ロシア関連

露軍事裁判所、巡洋艦モスクワの沈没はミサイル攻撃が原因と公式に認める

ロシアの軍事裁判所は22日「黒海艦隊の旗艦=モスクワ沈没はウクライナ軍のミサイル攻撃によるもの」「攻撃を命じたウクライナ人司令官に終身刑を言い渡した」と発表し、ロシア国防省の主張を否定して「ネプチューンが命中してモスクワが沈没した」と公式に認めた格好だ。

参考:Battleship in court. Deleted court statement acknowledges cruiser Moskva was hit by missiles and reveals casualty figures

ロシア当局が過小評価しようとしている人的被害についても稀に見る詳細な内訳を明らかにしている

ウクライナ海軍は2022年4月13日「黒海艦隊の旗艦を務めるモスクワにネプチューンが命中した」と発表、黒海でモスクワが黒煙を撒き散らす写真も複数登場し、米国も「1発もしくは2発のネプチューンがモスクワに命中した」「モスクワが沈没したのはネプチューンによる攻撃の結果だ」「この評価に中程度の自信を持っている」とウクライナ側の見解を支持したが、ロシア国防省は地対艦ミサイルによる攻撃を否定し「モスクワは弾薬庫が爆発して火災が発生し、修理のため港へ向かう途中に荒海で沈没した」と主張。

出典:President.gov.ua / CC BY 4.0

この件の司法調査を進めてきたモスクワの軍事裁判所は22日「ウクライナ海軍のアンドレイ・シュビン司令官(第406独立砲兵旅団)は2022年4月2日にフリゲート艦のアドミラル・エッセン、4月13日に巡洋艦のモスクワにミサイル攻撃を命じた。この攻撃でアドミラル・エッセンは損傷して乗組員1名が負傷、モスクワへの攻撃にはミサイル2発が使用され、爆発により艦内で火災が発生し内部区画に煙が充満した。爆発、火災、煙の吸入の結果、乗組員20名が死亡し、24名が重症度が異なる負傷を負い、6時間以上続いた艦の生存維持活動中を含め8名が行方不明となった」と発表。

“緊急対応チームと残存乗組員はモスクワを救うことが出来ず艦艇と艦載物資が沈没した。司法捜査の過程では生存した乗組員や遺族の証言が検討され、そのうち1名は裁判所で尋問を受けた。また公式文書や多数の専門家による鑑定結果が精査され、ロシア国防省の民事請求を立証・支持する同省代表者の意見が聴取された。特にウクライナ海軍司令官の聴取記録が検証されモスクワに対するミサイル攻撃の事実が確認された。上記の艦船および乗組員は特別軍事作戦に関与していなかった”

出典:Telegram経由

“裁判の結果、裁判所はロシア連邦刑法第361条第3項に規定される犯罪=国際テロ行為について「アンドレイ・シュビン司令官の有罪が証明された」と結論付けた。裁判所はシュビンに対して最初の10年間を刑務所で、残りの期間は特別体制の矯正労働収容所で服役する終身刑を言い渡した。ロシア国防省に対しても財産損害の賠償として22億3,330万7,584ルーブルをシュビンから回収することを命じた”

ロシアの独立系メディア=Mediazonaは22日「この判決はロシア国防省の公式見解(死者数1名、行方不明27名、負傷者多数、火災による誘爆)から大きく逸脱するもので、ロシア当局が過小評価しようとしている人的被害についても稀に見る詳細な内訳を明らかにしている」と報じたが、モスクワの乗組員や遺族らは40人が死亡したと主張しているため、軍事裁判所が公表した被害状況も過小評価されているのかもしれない。

出典:2-й Западный окружной военный суд

軍事裁判所は判決内容をWebから直ぐに削除したが、そのテキストとスクリーンショットはMediazonaが保存済みで、海外メディアもMediazonaの報道に基づいて「ネプチューンによるモスクワ攻撃と沈没は事実だった」と報じている。

因みに軍事裁判所が「アドミラル・エッセンとモスクワは特別軍事作戦に関与していなかった」と主張したのは「正当な軍事目標への攻撃」ではなく「平時の非戦闘資産へのテロ攻撃」という理屈を正当化させるためで、卑劣なテロと定義し直すことで「軍の失態」を政治的に矮小化し、その責任をウクライナ軍司令官個人に転嫁させたいのだろう。

関連記事:米国防総省、ウクライナ側のミサイルが巡洋艦モスクワに命中したと発表
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※アイキャッチ画像の出典:Mil.ru/CC BY 4.0

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コメント

  • コメント (20)

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    • 通りすがり
    • 2026年 1月 25日

