ロシア関連

ロシア国防省がセレブリャンカ解放を発表、RYBARは到底不可能と指摘

ロシア国防省は23日「ドネツク州シヴェルシク方面でセレブリャンカを解放した」と発表したが、RYBARは26日夜「ウクライナ軍が自然公園の川沿いで大きな拠点を占領しており、フリホリフカ占領も事実ではないため、ロシア国防省が発表したセレブリャンカ制圧など到底不可能だ」と報告した。

参考:Российские военные освободили Серебрянку в ДНР
参考:Северское направление: неудачные атаки у Верхнекаменского и бои в Серебрянском лесничестве

ロシア軍もウクライナ軍もやっていることは基本的に同じだ

ドネツク州シヴェルシク方面で今月上旬「ロシア軍兵士がフリホリフカ集落の家屋=に国旗を掲げる様子」「ロシア軍がヴェルフノカミャンスケ集落の家屋=で国旗を掲げる様子」が登場、これに基づいて「ロシア軍がフリホリフカ集落の東半分とヴェルフノカミャンスケを占領した」という主張が出回ったものの、RYBARは「これは事実ではない」と否定。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

RYBARは「ビロホリウカ郊外の取水施設から数人の兵士がドネツ川に沿ってフリホリフカに移動し、郊外の家屋で国旗を掲げて帰っただけでロシア軍は集落を支配していない」「ロシア軍がヴェルフノカミャンスケ集落の家屋にドローンで国旗を設置しただけで集落を支配していない」「この映像に含まれるロシア軍兵士が国旗を掲げる様子はヒルニク・クラホヴォ方面のゼランヌ・ペルシェで撮影されたもので、質の低い従軍記者やジャーナリストが嘘つきの利益のため現実とかけ離れた映像を作成しただけ」と指摘。

この件について他の従軍記者やミルブロガーも「RYBARの指摘は正しい」と報告しており、あるロシア人従軍記者(Позывной Брюс)も「知り合いに確認してみたが現地指揮官が上級司令部に報告しているほど現地の状況はバラ色ではない」「信頼できない報告のせいで指導者らは誤った判断を下す」「存在しない勝利は部下の命を危険に晒すだけ」「この報告に現実を追いつかせるため現場の兵士らは無謀な攻撃を強いられる」「そして上層部は存在しない勝利を根拠に次の攻撃計画を策定する」と今回の誤った報告を批判したが、ロシア国防省は23日「セレブリャンカを解放した」と発表。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

RYBARは26日夜「アフマト部隊公開の映像に基づけば自然公園の川沿いでウクライナ軍が大きな拠点を占領しており、フリホリフカ占領も事実ではないため、ロシア国防省が発表したセレブリャンカ制圧など到底不可能だ」「書類上でのみ解放されたヴェルフノカミャンスケでパターン化された攻撃が再び確認され相当量の人員と装備を失った。この攻撃は別の突撃部隊の兵士も死に至らしめた。ヴェルフノカミャンスケの北に位置する標高が高い要塞が前進を阻んでいる現状で集落占領は現実的ではない」と報告し、シヴェルシク方面はポクロウシク方面とは対称的に「何も変化がない」と指摘した。

ロシア人ミルブロガーの間で国防省の発表は散々「美しい報告書=制圧していない拠点を何度も占領したと報告したり、撃墜や撃沈が視覚的に確認されても事態を小さく見せるような報告をしたり、ウクライナで負傷した兵士の98%が任務に復帰したと報告したことなど」と皮肉られており、ロシア国防省が何度も占領を報告しているビロホリウカは未だにウクライナ軍が保持している。

出典:РИА Новости

ウクライナ軍参謀本部も視覚的に失われたことが濃厚な拠点について「我々が保持している」「まだ集落内の陣地にウクライナ軍兵士がいる」「集落内での戦闘が続いている」と言い張るが、こちらはDEEP STATEから「現実的に即していない」と批判されており、ウクライナ軍もロシア軍もやっていること=自軍をよく見せようとする行為は基本的に同じだ。

関連記事:ロシア軍はトレツク市内で前進、シヴェルシク方面の成功は存在しない勝利
関連記事:シヴェルシク方面で三色国旗が掲げられ、トレツク南市内にもロシア軍が侵入

 

※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России

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コメント

    • 2024年 10月 27日

    また、シヴェルシク方面軍か
    本当に無能な働き者の司令官だ
    解任されないのは中央に何かコネがあるだろうか?

