ロシア関連

ロシア、兵士が構えた携帯式防空ミサイルが暴発する恐ろしい動画

ロシア製の携帯式防空ミサイル「9K38イグラ」を構えた兵士の肩で暴発して予想外の結果をもたらす動画が注目を集めている。

参考:Rus askerinin omzunda patlayan roket

これで無事に済んだのが奇跡かもしれない携帯式防空ミサイルの暴発

これは今年8月~9月にかけて開催されたロシア国防省主催「ARMY-2020」での出来事で、各国の兵士が各分野に分かれて技量を競い合う陸上競技の「防空ユニット」での出来事だ。

競技に参加したロシア軍チームの兵士がロシア製の携帯式防空ミサイル「9K38イグラ」をセットして肩に構え、競技官からの「発射」指示と同時にイグラの発射トリガーを引いた途端、筒に収められていたミサイルが飛び出すことなく推進剤に着火して発射装置ごと予測不可能な軌道を描き飛んでいってしまうという内容だ。

射点から離れた位置で見つかったイグラは中央部でくの字に曲がった状態で発見され、イグラを担いでいた兵士は幸いにも軽傷で済んだと報じられている。

この事故を調査した報告書によれば、今回使用されたイグラの発射管が破損(製造時)していたため内蔵されていたミサイルが誤作動を起こしたと説明しており、イグラS全体に波及するような欠陥ではないらしい。

因みに9K38イグラは旧ソ連が開発した携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)で米国のFIM-92 スティンガーに類似した兵器と言える。

出典:Vitaly V. Kuzmin / CC BY-SA 4.0 9K38イグラ

本兵器は東側諸国や中東などに多く採用され湾岸戦争では英空軍のトーネードIDSと米空軍のF-16を撃墜、イラク戦争でも米軍機を何機か撃墜したと言われており、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争ではフランス空軍のミラージュ2000-5が撃墜されている。さらに紛争地帯での実績まで加えれば相当数の航空機がイグラによって撃墜されているはずだ。

さらに付け加えれば九州南西海域工作船事件時に北朝鮮の工作艦に搭載されていたのもイグラのコピー品かライセンス生産品だと言われているので、日本にも縁のある兵器だと言える。

現在、この動画は中国製兵器の劣った品質を示したものだとソーシャルメディアで拡散されているが、これは正真正銘「ARMY-2020」で使用されたロシア製の携帯式防空ミサイルなので引っかからないよう注意して欲しい。

ロシアとインドが共同で巡航ミサイル「ブラモス」ベースで対AWACS迎撃ミサイルを開発

ロシア繋がりでもう一つ。

ロシアとインドは共同で航空機搭載型の巡航ミサイル「ブラモスM」をベースに早期警戒機を破壊するための新型ミサイルを開発することで合意したと報じられている。

この新型ミサイルは2024年までに発射準備が整うとロシア側が説明しており、恐らくインドは対AWACS迎撃ミサイルで中国(KJ-2000やKJ-500)やパキスタン(サーブ2000やZDK-03)の早期警戒機を狙うつもりなのだろう。

出典:Indian Air Force / GODL-India ブラモスM

巡航ミサイル「ブラモス」はロシアとインドが開発した対艦巡航ミサイルで個体燃料のブースターで加速後はラムジェットエンジンで飛翔(マッハ2.2:低高度~3.0:高高度)するのが特徴で、その後の改良でブラモスは陸上の目標破壊にも使用できるようになり、さらに航空機に搭載するため小型化されたブラモスMが実用化されている。

このブラモスは高高度(1万メートル以上)で運用したほうが最高速度も射程も最大化できるため任務の特性上、高高度を飛行する早期警戒機を遠距離から狙うにはうってつけのベースかもしれないが、インドとロシアの共同開発は途中で頓挫(例えば極超音速化したブラモス2や小型化したブラモスNG開発など)することが多いので、本当に完成まで漕ぎ着けられるのかは結果を見るまでは分からない。

 

※アイキャッチ画像の出典:Youtubeで公開された動画のスクリーンショット

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    設計に問題ありません、品質管理の問題ですって言われても兵士は安心して撃てるもんかい

    25
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    危なかったな
    中国製なら間違いなく爆発してた

    16
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    ブラモスでAWACS迎撃が出来るなら、ASM-3も……
    特に、ASM-3は最初からパッシブレーダー誘導能力が有りますから
    噂に聞く「フィット級の重対空ミサイル」とやらもASM-3系の可能性が?

