ロシア関連

ロシア軍、約2,000人のウクライナ軍兵士をゾロテ周辺で包囲か

ロシア国防省は24日、最大2,000人のウクライナ軍兵士が取り残されたゾロテ周辺を完全に包囲したと発表、過去24時間の間に41人の兵士が抵抗を諦め降伏したらしい。

参考:До двух тысяч украинских военных и боевиков заблокированы в Горском котле

ゾロテ周辺で再び2,000人規模のウクライナ軍兵士が投降する様子が映し出されればウクライナ側にとってはショックだろう

ロシア国防省の説明によると包囲されたゾロテ周辺には第24独立機械化旅団の第3大隊、第128山岳強襲旅団の第15大隊、第57独立自動車化歩兵旅団の第42大隊と砲兵部隊、第101領土防衛旅団の第70大隊、過激派グループ、外国人傭兵グループが存在し、約1,800人のウクライナ軍兵士、約120人の過激派兵士、約80人の外国人傭兵、40輌以上の装甲車輌、80門以上の大砲や迫撃砲などが取り残されているらしい。

出典:GoogleMap 大まかなドンバスの状況/管理人加工

ウクライナ政府の関係者は「包囲される前にゾロテ方面のウクライナ軍がリシチャンシク方向に脱出できた」と明かしているが、この脱出を支援するためポケット内に残ったウクライナ軍兵士の規模は500人~2,500人まで様々な説があり、殿部隊の大半も脱出に成功したというアナリストや大半が捕虜になったという研究家もいて正直何が正解なのか良くわからない。

もしロシア国防省の発表が正しいのならゾロテ周辺には「マリウポリで降伏した規模に近い数のウクライナ軍兵士(約2,500人)」が取り残されており、これが降伏してロシア軍の捕虜になると両軍の捕虜数に差が開きすぎて「ロシアに対するウクライナの交渉力」は更に低下することになる。

出典:Маріупольська міська рада マリウポリで降伏したウクライナ軍兵士の様子

ウクライナ軍が公式に発表している捕虜の数は「1,000人」だが、実際にはロシア軍との捕虜交換によって550人まで減少、一方のロシア軍はマリウポリで2,500人以上のウクライナ軍兵士が投降したため5,600人以上の捕虜を確保しており、西側諸国の諜報機関は「ロシアは1対1の捕虜交換にしか応じないため和平交渉成立まで多くの捕虜がロシアの刑務所に収監される可能性がある。これを利用してクレムリンはウクライナ国内に政治的な不安定を作り出そうと試みる可能性が高い」と予想。

果たして誰の主張が正しいのかのは不明だが、ゾロテ周辺で再び2,000人規模のウクライナ軍兵士が投降する様子が映し出されればウクライナ側にとってはショックだろう。

追記:ウクライナ軍がセベロドネツクから去ったことが確認されたと報じられているが、まだ公式発表は確認されていない。

関連記事:ウクライナ軍、セベロドネツクからリシチャンシクに撤退か?

 

※アイキャッチ画像の出典:Defence of Ukraine

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コメント

    • 鼻毛
    • 2022年 6月 24日

    過激派グループとは一体…
    捕虜の処刑を正当化するための予防線かな

    1
      • ミリオタの猫(やっぱり、アンツィオ…いや、ロシア軍は強い?)
      • 2022年 6月 24日

      ロシア側に取ってはこの戦争自体「特別軍事作戦」であって戦争では無いとのスタンスですから、ウクライナ軍も過激派だって論法でしょう(国際的には通用しなくてもロシア的には無問題)。

      7
      • ナイトアウル
      • 2022年 6月 24日

       そのまんまの意味だよ、EUとかの極右過激派の人達(テロリスト予備軍)。アフガンに居たイスラム国の過激派より大人しい過激派と言うべきか。ウクライナも一応の戦力として使えるから内心苦々しく思いつつも参戦させているんだろう。
       EU各国は国内の厄介者を追い払えて内心うれしいんじゃないか、理想はロシアに処刑されて批判材料になって貰えば一石二鳥。ただし戦闘経験得て自国に戻ってこられると頭痛の種になる可能性もある。

