ロシア関連

ロシア人ミルブロガー、ウクライナ軍の長距離攻撃に当局は無策だと批判

ウクライナは7月も1日平均344機のペースで自爆型無人機を発射し、7月6日にはロシア人が恐れていたFP-1の改良型がウクライナ国境から2,500km離れたオムスク製油所に着弾した。ロシア人ミルブロガーらは「時間はあったのに政府や軍は何も対策を講じてない」と批判を展開している。

参考:Беспилотники ударили по промышленному узлу в Омске
参考:Удар на 2500 км
参考:Атакован крупнейший НПЗ России в Омске
参考:Russia’s largest oil refinery in flames as Ukraine strikes Omsk, 2,500 km away from border

本当に何も効果的な対策を講じていないならロシア国内のガソリン供給は酷い目にあうだろう

ウクライナとロシアの長距離攻撃能力には当初「絶対的な差」が存在していたが、ウクライナ製の自爆型無人機(FP-1、FP-2、UJ-22、UJ-25、UJ-26、Lyutyi、パリアニツィアなど)や巡航ミサイル(FP-5や対地攻撃用のネプチューン)の量産が軌道に乗り始めるとロシア領内への長距離攻撃が徐々に増加し、2025年7月からは月間攻撃数が1,000機を下回ることがなくなり、2025年12月には月間攻撃数が5,000機を超えて長距離攻撃能力の格差が急速に縮まった。

2026年1月から2026年6月まで両軍が発射した自爆型無人機の数
ウクライナ軍発射数ロシア軍発射数
1月推定1,000機~2,000機4,442機
2月推定1,500機~3,000機5,059機
3月7,347機6,462機
4月9,372機6,583機
5月8,973機8,150機
6月11,999機5,438機
7月6日時点 2,064機 1,314機
7月のウクライナ軍発射数はロシア国防省発表を管理人が集計した数字、ロシア軍発射数はウクライナ参謀本部の発表を管理人が集計した数字

2026年3月からは4ヶ月連続でウクライナが発射した自爆型無人機の数がロシアを上回り、ウクライナは7月も1日平均344機のペースで自爆型無人機を発射しているため、このペースが続くと7月も1万機以上の自爆型無人機を発射する計算で、一方のロシアは1日平均219機のペースが続くと7月の自爆型無人機の発射は6,000機台になる。

ウクライナの長射程攻撃でロシア国内のガソリン供給が悪化の一途を辿っており、ロシア人ミルブロガーの関心事もウクライナ領内の前線ではなくガソリン不足の原因、つまりウクライナの自爆型無人機による攻撃やロシア当局の対応に集中し、7月6日には恐れていた新型の主翼を取り付けたFP-1の改良型(燃料タンクの追加で航続距離を1,600kmから2,700kmに拡張)がオムスク州の産業施設を攻撃、ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは「昨年から予測されていた事態が起きた。ウクライナは改良したFP-1を使用して前線から2,500km以上離れたオムスクまで到達することに成功したのだ」と報告。

“この件について「カザフスタン領土の活用」や「様々な工作員の関与」について噂や議論が再び巻き起こると思われるが、これらは全て単なる言い訳探しで解決策ではない。ロシア国内の石油・ガス施設に対する攻撃は2024年に始まっており、自爆型無人機に対する防衛準備を整える時間は十分にあったはずだ。防空システムの迎撃ミサイルが不足していると言うかもしれないが、自爆型無人機を阻止する手段は他にもある。ウクライナがやっているようにMi-8、Mi-24、小型飛行機を無人機迎撃に適応させることもできるはずだ”

“レーダー網のギャップも解決できたはずの課題だったが、ロシアは連邦領内への長距離攻撃が始まって以降、AWACS能力の代替(例えば保管されているTu-214にイルビスレーダーを搭載するといったような)を作るといった動きは一切見られなかった。燃料危機を背景に公式や非公式の場で地元当局、連邦当局、ガソリンスタンドチェーン、果てはビジネス界など、ありとあらゆる対象に対する責任追及の声が頻繁に聞かれる。一部の人々は自ら防衛すべきだと考えている”

