ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは「ウクライナ軍がチャシブ・ヤール方向で大規模な反撃を準備しているかもしれない」「さらに偽報告の問題はここでもロシア軍の不利に働く可能性がある」と、ロシア人戦争特派員も「スバトボ方面ゼレベツ川沿いでロシア軍の状況が悪化している」と報告した。
参考:Бои за Часов Яр — Разбор Рыбаря подготовка ВСУ к контратаке
参考:Обстановка на Сватово-Купянском направлении
スバトボ方面ゼレベツ川沿いのライホロドカ方向で興味深い報告がある
RYBARはコンスタンチノフカ方面の状況について「ロシア軍は数ヶ月間に渡る激しい戦闘の末、徐々にチャシブ・ヤール市内や郊外に前進しつつあるが、ウクライナ軍はチャシブ・ヤール周辺で多数の装甲車輌を使用した複数の反撃を行い、この過程で破壊された戦車や歩兵戦闘車には新しい戦術記号が確認された」と報告し、この方面の状況について以下のように述べている。
“このような背景に基づき3月末頃、ウクライナ軍がコンスタンチノフカ方向の状況を改善するため大規模な反撃を準備している可能性が取り沙汰され始めた。チャシブ・ヤールは高地に位置するため、市の南側に布陣するウクライナ軍はチャシブ・ヤール市自体への反撃を強化してくるだろう。どれだけ破壊されてもアパート群や広大な工場地帯はドローンから身を隠せるため、少人数でもドローン部隊の偵察役として行動すれば大部隊を拘束することができ、この戦術は双方で機能している”
“さらにウクライナ軍がチャシブ・ヤールの北側を攻撃してくる可能性も否定できない。さらに偽報告の問題はここでもロシア軍の不利に働く可能性がある。ロシア国防省は2月9日にオリホヴォ・ヴァシリウカ解放を、3月12日にノヴォマルコヴェ解放を発表したが、どちらの集落もウクライナ軍の支配下にあり、ミンキフカにも戦力を集結させている。チャシブ・ヤールの南側では状況が僅かに改善したが、ウクライナ軍は依然としてクレシチェエフカ付近の荒野や運河沿いで作戦を実施する能力を維持しており、この地域をロシア軍が完全に掃討したことは一度もない”
“敵がスラビャンスク、クラマトルスク、ドルジュキーウカの都市圏に戦力を集結させている状況を考えると、チャシブ・ヤール方向ではなく問題の多いシヴェルシク方向を攻撃してくるかもしれない。実際の戦場で目撃されているように、ウクライナ軍はロシア軍のミスを注意深く観察して積極的に利用している。その代表例はトレツクだ”
RYBARは「ウクライナ軍がコンスタンチノフカ方面で反撃を準備しているかもしれない」「コンスタンチノフカ方面でも偽報告の問題がある」「ウクライナ軍はもっと偽報告の問題が大きいシヴェルシク方向を攻撃してくるかもしれない」と警告しているのが興味深いが、ロシア人戦争特派員のアレクサンダー・シモノフ氏も「ハルキウ州リプシ方向の連隊指揮官が『何ヶ月にも状況を誤魔化して報告した』という理由で解任された」「メディアの影響を受けやすい別の地域でも同様の事態が起きている」と報告していたが、彼もスバトボ方面ゼレベツ川沿いの変化を報告している。
“ライホロドカ方向でウクライナ軍の強い圧力が観測されている。ウクライナ軍の目的はスバトボ~クピャンスクの交通遮断だろう。既に敵ドローンが後方地域を飛行して移動を妨害している。1ヶ月前と比較してライホロドカ方向の状況は確実に悪化している”
DEEP STATEはライホロドカ方向について先月23日「第3独立強襲旅団の第1強襲大隊がロシア軍を押し戻してナディアを奪還した」と報告、RYBARを含むロシア人ミルブロガーらは「ウクライナ軍はナディアを占領できていない」「この集落はグレーゾーンだ」と主張していたが、この方向でウクライナ軍の圧力が強まっていること、ロシア軍にとって状況が悪化していること、スバトボ~クピャンスクの交通が妨害され始めているという情報は初耳で興味深い。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
ウクライナ側が『善戦』しても数日後にはそれ以上にロシア側に押し戻されているオチばかりなので何日か様子見。
順調に取り戻せている地域なんて無いですものね。
以前の反攻で得たところさえ失い続けてる状態でどの程度の反攻がどれだけ継続できるのか、正直疑問でしかないですが。
泥濘期明け、車輛が使えるようになるのを考えれば、興味深い動きですね。
クルスク侵攻で、ウクライナ軍の装甲車輛それなりの損害を受けたわけですが、今どの程度の余力があるのか気になりますね。
世界中が、アメリカの高関税で大混乱になっていますから、各国が対応に手一杯になっているのを感じますね(迂回貿易阻止のためにカンボジアなども高関税になっています)。
戦場の動向と合わせて、外交面でどういった影響がでるのかなと。
ウクライナにとって、貿易戦争は支援国の内政・経済が揺らぐことになり。
ロシアにとっては、原油価格など資源価格を下押しする効果がありますから影響が気になります(景気が低迷すれば、資源消費量が減少するからです)。
泥濘終わるまでは双方再編成と兵站の整備や防衛ライン構築に重点置いてそうなので、一部地域除き全体的には膠着継続でしょうね。
