ロシア国防省はクルスク州スジャ方面について「ウクライナ軍の攻撃を全て撃退した」という立場を維持しているが、RYBARは7日「前線の状況は何も変わっておらず、ロシア軍司令部とミルブロガーの間で対立が発生している。その原因はいつもように嘘報告のせいだ」と報告した。
参考:Курское направление: относительное затишье в Суджанском районе, поиски крайних и варианты развития событий что известно по состоянию на 13.00 7 февраля 2025 года
参考:Министерства обороны Российской Федерации о ходе проведения специальной военной операции (с 1 по 7 февраля 2025 г.)
ロシア軍が今回の攻撃に対する対応に失敗したのは確実で、嘘報告で誤魔化そうとしている
ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARはクルスク州スジャ方面について「ウクライナ軍が今年2回目となる攻勢を6日朝に開始した」と報告、ロシア国防省も「全ての攻撃を撃退してチェルカスカヤ・コノペリカとウラノクの支配を維持している」と発表したが、ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは直ぐに国防省が発表した内容を否定。
“国防省発表と矛盾する情報が登場している。ウクライナ軍はチェルカスカヤ・コノペリカを通過して38K-028の合流地点まで到達し、ファナセエフカ集落でもウクライナ軍の存在が確認された。ウクライナ軍はロシア軍の防衛ラインを突破し、チェルカスカヤ・コノペリカとファナセエフカに歩兵を送り込むことに成功したのは明白だ。この攻撃には少なくとも第80、第82独立空中強襲旅団の各大隊、付属の戦車部隊が作戦に関与している”
ロシア人ミルブロガーのДва майораも「ウクライナ軍が我々の防衛ラインを5kmも突破してしまった」「敵は現在もチェルカスカヤ・コノペリカとファナセエフカに存在する」「新たな攻撃準備の兆候も報告されている」と、АРХАНГЕЛ СПЕЦНАЗАも「最大350人の兵士と最大50ユニットを擁する敵部隊が最大5kmの深さまで我々の防衛ラインを突破した」「敵は主要目標のウラノクにまだ到達出来ていない」「この過程で多数の人員と装備を失ったものの確保した範囲の陣地強化を始めている」と報告。
さらにRYBARは7日「ウクライナ軍が依然としてチェルカスカヤ・コノペリカとファナセエフカを保持している」「ウクライナ軍は新たな攻撃を試みなかったものの追加戦力を移動させている」「前線の状況は何も変わっていない」「両軍ともチェルカスカヤ・コノペリカとファナセエフカを確実に支配はしていない」と報告し、今回はロシア軍を直接批判した。
“今回の事態についてロシア軍司令部とミルブロガーの間で対立が発生している。その原因はいつもように嘘報告のせいだ。予備的な情報によれば敵の攻撃が開始された際、チェルカスカヤ・コノペリカにロシア軍部隊は殆どいなかった。ウクライナ軍がドローン攻撃を受けななら前進したコルマコフからチェルカスカヤ・コノペリカの道も管理されておらず、ウクライナ軍の架橋戦車は誰にも気づかれることなくリカ・スメルジツァ川を横断した”

出典:Минобороны России
“今回の責任について軍検察と軍事防諜部(保安庁の国内治安機関を管理する部門)は「当該地域の旅団司令部に責任がある」と言い出し、旅団の誰かが解任され、後任が指名されたとさえ言われている。この様な状況で正しい結論が導き出され、今回犯したミスが修正出来きる訳がない”
ロシアでは軍の信頼を損なうような言及や情報発信は罪に問われるため、ロシア軍内部の問題が外に漏れることは非常に稀だが、ミルブロガーらは嘘報告をテコにした批判に積極的で、RYBARは今回の事態について「ロシア軍のミス」「嘘報告で誤魔化そうとしている」「当該地域の旅団司令部に責任を押し付け幕引きを図る動きがある」と示唆しており、この攻撃に対する対応が失敗したと見て間違いだろう。
因みにロシア国防省は現在も「ウクライナ軍による計8波の攻撃全てを撃退した」という立場を維持している。
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※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России
ロシアもウクライナも同じ問題を抱えているんですね。
官僚組織的な問題か、腐敗した組織的な問題か
どちらもという可能性もありますが
イギリス国防省も追加でお願いします。
ロシア軍の発表が信頼できないのは元からですがウクライナでここまで言われるのは確かに珍しいですね。まあクルスク進行直後も緊張しながらも批判されてた気もしますが。
しかしRybarは長年の実績でわきまえている中、シリアに対して見せたそれと同じくらいキレてるようですがはたして。まるでブトゥソフ氏のよう。
でも一日のちょっとした突破というだけで違和感がある反応ですね。話の通りならロシア軍がそもそもその場におらず被害もほとんどない。
重要なのは補給線の根本に圧力を与える拠点となるプリョホヴォとそれにつながるウラノクだと思うのですがそこは無事ですし。
元々はウラノクから更に前進してマフノフカまで制圧してダリノあたりと挟み撃ちで補給路含めて叩くという計画があったんだと思う。これがマフノフカ制圧失敗したのはまだしもかなり押し戻されちゃったし。
マフノフカ制圧が出来れば幅が20キロ未満に出来たはずでかなり有効性が出たんだがな。
(なんか挟み撃ちにする時は18キロまでだとクッソ効果が高いらしい。120mm重迫が通常弾じゃ10キロ飛ばないんだよな。)
なるほど、砲射程を考慮して最適な陣地確保が遠のいたからの怒りですか。
大変勉強になります。
露軍得意の欺瞞戦術の臭いが濃い。露軍は無能で腐っている。と思わせてクルスクにますますウクライナ軍を誘致したいのだろう。
マスキロフカの可能性ありますね。
ロシア側に何かの変化が起こっているのは間違いない
でしょうね。それがウクライナにポジティブかどうか?
