ロシア関連

ロシアの燃料貯蔵施設が爆発、弾道ミサイルかTB2でウクライナ軍が攻撃か

ロシアのブリャンスクで燃料貯蔵施設が炎上しており、ウクライナ軍の戦術弾道ミサイル「トーチカU」もしくはトルコ製UCAV「バイラクタルTB2」による攻撃の可能性が指摘されている。

参考:Russian fuel depots ablaze after suspected Ukrainian strikes

問題はブリャンスクで発生した爆発はウクライナ軍によるものなのか、ロシアの偽旗作戦なのか

ウクライナ国境から約100km離れたロシアのブリャンスクで25日早朝、軍の燃料貯蔵施設と国営企業トランスネフチが所有する石油精製施設で爆発が発生「大きな火災が発生している」と報じられており、ウクライナに装備を輸送する鉄道路線も別の爆発が発生して破壊されたらしい。

爆発が発生した燃料貯蔵施設には1万5,000トンの石油が保管されていたと報じられているので、これが火災で全てダメになっていればロシア軍にとって非常に大きなダメージと言えるだろう。

問題はブリャンスクで発生した爆発がウクライナ軍によるものなのか、軍事作戦を正当化するために仕組まれたロシアの偽旗作戦なのかだ。

ロシアの防衛政策が専門のロブ・リー氏は爆発と火災の様子から「空爆かミサイルによる攻撃だ」と主張しており、最も可能性が高いのは戦術弾道ミサイル「トーチカU」による攻撃で「国境付近から発射すればブリャンスクの施設に十分届く」と述べているが、クルスク州(ブリャンスク州の隣)ではトルコ製UCAV「バイラクタルTB2」が撃墜されているためロシア当局は「無人機による攻撃の可能性が高い」と考えている。

ただウクライナ当局はブリャンスクの爆発について何も声明を発表(先週発生したベルゴロド州の燃料貯蔵施設への攻撃も否定)していないため、どうして燃料貯蔵施設や鉄道路線が爆発したのか誰にも答えは分からないが、国境に近い燃料貯蔵施設を攻撃してロシア軍の補給を妨害するのは軍事的に見ても非常に効果的なためウクライナ軍による攻撃の可能性が高いと思う。

関連記事:ロシア編入を主張するトランスニストリアで爆破テロ、侵攻の口実作り?

 

※アイキャッチ画像の出典:Telegram経由

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コメント

    • けい2020
    • 2022年 4月 26日

    第3の可能性
    軍への燃料供給を厳命されてるから、長期間24時間稼働して事故を起こした
    2008からの制裁で元々必要なメンテナンスも出来てない可能性が高く、
    そこに汚職・無理無茶・技術力のない人のをとにかく動員すれば、事故が起きないのが奇跡

    今回が攻撃だとしても、ロシア各地で問題が起きてるのは以前から言われてますね

    50
      • ご安全に
      • 2022年 4月 26日

      ロシアの現場猫、、、恐るべしですね。。。
      このまま継戦能力を減らし続けてくれるといいのですが。

      22
      • NATTO
      • 2022年 4月 26日

      第4の可能性。
      横流ししていたのがバレそうになったから放火して有耶無耶を狙った。

      18
    • 思い付きだけど
    • 2022年 4月 26日

    ウクライナによる工作だったとすると、ドイツやチェコ向けの石油供給が止まってもいい、と判断したのだろうと思います。

    リンク

    3
    • 折口
    • 2022年 4月 26日

    ロシアが西側の弾道ミサイル防衛システムを突破する新型ミサイルにリソース全振りせず、自前のBMDもちゃんと整備してればこういう被害は出なかったはずなんですけどね…。
    自称「西側のBMDより優れている」S-400はウクライナの短距離ミサイルをどれだけ防げましたか?

    21
      • 四凶
      • 2022年 4月 26日

       その逆を行っている日本は近隣諸国に何らかの影響を与えられましたか?それに実際撃たれてみない事にはBMDの成果も分からないのでは?

       S-400の話はその射程内に展開していていなければ意味も無いですし、着弾する先に重要目標があるのかでも迎撃の判断はされると思うので、具体的にS-400の性能不足と思われるケースを上げないと貶める事も出来ないと思いますが。

      3
        • や、やめろー
        • 2022年 4月 26日

        多々でさえ燃料足りてないロシア軍が燃料保管設備に対空ミサイル置いてないのもおかしな話ですけどね。

        45
          • 四凶
          • 2022年 4月 27日

           ウクライナが攻撃出来るのかってのはあって、仮にトーチカUだとしてCEPが言われている通りのレベルだと標的の敷地内ど真ん中を狙ってようやく周辺市街に被害を及ぼさないかなレベル。

           今まで大っぴらに公表してきた全ての戦果はロシア民間人に死傷するようなダメージを与えるような物ではない筈。
           西側受けが良い戦果出すなら余程市街地から外れた軍施設狙わないと無理じゃないかな。

        • 折口
        • 2022年 4月 26日

        90年代以降の日本が米国とBMDシステムの共同開発や整備をして何を得たかですが、北朝鮮が核・ミサイル開発で世論を通じて日本及ぼすはずだった影響の拒絶ないし軽減の効果は確実にあったでしょう。日本で中国やロシアを擁護して「彼らが受け入れられる条件まで日本が譲歩しよう」という人は居ますが、北朝鮮に対してそういう意見を言う日本人は相対的に少ないです。これは日本の民主主義に対する外国の武力に因る干渉を防衛力で排除したという事で、それだけでもシステム構築の効果はありました。

