軍事アナリストが運営するOryxはウクライナ侵攻でロシア軍が被った装備損失を「4,268(戦車を含む装甲車輌の損失は2,080)」と公表しており、50日前と比較して1,266増加した。
参考:Attack On Europe: Documenting Equipment Losses During The 2022 Russian Invasion Of Ukraine
ドンパスの戦いで主役を演じている榴弾砲、自走砲、MLRSの損失は50日間で44しか増加していない
軍事アナリストが運営するOryxが集計した「56日目(4月21日)」とその50日後の「106日目(6月9日)」の装備損失数を比較すると1,203増加しており、歩兵戦闘車の損失増が目につく。
56日目 | 106日目 | 差分 | |
戦車 | 521輌 | 706輌 | +185輌 |
装甲戦闘車輌 | 307輌 | 419輌 | +112輌 |
歩兵戦闘車 | 532輌 | 840輌 | +308輌 |
装甲兵員輸車輌 | 101輌 | 115輌 | +14輌 |
耐地雷・伏撃防護車輌 | 24輌 | 27輌 | +3輌 |
歩兵機動車輌 | 95輌 | 108輌 | +13輌 |
指揮・通信車輌 | 63輌 | 80輌 | +17輌 |
各種支援車輌 | 114輌 | 163輌 | +49輌 |
対戦車ミサイル搭載車輌 | _ | 20輌 | +20輌 |
迫撃砲 | 12門 | 13門 | +1門 |
牽引式榴弾砲 | 56門 | 63門 | +7門 |
自走砲 | 98輌 | 120輌 | +22輌 |
MLRS | 56輌 | 71輌 | +15輌 |
対空砲 | 4門 | 7門 | +3門 |
自走式対空砲 | 14輌 | 16輌 | +2輌 |
地対空ミサイル | 52基 | 63基 | +9基 |
レーダー | 10基 | 10基 | _ |
電子妨害装置 | 7基 | 9基 | +2基 |
航空機 | 22機 | 30機 | +8機 |
ヘリコプター | 35機 | 46機 | +11機 |
無人航空機 | 39機 | 81機 | +42機 |
艦艇 | 4隻 | 9隻 | +5隻 |
燃料輸送用の鉄道車輌 | 2両 | 2両 | _ |
軍用輸送車輌 | 834輌 | 1,198輌 | +364輌 |
計 | 3,002 | 4,268 | +1,203 |
Oryxの集計は視覚的に確認できたものしかカウントされていないので、上記の数字がロシア軍の被った全ての被害をカバーしている訳では無いが、ドンパスの戦いで主役を演じている榴弾砲、自走砲、MLRSの損失は50日間で44しか増加していない。
もしロシア軍が50日間で上記程度しか榴弾砲、自走砲、MLRSを失っていないなら、他の軍管区からかき集めてウクライナに送り込み続けている砲兵装備は損耗分の補充ではなく「砲兵装備の純粋な増強」という意味になり、ウクライナで使用可能な火力の投射量はどんどん増えることになる。
まぁウクライナ軍発表だとロシア軍が106日間で失った砲兵システム(何が含まれているのか不明)とMLRSの合計が「924」になるため実際のところは謎だが、、、
追記:計算間違い修正
関連記事:ロシア軍の装備損失が3,000を突破、戦車や装甲車輌の損失は1,461輌
※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。 |
後方で破壊されるだろう砲兵はウクライナ軍兵士が記念写真を取ったりしないでしょうから、実際の撃破数はOryx発表より多いでしょうね。でもやっぱりウクライナ軍はロシア砲兵を破壊する手段が少ないので、戦車とかに比べると損害はかなり少ないでしょうね
スイッチブレード600クラスが大量にあれば長距離砲撃能力をある程度カバーできたと思うけど、たったの10機じゃ・・。
あとyoutubeの真・防衛研究チャンネルがMQ-9が10日にウクライナに供与されるとしているが、出典先を見ても見つからないんだけど、本当だろうか?
