ロシア関連

ロシアが情報発信に対する締付を強化、標的はSNSアカウントの所有者

ロスコムナゾールは11日「1日あたりの閲覧数が1,000人を超えるSNSアカウント所有者は氏名や連絡先をロスコムナゾールに通知しなければならない」と発表、ロシア人ミルブロガーのFighterbomberはロスコムナゾールの発表について「そろそろ潮時だ」と述べている。

参考:Блогеров с аудиторией более 1 тыс. человек могут обязать сообщить о себе в РКН

Telegram上で発信されるロシア側の情報に変化が生じるかもしれない

ロシアメディアは法律によってロスコムナゾール(Роскомнадзор=メディアの監視・規制・検閲を担当する省庁)への登録が義務付けられており、政権や特別軍事作戦に批判的なメディアは「望ましくないメディア=事実上の非合法化」に指定されて排除される仕組みを採用しているため、多くのロシア人は秘匿性の高いTelegram上で意見を述べたり情報交換を行っている。

出典:Telegram

一部のロシア人が運営するTelegramチャンネルは数万十万人~100万人以上の登録者を誇り、特別軍事作戦に関する情報は検閲が厳しいメディアではなく軍事ブロガーのTelegramチャンネルを通じて流通し、政府や軍にとって都合の悪い情報もTelegramに投稿され拡散することが多く、ロスコムナゾールは11日「1日あたりの閲覧数が1,000人を超えるSNSアカウント所有者は氏名や連絡先をロスコムナゾールに通知しなければならない」「条件を満たしていないアカウントへの広告配信を禁止することも検討中」と発表。

ロスコムナゾールは「所有者が不明なSNSカウントは偽情報の拡散、暴力や自殺の扇動、児童に対する違法行為への勧誘、その他の禁止情報を配信している」と述べ、今回の措置は表向き「SNSコミュニティの健全化」を謳っているが、本当の目的は誰の目にも明らかだ。

ロシア人ミルブロガーのFighterbomberはロスコムナゾールの発表について「そろそろ潮時だ」と述べており、Telegram上で発信されるロシア側の情報に変化が生じるかもしれないが、ウクライナでもTelegramを含むSNSの規制に関する動きが確認されているものの公式化されていない。

関連記事:ロシア軍司令官が妻や母親を脅迫、もし黙らないなら夫や息子を特攻隊に送る
関連記事:部分的動員で夫を駆り出されたロシア人妻、国防省前に集まって復員を要求
関連記事:ボルチャンスクで戦うロシア軍兵士、軍検察や大統領に助けを求める
関連記事:ロシア軍も補充兵の供給に問題、契約軍人を募集するコストが跳ね上がる
関連記事:ロシアの動員数は損失を十分カバー可能、10ヶ月間で38.5万人を確保
関連記事:ウクライナは囚人動員を開始し、ロシアは判決前の被告人動員を強化
関連記事:ゼレンスキー大統領、刑務所から囚人動員を可能にする法案に署名
関連記事:部分的動員に服務期間の定めなし、ロシアでも兵士の動員解除を求めてデモ

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain

ウクライナ軍はハルキウ方面で反撃、ロシア軍はドネツク方面で前進前のページ

ポーランド外相、ウクライナ旅団創設に数千人のウクライナ人が登録した次のページ

関連記事

  1. ロシア関連

    ロシア陸軍、主力戦車に対する対戦車ミサイルのトップアタックを防ぐ保護装置を導入か

    ロシア国防省は17日、ウクライナと国境を接するロストフ州のカダモフスキ…

  2. ロシア関連

    米国はロシアの要求を拒否するも交渉継続を希望、ウクライナ侵攻の可能性は?

    米国とNATOはロシアが要求した安全保障協定に関する回答文書を提出、事…

  3. ロシア関連

    2月24日に向けてロシア軍は攻勢拡大? それとも準備不足で実施困難?

    今のところロシア軍は攻勢はクピャンスク、クレミンナ、バフムート、マリン…

  4. ロシア関連

    ロシア外相の挑発、和平交渉再開はゼレンスキーの気分と西側の指示次第

    ロシアのラブロフ外相は11日、プーチン大統領が動員発表時に使用したレト…

  5. ロシア関連

    ギリギリセーフ? ロシアの対独戦勝パレード参加中の歩兵戦闘車「K-17」から黒煙

    ロシアは24日、モスクワの赤の広場で対独戦勝75年周年を祝う軍事パレー…

  6. ロシア関連

    ロシア、トラブルが解消した主力戦車「T-14」の大規模量産を開始

    ロシア国営のタス通信は3日、次期主力戦車「T-14」と次期歩兵戦闘車「…

コメント

    • nton
    • 2024年 7月 11日

    telegramは以前も規制されたことがあったので聖域ではないでしょうが、これで貴重な軍事ブロガー情報の今後が不安ですね…
    rybarなんかはもう身バレしてるので今更でしょうが、匿名でやってた情報源が消えたり圧力かけられて委縮するのが心配です。

    18
      • paxai
      • 2024年 7月 11日

      おそロシアの事だからお前らの個人情報なんて全て知ってるけどな?ってやってるもんだと思ってたがそうでもないのかな?

