ロシア人ミルブロガーのДва майора(ドヴァー・マヨーラ)は「ウクライナ戦争の現状」について興味深い報告を行い、動員兵の問題、特別軍事作戦の状況、クリミア半島の状況、ウクライナ軍の長距離攻撃が及ぼす影響について赤裸々に語っている。
参考:Обзорная Cводка на 21 сентября 2025 года
参考:Генерал-полковник Александр Лапин уволен из армии
戦場全体の傾向という観点から見れば「全般的にロシア軍が戦いを優勢に進めている」で間違いないが、ロシア軍の成功も飽くまで戦術レベルの話
ロシアメディアのМосковский комсомолецは今月8日、ゲラシモフ参謀総長の70歳を誕生日を祝う記事の中で「2022年2月の時点で特別軍事作戦がどのように展開するのか、これほど多くの条件に縛られるとは想像もできなかった」と吐露、ロシア人ミルブロガーのДва майора(ドヴァー・マヨーラ)もゲラシモフ参謀総長について「規則上の定年を迎えた彼が現役に留まるかどうかは今後判明するだろう」「特別軍事作戦は予定通りに進んでいないため情報空間ではゲラシモフ参謀総長への批判が多い」と指摘し、21日にはウクライナ戦争の現状について興味深い報告を行った。

出典:Минобороны России
“ロシアと欧州が互いに大規模な戦争に備えている。ロシア軍は欧州の再軍備を背景にベラルーシで戦略的な軍事演習(ザパド2025)を実施した。この演習ではウクライナとの戦争に全く適さない作戦行動が訓練されたが、演習の意図は「欧州が戦争に介入すれば攻撃を行う準備が整っている」と示すためのものでオレシュニクを含む核兵器の運用方法も訓練された。NATOは我々の核攻撃を本当に恐れていように見えたが、この分野に発言権がないクレムリンの報道官が3年以上も空虚な発言を繰り返したため「核の脅し」は事実上無価値になってしまった”
“部分的動員の開始から3年目を迎えた前線では動員兵(契約で定められた勤務期間を終えれば除隊できる契約兵とは異なり、2022年9月に実施された部分的動員で強制動員された人々は戦争終結まで除隊できない)が契約兵になるか、前線部隊に転属するかの選択を迫られている。ロシア軍は大規模な攻勢を控えているため現時点で動員兵を帰国させる余裕はない。それでも動員兵に対する現地での説明活動は非常に不十分で、メディアも動員兵にまつわる話題をタブー視しているため、動員された人々の家族は不安を抱えたままだ”

出典:Kremlin.ru/CC BY 4.0
“前線ではロシア軍の攻勢が続いているものの、ゲラシモフ参謀総長が夏季攻勢の総括で主張したほど上手く行っておらず、ロシア軍はあらゆる場所で急速に前進しているわけではない。ウクライナ軍はスームィ方面で激しい反撃を展開し、ポクロウシク方面ではゾロティ・コロディアズ方向の突出部を切り落とそうしているため、現地のロシア軍は前に進むことが出来ずにいる。ザポリージャ方面のプリモルスキーでも激しい戦闘が続いており、ウクライナ軍は我々のドローン部隊や砲兵部隊に対する攻撃を強化し、我々の前線部隊ではMavicタイプの偵察用ドローンが不足している”
“逆にドニプロペトロウシク州の南東部、ザポリージャ州の北東部ではロシア軍が次々と集落を占領している。ドネツク州リマン方面でもセレブリャンスキー自然保護公園の解放を成し遂げた。前線地域ではウクライナ軍の絶え間ない攻撃が続き、特にベルゴロド州では民間人の犠牲者が出ているにも関わらず、当局は強制避難の決定を先送りし続け、リスクの高い地域からの避難は住民自身の判断に委ねられている。さらにウクライナ軍はクリミア方面での活動も強化しており、FPVドローンやランセットの模倣品を駆使して半島北西部の防空システムを一掃しようとしている”

出典:Генеральний штаб ЗСУ
“さらにウクライナの情報総局はクリミア経由の兵站ルートを破壊したり、前線の予備戦力を引き剥がす目的で限定的なクリミア上陸作戦を準備している。半島に潜む敵工作員も破壊活動やテロ攻撃を活発化させている。4年目に突入した戦争において悲劇なのは敵の海岸線ではなく「我々の海岸線」で戦闘が激化している点で、最も警戒しなければならないのは同アプローチに無人潜水艇の投入が迫っていることだ。ロシア軍はウクライナに対する大規模な複合攻撃を定期的に実施しているが、ここでも変化の兆しが見られ、敵は迎撃手段に迎撃ドローンを追加し始めている”
“我々の防空部隊はウクライナ軍が飛ばす自爆型無人機の95%を撃墜しているものの、まだまだ改善の余地がある。ジャーナリストらは精油所の生産能力が17%破壊されたと見積もっており、一部地域ではガソリン価格の上昇や不足が顕著になっている。この問題は盲目でなければ誰の目にも明らかだ。ウクライナ軍はロシアと欧州の大規模戦争に備え「我々の軍事的・経済的潜在能力を削ぐ」という主要任務を遂行しているのだ”