    この判決に関わった者のストレスは半端ないだろうなぁ

    27
      • kitty
      • 2026年 1月 26日

      ロシアで「司法権の独立」なんて真面目に信じている人間が、今まで、やっていけてたはずはありません。

      10
    • MK
    • 2026年 1月 25日

    あれから4年近く経つのですね、長い戦いだなあ。

    23
    • Anon
    • 2026年 1月 25日

    ロシアは国全体が巨大な精神病棟か。。。

    32
      • のー
      • 2026年 1月 25日

      そもそも一番トップの大統領が病んでますから、
      そんなのの相手をしなくてはならない下々は大変ですよね。
      全く同情はできませんけど

      35
      • 理想はこの翼では届かない
      • 2026年 1月 25日

      4年架かっても公式に事実を認めるだけマシでは?
      世の中、日本も含めて闇から闇へと葬り去られる物事のなんと多いことか

      23
        • 匿名11号
        • 2026年 1月 25日

        いやいや「ミサイルが飛んできてフネが沈みました」という何百人も見ているシンプルかつ衆知の事実が、4年間も無かったことにされるのも、隠ぺいする側が処罰の対象にもならないのも異常なことですな。

        過ぎたるは及ばざるがごとしです。

        18
        • ネコ歩き
        • 2026年 1月 25日

        >軍事裁判所は判決内容をWebから直ぐに削除した
        闇から闇へと葬り去るのに手違いで失敗したんですよ。

        34
          • T.T
          • 2026年 1月 25日

          いや、これは手違いでは無く、いつものロシアらしい形式主義だと思いますよ。
          まあ、あの国は縦割り官僚主義が強いし、反骨主義も強いので勝手にやられた可能性も十分ありますが。

          17
    • Mr.R
    • 2026年 1月 25日

    >モスクワは特別軍事作戦に関与していなかった

    はぁ?「ワイ」

    それはそれとして、とうとうこの戦争の期間が独ソ戦よりも長くなりましたね…

    36
    • Mr.K
    • 2026年 1月 25日

    >攻撃を命じたウクライナ軍アンドレイ・シュビン司令官に終身刑を言い渡した
    ??
    意味不明すぎて調べてみたら産経新聞の記事には欠席裁判との記載あり。なんつうか責任転嫁というかやってる事がダサいですな…。

    19
    • 朴秀
    • 2026年 1月 25日

    意外と戦死者が少ないですね
    沈むまで時間があったからですかね

    7
      • 名無し三等兵
      • 2026年 1月 25日

      腐っても1万トン級の巡洋艦ですから大きさが有利に働きましたね
      これが半分の排水量のフリゲート艦だったら2発も受けたらもっと
      短時間に沈んで人的被害は大きかったでしょう
      あと命中箇所の艦内の乗組員密度も低かったんでしょうね

      9
    • たむごん
    • 2026年 1月 25日

    モスクワ沈没が、(他艦の退避を含めて)クリミア周辺の防空体制に影響を与えたというのを以前見かけましたが、結局どうだったのか気になります。

    戦時中こういった詳細情報がでるのは、なかなかないでしょうから極めて興味深いなと感じています、4月なので水温10℃台と低そうな時期ですがどうなんでしょうかね。

    モスクワ乗組員500名
    20名が死亡 24名重症度が異なる負傷 8名が行方不明

    12
    • 俺氏
    • 2026年 1月 25日

    なんで最近ウクライナ戦況更新されてないん?

    28
    • アンゴラ
    • 2026年 1月 25日

    この事件を機にロシア軍は「海上封鎖は不可能だ、補給線への攻撃はミサイルとドローンに任せて、地上侵攻一本に絞ろう」ってなったんですよね
    そしてウクライナの地獄が始まった

    2
    • nimo
    • 2026年 1月 25日

    無人機に気を取られているうちにという話は実際どうだったんだろうな

    4
      • Panzer
      • 2026年 1月 25日

      客観的に考えて可能性は高いと思います。
      対抗馬としてモスクワの油断説がありましたが、その根拠は被弾損傷中のモスクワの写真でS-300-F火器管制レーダーが定常方向に収まっていることでした。が、一般に艦の回転式火器管制レーダーは状況終了に従い定常方向に戻ります。よって攻撃により即座に艦中枢の電源系統が破壊されていない限り火器管制レーダーは定常方向にあるのが正常です。
      加えて、モスクワの3次元レーダーは何があろうと常時稼働しているので2発のシースキミングのネプチューンのみの攻撃に気付けず…というのはかなり考え難いです。
      従って、囮攻撃があったと考える方が自然でしょう。

      12
        • 伊怜
        • 2026年 1月 26日

        モスクワのフレガートMは低空探知能力が低く改修予定だったのを無期限延期にされてる(他2隻はフレガートMA、フレガートM2に改修済)ので探知できなかった可能性は普通にありそう

        4
      • kitty
      • 2026年 1月 25日

      UAVとミサイルとUSVの同時の三所攻めはかなり有効そうですね。

      3

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