露国営複合企業のロステックは3日「エジプトで開催されるエル・アラメイン国際航空ショーでは、これまで一度も公開したことがない低観測性、長大な航続距離、高速性を備えた多目的のステルス無人機を搭載したSu-57Eを展示する」と発表したが、これは防衛見本市や輸出市場で低下する存在感をカバーする話題作りだろう。
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Su-57Eに搭載可能なステルス無人機というアピールに新鮮さも大きなインパクトもない
プーチン大統領は2022年2月24日に開始した特別軍事作戦の目論見が外れ、同年9月にはウクライナ軍が開始した反攻作戦で占領地域を大きく失ってしまい、同年11月にはミシュスチン首相とショイグ国防相に「特別軍事作戦が真に必要とする補給ニーズに対応した計画を14日までに提出しろ」と命じ、これは過去10年間に約20兆ルーブル(年間2兆ルーブル)も投資してきた国家兵器開発プログラム=Российская государственная программа развития вооружений(ГПВ)の実質的な中止を意味していた。

出典:Kremlin.ru/CC BY 4.0
ロシアは国家兵器開発プログラムを通じて最終的にT-14を装備する師団創設を含む2,300両の装甲車調達、ボレイ型やヤーセン型原潜などを含む100隻の艦艇調達、Su-57、Su-35、Mi-28N/NM、Ka-52などを含む1,700機の航空機調達、S-500やS-400など70の防空システム調達、イスカンデルを含む2,000の砲兵装備、250発以上の新型ICBM調達を目指してきたが、プーチン大統領の指示が出ると国防省や防衛産業界の関係者は「ウクライナでのニーズを優先するため国家兵器開発プログラムは国防予算の配分を左右する文書ではなくなった」と述べ、高価な装備開発や調達への資金供給は大幅に削減されてしまう。
プーチン大統領は2019年「Su-57を2028年までに76機調達する」とソチの会議で発表したが、2026年1月時点で確認されたSu-57の量産機は推定30機~34機しかないため、これは「ウクライナとの戦争に必要とされていないSu-57調達に計画通りの資金が供給されていない」と示唆しており、量産機の引き渡しが2024年に予定されていたステルス無人攻撃機=S-70オホートニクも開発優先順位が大きく引き下げられた可能性が高い。

出典:TV Zvezda
現在のロシアにハイエンドの装備開発や調達を当初予定通りに進める余裕など残っているはずがなく、話題作りを除けば防衛見本市や輸出市場における存在感はどんどん低下し、2021〜2025年の武器輸出量も2016〜2020年と比較して64%減(SIPRI報告の数値)で、プーチン大統領は「2025年の武器輸出総額は150億ドルを超え、アフリカなど30ヶ国以上に武器を供給した」と主張したものの、これは将来の引き渡しを確約した約束、制裁を回避する資源とのバーター取引、小火器やサービスの提供額なども合算した水増し額だと予想されており、そこまでして数字を積み上げたのは西側の制裁が機能しないとアピールするためだろう。
ロシアの輸出総額に占める武器の割合は5%以下だが、この数字には軍需産業に従事する数百万人の雇用や企業の維持が掛かっており、ハイエンド装備の開発にかかった莫大な資金の回収も必要で、武器供給を通じた政治的・外交的な影響力の維持も必要なため、防衛見本市や輸出市場でロシア不在の状況が長引くほど非西側製装備としての地位を中国に奪われてしまうため、ロシアにとって派手な話題作りは欠かすことが出来ない。

出典:Ростех
露国営複合企業のРостех(ロステック)は3日「ロシアのSu-57Eはエジプトで開催されるエル・アラメイン国際航空ショーで、これまで一度も公開したことがない全く新しい兵装を搭載した輸出仕様で展示する」「これはSu-57から発射する低観測性、長大な航続距離、高速性を備えた多目的のステルス無人機で、このプラットホームは用途に応じて異なるタイプの主翼を装備している」「我々は第5世代戦闘機からの運用を想定し、幅広い任務を遂行可能な汎用プラットフォームファミリーを開発した」と発表し、ロシアの存在感を示す話題作りを仕掛けてきた。
Su-57から発射するステルス無人機なのでS-70オホートニクの可能性はなく、既存の計画を使いまわしているなら2021年に公表されたSu-57やSu-75のウェポンベイに収まるサイズのライトニングズ(全長約1.5m×主翼展開時の全幅1.2m/モックアップの数値)かもしれない。この小型無人機はモジュール式のユニットを交換することで複数の任務(偵察・監視、レーザー照準器を使用した精密誘導兵器の誘導、自爆攻撃、囮役など)に対応できるプラットフォームだと予想されており、ロステックが言及した無人機に相当近い存在だ。