装甲車や戦車が多いですね。あと、無人航空機がだいぶ増えてる。何かあったんだろうか
管理人さんありがとうございます。
表の歩兵機動車輌と指揮·通信車輌の数字が違っている要はです。
時間があれば見直してください。
記事と関係無くて申し訳ないが、今まで「なんでロシア戦車は分離装薬に拘ってるんだろう?」と思ってたんだがトップ画の写真で理解できた。
装薬一体型の砲弾はあの隙間じゃ装填できないってことなのね。
改良しようとすれば物理的に砲塔を大型せねばならず、そうなると車体も大型化して~となるのでやりたくても出来ないわけか。
その解決策がカセトカ式装填機で、その方式の所為で被弾時にビックリ箱システムが作動してしまう、と。
色々な疑問が氷解した写真でした。
分離装薬は滅茶苦茶スペース効率が良いですからね。
あの車体と砲塔のサイズで西側戦車と遜色ない総弾数ですし、同じように分離装薬のチーフテン/チャレンジャー1, 2も他の同じようなサイズの西側戦車よりも若干総弾数が多いです。
YouTubeで、実際のT80の自動装填機の動画があったので見てみました。
およそ、隙間というものが無い感じでしたね。
” 砲弾の代わりに人間の腕を装填する” と悪口を言われていましたが、
あれでは、訓練の足りない兵士ならばあり得ると妙に納得しました。
そこまでして、正面投影面積を小さくするのにこだわっていたのでしょう。
昔、74式戦車の説明で” 距離3000mで畳1枚の大きさに初弾を当てる”
と聞いたことがあります。当時のソ連戦車の予定交戦距離は1500mでした。
中東戦争の捕獲車両で判ったことだそうです。
T54/55/62戦車の正面は明らかに畳1枚より大きいですね。
表現が悪いですが、努力の方向が違うと思っていました。
今では、それに加えて、ERAに頼りすぎなのを違うと思っています。
支援する歩兵の安全が保証できない(味方撃ちということ)と思います。
ERAの開発者のイスラエルはERAを常設はしていない様です。
複合装甲でなければスペースアーマーで、考えようによれば、
これは後からその部分を用途変更して複合装甲を封入できると思っています。
T-64以降のソ連戦車も、砲塔前部に複合装甲材を入れるスペースがあります。
ただ、西側に比べ謂い装甲材が作れないのでしょう。
ERAも簡単に爆発する物ではないので、タンクデサントでもしない限り問題ないでしょう。
増加装甲として簡単に旧式戦車を補強出来るのは、大きなメリットです。
損傷戦車から回収したERAを、持ち出したT-62に着けてやれば良いのに。
自動装填は最大仰角状態での車体内空間で行われ、砲塔内空間で行われるわけではないです。
分離式砲弾なのがスペースと即応弾数が理由なのはその通りでしょうね。
ソ連/ロシアが被弾率を下げるため砲塔の小型化と車高低減を優先するのは設計思想の違いとしか。
誤解があれば申し訳ないのですが、T72の場合、砲塔下の円周に並べた砲弾・装薬をラマ―で拾い上げ砲塔で順に詰める形式を自動装填と称し、砲の仰角が少ない関係で装填時の仰俯角制限はなかったような気がします。
youtubeでは以下で実働と機構が閲覧できます
実働:стрельба из танка Т 72 б
機構:Механизмы заряжания танков семейства Т-64 и Т-72
装填時の仰角が一定なのは確かと思いますが、映像を見ると装填位置はターレットリングより上(砲塔内)に見えますね。
調べてみたところ、未確認ですがカセトカの装填仰角は4.3°らしい。とすれば砲塔内での装填が正しいのでしょう。
余談ですが、アイキャッチ画像の砲は駐退復座機が破損したのか後座状態なのではと思われます。
装填時の仰角は私の思い違いだったようです。ご指摘ありがとうございました。