      6
      • WSO
      • 2022年 6月 24日

      >約1,800人のウクライナ軍兵士、約120人の過激派兵士、約80人の外国人傭兵

      この区分けですから普通に正規兵・銃持った一般市民・傭兵、てことなんじゃないですか…

      3
    • トト
    • 2022年 6月 24日

    マリウポリを除けば上手く戦線整理をしてきたと思うが、今回はウクライナ軍やってしまったな。
    熟練兵と重装備を温存できていればいいが。

    21
    • ミリオタの猫(やっぱり、アンツィオ…いや、ロシア軍は強い?)
    • 2022年 6月 24日

    今は情勢が流動的になっているので断言は避けますが、ウクライナ側からの情報がかなり不明瞭である事を考えると、遂にロシア軍がセベロドネツクからのウクライナ軍撤退に乗じてバクラチオン作戦張りのスチームローラー戦法(縦深&包囲攻撃)で東部のウクライナ軍を覆滅する段階に入ったのかも知れません。
    仮に、そうなると東部方面のウクライナ軍は熟練兵を重装備を根こそぎ失う可能性が高いだけで無く、勢いに乗ったロシア軍がそのまま首都キーウまで連続無停止攻撃に入る可能性も有ります。
    又、以前の記事のコメント欄でも書き込みましたが、現在ロシア軍はニジニ・ノヴゴロドに常駐する1.5万人規模の第3軍団を編成している模様で、更にベラルーシがゴメル空港とウクライナとの国境に近いジャブロフカ廃飛行場に軍事拠点を建設中であり、ロシア軍がここを利用してキエフ再攻撃を企図している可能性が取り沙汰されている上、海外OSINT勢の情報だとロシア側が動員令をかけ始めたらしいとの情報が有る為、ロシア軍はここで勝負を決めようとしているのかも知れません。

    11
      • バクー油田
      • 2022年 6月 25日

      もしそういう流れで総崩れになった場合はNATOの大規模空爆で冷やし玉を入れて欲しいですね。
      ロシアの進撃が止まればピタリと空爆も辞めてウクライナ軍の立て直し時間を作ってやります。
      それでこのウクライナ戦争で、ロシアはウクライナを絶対に平定する事は出来ない事を自覚させます。
      ウクライナを見殺しにした所でプーチンの旧ソ連圏復活は達成してませんので次があるのは決定してますし
      次のポーランド侵攻にはウクライナ軍もポーランドに雪崩れ込んできます。
      エスカレーションをを止めるのであればもしロシアの次の総攻撃でウクライナが崩れた場合、NATO側から主導的にここでエスカレーションすべきでと思いますが

      4
      • NHG
      • 2022年 6月 25日

      東部は東部でも面積で言えば結構小さいですからキーウ(自分としては他ドンバス地域)まで無停止進撃できるかといえば疑問に思います
      しかしこの辺りをお抜けると戦車などが活躍しやすい平地が広がってるようなので、中期的にはドンバス地方はロシア軍の手に落ちるかもしれませんね

      10
      • 浅見真規
      • 2022年 6月 25日

      >今は情勢が流動的になっているので断言は避けますが、
      >ウクライナ側からの情報がかなり不明瞭である事を考えると、
      >遂にロシア軍がセベロドネツクからのウクライナ軍撤退に乗じて
      >バクラチオン作戦張りのスチームローラー戦法(縦深&包囲攻撃)で
      >東部のウクライナ軍を覆滅する段階に入ったのかも知れません。