出典:Минобороны России
ただし、ロソボロネクスポルトはエル・アラメイン国際航空ショーで展示する武器リストの中で「第5世代戦闘機から発射可能な最新の無人機プラットフォーム「S-71M」および「S-71K」の披露が予定されている」と言及しているため、これは空対地ミサイルの「S-71K コヴョール」とS-71KにEO/IRと自律捜索能力を追加した「S-71M モノクロム」なので、これが一度も公開したことがない全く新しい兵装=Su-57から発射する低観測性、長大な航続距離、高速性を備えた多目的のステルス無人機なら「航空ショー向けに兵器カテゴリーをイジっただけ」となる。
どちらにしても2020年代前半に登場していればロシアの先進性を示すことが出来たものの、既にS-70オホートニクが目指していた有人戦闘機と協調可能な無人戦闘機は複数登場し実用化も目前に迫っており、航空機から空中発射できる多目的無人機も多数登場しているため、Su-57Eに搭載可能なステルス無人機というアピールに新鮮さも大きなインパクトもない。
T-50 with S-71K “smart” cruise missile taking off from Zhukovsky.
This summer. pic.twitter.com/6NDLFYSs8K— George N. (@GeorgeN28581) November 3, 2025
ちなみにロステックはSu-57の性能について「敵の探知手段に対する低観測性、超機動性、運用可能な兵装の多彩さが特徴で、その性能は実際の戦闘状況において実証されている」と主張しているものの、これが事実なら「なぜSu-57は第4.5世代機の生存が困難な競争の激しい空域で違いを作れないのか」となり、これは長距離攻撃兵器が枯渇した米国にも当てはまる皮肉(どうしてステルス能力が優れたF-35やB-2で安価な爆弾による空爆を行わないのか)で、もしマーケティング上の売り文句が正しいのなら貫通型ステルス戦術によるスタンドインで作戦コストを圧縮できるはずだ。
米国とロシアが大金を投じて開発した第5世代戦闘機は方向性や思想に違いがあるものの、第4.5世代機では叶わない戦果を戦場で挙げたと胸を張って言えるのかどうかは良くわからない。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухой Su-57





















昔の基地祭のF-22みたく、何もない場所に『ステルス機だから見えない』って看板でも立てるのかね
最新技術と莫大な資産を投じて作った最新鋭ステルス機の使い道がドローンの運び屋か
泣けてくるな
ドローンは高度化した巡航ミサイル、または巡航ミサイルは黎明期のドローン、と考えれば戦闘機の使い道なんてそんなもんですよ
ロシアの航空戦術研究の中から出てきたのはMFI計画に基づくMiG-1.44やSu-47であり、これらの機体は一部でステルス設計が取り入れられていたとしても基本は圧倒的な機動力を重視した戦闘機として開発されていたことがわかります
しかしF-22が第5世代機=ステルスという図式を作り上げていた中で、兵器を重要な輸出商品としているロシアは新型戦闘機として第5世代というカテゴリーに従った開発をせざるを得なくなり、結局MFI計画は中止となりSu-57が作られることになりました
つまるところロシアは商業的価値を除けばステルスにさほど期待している素振りはなく、それまでのソ連/ロシアの航空戦術の発展史やMFI計画の要求からしても、ロシア軍が戦闘機に期待しているのは自軍上空の航空優勢とCASを維持するための邀撃にあるはずであり、アメリカ軍のような侵空思想は持ち合わせていません
米国には通じてないでしょ
このサイトでも散々指摘されてるようにF35はスタンドオフミサイルへの対応が間に合っておらず、つまりF35が投入された戦闘ではほぼ間違いなくJDAMによるスタンドイン攻撃が行われている
英国人の「F-35は第二次世界大戦の爆撃機と同じ使い方しかできない」という揶揄はなんなんでしょうね。
ロシア本国でもまともに使用されておらず、コンバットプルーフもされてない兵器とか、グローバルサウスの国々も買わないだろうね。
というか経済協力考えたら、中国兵器買った方がコスパいいだろうし。
スプートニクの工場が攻撃を受け、ラスヴェット衛星も失敗続きで、このままいくと宇宙産業からもロシアは退場しそうだし、マジでこの先どうするつもりなんだろ。
史学だと「軍隊は戦争をすればするほど強くなる/弱くなっていく」という二律背反が両方成立する場合があるんですが、まさにこういう事なんでしょうね。太平洋戦争に突入した時点での装備の後進性を指摘されがちな旧日本軍も、その根本を辿っていくと10年近くやっていた日中戦争に予算とリソースを吸われていた結果、30年代相当の近代化が後回しになったという事情が背景にあります。前近代のように経験豊富な熟練兵だけで戦争に勝てる時代ならともかく、現代では次世代戦術の研究サイクルが止まってしまえば大国間の正規戦で優位性をとることは難しいでしょう。この戦争が続けば続くほど軍事大国ロシアは弱く小さくなっていくでしょうし、連邦内におけるモスクワの影響力も低下していくでしょう。案外、開戦当初に語られていたようなロシア国家の解体のようなシナリオが本当に来るのかもしれないですね。
モスクワの影響力が低下するという可能性は低いと思いますけどね…近年はシベリア開発の注目度が上がってきたとはいえ、約2000万人の人口や政治の中枢、資金はモスクワ周辺に集まっています。連邦内の多くの州や地方、共和国、自治管区の財政は中央政府から賄われていますし、そもそもロシアにおけるロシア人は7割を占めており、その他は無数の少数民族が跋扈しているだけで集団としての独立欲求もほとんどありません。
ロシアはこの戦争が始まってからもモスクワ一極集中を進めていますし、ロシアが90年代初頭を上回る致命的な経済崩壊を起こさない限り、ロシア国家解体はほとんど起こらないでしょうね…
B-2については、確かに他には出来ないことをやってのけてますが、戦闘機タイプは・・・。