        日米BMDの性能ですが、実戦に供されていないだけで弾道ミサイルを使用した演習や迎撃実験では一定の成功確率を出しており、全くのこけおどしではありません。これについては弾道ミサイル迎撃実験を複数回成功させたS-400も同様ではありますが、弾道ミサイル防衛システムというのはミサイル本体よりむしろ警戒監視・追尾を行う監視体制全体をいうものです。その点でロシアのミサイル防衛体制は、例えSMやPACより高性能なミサイルを持っていても警戒や緊急展開能力の点で未だ日本や北米やNATOの水準に達していません。

        65
    • や、やめろー
    • 2022年 4月 26日

    トーチカUにしろ、バイラクタルTB2にしろロシア軍において燃料貯蔵施設は1番守っておかなければならないところのはずでは?s -400とか何してたんだろ

    22
      • zerotester
      • 2022年 4月 26日

      昨夜のウクライナ軍の発表で「(ロシアは)対空ミサイルシステムをロシアの領土から移動させている」と発表しています。領土防衛のためのS-400をウクライナ戦争に投入しているということだと思いますが、それで手薄になったのを見て突いたという可能性もあるかもしれません。

      20
    • さめ
    • 2022年 4月 26日

    TB2は見通し距離内でしか運用できないはずだから国境から100kmも離れている内地の攻撃に使うのは現実的ではない気がする
    ウクライナ側によるものであるならば、弾道弾か何かしらの誘導弾でしょう

      • 匿名
      • 2022年 4月 26日

      以前の記事で、「ウクライナ側が中継器を積んだドローンを同行させる事で、見通し距離から遥かに離れた地点までTB2を運用している可能性」が指摘されてましたね…

      「用兵の巧みさが際立つウクライナ軍、バイラクタルTB2が活躍できる訳」
      リンク

      3
      • フラット
      • 2022年 4月 26日

      前ここの記事でウクライナ軍が中継機を介する事で、拠点が西部ながら見通し距離を超えて東部や南部までバイラクタルTB2を飛ばしている事が紹介されてましたよ

      11
        • 名無し
        • 2022年 4月 26日

        別に弾道ミサイル攻撃結果の戦術偵察を、TB2がやっててもおかしくないじゃない。
        もともとのTB2用途自体も、火砲の射撃管制が大きな柱だったりもする(投射量が積めるペイロードに制限されない)んだし。

        2
          • バーナーキング
          • 2022年 4月 26日

          いやTB2に何に使えば有意義か、とかそんな話じゃなくて、単に「TB2は見通し距離内でしか運用できないはずだから」への反論でしょ?
          てかそもそも運用高度5500mのTB2の見通し距離は中継なくても250km楽に越えるんだけどね。

          10
        • 774
        • 2022年 4月 26日

        それでも中継局は見通し距離内にいないといけないはずで、国境を越えるのはなかなか大変ではないか。
        と思ったが、国境線も長いし、装備が少なければ意外と潜入出来るのだろうか。

        2
    • ななし
    • 2022年 4月 26日

    100キロ沖合にいたモスクワを撃沈した時は、何台ものドローンで信号を中継して100キロ先での作戦行動を実行したと記事にありましたね。
    ただ、海上と違って内地では途中で発見・妨害されるリスクが高いので実現性は低いとも考えられます。

    4
    • 御影渦音
    • 2022年 4月 26日

    ウクライナ側からの攻撃は限定的なので後方の守りはガバガバでもいい(そんな戦力があるなら前線に突っ込みたい)、くらいの割り切りもあるのかもしれませんが…

    9
    • 無題
    • 2022年 4月 26日

    モスクワが沈んで以来露のガバガバっぷりが悪化してるな

    2
    • ななし
    • 2022年 4月 26日

    ハカー「なんかよくわからんが100倍にしたろ」
    プラント「ヤメテー」

    アメリカの水道局でクラッカーが薬剤大量投入する事例があったような…

    1
    • うし
    • 2022年 4月 26日

    やったぜ!

    2
    • 2022年 4月 26日

    本土への越境空爆とはドローンの進化もここまで来たか

    1
    • AAA
    • 2022年 4月 26日

    記事内の線路が爆弾で破壊されたは嘘ですね
    その件のニュース見てもらったらわかるけど爆発跡なんかなく単にロシアンクォリティーの土木工事で
    線路下の地盤が雨で崩落してるだけです

    4
    • 匿名
    • 2022年 4月 26日

    北原白秋のペチカ、脳内再生余裕っす

    • 名無し
    • 2022年 4月 26日

    日本は今までに防御はある程度探知迎撃の能力を得た

    防御の方が技術を得るのが難しい

    今まで世界が平和で良かった、更に北朝鮮というロケットマンがいてミサイル防衛に金と時間を使えた期間はデカい

    次は88式SSMやロケット技術を基礎とした長距離対艦、巡航ミサイル、滑空弾での反撃能力の獲得

    そう考えると日本は強かにやってきたねぇ

    1
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