    47
      • nk
      • 2024年 10月 27日

      他戦線に比べて戦果無いので焦っているだけなのか、それとも全て布石で計画のうちなのか興味深い所ですが個人的には普通にウクライナ削って無理せず普通に進軍が結局一番合理的に見える戦況なので焦る様なこと無くどっしりと構えて戦えば良いと思うが稚拙になる理由が何かあるんでしょうかね。

      33
        • Easy
        • 2024年 10月 27日

        基本的に、ロシア軍の将校はロシア軍内で激しい出世競争に晒されており。
        しかも旧ソ連的な腐敗と特権体質が絡んでいるので、階級が上がり要職につくことへのモチベーションは桁違いに高いんですね。
        結果、部下をコネ採用者で固めてパワハラをかけ、統計や報告の改竄、虚偽の実績計上をやらせるのが常態化しています。
        この点では日本の財務省とほとんど同じ体質で、過去何十年にもわたってロシア軍をダメにしていた原因そのものでもあります。

        14
      • かぼ
      • 2024年 10月 27日

      この手の無能な働き者はどの組織にも居るものですが
      このタイプはゴマ擦り上手で出世してたり昇進してたりしますね
      組織全体には有害だけど組織内部での競争には強かったりする

      40
    • 朴秀
    • 2024年 10月 27日

    ウクライナにとっては朗報ですかね
    ロシアの指導部がバカな将軍の都合の良い嘘を丸飲みして
    判断を誤ってくれればいいのてすが

    17
      • 口下手なソフィスト
      • 2024年 10月 27日

      クルスクよりもこっちの方がロシア軍を削れてそうですよね
      無限に同じ攻撃を繰り返すって普通に情報機器が発達する前の時代の人みたい

      20
        • Mr.R
        • 2024年 10月 27日

        クルスク全体よりもこのビロホリウカ周辺でロシア軍が失った装備の方が多いと思います(戦ってる時間が違うのはありますが)

        12
      • たむごん
      • 2024年 10月 27日

      前もやってましたから、将軍の能力は仰る通り、劣ってそうですね。

      この方面で情報戦をしかけて、クルスク侵攻の戦略予備を使っていれば、ロシア軍かなり削れていた気はしますね。

      5
    • D-day
    • 2024年 10月 27日

    ウクライナ当局もそんなに変わらない、と言うか頻度はロシアより悪いかと…
    とは言えこのようなプロパガンダが検証され双方ともに否定されるのが現代の、そこそこ進んだ地域の、あとはある程度長期化する戦争の情報の流れでしょうか?
    しかし、今回の発表はどんな意図や流れで出たものなのか?まあいつものソビエトやロシアらしいと言えばそれまでですが…

    31
    • ヒュー
    • 2024年 10月 27日

    ピンポンダッシュ旗立ても片道で良ければ攻撃できる、ドローンによる旗立ても落とすのは旗でなく手榴弾も可能なわけで現場付近を守る両軍の兵士にはかなり心理的負担になってるんでないかと思う。
    現場の兵士は敵兵とドローンどちらが旗立てしたかも分からないし、旗の撤去も周囲に敵兵やドローンがいるかいないかも分からないし。

    17
      • Mr.R
      • 2024年 10月 27日

      それことドローンによる偵察や、旗の撤去ならドローン爆撃で行けるような気はしますね

      3
    • Mr.R
    • 2024年 10月 27日

    この手の無能な指揮官って緒戦の将官キル祭りであらかた消えたと思ってたんですがね……まだいるもんですね。

    11
      • Easy
      • 2024年 10月 27日

      当時、ウクライナ軍は嬉々として将官殺害成功のニュースを流してましたが。
      むしろあれは悪手もいいとこでして。
      結果、無能がどんどん減って、より戦場に適応した優秀な指揮官が現れて。ロシア軍を大幅に強化する結果になってしまいました。
      やはり、「敵の無能は大切に保存せよ」との中国の教えは正しかったと言えましょう。

      31
    • 通りすがり
    • 2024年 10月 27日

    実際のところ、滑空爆弾を含めた空軍戦力や精鋭を集中させればシヴェルスク方面とて落ちるだろうが、ロシア軍にとって優先順位がポクロフスク方面やクラホヴェ方面よりも低い。それでも、ウクライナ軍を引き付けるべくある程度の絶え間ない攻撃は必要なのだろうが、そこで無理押しして損失が重なっているならば、純粋にこの方面のロシア軍司令官が無能なのだろう。砲撃戦と電子戦とにらみ合いに終始すればいいものを、戦果を上げようと出世に欲をかくからそうなるのか。

    26
    • 速すぎィッ!
    • 2024年 10月 27日

    こういった露側のミルブロガーやMapperの勇み足かプロパガンダか軍の要望なのか個人の願望か区別の付かない投稿は常態化しており
    それはウクライナ側も鏡写しのように〇〇回露軍の攻撃を撃退した、〇〇人、〇〇輌の損害を与えたと言うウ軍大本営発表に従って露軍の侵出範囲を過小評価しているわけです。