      いくつかの戦況地図では東部の要衝のスラビャンスクやクラマトルスクでは周囲が対戦車壕で囲まれているのか防御されている線で囲まれてます。(情報工房@zukayerさん地図参照)
      リンク
      また、仮にセベロドネツクやリシチャンシクのウクライナ軍が総崩れで西に逃げても、リシチャンシクからスラビャンスクに至る手前のSivers’kの東の小さな川も台地を削った谷になっており、それを利用すればロシア軍を一時的にくい止める事は可能と思われるので、私はロシア軍が一気にキーウに到達する可能性は低いと予想します。
      私は、ロシア軍はスラビャンスクやクラマトルスクもしくは、その手前のSivers’kやバフムート(アルチェモフスク)で進撃がくい止められたら、諦めて、東部戦線の兵士をウクライナ南西部でドニエプル川を渡ったヘルソンに送り込みウクライナ西部に進軍する可能性も排除できないと危惧しています。ウクライナは早くヘルソンやその付近のドニエプル川の橋を破壊すべきです。

      1
    • チェブラーシカ
    • 2022年 6月 24日

    ウクライナ軍はどうやってセベロドネツクから撤退するんだろう
    泳いで渡るのかな
    必死に撤退した先も包囲されていて陥落寸前なんて心が折れそう

    10
      • 浅見真規
      • 2022年 6月 24日

      泳いで渡るのは冷たいし流れもあり危険でしょう。
      実は3本の橋のうち中央の橋の破壊された橋桁の下は川でなく線路なので橋の欄干に丈夫なロープを結べば、登山経験者が降り方指南すれば(私は高所恐怖症なので無理ですが、高所恐怖症でなければ)ロープで降りれなくもないです。
      またボートも用意されてるみたいで、川は台地を削った谷の谷底になっているため(リシチャンシク側から援護してもらえば)セベロドネツク側からの鉄砲等の直射で撃たれる危険は低いと思われます。(ただし、迫撃砲弾等で狙われる危険はあります。)

      3
        • 浅見真規
        • 2022年 6月 25日

        補足しますと、セベロドネツクとリシチャンシクの間は谷の地形になっていて谷底部分にドネツ川が流れ、ドネツ川と並走する鉄道の線路もあります。中央の橋はドネツ川と線路をまたいでおり、破壊された部分はドネツ川のリシチャンシク側の岸辺の真上なのです。つまり、セベロドネツクから橋の壊れた部分まで来ればドネツ川を渡り切っており、そこからロープで下に降りればセベロドネツク側の岸に降りれるはずです。
        リンク

    • 霞ヶ浦
    • 2022年 6月 24日

    ここまでくるとウクライナの戦略に疑問を抱かざるを得ないな

    9
      • ミリオタの猫(やっぱり、アンツィオ…いや、ロシア軍は強い?)
      • 2022年 6月 24日

      と言うか、緒戦のロシア軍が余りにもグダグダだった為、ウクライナ軍も支援するNATO諸国も「ロシアはウドの大木」と思い込んでしまったのが誤りの原因だと思います。
      要は、WW2独ソ戦時のヒトラーと同じ過ちを繰り返した訳ですが、皮肉なのはロシア軍の侵攻理由の一つが「ウクライナ国内のネオナチ撲滅」だった点でしょうかね。

      6
      • 名無し
      • 2022年 6月 24日

      いやだって、ウクライナ軍って、「そういえばそういう連中だった」じゃないですか。

      10
      • チェブラーシカ
      • 2022年 6月 24日

      ウクライナ軍の前身は旧ソ連軍のキエフ・オデッサ軍管区の部隊がもとで
      ウクライナ軍の年配の将校は今のロシア軍の将校と一緒に同じ軍学校で学んできた人たちですからね
      人命軽視で作戦が雑なのはある意味伝統なんですよ
      ただウクライナにはソ連ほどの力がないのでこんな有様ですが

      10
    • EijiK
    • 2022年 6月 24日

    物資補給に使っていたゴムボートがあるので、着替えや携行品をボートに積んで運び。人間は、川にロープを張っておいて、裸でロープを辿って対岸に泳ぎ渡る方式でしょう。
    ただ、ロシア軍に見つかれば容赦なく砲撃されますから、夜の真っ暗な川の中で極力灯りを付けずにやらねばなりません。100人渡ると、1人か2人くらいロープから手を離して溺れて死ぬ兵士が出ます。
    渡ったところで廃墟と化したリシチャンシクには清潔なタオルも乾いたベッドも無いですし、焚き火をするわけにも行きませんから、なかなか可哀想な感じでしょうね。
    戦記物でも、渡河はとにかく体力と気力を奪うそうですね。

