ロシア国防省は11日夜「ポクロウシク近郊のシェフチェンコを解放した」と発表、さらにロシア国旗を掲げる様子も12日に公開し、この映像に映るシェフチェンコのテリコンは圧倒的な高さを誇っており、ロシア軍はドローン運用に欠かせないアンテナの高さを手に入れた格好だ。
参考:Сводка Министерства обороны Российской Федерации о ходе проведения специальной военной операции (по состоянию на 11 января 2025 г.)
参考:Министр обороны РФ поздравил военнослужащих 74-й отдельной гвардейской мотострелковой бригады с освобождением населенного пункта Шевченко Донецкой Народной Республики
参考:Бойцы группировки «Отважные» продолжают выбивать противника с Донецкой земли
映像に登場するシェフチェンコには周囲よりも圧倒的な高さをもつテリコンが映る
ロシア国防省は11日夜「ポクロウシク近郊のシェフチェンコを解放した」と発表、ベロウソフ国防相も「シェフチェンコ解放に関与した第74独立親衛自動車化狙撃旅団と兵士に感謝の言葉を送った」と明かし、さらにシェフチェンコ=Ⓐに国旗を掲げた様子も12日に公開、ここまでシェフチェンコ(人口約1,600人)占領をアピールするのは街の重要性を強調したいためだろう。
ロシア軍は第155機械化旅団の問題に付け込む形で要塞を無血占領し、ここ起点にシェフチェンコとノボトロイツケに足場を築いてピシュチャネ、ヴォフコヴェ、ソローネ方向に支配地域を拡大、そのためウクライナ最大のコークス供給(歴青炭を産出しているという意味)拠点=ピシュチャネにあるポクロウシク炭鉱第3立坑は操業停止に追い込まれ、ポクロウシクに対する主要兵站ルートの1つ=T-0409は物理的遮断の危機に晒されている。
ロシア国防省の映像に登場するシェフチェンコには「周囲よりも圧倒的な高さをもつテリコン=40m級」が映っており、ソローネ近郊のテリコンと合わせると「ドローン運用に欠かせないアンテナの高さ」を改善した格好で、T-0409の遮断は時間の問題だろう。
ダヴィンチ・ウルブス大隊(第59自動車化歩兵旅団所属)の指揮官=セルヒー・フィリモノフ氏はUkrainska Pravdaの取材に「ロシア軍の動きを見れば明白だ。兵站を遮断して戦わずしてポクロウシク占領を狙っている」と、別の関係者も「ロシア軍の標的はポクロウシクではないと確信している。彼らの最優先目標はドニプロペトロウシク州に侵入して作戦を展開することだ」と述べており、恐らくソローネ周辺からウダチネやノボピドホロドネに取り付いてセルヒーフカ方向に向うことを懸念しているかのもしれない。
因みにウクライナはクルスク方面の戦闘で捕虜になった北朝鮮兵を、ロシアはクラホヴェを巡る戦いで投降したウクライナ軍兵士をアピールしており、どちらも冷静に考えれば「戦場で起こり得る出来事」でしかないため、北朝鮮兵の存在が確認されたという政治的な意義以外は「都合の良い部分だけを切り取って投稿する戦闘シーン」と大差ないものの、情報空間の戦い=自身が戦いを優位に進めているように印象付ける作業においては効果的なのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России