ロシア人ミルブロガーのFighterbomberは10日「電子妨害でUMPKの有効性が低下している」と指摘したが、露独立系メディアのASTRAも13日「6月11日と12日に滑空爆弾5発の誤爆が確認された」「過去4ヶ月間でロシア空軍は100発以上も誤爆している」と報じた。
参考:Ещё 5 ФАБ сбросили ВКС РФ на Белгородскую область
誤爆とUMPKの有効性低下に関連があるのかは不明
ロシアではウクライナ侵攻後「軍の信用を傷つける発言や報道を禁じる法律」を制定したため、国内メディアは軍事作戦や前線の状況について「良い面」しか取り上げていないが、当局の検閲に反対して2022年3月に設立されたASTRAは13日「ベルゴロド州では6月11日と12日にロシア空軍が投下した滑空爆弾5発(Неклюдово、Батрацкая Дача、Новостроевка、Ленинский、Цепляево-второе)が発見された」「ロシア空軍は過去4ヶ月間、ベルゴロド州と占領地で少なくとも93回の誤爆を行っている」「ドネツク人民共和国でも4ダース近い誤爆(約40発)が確認されている」と報じた。
Washington PostやNew York Timesは「米国製のGPS誘導兵器はロシア軍の妨害技術に耐えられず、ウクライナ軍は一部兵器の使用を中止せざるを得なかった」と報じ、Hudson Instituteのアナリストも「電子戦分野におけるロシア側の適応スピードが上がっているため、ウクライナにおける電波技術のライフサイクルは3ヶ月ほどしかない」と指摘していたが、ロシア人ミルブロガーのFighterbomberも「ロシア軍が使用するUMPKの命中精度もどんどん悪化している」と言及したことがある。
Fighterbomberは10日「UMPK(FAB汎用航空爆弾をGNSS誘導の滑空爆弾に変えるキット)の時代は過ぎ去ろうとしている。双方が電子妨害の使用を増やしているためUMPKの命中精度はどんどん悪化しており、今後もUMPKの有効性は低下し続けるだろう。そのため高度なINSや干渉を受けにくいサブシステムが必要になってくる」と言及。
今後も誤爆に関する情報が増えれれば「Fighterbomberが言及した内容=UMPKの有効性低下」について信憑性が高まってくるものの、現段階で両者の情報を関連付けるのは時期尚早だろう。それでもASTRAの言及は中々興味深い内容だ。
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※アイキャッチ画像の出典:Fighterbomber
非常に、興味深い内容ですね。
滑空誘導爆弾は、非対称兵器ですから、戦場の動向に影響を与えそうな気がします。
サーモバリック爆弾ODAB1500の誤爆ならば、考えてみれば怖いですね…
これに関しちゃ緊急離脱する時に重い爆弾を捨ててるって書いてるミルブロガーがいたわ。
あとパトリオットは以前から露領空にいる航空機に対してもバンバン使用されてて「露領空にいる航空機への攻撃禁止」なんてものは嘘であると。
情報ありがとうございます、勉強になります。
この記事の誤爆がそうとは断定できませんが、退避時に捨てるのは当然ですよね。
誤爆というからには、爆撃の意思を持って落とされているはずの滑空爆弾が「発見された」と言うのはどういうことか、そこまで不発の不良品まみれなのか、と思いましたが
緊急離脱のために投棄している可能性には考えが至りませんでした
それならばベルゴロドなりドネツクなり、「内側」で少なくない数が発見されるのも納得します
ロシア領土内への攻撃でも、航空機相手ならまた言い訳も立つでしょうし
ウクライナへの対空兵器の供給が、多少なりとも改善しているのでしょうか
