複数の露独立系メディアは8日「2022年の部分的動員(強制動員)で夫を駆り出されたロシア人妻らが国防省前で復員を要求した」と報じ、妻らの代表者は「アフガニスタンでもチェチェンでも無期限動員はなかった」「それが急に普通になったのはロシアだけ」と訴えた。
参考:Якщо темпи мобілізації збережуться до кінця літа, можна буде говорити про демобілізацію – Костенко
参考:SOTAvision
参考:ASTRA
参考:Паулина /Мобилизация и Люди
参考:В ВС РФ набирают около тысячи контрактников и добровольцев в сутки
強制動員から復員を要求した妻たちの代表者は過激派の関係者にされた
ゼレンスキー大統領はロシア軍の侵攻に対応するため厳戒令を発令し、この枠組みの中で18歳~60歳までの男性を動員しているものの「現行法は厳戒令中の動員者に関する服務期間」を定めていないため、特定の条件を満たす場合でないと動員解除が認められておらず、各地で兵士の親族らが「他の人間が戦争に行く時が来た」「勝利の責任(負担)は平等であるべきだ」「軍人にも家族がいる」「1人だけで戦争に勝つことはできない」と訴えて動員解除を要求。
これを受けてゼレンスキー大統領は復員(動員解除)を指示、動員法の改正案には当初「動員から36ヶ月間が経過した兵士を交代させる復員規定」が盛り込まれていたが、これはシルスキー総司令官の要請で削除され「8ヶ月以内に交代と動員を直接関連づけた新しい法律が制定される」と説明し、最高会議の安全保障委員会に所属するコステンコ議員も6月「参謀本部は予想を上回る動員ペースに満足している」「このペースが夏の終わりまで維持されれば動員解除に関する法案の作成(現在のペースなら10月提出が可能)に取り掛かるだろう」と述べた。
強制動員された兵士の復員問題はロシアでも浮上しており、露独立系メディアのМедузаは昨年11月「動員された人々の妻や親族は無期限動員に反対する嘆願書を発表し、国は戦争に動員された人々と家族に背を向けていると訴えた」と報じている。
“プーチン大統領は2022年9月21日に部分的動員を発表して関連法令に署名、ショイグ国防相は10月28日に計画された動員が完了したと発表したが、プーチン大統領は動員終了に関する関連法令に署名していない。さらに部分的動員に関する関連法令には「動員解除」に関する具体的な期限が定められておらず、この動員で駆り出されたロシア人は事実上「戦争が終わるまで故郷に戻ることができない」という意味だ”
“ロシア下院のグルリョフ副議長は9月7日「特別軍事作戦のために動員された人々のローテーションは「新たな動員」が必要になるため実施しない。動員が続けば多くの人々を長期間訓練しなければならず重要な労働力を失うだろう。そのため契約軍人を募集している」と、カルタポロフ国防委員長も9月15日「動員された人々は特別軍事作戦が完了すれば帰国できるだろう。彼らの動員解除は想定しておらず、6ヶ月勤務する度に休暇(15日間)を取る権利がある」と述べた”
“動員開始から1年後(2023年9月頃)、戦争に駆り出されたロシア人の妻や親族は大規模な帰還要求(動員解除)を求めて活動を開始したものの、各地の集会開催は当局が拒否し、このような話題をネット上で議論していた女性の家には警察官がやってきた。彼らは動員された人々の帰還を求める嘆願書への署名と服務期間の設定を訴えており、この国を揺るがして政治的状況を不安定にすることには関心がない”
要するに部分的動員で駆り出されたロシア人は「ウクライナの動員」と同じ様に「服務期間」が未設定で、グルリョフ副議長もカルタポロフ国防委員長も「動員された人々は戦争が終わるまで帰国できない」と述べているため「新たな動員」が必要な復員を提供する気はなく、動員された人々の妻や親族が実質的な無期限動員に抗議しているものの「当局が活動を潰している」という意味だ。
この問題について露独立系メディアのSota.VisionやASTRAは8日「強制動員された夫の帰りを待つ妻たちは『家族の日』に合わせて国防省前に集まり復員を要求した」「この集会を取材するため複数のジャーナリストも集まって来たが、治安当局者は独立系のジャーナリストを追い払い、プロパガンダのテレビ局だけがその場留まることを許された」「さらに抗議活動を主導した妻たちの代表者は反汚職財団(ナワリヌイ氏が設立した団体で当局が過激派と認定)の関係者にされた」「彼女らに同調するジャーナリストからパスポートを取り上げ連行した」と報じている。