小さな砲塔にはもう一つ弱点があって方の上下角が殆ど取れないのもある。だからどうしても俯角仰角欲しい時は旧型のT-55以前の戦車の方が重宝されるとかターミネーター作られた一因でも有ると思う。アメリカの戦車小隊の解説書だと攻撃の死角無くすために味方から何十m離れろって書かれているけどロシアのT-55より後の戦車だと何百m離れないといけないのか・・・。
カセトカに関してはコンパクトで低い車体による発見性の低減と被弾率低下を求め、なおかつ地上からの攻撃においては被弾しにくい位置への砲弾配置で一応は安全性重視した結果だったんだよな。だけど地雷や装甲簡単に抜かれるとボロが出ちゃう訳で。
楽観するわけじゃないけど、戦場が市街地が多かった地域から農村部に移って、しかもロシア系住民が比較的多い地域だからこれまでより画像確認できる機会は少ないだろうね。
また長距離砲の撃破はドローンでしか観測できないし、これまでと比べて劇的に支配地域を戻したところも少ないから、擱座した車両を写す機会もすくないだろう。
現在までの前半戦ではウクライナ北部に攻め込んだ戦車等の車両が泥濘で動けなくなってウクライナ軍に簡単に破壊されていたのと、後半戦ではロシア軍がコツを掴んだ事と、ロシアに近く地理的に有利な東部に戦力を集中した事が大きいのかもしれません。それらの事がウクライナがNATO諸国から武器支援を受けた効果を上回っているのは脅威ですね。
やはり赤軍伝統の、開戦時の将官が死んで組織がリフレッシュされて、逆に強化されるという伝統は今も健在なのかもしれない。中堅の士官不足で将官が前線に出るのもロシア的にはネガティブじゃないのかも。結果的に戦略・戦術ともに最適化が進むと。
それは言い過ぎかもしれませんが、前線で将官が死ぬことがロシアにとってダメージになっている気が、今のところしないんですよね。元々数が多いだけかもしれないんですが。
嫌な伝統だなぁ。
敵にとっても味方にとっても。
ロシア軍砲兵部隊はイスカンデルMに加えて多くの部隊で一度は退役しているトーチカUも使い始めているようです。これはイスカンデルの弾薬在庫が減っているという話でもありますが、ロシア軍は退役した兵器を処分せず保管し続けているという証拠でもあります。この対応は戦術弾道ミサイルに限ったものではなく他のあらゆる種類の兵器にも共通するものだと見られており、戦車や地対地ロケット砲などもどんどん出てくるのでしょうね(ロシア軍の予備役兵士は今でも60年代の榴弾砲であるD-20やD-30の訓練をしている)。
もちろん、人と兵器の在庫が無限にあるからロシア軍は無傷だという事ではなく、ソ連崩壊後に生産された最新鋭兵器や訓練充足率の高い現役精鋭部隊から順に消耗していってる訳で、組織としてのロシア軍への被害は大祖国戦争以来で最大のレベルなのは間違いないと思います。現に開戦当初は「西側と正対する第一線部隊なので引き抜けない」と言われていたカリーニングラードの部隊も既に再編してウクライナ行きが決まっているそうです。
ロシアがこのまま国家の基礎体力の差でウクライナを押し切って粘り勝ちすることはできるかもしれませんが、勝利によって損失が消えてなくなる訳ではありません。侵攻前の時点ですら、少子化と財政難による近代化の遅れに苦しんでいたロシアの国防戦略は、戦後の外交的困難を考えれば既に大幅な見直しを余儀なくされる段階にあるのではと思います。具体的にはやはり核への依存度の上昇なのでしょうが…
まさに巨大な北朝鮮化するわけですか。しかも持っている核の数が違うという・・・。
あと近代化の遅れについても、ウクライナで在庫を整理して戦争さえ終われば中国がケツを持つでしょうから、何なら開戦前よりも近代化が進むんじゃないんですかね。費用は農産物や鉱物資源を飢餓輸出すりゃ良いわけで。
やっぱロシアをここでつぶさないとほんと危険としか言いようがない。
本当に中国がロシアの面倒見てくれるんなら中々有難い。
只でさえ艦船で馬鹿みたいに金使ってるのに、NATOを抑えるほどの陸軍力を出費してくれるんなら言うことないよ。
逆に北京条約で奪われた領土を取り返しに掛かるかもな。
ロシア兵の母の会はいつになったら出てくるんだ?