出典:Президента России

“最も驚くべきことは国の防衛に責任を負っている本来の機関、つまり国防省や参謀本部の指導部に対しては疑問や追及の声が向けられていないことだ。この事実は現在の燃料市場(そしてそれ以外の分野でも)で進行している事象の多くを明確に説明(国防省や参謀本部へ批判がタブー視され、防衛に責任を負っていない人々が自ら防衛すべきという歪んだ構造上の問題)している”

ロシア人ミルブロガーのTwo Majorsも「敵はオムスク製油所への攻撃映像を拡散している。オムスク州のヴィタリー・ホツェンコ知事は攻撃の事実を認めた。特別軍事作戦開始以来初めてウクライナの無人機が国境から2,500km以上離れたロシア最大の石油精製工場を攻撃した」と報告。

“Fire PointのFP-1は主翼の形状を改良して燃料タンクが追加されている。この事は6月18日の公式チャンネルで明かされており、敵の無人機が2,700km以上離れた地域に到達できるというニュースは何も珍しくない。目撃者の映像によれば第5世代戦闘機のSu-57がオムスク上空で活動しているようだ。 開戦から5年目にもなって低速で機動性の低い無人機迎撃に最新鋭の戦闘機を投入しているという状況には疑問を抱かざるを得ない”

“無人機迎撃のため最新鋭の戦闘機を1時間飛ばすコストや高価な空対空ミサイルを使用するコストは法外で、欧州諸国がバルト三国上空でウクライナ製ドローンをラファールで追い回している事例と同じだ。欧州諸国にはウクライナと交戦した5年間の経験がないが我々にはそれがある。問題は貴重な経験を生かして自国空域をタイムリーに守れるよう手段を講じてきたかという点だ。FP-1の巡航速度は140~180km/hで 2500km (恐らく防空システムを回避するためオムスクの飛行はさらに長い距離を飛んだ可能性が高い)を飛び切るには14~18時間はかかるだろう”

Two Majorsの言及は「FP-1が140~180km/hの速度でロシア領空を14~18時間も飛んでオムスク製油所に到達できたということは、貴重な経験を生かして自国空域をタイムリーに守れるよう手段を講じていたとは到底考えられない=5年間の経験がない欧州諸国と同じレベルだ」という意味で、シンプルに言えば「FP-1の改良型が手の届かなかったロシア最大のオムスク精油所(処理能力は年間2,100万トン以上)を狙ってくることぐらい明白だったのに何の対策も講じていなかった」ということになり、FP-1の攻撃リスクが1,000km近く拡張されたためロシア軍の防空リソースは更に薄く引き伸ばされることになるだろう。

ちなみにウクライナ軍参謀本部は「ウクライナ国境から約2,500km離れたオムスク州のオムスク製油所を攻撃した」「これはウクライナ軍の攻撃を受けたロシア最大のガソリン生産企業11社のうち最後の企業だ」「オムスク製油所はロシアで最も高い石油精製深度=約99%を誇り、高オクタン価の自動車用ガソリン(AI-92、AI-95、G-Drive 100)やユーロ5ディーゼル燃料、航空用灯油(TS-1およびRTグレード)を生産している」「予備情報によると今回の攻撃で設計処理能力が年間840万トンのELOU-AVT-11=一次石油精製装置が影響を受けた」と報告している。

正直に言えば「オムスク製油所の損害がどの程度なのか」よりも「FP-1の攻撃リスクが1,000km近く拡張された」「この距離においてロシアの防空システムは相当手薄だ」と実戦で証明されたことの方が重要で、ロシア軍が国境から2,500kmの範囲をカバーできるよう防空リソースの配置を変更すれば迎撃密度が低下するため、ウクライナ軍の自爆型無人機はロシア軍の防空システムを貫通しやすくなり、本当に何も効果的な対策を講じていないならロシア国内のガソリン供給は酷い目にあうだろう。