夫の帰りを待つ妻たちはベロウソフ国防相との会談を要求しており、あるTelegramチャンネル(Тринадцатый)は「本当に連中の夫や息子がウクライナで戦っているのか証明させる必要がある」「もし本物なら公共の場ではなく人目のつかない場所に代表を呼び出して話し合うべきだ」「そうすれば現在の状況(動員された親族が復員を求めて抗議している状況)を挑発者に利用されることがなくなる」と指摘。
これに妻たちの代表者は「私たちの夫が部分的動員で軍に入隊させられたことは何度も当局にチェックされている」「そうでなければ当局は私達を拘束しているだろう」「私達も快適な部屋で問題を解決できれば嬉しいが、その様な会談を実現させるには炎天下の中で懇願し続けなければならない。これまでのところ私達の希望は鼻であしらわれている。だからこそ最高レベルの権限をもつ人物との会談を要求しているのだ」「私達は間違っているのだろうか?」「アフガニスタンでも、チェチェンでも、ベトナムでも無期限動員はなかった」「それが急に普通になったのはロシアだけだ」と回答している。
因みにメドヴェージェフ元大統領は昨年10月「1月1日から10月25日までに約38.5万人(契約軍人30.5万人+ストームZのような志願兵8万人)が軍に入隊した」「毎日1,600人以上が軍との契約に署名している」と明かしたことがあり、米当局者も「ロシアは月2.5万人~3万人の兵士を獲得している」と言及。
メドヴェージェフ元大統領は今月4日「2024年も大統領が設定した契約軍人の確保が目標を達成しつつある」「1日あたりの平均契約数は約1,000人だ」「これまでに約19万人のロシア国民が国防省との契約に署名した」と述べており、この契約は特別軍事作戦が実施されている地域=ウクライナ占領地域や国境地域で働くことが義務付けられている。
通常の契約軍人は契約期間が「3年/5年/10年」で、特別軍事作戦向けの契約は「1年/3年/5年」となっており、現在のペースで契約が続けば年末までに「約36万人」の新兵を確保でき、2023年分を合わせると契約軍人の確保数は約74万人だ。
ここに侵攻当初から参加している契約軍人=約19万人、部分的動員で招集された人々=約30万人を加えると「特別軍事作戦向けの人的資源」は2024年末までに120万人を突破する格好で、どれだけの損失を戦場で出しているのかは不明だが、仮にウクライナ軍の発表数(死傷者数55万人)よりも人的損失が少ないなら「部分的動員で招集された人々」を2025年以降に解放しても良さそうに見えるし、少なくとも部分的動員者の親族に過激派のレッテルを貼る必要はないはずだ。
注意:ロシアの義務的徴兵、部分的動員(強制動員)、通常の契約軍人、特別軍事作戦向けの契約軍人は意味が異なるので同一視してはならない。
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※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России
ソ連にとってアフガン紛争はアフガンの共産党政権支援の為でしかなく、
チェチェンは国内のイスラム主義テロ潰しでしかないのと違って、
ウクライナはNATO東方侵略をによる国家存亡の危機だから問題が異なるからなあ
西側にも言い分はあるけど、ロシアにとってはそうだし
仰る通りです。
NATO東方拡大により、戦争まで対立するデメリットに行きついてしまいます。
ウクライナに対して、米西欧日の各国が、何か特別なルーツ・権益を持っていた訳ではないからです。
米欧日の影響力低下、庶民が数年インフレでボロボロになっている間に、着実に豊かになっている国を見ると考えさせられますね。
>NATO東方侵略をによる国家存亡の危機
息をするように陰謀論を吐くな
「ロシアにとっては」ですからね。狂人の妄想は客観的事実に反してるし支離滅裂だけど狂人の中では事実ではある。
もっとも本当に狂人なのか狂人の真似をしてるのかわかりませんが。
NATOの仮想敵国がロシアなので陰謀論ではないでしょう
ロシアにとってはですが、息をするようにロシアが憎いのは
解りますが相手の事考えずに言ってるとおかしい事に気づけませんよ?