テレビに出てくる自称ロシアの専門家は、戦争が長引くと帰ってこない息子を心配して、母の会が騒ぎ出してプーチンの権力基盤が揺らぐ。みたいなこと言ってたけど、全然出てこないじゃん。 100日経ったぜ?3ヶ月経ったぜ? 変わらねぇじゃん。
世界中からの制裁は、徐々に効果が出てくるとか、ミサイルが枯渇してミサイルが撃てないとか、生物兵器使用の可能性が非常に高いとか、5/9の戦勝記念日に「何かある」とか専門家の言うこと全部間違ってないか? そもそも、コイツ等ロシアはウクライナに侵攻しないみたいなこと言ってたよね。 6/10に……とか入ってたけど、今のところ何もないぜ。 専門家の未来予測は全部外れてんじゃん。 やってることと言えば、後出しジャンケンみたいに、「なぜそうなったのか?」の理由を説明してるだけ。そんなんどうとでも言えるわな。後出しジャンケンなんだから。
ロシアの専門家も国際政治の専門家も軍事の専門家も、見当違いなことばかりいってる。こいつ等の予測で当たってることのほうが稀。
こんだけ、損害だしてるのに、なぜ母の会が出てこないんだ?影響力が凄いとか、戦争が長引けば、母の会が騒ぎ出すとか言ってたじゃん。
逮捕済なんだろう。
ロシア人()は全くと言っていいほど死んでないからね
モスクワとペテルブルグなどの都市に住んでる奴以外は「人」ではないから痛くもかゆくもない
周辺の隷属民族はただただ言われるままに無為に死ぬか
自主的にできることは丸腰の民間人から盗む犯す殺すことだけ
反乱起こされても正直困るからウクライナに引き込んでじっくり根切にしていく以外の手段はマジでない
数世紀かけて付け入るスキの全くない完璧な愚民化が極まってるから本当にどうしようもない
それはプーチンも対策考えてたんじゃないかな?
でも漏れてくる話だと批判は出てるし徴兵された人の帰還とかはされてるので
活動自体はしているのだろう
ただ徴兵された兵士たちが帰還して戦ってるのは契約した兵士たちというのが今のロシアの建前なのでそこまで盛り上がらないんじゃないかな?
陸自の装備が壊滅 以上の損失
ロシア価格だと総額3兆円くらいか
1万人の戦死者に1億ずつ支給すると1兆円
もろもろで5兆円。金銭的には日本だと余裕なのがある意味凄い
ぜんぜん余裕ではない、戦費とはそれだけじゃないから
textyの記事:the dynamics of Russian military losses in Ukraineは5月以降ロシア軍の戦車の損失は減少の一方、火砲と無人機の損失が増し、これはロシア軍が用いる戦術に応じたものと結論しています。
キエフ撤退以降、5月上旬にかけて東部戦線に重点が置かれましたが、NASA firmで見ると5月の1・2週目はドネツ川を境にロシア側に熱源が集中している様子が見て取れます。
3週目になると急激に減少し、以降4週目、6月に入っても5月上旬ほどの勢いはありません。
5月上旬のドネツ川渡河では隠蔽のためか川岸の森を焼いた熱源が一帯を覆ったこともありますが、市街の炎上と同程度の熱源がドネツ川沿いの森林に多数観測された理由は不明です。
ただ、イジューム北の森林地帯でBtgが壊滅したとの報道やドネツ川渡河の失敗、セベロドネツク市街への突入、ウクライナメディアの報じるロシア軍の火砲の損失はそれぞれがウクライナによる砲撃という一点で符号するのではないかと感じます。