    9
      • 匿名
      • 2020年 9月 15日

      いいねぇw
      対空用に使うなら艦船撃破用の大型弾頭はいらないからその空間と重量使って最終段階での命中率向上用にサイドスラスターやリサリティエンハンサー積めば鈍重な大型機は逃げられまい。

      5
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    これ数日前に動画サイトで見たけどロシアだったんだ

    2
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    後半の、ロシアインドの共同開発はなぜ次々と頓挫するのか、
    思うに、チャイナと違いパクりはしないインド的正直と裏腹に、こまごました技術移転だの利益分配などで延々と引き下がらないインド的粘着商法にロシアが逃げ出してるのと予想

    19
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    任務失敗→謎のボス「インド時空に引きずり込めぇ~」→成敗されてプロジェクト消滅フラグ(;´д`)

    2
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    よりにもよって国際競技で不良品の暴発やらかすとか、メーカーの人はソ連時代ならシベリア送りものだなw

    16
      • 匿名
      • 2020年 9月 15日

      ルビャンカ広場の地下に連行され、即刻後頭部に鉛玉を撃たれておしまい。

      1
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    ちょっとした海外ミームになりそう

    4
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    こぇ〜よ、軽症ですんで良かったけど死者が出てもおかしくないぞ。普段の整備点検かいかに大事かよくわかる。それにしても大丈夫かよロシア軍。

    15
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    射手ごと飛んでいれば完璧だった

    12
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    ◯◯◯「この兵器の開発責任者は誰だね?」

    5
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    これで100億円もするような戦闘機を打ち落とされては割が合わないな。

    11
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    こんなでも体当たり攻撃よりかは大分ましですな

    1
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    ロケット花火でこういう動画はいっぱいあるけどなあ
    まさかガチ兵器とは

    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    「次鋒、イグラン行きます」
    「グオゴゴゴ」
    「ギャーッ!」

    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    2つ目の記事の方が気になったので、できれば2個の話題を1つの記事にまとめないで欲しいかなあ…
    見出しだけじゃ気づかなかったので。

    4
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    動画の最後にランチャーを撮影してるけど、あれまだ弾頭は残ってるよね?
    爆発物処理班の映像ではなさそう。
    すごく不用心に近づいてる気がする。

    8
      • 匿名
      • 2020年 9月 15日

      接触信管や近接信管が生きてるうちに近づいているようにしか見えない・・・
      恐ろしすぎる

      6
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    工作船が撃ってたのイグラだったのか・・・RPG-7だと今まで思ってたわ。
    波の高低差で外れたのはマジで運が良かったのか。

    10
      • 匿名
      • 2020年 9月 15日

      同感です。
      運良く当たらなかったけれどRPGだと散々報道されていた記憶があります。
      「搭載されていた」ということなので使用はされていなかったのかな?

      3
      • 匿名
      • 2020年 9月 15日

      撃たれたのはRPGですよ。船を引き揚げたらイグラも積まれていたという話です。

      13
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    発射機ごと暴発するかと思えば
    発射機ごとぶっ飛んで行くとはおそロシアw

    5
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    お笑い動画かと思ったら、かなりヤバめの飛び方しててビビった。

    2
    • 匿名
    • 2020年 9月 15日

    ブリャーチ!
    ロケット砲ぐらいならシュボッと飛んでおしまいだから笑えるけど
    対空ミサイルだと推進剤山ほど積んでるからシャレにならん飛び方するな
    この状態でどのぐらい飛んだんだろうね?

    4
    • ウスチノフ国防相
    • 2020年 9月 17日

    ヨシフやん

    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    これは恐ろしいな。発射管の破損によって、ミサイルが発射管の中に詰まって出てこない、
    それでもミサイルは噴進し続けるから、発射管ごと射手の手を離れて飛んでくという。

    2
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