陰謀論も何も地政学的に見てロシアにとってウクライナがどんな物かは分かると思うんだが?後単純に陸地だけの話で済む物でも無い。
何かの拍子に理由付けて正義を振りかざして他国に侵攻したのはロシアだけじゃないからな。
ロシア以外の国にとってはだから何?としか言えない話だけどな
武力侵攻なんてしなくても、資源外交でどうにでも出来そうやったのに阿呆な事したよ
欧米がギリシャ危機で金出さなかったので、ロシアが金と資源でヤヌコ口説いた成功して再選挙で決まるかと思ってたらクーデターですので
「NATO東方侵略による国家存亡の危機」というのが全くのデタラメであることは既にフィンランドとスウェーデンのNATO加盟に際してウクライナと同じ対応をしなかった事により証明されている
侵略国家ロシアは主権国家ウクライナの存在自体が許せず、これを亡きものにせんと全面侵略戦争という暴挙に及んでいるのである
意味が分かりません、ウクライナで手一杯なのにさらに戦線を広げる必要有りますか?
世の中で似たようなケースなのに前にやった事を再度対応しなかった国とかいくらでもあるでしょう?無理してロシア下げなんてしなくていいですよ、出来たからやった無理だからやらないだけの話です。
ロシア人妻という想像を掻き立てられるワード
残念ながら、既に皆、「カーチャン」の風格を備えた御婦人です。
悲しいなぁ・・・
残念ながら東欧系の女性は、成人するまでが妖精のような美しさですが成人してからはどんどんと太って…
部分的動員での兵士が36ヶ月たっても開放されないのは、ロシア軍の兵士不足によるものなのか、それとも既に死亡しているのか
個別の事案なのか全体の話なのかもちょっと判断できないので、高額で兵士募集している件と合わせて見て「人手足りんのやろな」ぐらいで受け止めています
今のロシアはソ連のように人海戦術が可能というわけではなく、プーチンも動員を可能な限り避けようとしていると考えられますね。
ロシアを含めたそれなりに発展した国家の現代人は、勝ってる戦争には好意的でも、自らが戦争に行くとなれば話が違ってくると思われます。
ウクライナが勝てないまでも負けない為には、ロシアに動員を行わせ、それによる反政府運動を発起させる事が一つの案になります。
要は1人でも多くのロシア兵をあらゆる手段(ゲリラ戦術も含め)を使って戦場から排する事になりますが…
ロシア兵だって誰かの夫、父、友人である事を考えると憂鬱な事ですね…
人海戦術という言葉は、動員の実態や戦術からすれざ、ロシア軍よりウクライナ軍の方が近いもしれません。
誤解が多いののですが、ロシアでは一昨年の秋に30万人の部分動員がありましたが、これは予備役の召集なんです。
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ロシアの場合は徴兵は年に5万とか数万なんです。しかもウクライナの戦場にはいきません。だから、予備役と言っても、イスラエルや韓国のような国民皆兵の国の予備役とは違います。国民皆兵なのでイスラエルや韓国の予備役動員は一般人の動員と同じようなものです。
しかし、ロシアの方の一昨年の予備役召集は職業軍人的な取り扱いのようで、契約兵のような高額な報酬や契約期間もないようです。そうすると一番気の毒というか損な立場です。2回目の予備役召集をかけて交代すべきかもしれませんが、ベテランの技術者が多いような情報もおるので交代させにくいのかもしれません。
ただ、ウクライナの方は一般人の街角での強引な動員なども続いていて、両国の動員の実態は違いがあります。
秒で分かる嘘を混ぜない方がいいですよ
ロシアが定期的にやってる年二回の徴兵は普通に十数万規模ですよ
どれが嘘なのですか?徴兵の実数ですか?別に問題が
ウクライナみたいに戦地に向かわせてるんですか?
貴方もウクライナ人の立場になって拉致されるのと
ロシア人の徴兵訓練、どちらが良いですか?
自分は戦争が嫌なら出て行けと言われたいですが
国内に侵略されてる中で徴兵された兵士が戦うのは当然では?
ロシアは国内に侵攻されても徴兵兵士投入出来ない法律でもあるのですか?