現状トランプ関税のおかげで世界の株価指数と資源先物価格の全面安が止まらない状況になりましたが、月曜日の市場も凄いことになりそうでウクライナに何兆円支援したと良くあるけどすでに支援金の何十倍もの金融資産が吹き飛びましたね。
こうなると報復関税合戦からのブロック経済へ移行せざるを得なくなり各国経済が回らずもはやウクライナ支援を継続出来るか先行き不透明感凄いですが、トランプがアメリカに完全に盲目的に従う国のみは関税率を検討しても良いというディールという名の踏み絵的な脅迫を今後始めそうな気もする。
既に「半導体製造で重要なEUV露光機にも関税がかかるとかマジ?」みたいな困惑の声が米国内でもあがっており、最終的に例外リストだらけになりそうな予感はしないでもない
Intelが社運を賭けて開発中のHigh-NA EUVを用いた14Aプロセスですが、露光機が1機でF35の4倍くらいのお値段するので、これに25%もコストを上乗せされたらさすがに詰みそうです
あるいはAppleみたいな企業から税金をとって国内の製造業に補助金として回すみたいな制度を整えるのでしょうか
産業構造の変革は関税を課すだけで自動的に成るはずもなく、トランプの次の一手が気になりますね
EUV露光機、仰る通り、1機数百億円しますし…
サプライチェーン変更を、制度面からどのように促していくのか、ここからが仰る通り重要ですね
アップルは、トランプ政権1期目の対中国関税は、一部製品免除を勝ち取っていたのですが。
2期目は今の所そういった発表がなく、(他企業もですが)在庫積み増しを消化しきる前に、何らかのディールできるのか気になりますね。
仰る通りです。
日経先物4月4日23時半くらいの段階で、さらに1500円吹っ飛んでますね…
フィンランドはゴルフやって上手くやったり、EU内もバラバラなようですね…
マクロン大統領は強硬なイメージで報道されてきましたが、そのフランスですら財務大臣がバランスをとった発信をしているのが現状でして。
トランプ大統領『シンゾー』安倍首相の名前また言ってましたが、日本は真っ先に電話をかけられた関係だったんですけどね。
石破首相は、電話会談を調整中なんて言っていますが、世界の物凄い行列に普通に並んでいつ電話会談できるのかなあと(本来そんなものかもしれませんが…)
>アメリカのトランプ大統領は29日、自宅のある南部フロリダ州でフィンランドのストゥブ大統領とともに、ゴルフをしました。
>報復に慎重な国は、アイルランド、イタリア、ポーランド、スカンジナビア諸国など。
(2025年3月30日 トランプ大統領 砕氷船購入に意欲 北極圏に関与する姿勢強める NHK)
(2025.4.4 EUは米国の関税に報復すべきではない=仏財務相 ロイター)
司令官交代による体質改善もあるんだろうけど、純粋にロシア軍が去年の進撃で両人民共和国の兵站拠点から離れて、ウクライナ軍が補給で優位に立てるようになったんじゃないかと。
今からの攻勢で1年以内に上記各都市が落とせるかと聞けば、バフムト、アウディウカ、ブプレダルがどれだけ保ったか考えたら怪しいし、やっぱり講和じゃないかね。
ウクライナ軍はウクライナ軍でいろいろチグハグかつ組織的な問題は何も解決してなさげだから、今から大攻勢なんて無理無謀だけど
ロシア側はずっとウクライナ側を人的・物的に使い果たさせるのが目的なんだから、ウクライナが悪足掻きを重ねるほどロシアの思う壺なんだよね。
大体の国は将来の国力まで考えた上での停戦・講和の糸口探るものだけど、大統領からして軍事も政治も素人だから単に止め時もそういう限界点も理解してないだけかも。
こんだけ勝ってんのに今なお宇軍の反撃を警戒するロシアに対し、あんなに負けてんのに予備兵力を訳分からんクルスクやベルゴロドに突っ込んじゃうウクライナ軍。
まあ勝ち負けは見えとるわ
マスコミ受け・SNS映えに全振りしている国なんで
閣下はスームィで恒例の映え写真を撮影したそうで
「次はスームィがロシアのものになるのか」と言われていますなぁ……
ウクライナは幾らでも兵士を集められるからね。ロシアには無限湧きに見えてると思うよ。
第155旅団事件で書かれてたように街中で男を集めれば訓練と武器は海外で何とか出来る。その過程には疑問点が多いが。
これは金銭で志願兵を募ってる今のロシアにはマネできない。
何とかなってないから去年までは南ドネツク、3月まではクルスク、最近はザポロジエで大規模な退却を余儀なくされてるんじゃないのか…
ウクライナ軍は最上位の司令官がある戦線に直接督戦に出せば、22年ハルキウ、24年クルスク、今の北ドネツクみたいに逆襲まで出来る位には兵員装備共に充足されるが、その他の戦線は物資不足でロシアに惨敗する流れを何度も繰り返している。
本来は現地部隊指揮官に戦術的指揮を任せて、上級司令部は武器弾薬を均等に割り振って、全域でロシア軍の攻撃を封じるのが最も良いのに、それが上手く行ってない。
管理人さん恐縮ですが、最下部の戦況図の州境表記が
誤っています(フレキフカ・マキエフカ付近)
ここはルハンシク・ハルキウの州境です。
※疎開しているウクライナ友人から指摘されました
シヴェリスクもそうですが、顕著な特徴としてルハンシク
州境のロシア軍は行動が鈍いことですね。ルハンシク民兵
あがりのロシア軍はほぼ自州が解放されており、わざわざ
隣のドネツク州やハルキウ州の攻略に消極的というのは
心理的な要因としてあるかもしれませんな
ドンバスの住民も心理的に一枚岩なわけではありませんので