ロシア関連

ロシア国防省、ヘルソン州北西部やハルキウ州北東部からの撤退を明示

ロシア国防省は4日夜「ヘルソン州北西部」や「ハルキウ州北東部」の占領地域を放棄して撤退したことを明示、広大な占領地を放棄せざるを得ないロシア軍の苦境を浮き彫りにした格好だ。

参考:Сводка Министерства обороны Российской Федерации о ходе проведения специальной военной операции на территории Украины (04.10.2022 г.)

ここまでロシア軍を押し返すとは誰も予想していなかったはずで、ウクライナ軍は年内にどこまで押し返すつもりなのだろうか?

ロシア国防省は戦況報告の中で「ヘルソン州北西部の前線が約30km南へ後退したこと」「オスキル川東岸地域のハルキウ州からほぼ撤退したこと」を明示しており、広大な占領地域をウクライナ軍に奪還されたと事実上認めた格好だ。

ロシア国防省の公開したヘルソン州北西部は「ドニエプル川沿いのドゥチャニ付近」を保持しているように描かれているが、ウクライナ軍によってドゥチャニは解放済みで、ロシア軍は15km後方のマイラブに後退している。

それでもヘルソン州北西部の中央部分(Novovoskresens’keを中心にしたエリア)を放棄してBorozenskiyまで後退したことを明示しており、戦線をBruskyns’ke~Borozenskiy~マイラブのラインまで整理・縮小、ドニエプル川北岸に保持していた占領地域の1/4を放棄した形だ。

出典:Google Map 南部戦線の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ハルキウ州北東部の状況についてイゴール・ガーキン氏は「戦わずしてロシア軍が撤退している」と明かしていたが、公開された戦況マップによると「タヴィルザンカ付近」までの占領地から撤退したことを明示しており、ウクライナ軍によるハルキウ州解放はほぼ達成されたと言っていい。

ただロシア国防省の公開した戦況マップでは「トルスキー付近」を保持しているように描かれているが、ウクライナ軍によってトルスキーは解放済みだ。

出典:Google Map 東部戦線の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ロシア軍が放棄した地域をウクライナ軍が掌握している訳ではないものの、ここまでロシア軍を押し返すとは誰も予想していなかったはずで、ウクライナ軍の反撃はどこまで続くのだろうか?

追記:ロシア軍が放棄した地域の拠点にウクライナ軍が到達したことを示す証拠が次々登場している。

関連記事:花束で迎えられるウクライナ軍兵士、東部戦線でも次々と拠点を解放
関連記事:止まらないウクライナ軍の反撃、ヘルソン州北西部の露防衛ラインが崩壊

 

※アイキャッチ画像の出典:Ministry of Defense of Russia

花束で迎えられるウクライナ軍兵士、東部戦線でも次々と拠点を解放前のページ

ウクライナ、ロシア軍を監視するため小型UAVを986機調達すると発表次のページ

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コメント

    • 匿名
    • 2022年 10月 05日

    これは潰走の言い換えではなく、本当に戦線の整理と再編成か

    経験を積んだ部隊を撤退させ、クリミア大橋で目撃されたような戦車や
    本国で訓練してる動員兵を待って再度の攻勢をかけようって感じなのかな

    5
      • 名無し
      • 2022年 10月 05日

      いや、これまでの一連の流れから考えると
      これは純粋に逃げてきてるだけや
      逃げなきゃリマンの悲劇が繰り返されるからな
      逃げるしか選択肢が無い

      85
      • けい2020
      • 2022年 10月 05日

      潰走敗退したあとに、後出しで撤退指示出した事にしてるだけかと

      41
        • 無能
        • 2022年 10月 05日

        計画的に撤退出来ているのか怪しいですね。
        配属された動員兵を撤退してきた部隊という事にして、前線にいる部隊は無かったことにしているかも?

        19
      • 匿名
      • 2022年 10月 05日

      3日にもペスコフが、LPR/DPRは2014年時点の境界線を領土として編入すると言ってますから、一旦縮小傾向にあるのは間違いないですね。

      2
    • 名無し
    • 2022年 10月 05日

    ちょwww奪還しすぎwwwwww

    9
    • zerotester
    • 2022年 10月 05日

    いつもながらロシア軍の発表は早いですね。まだ退却している最中なのに。特に南部は追撃されていて下手すると包囲されます。ウクライナとしてはなるべく削りたいでしょう。

    東部と南部の両方で大幅退却したことを発表とは、情けないことです。しかもリマン陥落を発表したばかりなのに。もはや「潮目が変わった」といった段階ではなく、ロシアがこの戦争に負けつつあることが誰の目にも鮮明になったのでは無いでしょうか。

    54
      • モンパ
      • 2022年 10月 05日

      プロパガンダですからね。
      ウクライナが「落とした」と言う前に、自らの意思で「撤退した」と言わねばならぬのでしょう。

      1
    • xyz
    • 2022年 10月 05日

    宇軍よ管理人さんを休ませてくれ。
    いやここは涙を飲んで管理人さんには倒れて貰おう!