そしてクリミアの状況もどんどん悪化して半島全体が停電に追い込まれ、ロシア人ミルブロガーらが「とにかくクリミアへの安定した補給路を確保しろ」と叫んでいる。

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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

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コメント

  • コメント (11)

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    • paxai
    • 2026年 7月 07日

    今すぐゲラシモフを解任しよう。あいつがトップになってからロシア軍は改善の歩みを止めた。
    スロビキンの方が絶対にいい。ただロシアのミルブロガーもボヤキ多めでガチの改革や進言には後ろ向きなんだよな。
    まあやるようなタイプは何処の国でも鬱陶しいと思われるけどな。

    12
    • たむごん
    • 2026年 7月 07日

    ロシアの防空リソースが、根本的に足りてないんじゃないですかね?

    広い国土に点在している、製油所~化学プラント~製鉄所~発電所~変電所~ガソリンスタンド~基地など、全て守り切れないのかなと。

    後方に防空兵器を配置すればするほど、前線~前線付近の策源地が手薄になるジレンマもあるので、手軽に対策できないのであれば深刻な問題ですね。

    13
    • ななしのシロウト
    • 2026年 7月 07日

    製油所の修理にはかなりの時間が掛かるため、ロシアはあらゆるルートを使ってガソリンやジェット燃料の緊急輸入を図ろうとしています
    もしこれが上手く行かなければ、ロシア軍の活動にも影響が出ると思われます

    4
    • せい
    • 2026年 7月 07日

    国力はロシアのが圧倒的かつ時間的猶予もロシアのが有ったはずなのにこれは、、、
    戦いに対する必死さが違うって事なのかなぁ

    15
    • スタンドオフ
    • 2026年 7月 07日

    石油化学産業として見れば高付加価値商品であるガソリン等軽質油の産生量低下は死活問題だろう
    元からロシアはガソリン収率が低くここ10年くらいになって二次処理・精製施設を増強していたくらいなので戦略爆撃目標としてこれを枯らすことは難しくない
    ただ産業網を動かす燃料や軍事物資として見ると、一次処理施設は元から多くを輸出するくらい各地に存在するので重油や軽油等重質油を不足させるのは難しく、これが継戦能力に影響するかどうかはまた別の話になる
    だからロシアが限られた防空リソースを精油所に回さないのも納得できるが、ただ乗用車が動かなければこのように市民の不満は溜まるだろうね

    11
    • 匿名
    • 2026年 7月 07日

    ロシアはGPS偽装やってるけどウ側ドローンが慣性航法や画像認識とAIを組み合わせて対向してきて効かなくなってるとかなんとか

    8
    • kitty
    • 2026年 7月 07日

    >欧州諸国がバルト三国上空でウクライナ製ドローンをラファールで追い回している事例

    これってなんですか?

      • あるまじろ
      • 2026年 7月 07日

      調べたら直ぐに出るよ

        • kitty
        • 2026年 7月 07日

        ああ、なるほど、ロシアのECMで、そっちにいったのをラファールで処理しなくちゃいけなくなった事例があったんですね。
        ただ記事中の文脈で出てくる意味は不明ですけど…。

        2
    • Whiskey Dick
    • 2026年 7月 07日

    いっそのこと消防団のドローン狩りVer.を全土に配備して、この対ドローン消防団に短距離対空火器、迎撃ドローン及び消火や救命の訓練を行えば良いのでは。最前線はキツいと感じる一般人や退役軍人、女性兵士でもやりやすい任務で、それなりの報酬を与えれば頭数は揃うはず。

    2
      • paxai
      • 2026年 7月 07日

      妥当な対策案ではあるがそもそも防空部隊の通信網の整備という基本をロシア軍は疎かにしてるからなあ。

      6

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