ロシア関連

ロシア軍がインフラ攻撃を実施、ウクライナ軍は発射された81発中34発を撃墜

9日にロシア軍がウクライナにインフラに対して大規模攻撃を実施、ウクライナ軍は発射された計81発のミサイルの内34発を撃墜したが、残りのミサイルがウクライナ各地に着弾して被害が出ている。

参考:Россия выпустила по Украине 81 ракету, в том числе 6 “Кинжалов” – Залужный

発射されたミサイルと無人機の半分以上が目標に着弾した可能性(本当に着弾したのは検証不可能)がある

ウクライナ軍の発表によると空襲警報は7時間続き、ロシア軍は計81発(Kh-101/Kh-555×28発、Kalibr×20発、Kh-22×6発、Kh-47×6発、Kh-31P×2発、Kh-59×6発、S-300迎撃弾×13発)のミサイルと、イラン製の自爆型無人機(Shahed-136)×8機を発射、ウクライナ軍の防空部隊はKh-101/Kh-555とKalibrを計34発とShahed-136を4機撃墜することに成功した。

出典:Raytheon

ただウクライナ軍は「保有する防空システム(S-300、NASAMS、IRIS-TSLMなど)では弾道コースを飛翔する物体(対地モードを使用したS-300の迎撃弾など)を迎撃できない。ロシア軍は侵攻以来Kh-22を210発以上も発射したが、これも我々の防空手段で迎撃されたものは1つもない」と述べており、極超音速ミサイルのKh-47キンジャール(実際には空中発射型の弾道ミサイル)も迎撃できない可能性が高い。

要するに亜音速で低空を飛行する巡航ミサイル(Kh-101/Kh-555とKalibr)の迎撃率は約70%と高いが、発射されたミサイルと無人機の半分以上が目標に着弾した可能性(本当に着弾したのは検証不可能)があり、キーウ、オデーサ、ドニプロ、リヴィウ、ヴィーンヌィツャなどで被害が出たと報じられているが、被害の詳細は「ロシア軍の攻撃効果の判定」に利用されるの防ぐため伏せられているものの各地で停電が発生している。

出典: kremlin.ru / CC BY 4.0 KH-47M2を搭載したMiG-31K

因みにウクライナ軍の昨年発表は「迎撃できないミサイル」が除外されていたため迎撃率(70%~80%)が高いと認識されていたが、最近は発射されたミサイルを全て発表するようになったため迎撃効果が低下しているように見えるものの本質的には何も変わっていない。

追記:キーウのホロシーイウ地区にあるエネルギーインフラ(恐らく発電所)にロシア軍のミサイルが命中したらしい。ジトーミルでは27万人が電力、暖房、水道の供給から完全に切り離されたらしい。

関連記事:ロシア軍がS-300でキーウを攻撃、ウクライナ軍には有効な対抗手段がない

 

※アイキャッチ画像の出典:Ministry of Defense of Russia

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コメント

    • もへもへ
    • 2023年 3月 09日

    この前ウクライナはインフラ攻撃に対しての勝利宣言出してたし、少々攻撃されたぐらいでは問題はないのではないのでしょうか。

    一般向けの電力はともかく、重要な施設とかの電力は大丈夫でしょ。
    じゃないと勝利宣言なんて出さないだろうし。

    4
      • TMK
      • 2023年 3月 09日

      暖房の時期が終ったからウクライナ国民を凍えさせることができなくなったと言う意味で勝利宣言したわけで。
      まだ続けるということはロシアの主目的はそこじゃなかったということかな。
      効果がないことに高価なミサイルを使い続けるほどロシアも馬鹿じゃないだろうから