結局のところここからの戦況次第でしょうが、個人的に
どうもロシア側の動きに何か不自然さを感じますな
自分がウクライナ司令官なら動かないことを選択しますが
どうなることやら
バクムト戦でのプリゴジンの大騒ぎも欺瞞戦術だったのではないかと思っています。露正規軍は弱くすぐ逃げる。露軍首脳は腐敗している。これはNATOとウクライナ軍の露軍蔑視を後押しして破滅的なスロビキンラインへの正面攻撃を誘発する一因になったと思います。ワグナネルのモスクワ直訴行軍も欺瞞臭いと今でも思ってます。プーチンがプリゴジンを直接批判しており露軍の内部もなかなか複雑で、その後の事故死も加わり評価は極めて難しく謎ですが結果的には反転攻勢失敗の原因の一つになったと思います。
ドネツ川近辺の偽報告事案についてはなんとも評価不能ですが。
本当に欺瞞戦術ならロシア国防省ももう少し悲観的な発表をするんじゃないですかね。
傍観者さん、ななしさん、NIVEA万能論さん、いずれの仮説も説得力を感じます。八方美人かも知れませんが…。付け加えるなら罠や三味線でな無くとも、危機を逆用出来る程度の余力は未だロシア軍にはあるでしょうし、クルスク(スジャ)に病的に拘泥しているキーウ政権の足下を見透かして、特に高度な誘因戦術を駆使せずとも「半自動的」にウクライナ軍が網に掛かってしまうという可能性も…。悲惨です。
露軍公式発表が悲観的観測だと現実を直視していることになり、ミルブロガーが偽情報だと批判する余地がなくなるわけです。ミルブロガーが露軍は敗北を隠ぺいしていると批判するのが大事なわけです。露軍は敗北を隠し腐敗しており国内で内部分裂が進んでいるとなり、ウクライナ側はもう少しもう少しと希望を持ちクルスクの賭場になけなしの資産を突っ込みたくなるわけです。
クルスクに関して今次のウクライナの反撃は地図上からも極めて些細なものでミルブロガーが取り立てて騒ぐほどのものではないと思いますが不自然に騒いでる。ウクライナにとってはうれしいニュースでクルスクにもっと突っ込んでくれれば露軍は嬉しいでしよう。
いくらなんでも無理やり色々と繋げすぎでしょう。
ロシア軍だって普通に失敗はします。
それに今回クルスクで失った土地は些細な物ではありません。
スジャ南部に攻め込んだロシア軍はウクライナ軍にとって大きな圧力になっていました。
それを取り除かれたのはロシア軍にとって明らかに痛手ですし、近いうちに停戦交渉が始まるかもしれない状況でスジャが延命されるのは政治的にもよろしくない。
クルスクは比較的ウクライナに不利な戦場ではありますが、開口部が広ければ包囲効果は薄くなります。
今後ウクライナ軍に与える損害も、今回の後退により多少少なくなるでしょう。
一連のプリゴジンの騒ぎが欺瞞だというのも驚きです。
あの場当たり感の強い反乱をリアルタイムで見てたら、決してそんな感想にはならないと思うのですが…。
欺瞞だとしたら自軍の航空機を落とすのはやり過ぎですし、ロシア軍の混乱や再編に掛かった時間、アフリカでのロシアの軍事的影響力低下という結果を考えると、決して欺瞞には思えません。
そも、「無能に見えるけど実はそれが作戦」という論理を採用するのなら、ウクライナ軍にもそれが言えます。
ロシア軍にだけ適用するのは不公平でしょう。
ミルブロガーは、愛国者と言いますか、命懸けでやってるのが分かりますね。
戦時中の国防省が相手なわけで、ガバナンスが働いているのは、本当に凄いことなわけです。
日本の大組織で考えれば分かりやすいですが、品質偽装があっても、そのまま改善に繋がらない事も多いですからね…
この手の批判ってどの辺りがラインなんでしょうね。あんまり言い過ぎると『家庭訪問』されちゃうでしょうし緊張感凄そうです
架橋戦車が誰にも気付かれる事なくの辺りで横転してる。
チェチェンの連中はFPVで何十台も攻撃したみたいな話が昨日ありましたがやはりTiktok部隊の報告は眉に唾つけて聞かないといけませんね···
やっぱりロシアにとって都合の悪いこともしっかりと言ってくれるRYBARは信頼できますね。
ブトゥゾフ氏の件でも叩かれてたように、この手のジャーナリズムは幾ら公平に見えても情報提供者たる軍部の派閥の宣伝者なことが大半な訳で、やらかした司令官でも軍閥の理論で遠慮なく叩けたり叩けなかったりするんじゃないかな?