ロシアの巨大複合企業ロステック傘下のトゥーラ器械製造設計局(KBP)は最近、無人航空機(UAV)の迎撃にも対応した多目的対戦車ミサイルの開発を開始したと明かして注目を集めている。
参考:Russia develops first ATGM capable of shooting down UAVs
無人航空機(UAV)迎撃に対応した対戦車ミサイル開発を開始したトゥーラ器械製造設計局
トゥーラ器械製造設計局は小銃や機関銃などの小口径な火器を多数設計・製造している企業だが、ロシア陸軍が正式採用して海外輸出も行われている近距離防空システム「パーンツィリS1」や対戦車ミサイル「メティス」を設計したことでも有名で、最近ではKBP→パーンツィリS1→対無人航空機対策に力を入れている企業というイメージが強い。
そんなKBPが最近、無人航空機(UAV)の迎撃にも対応した多目的対戦車ミサイルの開発を開始したと発表して注目を集めている。
KBPによれば「有人航空機よりもサイズが小さく赤外線シグネチャも微弱で確実な照準が難しい無人航空機(UAV)と確実に交戦可能な対戦車ミサイルは存在しない」と説明して、新しくKBPが開発している対戦車ミサイルは戦車や装甲車両など従来の標的を確実に破壊することは勿論、これまで対応が難しかったUAVとの交戦を可能にするユニークなシーカー(赤外線画像シーカーと光学系シーカーの併用で打ちっ放しに対応)を備えているらしい。
果たしてどの様なものになるのか現時点では不明だが、対戦車ミサイルを活用して無人航空機の迎撃を行うのはロシアに限った話ではない。
米陸軍が昨年採用した近距離防空システム「IM-SHORAD」も携帯式防空ミサイル「スティンガー」の他にAH-64EやAH-1Zなど対戦車ミサイルとして使用している「ロングボウ・ヘルファイア」を搭載しており、無人航空機の迎撃に対戦車ミサイルを活用するのは一種(対戦車ミサイルと別にUAV迎撃用のミサイルを用意すると兵站に負荷がかかるという意味で)のトレンドなのだろう。
余談だが米軍はリビアで奪取されたロシア製の「パーンツィリS1」を入手してドイツ経由で米国本土に移送したことが確認されており、世界で最も無人航空機(UAV)との交戦経験が豊富で携帯式防空ミサイルを流用した簡易の近距離防空システムとは比較にならないほど高い防空能力を備えたパーンツィリの技術的特性が明らかになると期待されている。
補足:パーンツィリS1の火器管制システムは目標検出を担当する「1PC1-1E」、目標追尾・誘導を担当するディアルバント(UHF/EHF)のフェーズドアレイレーダー「1PC2-1E」、赤外線捜索追尾システムが組み込まれた電子光学センサーの3つで構成されており、搭載された30mm機関砲×2門と専用設計の上昇ブースター付き迎撃弾「57E6E」×12基を使用して15m~15000mまでの高度を飛行する目標(固定翼機、回転翼機、誘導ミサイル、無人航空機など)と交戦することが可能と言われている。
特にパーンツィリに匹敵する装備は西側陣営には存在しないため、実機を分析すれば現時点では判明していない秘密が出てくるかもしれない。
関連記事:米陸軍、対UAV対策として近距離防空システム「IM-SHORAD」調達を決定
※アイキャッチ画像の出典:Vitaly V. Kuzmin / CC BY-SA 4.0 対戦車ミサイル「メティス」
リビア内戦でトルコが一機だけ鹵獲したって記述日本語版wikipediaに載ってるんだけれども……そのうちエルドアンも似たような装備作りそうな予感
ドローン言っても爆撃機並みに高性能なものもあれば低価格な徘徊・自爆型なんかもあるし、どんなタイプが対象なのやら。
多目的になればなるほどミサイルが高額になるのは避けられないし、ミサイルより遥かに安価なドローンで物量攻撃されたらなす術ないです。
難しい時代になったものですね。
レーザーとかHPMとかの手段が実用化するまでの過渡期の課題かと。
戦車を吹っ飛ばせるミサイルで蚊トンボ(ドローン)を始末するって豪快な話やなあ
対戦車ミサイルでふっとばすというのは、面白いですがコスト面ではどうなんでしょうか?