      31
        • panda
        • 2023年 3月 09日

        ロシア曰く、ウクライナ勢力の領内侵入への報復だそうです
        あまり意味があるような物でもなさそうですね

        5
          • 匿名
          • 2023年 3月 09日

          他国の領土に侵入して破壊工作することはテロ行為だとちゃんと認識できてて驚いたわ

          23
          • 名無しさん
          • 2023年 3月 10日

          かつては「ロシア領内へ攻撃したら核による反撃も辞さない」と喚いていた頃からはかなりトーンダウンしましたね。犠牲者は大変気の毒だと思いますが、ロシアに出来る反撃はこの程度かという感じですね。

          6
          • Hydra
          • 2023年 3月 10日

          しかしまぁ、かつての東側最大勢力であったロシアのこの戦いでの最大の戦果が民間人への生活基盤の破壊行為ってんだから複雑な気持ちにさせられますよね。

          4
      • くらうん
      • 2023年 3月 09日

      それは冬場を乗り切って暖房の欠如による市民の凍死の危機が去ったという意味で、本文にあるように弾道コースのミサイルは相変わらず手が出せないのだから、問題は大いにあるでしょう。
      電力の不足は国民生活に影を落とすのはもちろん、軍事施設や軍需品生産工場の稼働にも直結します。
      イスカンデル・Kh-22・kh-47の迎撃手段を取得できていない現状では、大丈夫とはとても言えません。

      36
      • もも
      • 2023年 3月 11日

      >>勝利宣言出してたし
      >>じゃないと勝利宣言なんて出さないだろうし

      大丈夫な理由がウクライナが勝利宣言出した事だけって根拠としては弱すぎるだろ

      勝利宣言したのに迎撃率50%未満でインフラにも被害出てる以上その勝利宣言に意味はないでしょう

      2
    • 名無し
    • 2023年 3月 09日

    せっかくEUに売電再開出来る見込みが立ったのに、供給が不安定だと契約切られてまう。

    7
    • ブルーピーコック
    • 2023年 3月 09日

    スーパートムキャット21計画で出ていた改修案通りのことをMiG-31K(MiG-31BP)がやってるのは、F-14好きとして腹だたしいな・・・どのみちF-35Cに交替する定めだったろうけど

    3
    • 58式素人
    • 2023年 3月 09日

    SAMP/Tとパトリオットが配備されるまではやられ放題ということでしょうか。
    配備されるミサイルのグレードは明らかになっていなかったと思うけれども、
    もしも基本に近いものなら、事態はあまり変わらないでしょうね。
    ギリシャのS300とトルコのS400をもらわないとダメでしょうか。

    2
    • りんりん
    • 2023年 3月 09日

    ロイターなど複数の報道で、ロシアのミサイル攻撃によりザポロジエ原発5号機と6号機が外部電源喪失と伝わってますね。
    ディーゼル発電機で冷却中とのこと。

    リンク

    7
      • 一般通過OSINT
      • 2023年 3月 10日

      記事本文によりますと
      「ロシアの支配下にあるウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所がロシアのミサイル攻撃を受け」

      ちょっと前までロシアの高精度ミサイルの在庫はほぼ枯渇するなど発表したものの、今度は僅かしかない持たないミサイルを自軍占領下の原発にぶち込む、突っ込み所満載で困りますね。

      13
  1. 復旧したそうです。

    1
    • 成層圏
    • 2023年 3月 10日

    これからの戦争では各種兵器の飽和攻撃が定番になるという見本ですね。
    日本も中国のしょうもないドローンにはPAC3を使わないなど(できれば火砲か電磁砲で撃墜)、迎撃コストも考慮したミサイル(を含む飽和攻撃)防衛網を構築してもらいたい。
    まだちょっと時間があるみたいだしね。

    1
    • 匿匿
    • 2023年 3月 10日

    ウクライナの電気保安頑張れー!
    日本ですら部品の納期が半年から一年で目処が立たなくて、中古品を使いまわして納品してるし
    向こうは相当悲惨な状況だろうね。
    台湾有事が日本本土に飛び火したら、自分達も同じ状況になるって考えると本当に他人事ではないね…。

    3
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