    78
      • 名無し
      • 2022年 10月 05日

      確かにw深夜でも更新する管理人が異端なのかw

      39
      • ido
      • 2022年 10月 05日

      鬼畜の所業で草ww

      管理人さん、体調崩さないように記事更新してくださいね。

      36
    • 2022年 10月 05日

    冬が来たら移動経路の選択肢が増えて
    物量が多いほう(ロシア)有利になるからね
    ウクライナがいま焦って進軍してるけど結局また奪い返されることになるだろうね

    1
      • かな
      • 2022年 10月 05日

      物量=パワーってそんないつの時代の話っすか

      33
        •  
        • 2022年 10月 05日

        ん~いつって言えば今かな
        なんせ国家総動員して現状80万~100万人動員して数でも圧倒しているのがウクライナ軍だから

        12
        • 無無
        • 2022年 10月 05日

        いつもそうです
        だからウクライナ軍もロシア軍との正面衝突は避けている
        「技は力の中にあり」とは武道家の名言ですが、ウクライナもまたロシアとは質の異なる物量に頼っている
        力のない奴には技なんてふるえないんですよ

        3
      • tofu
      • 2022年 10月 05日

      反撃が始まったのは泥濘期前なんですがそれは

      28
      • Ard
      • 2022年 10月 05日

      ええ、物量が多い方(ウクライナ)が有利ですね。錆びてガチガチの兵器を物量に含めるならロシアです。

      29
      • 名無しさん
      • 2022年 10月 05日

      ボケのレベルが低すぎて、突っ込むのも野暮なのですが、
      ロシアに足りないのは移動経路の選択肢だけではなくて、
      輸送手段も、輸送スタッフも、ロジスティックスのノウハウも、運ばれるべき武器・弾薬・食糧・燃料・兵器も
      それらを横流しせずに運ぶモラルも、何もかもが足りていないから、この惨状を招いているのですよ。

      それらは冬が来たくらいでは全く解決しません。

      57
      • Rex
      • 2022年 10月 05日

      人もいない。武器もない。金もない。
      どう見てもロシア物量ないでしょ(白目

      31
      • Full
      • 2022年 10月 05日

      物量的にも移動経路の選択肢的にもウクライナが有利やで

      24
      • k
      • 2022年 10月 05日

      もう質はもちろん物量でもロシア軍圧倒してるよう見えるんですが…
      動員でまともな戦力が整うの何て、早くても春とかじゃろ…。
      完全に手遅れでは…?
      先行して訓練も装備も整わない内に逐次投入した連中もいるようだが、案の定まともな戦力になってない様子
      冬服も揃えられてないらしいロシア兵が、一体どれだけ越冬できるやら。

      18
    • 通りすがりのななし犬
    • 2022年 10月 05日

    ロシア軍の潰走は、ロシアの作戦の誤りや撤退時期の判断の誤りによる正規軍兵士の損耗に原因があるのだろうけど、それだけじゃないように思う。現代の戦争においては、エネルギー資源の確保が重要なことは前世紀と変わりないけど、半導体の自給自足もしくは供給源の確保も重要なのではないだろうか。これが出来ない国は長期戦は戦えない。

    アメリカが経済安保の観点から半導体サプライチェーンを重視したのは、ウクライナとロシアの戦争を見てて十分理解できるように思う。半導体が無ければ、戦闘機もミサイルも戦車をはじめとした戦闘車両も、ドローンも多連装ロケットシステムも自走砲も、レーダーも通信機器も、そして輸送用の軍用トラックさえ追加生産できない。部品も供給できないし、それらを生産する工場の設備を稼働することすら覚束ない。

    アメリカは半導体を制するものが世界を制すると考えているのだろう。だから、かつて日本から半導体を取り上げた。

    ロシアは戦争が長引けば長引くほど戦線を維持できなくなるだろうし、潰走に次ぐ潰走という展開になるんじゃないだろうか? 兵士の頭数だけ揃えたとしても、最新兵器が揃えられないなら、反攻など望むべくもなさそうだ。

    48
      • 2022年 10月 05日

      戦略物資認定は理解できる。ただ台湾有事になった時、同じ手段を中国相手にどこまでとれるか…。日本人として、気になる。

      13
        • 7743
        • 2022年 10月 05日

        中国は確かに半導体の製造量は多いですが、半導体製造装置のシェアは
        相変わらず米欧日韓の企業がシェアを独占しており、中国に付け入るスキはありません。
        アメリカはこの分野の技術が中国に流出することに神経質になっており、
        台湾有事の際、半導体不足で苦しむことになるのはやはり中国の方かと思われます。

        26
      • はんどうたい
      • 2022年 10月 05日

      兵器に使われてる半導体は最新のものではないのでそんなに関係ないかと

      9
    • AAA
    • 2022年 10月 05日

    併合宣言した地域がどんどん奪還されてるじゃん
    併合しないほうが良かったんじゃ?