ただ、ミサイル回避のための緊急投棄ならば信管はロックされていて地上に着弾した時に爆発は起きないんですが
結構な数が主翼展張してる状態で見つかったり、信管作動して建物とか吹っ飛ばしてるんですよねえ
どーせ巻き込まれるのは囚人兵や払うつもりの無い契約兵だ
気にするとは思えん
そもそも、戦争においての誤爆なり
誤射なんて気にしてたら何も出来ない
精度が低くても大量にぶち込めば火力で圧倒できるので扱いようはありますね。誤爆については大量にぶち込めばそういうこともありますが、敵兵ごと陣地を吹っ飛ばせるのは陸ではTOSくらいでUMPKは射程も投射量も圧倒的。この魅力には抗えないでしょう。
過去記事ではAIに接続した画像誘導方式が自爆ドローンに搭載しようとされていましたが、UMPKもそうなっていくのでしょうか。
精密兵器とジャミングのいたちごっこは永遠に続くのでしょう。
対地攻撃支援任務では地対空防空システムのレーダーにロックオンされたら
対地武装を投棄して回避行動に専念する、というのは、ベトナム戦争以来の空対地攻撃の基本だったと考えます
特にソビエトロシアは西側対空兵器で痛い目にあった経験があるので、さっさと身軽になって
航空機は回避に専念するドクトリンだったかと思いますが、
ウクライナのような薄い防空だと、ぎりぎりまで突っ込んでいけと変化しているのかもと思います。
母数がわからないのでなんとも言えませんが
毎日20発投下を4か月続けて外れ100発なら命中率は95%という計算になりますね
元の記事を読むとここで書かれている誤爆は、『目標から外れた』ではなく『味方(がいる場所)を攻撃した』の意味っぽいので、実際の命中率は更に低いと思いますよ
多いときは1日に100発という話なので、話半分としても50発
4ヶ月で120日x50発で6000発
母数を6000とすると93発なら1.5%
多いのか少ないのかなんとも言い難い数ですが、誤爆(目標位置に達しなかった)のが日を追って増えているなら誘導妨害が効果を上げていると言えるのかもしれません
時系列に沿った具体的なデータが無いとなんとも言えないですね
日本にはこんな言葉がある「数撃ちゃ当たる」「出るまで回せば100%」
こんな言葉もあるぞ「1発だけなら誤射かもしれない」
最近になって急増してるのなら、ウクライナ軍の効果があるんだろうな
今までと変わらない割合なら、コラテラルダメージということになるな
電子戦は3ヶ月更新、ドローンは飛ぶ、塹壕戦になる、亀戦車は出てくる、囚人兵の突撃ある、地雷強すぎる、要塞地下から爆破、ワグネル反乱、督戦部隊配備、兵器の実験場の様相、謎の平和会議開催、原発は聖域、ハイエースされるわと色々と凄いことになっているなと改めて思う。結果物量は正義であったというまさかの結論になってしまうのか否か注目しているが果たしてどうなるか。
>物量は正義
そう言えば物量こそがモノを言うと骨身に染みて理解した筈の日本が、いつの間にか性能信仰に陥っていたのは恐ろしいものがありますね…
敗戦時は勿論、冷戦終結頃までは西側の生産力スゲーだったのでそれ以降だと思いますが、いつからWW2の教訓を忘れてしまったのか
物量というか軍隊自体を持っちゃいかんって縛りだったから、その条件の中では必然の帰結ではあったかと思います
しかしまぁ…戦争が起きてみれば
結局は性能より物量が正義で
継戦能力のない日本やウクライナは
支援がなかったらほぼ確で負けるという悲しき事実が発覚してしまいましたな。
いやだから百も承知で「縛りプレイ」をさせられてた…てるんですってば。
そして仮に縛りがなくても兵士が畑で取れる国や世界トップクラスの人口抱える国と純粋に数の勝負する訳にもいかんでしょう。
だから「質を維持しつつ数も増やす」。目に見える保有数は増やしにくいから生産体制を強化して、価値観を近しくする国々に輸出して装備と恩を売っといて、有事の際には支援してもらえる体制を作っとくのが大事。