このような話題をネット上で議論していた女性の家には警察官がやってきた。権威主義や独裁国家あるあるなんでしょうね。
建前上プーチンも一応対応する感じなのかな、特に何も変わらないとは思いますが。
注意:ロシアの義務的徴兵、部分的動員(強制動員)、通常の契約軍人、特別軍事作戦向けの契約軍人は意味が異なるので同一視してはならない。管理人さんも注釈付けてるけどもここの部分を理解出来ていないと考察が進まないとは思うが軍事や政治に興味無い日本の大多数の方は意味不明なんだろなと思うし、 そりゃお互いプロパガンダが捗るわけだなと。
取っ捕まえて牢にブチ込まずにあくまで過激派認定ってのは、流石にロシアでも軍人のオカン達には手を出せないか
この辺は何処の国でも同じだな
本物である事の証明ですよね
牢屋に送れば、6ヶ月勤務する度の休暇(15日間)取れた兵士が知ったら反乱モノですから
ツァーリのいた頃と変わってないですねロシアは。困窮する国民の抗議や臣下の諫言を敵に通じている企みだとして罰してしまう部分もそっくりそのままです。1917年の革命や91年の民主化などチャンスはいくらかあったのに、結局は強い専制君主が軍隊と秘密警察で国民と国家と領土を繋ぎ止める以外の社会契約を見いだせなかったんですね。
ロシア兵は、田舎の貧困層が高額報酬により志願している者もいますから、契約形態によって様々ですね。
>注意:ロシアの義務的徴兵、部分的動員(強制動員)、通常の契約軍人、特別軍事作戦向けの契約軍人は意味が異なるので同一視してはならない。
冷静に考えるとウクライナ行き以外の契約軍人、抜けてる2022年の志願兵、ドル共和国軍、国軍編入以前のワグネル等のPMC、外国人兵士、準軍事組織(大統領親衛隊、国境警備隊、内務省軍等々)、現地徴兵、第三軍団等開戦後の正規軍増援含めたら本当はロシアの投入してる人的リソースは120万どころでは済まないんですよね……
仰る通りです。
複数の組織に、人的リソースが膨大になっているため、命令系統・ロジスティクスがよく成り立ちますよね。
北朝鮮工兵1万5000人以上が、ここに加わるという話しも出てますから、人的リソースの投入量が凄いなと…。
(2024.07.03 北朝鮮、トンネル掘る工兵をロシア派遣の可能性…兵力1万5000人予想 中央日報)
近代の戦争は相手国の継戦能力を奪うことが戦略上の最大の目標というのは、どこの国でも変わらんと言うことですね。
ソ連とのアフガン紛争でも、ソ連の軍事力は圧倒的でしたが、アフガン人が人口の半分が14歳以下になるまで戦い続けたら、ソ連が音を上げました。
現在のロシア軍は志願兵の大量募集とセルジュコフ改革以降に士官の養成を絞ったのが原因で小隊レベルの指揮官が不足しているようです。軍のプロフェッショナル化=下士官(NCO)の養成がうまくいかなかった以上、経験豊かな動員兵が最前線の指揮を担うことになるので簡単に復員させることは出来ないのでしょう。追加動員は政治的にも難しいですし、復員させればロシア軍の損害も可視化されるため政府にとっても不都合です。最も事実上無期限で戦場に送り込まれた動員兵は不憫でなりませんが…
情報ありがとうございます。
管理人様の過去記事でありましたが、両軍ともに実戦経験を積み続けている下士官クラスは、替えがきかないようですね。
管理人様の別記事を失念しましたが、ベテランが休むと新兵の犠牲が大きくなりすぎるため、前線を離れられないという内容も思い出しました。
>少なとも兵士には休暇が与えられるものの指揮官、特に小隊長や中隊長クラスの戦術指揮官には殆ど休暇は与えられない。彼らも兵士と同じ人間なので疲れている。
(2024.04.30 ウクライナ軍に必要なのは追加動員、武器のみで前線は立て直せない 航空万能論)
>「特別軍事作戦向けの人的資源」は2024年末までに120万人を突破する格好
積み上げてみるとロシア軍も凄い数ですね…
「作戦完了」まで帰れない動員兵と最短1年で帰れる高給の契約軍人が同じ部隊に配属されることってあるのでしょうか?自分が動員兵だったら境遇の違いに絶望しそうです…
動員兵も契約すれば一年で帰れるそうですが
ロシアの動員は地域差があったと当時ニュースで聞きました。
もしかしたら今の動員兵はいなくなっても差し支えない地方の出身、というのはあるかも?
(適当な思い付きで精査してないです)
あまり比較はよくないけど、動員解除を訴えただけでテロ組織みたいな扱いを政府に受ける国と、ウクライナみたいに普通に首都で家族の動員解除の集会を出来る国を比べたら、明らかに自由な方の国を大多数は選びたくなると思う。
ロシアの反戦運動もだけど、声を上げることすら違法行為扱いの国より、多少腐敗があったとしても民主主義の国を普通は選びたいと思わないのだろうか…。
政府の間違いに声を上げる権利すら要らないと思ってるのか…特に親ロシア的な方々は…(そういう人は日本では思う存分与党への批判とかはするんでしょうけど)。