    13
      • ユタカ
      • 2022年 10月 05日

      だから併合した4州のどこまでが併合ラインか具体的な国境線をプーチンは発表しなかったんです。
      このままどんどん押し込まれて2月24日以前のLNR・DNR支配地域境界線まで後退しそう。

      6
    • タイヤキ
    • 2022年 10月 05日

    ヘルソンの場合は、ロシア軍2万5千人とウクライナ軍十数万が戦っていたから、ここまで兵や兵器の差でロシア軍優位だったのが、流石にここまで戦えば補給も交代要員も減ればロシア軍消耗しますね。ロシアは動員をウクライナと戦う初期にして訓練すべきだったのにしてないですしね。

    6
    • すえすえ
    • 2022年 10月 05日

    まぁ、撤退がうまくいったかは装備品を持ち帰ることができたかどうか次第ですねぇ

    装備品をまた大量に失っていたらご愁傷様
    人員が撤退できていていても戦力としては大幅ダウンだが

    14
      • 7743
      • 2022年 10月 05日

      以前にバフムート方面のロシアの占領地の動画が紹介されていましたが
      死体どころか機材ひとつ残っていない状態で
      ウクライナ軍が整然と後退したことが一目瞭然でした。

      ロシアの撤退にそのような場面はほとんど見られないことから、秩序だった後退は不可能であったと思われます。

      43
    • 霞ヶ浦
    • 2022年 10月 05日

    時間がかかり退路のあるヘルソン東から攻めてってるのは少し気になるな
    ヘルソン正面~西は相当固いのか

    1
    • ぽち
    • 2022年 10月 05日

    管理人様、仮眠をとって下さい🤣
    皆様のご指摘のように、ロシアの半導体不足は深刻
    核のメンテも怪しいですよね?
    でも、ヘルソンで万単位の損失なら、恫喝に核実験?
    その時、米英は準破滅的な報復をするかな
    核は使わないよね、、ヒトラー超え最悪確定だもん

    4
      • モンパ
      • 2022年 10月 05日

      核を使ったら、ロシアは「人類の敵」となります。
      使えるかな?

      12
        •  
        • 2022年 10月 05日

        やるとしても
        1、核実験で脅し
        2、無人地域に小型核使用
        3、敵軍に使用

        このフェーズは踏むと思う

        4
      • VRTG
      • 2022年 10月 05日

      核は抜かずの宝刀なわけで、抜くからには相応の結果がないと不味いんです。
      使用が即相手の降伏を決定づけるならともかく、そうでなければ戦争の終着点そのものを消し飛ばしかねない劇薬なんですよね。

      12
        • 案山子
        • 2022年 10月 05日

        維持コストも運用リスクも高い核兵器なんてさっさと廃棄して、通常兵力を充実させておけばこんな事には…無理かー。
        今回の戦争を見ていると核兵器は使えない兵器だって思うなぁ。

        8
        • G
        • 2022年 10月 05日

        ただ当たり前のことをも考えずにやらかしてきたプーチン大統領の言動の数々を見てきた身としては、核兵器だけは理性的に考えていると期待できそうかというと……

        2
    • 無無
    • 2022年 10月 05日

    我が人生においてウクライナの地理と地名にこれほど学ぶ機会があろうとは
    ここだけはプーチンにも感謝せねばなるまい、しかもまだまだ詳しくなれそうだ

    18
    • mun
    • 2022年 10月 05日

    リマンの例がありますからね
    撤退すべき時に撤退しない愚を犯してはならないと
    いくら無能なロシア軍でも学習したようです
    とはいえ遅すぎました、失った戦力はもう返ってきません

    東部戦線を指揮していた指揮官が悪いという事にして
    絶対に欲しい占領地に集中するのかも知れませんね
    まぁ、政治的な理由での死守命令なんで
    プーチンが撤退を許さなかったんでしょうけどね

    首都進攻を諦めた時に続き
    ロシア軍2度目の大きな方針転換となるんでしょうか
    方針が変われば放棄する場所は放棄して下がるでしょう

    2
    • k
    • 2022年 10月 05日

    しかしもう完全に泥濘期なのに、戦線落ち着くどころか、さらに快進撃してるなウクライナ軍…。
    補給不足でロシア軍は冬服さえまともに揃えらてないようだし
    この調子なら冬将軍来ても勢い止まらないのでは

    7
      • unnamed
      • 2022年 10月 05日

      真に冬将軍のご加護があったのはロシアではなくウクライナだった説

      2
    • モンパ
    • 2022年 10月 05日

    訓練もなしに投入された動員兵がそろそろ大量に現れそう。
    はたしてどの程度の戦いぶりを見せるか?

    2
    • 2022年 10月 05日

    本当に撤退なのか、単には敗走なのかはなのはg捕虜の数で結構わかるだろうし、バルるだろうな。

    2
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