      2
        • 黒丸
        • 2024年 7月 11日

        ロシア人のハッカーで今でもロシアにとどまっている奴らは
        KADOKAWAみたいに外国企業をハッキングして、身代金巻き上げるほうがメインかと
        ついで軍事情報や企業機密情報の収集といった情報機関のお手伝いかと
        反政府系ロシア人の個人情報抜いても1コペイカにならないので、やりたがる奴はいないし
        そういう技術は中国から購入するかと

        6
    • たむごん
    • 2024年 7月 11日

    閲覧数を考えれば、かなり厳しい条件ですね。

    管理人様の記事を通じて、最前線の情報・両軍の内情を勉強させて頂いていますが、SNSによりOSINTの重要性が高まっている点が特に勉強になりました。
    アメリカの国家情報長官も、OSINTの重要性に言及していますが、ロシアもSNSは情報をコントロールしにくいたいめ敏感になっているのかもしれませんね。

    ロシア側の情報発信が質・量ともに変わるのか注目したいと思います。

    (2024.06.22 長年無視してきたOSINTの活用、組織や人間の文化自体を変える必要性 航空万能論)

    7
    • Easy
    • 2024年 7月 11日

    むしろこれまで規制されていなかった方が驚きですね

    16
    • 匿名
    • 2024年 7月 11日

    検閲なんて戦時中だと大なり小なりありますし、それに日本でも他人事では無さそうですね…
    戦時中でも無いのに鹿児島県警が令状も無しにメディアへ押しかけ証拠を隠滅したりする国ですからね、これが中国やロシアで起こった出来事なら西側の人々は権威主義的だと糾弾するのでしょうね。

    21
    • 古銭
    • 2024年 7月 11日

    ネット上での、あるいは外面を取り繕える程度のものでは、ウクライナ政府が試みて断念したように規制手段としては貧弱に過ぎます。
    適度なデジタルを取り入れた古き良き手法に頼る以外で長期的な成果を出すことは難しいでしょう。

    1
      • 古銭
      • 2024年 8月 26日

      そしてTelegram創設者はフランスで逮捕されました。
      公平に言えば、他の多くの同業者と同様に、彼を逮捕するための名分は幾らでもあるので不当ではありません。
      情報の統制というものは綺麗事や中途半端な手段だけではやっていけないことを示す好例となるかもしれませんね。

    • 765
    • 2024年 7月 11日

    SNSで閲覧数1000て
    逆に登録多過ぎで管理しにくくないか?

    12
    • 東部軍管区
    • 2024年 7月 11日

    荒れるなよ・・・荒れるなよ・・・

    10
    • 2024年 7月 11日

    閲覧数1日1000人って自分の弱小Twitterアカでも達成できそう

    4
    • あるまじろ
    • 2024年 7月 11日

    この規制の肝は『閲覧数が(毎日)1000人』だと思う

    普段の閲覧数1桁が、ちょっと有名になって閲覧数1000人超えなんてザラにある。
    1000人が共謀すれば、好きなアカウントを登録させる事もできる。

    何かの拍子に1000人超える事を考えると、
    どんな泡沫アカウントでも常日頃から『正しい言動』を心がけるしかない訳だ。

    いや、上手いこと考えたもんだわ。

    8
      • 鼻毛
      • 2024年 7月 12日

      ボットで閲覧数増やされることも考えられますが特定界隈に晒しリポストされたら即身バレですね

    • w
    • 2024年 7月 11日

    ダゲスタン共和国でのWhatsApp利用者に対して、当局が通信速度を低下させている旨をタス通信が月曜日に報じていました。
    ロシア側の「対テロ協力要請」をメタが撥ね付けた(曰く、「ワッツアップの管理者には、過激派行動への参加呼びかけの拡散を阻止するよう要求が送られたが、無視された」)為にテロ対策活動として遅延させているとの事。
    クロッカステロ以降コーカサス周辺ではきな臭い動きが続き、分断が加速しているようです。

    8
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  5. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
PAGE TOP