、書いておきます。
アイキャッチ画像にあるのはご当地モニュメント(おそらくは地元の守護聖人)だと思いますが、
なんとなく『ゆるキャラ』に見えてしまうのは私だけでしょうか。
あんな恐ろしい国で一市民が逮捕や暗殺の危険を顧みずここまで踏み込んだ批判や抗議が次々と行うことに希望を感じるが、遅れた体制のせいで活かせていないのが残念だ。民主化して