改良ホークやPAC-3を供与・輸出したら日本の防空に穴が開く!とか言ってる連中はその辺が見えてない…いや見えててわざと言ってるのかもしらんけど。
戦前の日本軍も火力優勢したかったけど、生産資源に問題抱えて性能信仰化していった
物量を支える国土が無ければ、分かっていても出来ない
物量を用意できるのは限られた国の特権だよ
日本じゃとてもじゃないけどムリムリ
まあ陸軍力はしょうがない
そのかわり艦船や航空機は、米国を除けば西側でも随一ですし、潜水艦も領海内であれば実に高密度なんで、そんな酷いわけでもないんですよね
仰る通りです。
総力戦・本土決戦は、国家同士の本気の戦いですから、本当に過酷だなと感じています。
新しい物(FPVドローン)~旧来のもの(単純な砲弾など)まで、コストパフォーマンスそれに伴う物量が求めらていますよね。
プーチン大統領が、ロシア国防相に経済畑の閣僚を送り込んだのも、背景として興味深いなと感じています。
そもそもロシアが国連憲章に違反してまでウクライナに侵攻しなければその様な被害は一つも起こってないわけですよ。東部の住人がどうであれネオナチがどうであれウクライナを侵攻していい理由にはなりません。
このロシア側のメディアの滑空爆弾の誤爆の記事は、とても興味深いですね。
まず第一に考えられるのは、滑空爆弾の使用数が多いのだろうということです。
戦場には味方への誤爆や誤射はつきものだからです。しかし、1つの兵器の誤爆がもし1割とかになれば、ロシアは使用を一時停止するはずです。
ですから、4ヶ月で100発の誤爆ということは、元の数として4ヶ月で数千発以上の使用はされていると推測します。
その誤爆の主原因は何か。
もし、それがウクライナ側の電波妨害だとすれば、命中率が何割も悪くなっているはずです。
なぜなら、目標を外れたら無人の野に落ちます。目標の近くのウクライナ軍に、たまたま当たる可能性は低いでしょうし、ロシア軍側に落ちる確率はもっと低いだろうからです。
誤爆の主原因が電波妨害だとしたら、非常に興味深いです。誤爆率が時系列で分からないと断定できませんが。
また、ロシア側の目標を狙ってUターンさせて当てるという技術はないと思います。だから、大半が外れられていることになり、それならロシア側も一時停止して至急対策を練るのではないでしょうか。
普通に考えて、誤爆の主な原因は一部に電波妨害もあるかもしれませんが、個人的にはドローンの偵察ミスだと推測します。
ドローンでウクライナ軍の陣地などを発見し、そこを爆撃していると思います。その時のウクライナ軍とロシア軍の取り違いだと思います。
つまり、ドローン操縦者の目の間違いではなかろうかと。この偵察員や観測員の敵味方の取り違えによる誤射は、昔からある古典的なものです。
ただでさえ人種も言語も兵器も似たような感じの両軍が誤爆誤射無しにやれるとは到底思えないですね。更に皆さんも書かれてる電子戦やら情報戦やらも入ったら。極限状態だと目に入る人影全部敵でしょうからねえ。
米軍の「ピンポイント」爆撃の標的に命中する確率は3割程度で無誘導爆撃とさほど変わらないという話です。
ピンポイント爆撃と言えど目標を選定する作業は相変わらず人間ですので、そこでミスが生じれば狙い通りに爆弾を投下できたとしても意味が無いという事ですね。
情報ありがとうございます。
その命中率3割というのは、戦闘中にロックオンしたような場合とかではないでしょうか。
ウクライナ戦争で、ミサイルでも、外国の傭兵が宿舎にしているホテルとか変電所とかわりにピンポイントで破壊できているようにも見えるのですが。
色々違うのがあるのでしょうかね。
だからこそ、対空兵器と戦闘ヘリやA-10のような直上支援機が生まれたんだろうな
それはそうとして、戦場どころが自国領に落とすのはそれ以前の話だと思う