    4
    • くらうん
    • 2022年 6月 24日

    東部の戦況だけで全体を総括するのは違うと思います。
    ロシア軍はここを攻略するために相当の人員を消費しているし(ポパスナ北部を抜くために203高地ばりの突撃を繰り返し)、その分イジュームやリマンは衝力不足なようだし。
    要は投入したリソースに対しての成果が小さすぎる。これは作戦レベルから戦略レベルまでロシア軍の一貫した問題。
    ただでさえ人員不足なのに、政治的な意味の強い2州にこだわって自質的に重要な南部沿岸部攻略は、ハープーンとMLRSが入ってきてしまった現在はほぼ不可能でしょう。

    26
      • 2022年 6月 25日

      総括はしてないでしょう。
      ただ、大規模な捕虜が映像として流されたら、ウクライナには打撃だし、捕虜交換でも難しい状況になるってだけで。
      南部がどうなるかはまだ未知数だし、この記事でも何も言及されてませんよ。

      9
        • くらうん
        • 2022年 6月 25日

        ああ、この記事に対してではなくコメントでかなり悲観的になっているものがいくつかあるので、そういったコメントに対してのつもりでした。なんというか、3月ごろは「大勝利確実!」と言っていた人ほど逆に「もうだめ」となっている傾向がある気がします。
        他地域が東部ほどの情報が少ない分、記事になりにくく、結果東部の苦戦だけがクローズアップされる傾向にあるのかなと。
        捕虜が痛手というのも否定しません。ただ個人的には、ロシアはリソース配分とその消費の仕方においては未だに悪手をしていると思ってます。

        6
          • 匿名
          • 2022年 6月 25日

          確かに、ウクライナが劣勢になって以降「我が意を得たり!」とヒートアップしているコメントもしばしば見かけますしね

          4
    • 黒丸
    • 2022年 6月 24日

    ウクライナは武器弾薬の補給が外国頼みだから
    あれが届けば反撃可能・防衛可能と政治家が考えて軍事に口を出す状況かもしれない。
    ウクライナは大陸国家だから、補給は比較的受けやすいが
    島国である日本は米国頼みではなく、きちんと武器弾薬や戦略物資の備蓄管理をして
    継戦可能条件について政治家や国民が理解することが必要かも

    8
      • 匿名
      • 2022年 6月 25日

      「日本も武器弾薬を送らないと!」とやたら意気込む方も見えますが、ぶっちゃけ、日本の防衛産業の現状では計画的に行う演習以外の理由で備蓄を減らば、数年掛けないとその分を補充出来ないでしょう

      弾薬メーカーも青息吐息で赤字を垂れ流しながら辛うじて自衛隊向けの製造ラインを維持している有様ですし、いざ有事になってから増産なんて到底無理でしょうね

      6
    • perorin
    • 2022年 6月 24日

    戦史に出てくる縦深防御って
    こんな捕虜とられながら後退していくものなんだろうか?

    4
      • 2022年 6月 25日

      縦深防御は後方に機動性があって打撃力のある予備部隊がないと包囲されるし、旧ソ連だと予備部隊と一緒に包囲する、二重包囲作戦を取る。
      二重包囲作戦で魔女の釜の蓋が閉じると逃げ場がないから師団どころか軍団単位で捕虜になるわな。
      こうなると救出しようにも救出は困難で結局は見捨てざろう得ないだろうな。