    露軍のセリダブ突入成功は最初、そのために複数の親露派OSINTが報じてもほとんど信じられていませんでした。
    セリダブの南から線路沿いに裏を取るように露軍が浸透してるのは一週間以上前から複数の露側MAPに反映されてましたが眉唾もの・・・と私も感じていて信じていませんでしたが
    最前線の動きはやっぱし直近数日〜一週間は様子見ないとわかんないよな、と。いまだに戦場の霧は深いと改めて思わされた。

    そう言った次第でこちらのウ・露両側のMAP突き合わせて最低1日〜数日経ってから反映するやり方は本当に参考になると改めて思ったな、管理人さんどうもありがとさんです。

    25
    • 口下手なソフィスト
    • 2024年 10月 27日

    先日のクルスク包囲の情報もそうでしたけど、
    ロシア上層部の理想の進撃速度が前線の速度を追い越しているのかもしれませんね
    勝ってる側がこの手のプロパガンダを流すのは珍しいなぁと思います

    17
    • うくらいだ
    • 2024年 10月 27日

    つまり、戦時下における政府の発表とは政治的要素が多大に反映されるため、戦果を誇張する傾向があり、現代のようはに情報が溢れる時代になってもそれは変わらない。
    でご異議ごさらぬか?

    18
      • 理想はこの翼では届かない
      • 2024年 10月 27日

      ござらぬ。全くもって仰る通りにござる

      14
    • たむごん
    • 2024年 10月 27日

    大本営発表を、両軍ともに、OSINTサイト・軍事ブロガーが修正しているのが興味深いですね。
    上司に都合のいい情報をあげるのは、大企業・大組織を中心にあらゆる組織でも発生しています。

    戦時中の軍隊で、ガバナンスの牽制効果として従来は従軍記者くらいでいたが、OSINTサイト・軍事ブロガーが果たす役割として興味深いですね。
    日本の戦時中に、OSINTサイト・軍事ブロガーが情報発信により軌道修正できるのかを考えれば、ちょっと無理そうだなと考え込んでしまいますね…(従軍記者は、同じ釜の飯で仲間意識で効果が薄れるリスクが指摘)

    18
    • paxai
    • 2024年 10月 27日

    ちょいと前進したとか敵に損害を与えたとかなら誤魔化しが効くけど明らかに嘘と分かる虚偽報告を上に上げたらバレても飛ばされない体制が問題だな。

    12
      • ふむ
      • 2024年 10月 27日

      虚偽報告を検証できる体制が無いって事ですからね…
      虚偽報告を上げる無能は個人の腐敗ですが、それに気付けないのは制度的欠陥です

      12
      • Easy
      • 2024年 10月 27日

      こういうのは上級の将官が「プーチン閣下がBRICS会議に参加中に派手な戦果を報告したら覚えめでたく出世確定!!」として、部下に「〜日までに20キロ前進して敵の重要拠点を占領せよ!尚,他の将官に成果を横取りされたくないので他の兵科の支援は無しだ!」と無茶な命令を下し。
      進退極まった部下がやむを得ず決死の特殊部隊を編成して潜入させ、旗の写真を撮って報告→それを将軍が嬉々として国防省に報告、というパターンですよ。
      上級将校が派手な戦果を欲しがっているんです。
      ウクライナは西側国民にバズる戦果を求めて戦争してますが、ロシア軍の半分以上は「上官にゴマをするために戦果を上げる」という行動様式で戦争をやってます。
      こんなんで両軍合わせて100万人以上が死傷しているのですから,戦争の不毛さとはなかなか度し難いものがありますね。

      14
    • コンビニ
    • 2024年 10月 27日

    Twitterの連中のせいでウクライナの方が質悪い印象になってしまう…

    8
    • 七資産
    • 2024年 10月 27日

    もう決まったことなので

    • 2024年 10月 27日

    概ね優勢なのに
    こんなバレバレの虚偽工作をやるなんて
    ロシアも無理してるのね

    5
    • れんちゃ
    • 2024年 10月 27日

    推移的には有利ではあるものの、当初プーチン大統領に示して見せた絵図からすれば大幅に遅延してるのだろうね。
    だからこういう事をして誤魔化す事になると。そして、そういう表面だけ誤魔化すみたいな行為にRYBAR等は怒ってる。
    こういうのがもしも通ってしまった場合、その前提で次の作戦プランが決まってしまう訳で更なる無茶をする羽目になる。仮にそれを達成出来たとしても、おそらく無駄な出血と、他地域への迷惑にもつながるだろう。現実を知ってしまった兵士たちに厭戦ムードを広げる懸念もあるし…

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