高いミサイルを対空兼用にしてマルチタイプにするという意味では?アメリカのジャベリン相当のミサイルからで、航空劣勢側ですしUAV対策に追われて2S38 ZAK-57 Derivatsiya-PVOというBMP-3Mベースの57mm機関砲車両発表(搭載弾数が少ないらしい)しているし、この車両に対空兼用対戦車ミサイルも搭載して対応能力増したり、小型軍用車両に対戦車ミサイル8発搭載しているのも存在しているので、そういう車両とかにも搭載して量産効果で後から安くなる位で考えているでしょう。
長く書きましたが、結局はAPS搭載するとレーダー付けないといけないのでついでにミサイルも対空兼用対戦車ミサイルにするよ、宣言なのかと。
旧式と置き換える予定の対空車両の動画
リンク
なるほど
あと、携帯式防空ミサイルからわざわざ
あと、携帯式防空ミサイルから、わざわざ対戦車ミサイルに変更する流れもよくわからないですね
UAVが中高度から使用する精密誘導兵器の到達距離がスティンガーの射程と射高を超えてるから
対戦車ミサイルの方が到達距離長いのだっけ?
むしろ「低空低速タイプのUAVなら高額な対空ミサイルではなく安価な対戦車ミサイルでも対処できる」という話なのでは。
それとUAVはいつどんなタイプが仕掛けてくるか分からんので
防御側は「使えそうな装備は何でもUAVに対応可能にしておく」というのはアリだと思う。
ドローン対応にはどこも四苦八苦してんなぁ
いずれドローン狩り用ドローンが出来るとは思うのだが
対戦車、対空兼用のミサイルといえばADATSが思い浮かんだが、あの頃は対空に使えるミサイルを対戦車用に使うのはもったいないとかで、結局ほとんど売れなかったようだが、時代を先走りしすぎていたか。今だったら日の目を見るかも。
カナダだけ36基導入したみたいですね、2012年に退役してますけど。
ロシアにも冷戦時代に必要と開発していたものの、最近やっと採用開始になった車両が有りまして、T-72の車体を採用したBMPTというのですが、ミサイルは対空兼用らしい・・
【ゆっくり現代戦車解説#16】BMPT チェルミナータ/БМПТ Терминатор
リンク
お金問題で後回しにされやすいタイプの戦闘車です。
鹵獲は基本
パーンツィリの性能いかんでは、アメリカがロシア兵器をパクるという歴史的逆転が起こるかもね
ステルス技術だってロシア由来。
兵器のスペック盛りに盛ってんのカラバフ紛争でバレたロ〇ケさん
以外にPS4とVRゴーグルが搭載されていて拡張現実使ってPSのコントローラーで迎撃してたりしたらどうします?お笑いネタですけどね。
あのコントロ-ラーは使い勝手が良いようですね。
どこかの潜水艦で使っていました。
そういうのをテレビで見ましたよ。
機械化歩兵は、UAVやUGVを含めて、続々と登場する新たな兵器に対応するために、
攻守ともにいろんな兵装を検討する時代ですね。単に、安い高いで議論できないかと。
インフラ整備もろくに進められず道路の穴は修理できなくても軍事技術だけは即座に対応がなされる
産業技術の底上げは遅々として進まないがこうした部分だけは突出する
軍事研究に反対する連中の気持ちもわからんではない
ま、錯覚だがな……ドアの前で包丁握ってる人間がいたら話し合う前にまず我が身の防護を考える方が人として正しい思考だ
話し合いはそのあとでいい
ドローンを捕獲できる低コストで画期的な方法が開発されるまでそれなりのコストをかけてフットワーク軽くとりあえず導入してとっとと試しそれなりの実用性を確保していくスタイルのロシアを少し羨ましく思います