      4
      • 速すぎィッ!
      • 2022年 6月 25日

      私が昔、子供の頃(20年程前)よく見ていた「第一次世界大戦」とゆうHPがありました。別宮だんろうさんと言う方がやっていたサイトでしたが今はもう無くなってます。

      朧気ながら覚えているのは、固定化された最前線の塹壕を効果的に打ち破るために浸透戦術ができて
      そのカウンターとして縦深防御がとられたと記憶しています。

      基本的に防御側の塹壕がおおまかに第3線まで構築されている前提で、敵側の浸透戦術により第一線を破られたとしても
      自軍の領地であった訳でありますから十ニ分に観測された位置(距離と方角)で完全に把握しており、
      個々に占領された第一線の塹壕に向け有り余る砲兵の火力をやりたいように砲撃を加えられ、予備戦力をもって余裕をもち回復できるという解説だったと思います。

      今回のウクライナ軍は砲兵戦力が不足しているとの事ですのでこれに全く該当せず
      ただ第一線、もしくは第ニ線を破られたら撤退するとゆうWW1前半の東部戦線露軍的ムーブかましてるだけに見えます。

      6
        • TKT
        • 2022年 6月 25日

        私も昔、その別宮という人のサイトは見てましたが、おおむねその通りであり、ドイツ軍の浸透戦術、フーチェル戦術も、元はロシア軍が東部戦線のガリシアでオーストリア・ハンガリー軍に対して行った
        「ブルシロフ攻勢」
        なわけです。

        ブルムミュラーの疾風砲撃というのも、命中精度よりも、敵兵の移動を妨害する制圧砲撃、弾幕砲撃だったわけで、フランス陸軍の二ヴェール将軍がヴェルダンで行ったのも基本的には同じです。

        イタリア軍は、イソンツォ川の戦いで主力をみんな前線での攻撃に投入して、戦略予備軍を準備せず、
        「カポレット」
        の戦いで突破された後に全く挽回できず、大敗北を喫したわけです。

        一方で、フランス陸軍のペタン将軍は、前線の兵力を減らして、戦略的な予備軍を増やし、ドイツ軍の浸透戦術に対しては、前線部隊を退却させて、主攻方面を判断した上で、そこに戦略予備であるルノー軽戦車や、75mm野砲などを投入して、ドイツ軍のシュトゥ―ストルッペンを壊滅させました。

        またフランスのフォッシュ将軍は、仏・英・米軍を統一指揮して、大局的な判断で使える戦略予備軍を増やし、鉄道輸送でそれらの部隊を投入し、成功したのです。

        それで、今のドンバスでいえば、有り余る砲兵の火力をやりたいように砲撃を加えられているのはウクライナ軍の方であり、予備を投入されて壊滅しているのもやはりウクライナ軍の方です。むしろカポレットのイタリア軍や、ブルシロフ攻勢のオーストリアハンガリー軍に近い状態と言えます。

        砲兵と戦車を重視するのは、もともとはソ連軍ではなくフランス軍でした。

        ゾロテの部隊は、ロシア国防省の情報では、機械化部隊、自動車化部隊、山岳部隊なのに、機動性を捨てて、拠点防御に投入されて、今むざむざと包囲されて壊滅寸前なわけですが、ここで思い出すのはトルメキア王国のクシャナ殿下の言葉です。

        機動力のある精鋭部隊、装甲兵は、前線の拠点防御などに使ってはダメで、戦略的な予備として機動反撃、機動防御に使わないとダメなのです。しかし今のウクライナの装甲兵はクシャナ殿下不在の間のトルメキアの装甲兵のような状態になり、攻城砲で次々とやられているのです。

        11
      • 私もそれ知ってる。このサイトですよね。
        記事リンクは僅かしか生き残ってないけど。。。

        5
    • 58式素人
    • 2022年 6月 25日

    ウクライナで、動員された人達の訓練の進行状況はどうなのだろう。
    出来れば少ない人的損害で撤退し、交代・休養を取ってほしいです。
    西側装備の慣熟訓練の期間も必要でしょう。
    ロシアに比べ人的資源が少ないのですから、
    政治の要求に拘りすぎて熟練戦闘員を失うのは良くないでしょう。

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