出典:CoAspire
“もう和平に関する誇張された幻想は徐々に消え去り、ロシアは4州の完全解放に動くことになるだろう。ゼレンスキーは来年の戦争継続に必要な資金援助を要請しており、欧州は必ずそれを提供し、米国は喜んで旧ソ連の人々を破壊する手段を売るだろう”
Два майораが報告した戦場の評価はDEEP STATEとRYBARが報告する戦場の評価と、ウクライナ軍の長距離攻撃がロシア産業と経済に影響を及ぼし始め「これを迎撃する防空体制にも問題がある」と言う点もRYBARの報告と一致するが、ロシア人視点で語られる「動員兵の問題」や「クリミア半島の状況」は久々なので非常に興味深く、Два майораは他にも「防空システムなど高価な目標に対するネプチューン対地バージョンを使用した攻撃が増えている」「そのため電子戦システムや機動射撃部隊などの対抗策に一層の注意を払う必要がある」とも警告している。
対外的向けの威勢のいい話とは異なり、ロシアもウクライナと同様に幾つもの問題を抱え、ウクライナ軍の長距離攻撃はロシア産業や経済に影響を及ぼし始め、本ブログがDEEP STATEとRYBARを参考に取り上げている「ロシア軍の成功」も飽くまで戦術レベルの話で、戦争の勝敗を決定づけるような戦略的レベルの成功からは程遠いものの、戦場全体の傾向という観点から見れば「全般的にロシア軍が戦いを優勢に進めている」で間違いない。
さらに言えば、3年以上も続く戦いの中で両陣営が主張してきた「保管されている戦闘車輌の数や砲身の供給能力などから推測されるロシア軍の攻勢限界」も「動員問題や脱走問題に関連したウクライナ軍の限界や崩壊」も現実化する兆候がなく、個人的には「情報空間で対立する陣営を攻撃する材料でしかなった」と思い始めている。

出典:Денис Аверин/CC BY-SA 3.0
追記:ロシア軍のラピン大将は2022年のリマン防衛戦における失態、様々な兆候や報告を軽視してウクライナ軍のクルスク侵攻を想定より大きな成功にしてしまった失態などでロシア人から忌み嫌われていたが、露РБКは21日「レニングラード軍管区の司令官を努めたラピン将軍が軍務から解任された」「ラピン将軍は民間人としてタタールスタン共和国首長の補佐官に任命された」と報じている。
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※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России






















やらかし大将は解任ですか。今後窓には近づかない方が良さそうですね
昨日もクリミアへのドローン攻撃でMi-8が3機地上で撃破されたようですが、潜水艇からのドローン発射となれば防衛方法は限られてくるでしょうね
ええ、窓から落ちて病死しないように気をつけないと…
ロシアが戦いを優位に進めている、本当にそうなのかな。
戦略的目的というゴールをズラせば、いくらでも上手く
行っているように言えるでしょ。
最初はウクライナの全土占領が目的だったのに4州開放って
完全に話がすり替わってるもの…
ロシア人が考えなきゃいけないのは何でウクライナを全土占領
出来なかったのかでしょう、その根拠だったハイブリッド戦争
とか諸々の理論も一回疑わなきゃダメだ。
あと4州のうち東部2州は、ウクライナ侵攻前から、ウクライナは統治能力を喪失した内戦状態でしたからね。
こういう分かり易すぎる喩えは良くないのかも知れませんが、「3年半戦って南京どころか北平も落ちてない支那事変」だと思います。
この「勝ってるけど手詰まり」の状況を日本人に分かり易く説明するとそうなると思います。反露政権が倒れて西側の援助が無くならない限り戦争を続けざる得ないんです。
ただ真珠湾攻撃もポーランド侵攻も起こってないんだよなこの例えの場合
ウクライナ全土占領がロシアの目的だというのはデマで、ロシア公式では一度もそのような発言出してない
そもそも全土占領したら緩衝国無くなるのでロシアの目的不達成=敗北になるし
それをいったらドンバス州だけが目的とも言ってないので、今のロシアに戦争をやめる気がないという最小公倍数的なことを前提に話すべきかと
開戦時に首都に大攻勢をかけておいて全土占領か目的ではないとかさすがに…
逆です
全土占領が目的ではない(=政治的勝利が目的)から首都を狙うのですよ
そもそも開戦時の戦力ではそもそも全土占領するには全く足りてませんでした
首都占領に失敗し、交渉も停滞した2022年4月から無理やり占領戦に移行したのですが、占領戦(陣地戦)を想定していなかった&国内経済を気にして急速に切り替えなかったため、夏を過ぎても兵力が十分ではなから、ハリコフで大失態に至ったのです
兵力については単純に腐った納屋と思ってただけで舐めプしただけのような……
それこそゼレンスキーなり適当な暫定大統領なりに降伏文章にサインさせて併合(あるいは西部は形だけ分離して属国化)ってノリだったのでは
先に中央政府・軍司令部制圧して組織的抵抗能力奪った後に士気の低い地方を降伏させていくってオプションもありますし(イラク戦争も首都制圧してから地方を制圧している)
ロシアの最優先目標はウクライナの中立化、あわよくば傀儡政権を立てること。だと思います。
全土占領してもメリットが思い浮かばない。黒海と世界有数の穀倉地帯くらい?
自国領にしたら、ポーランドとの国境に防衛線を構築する必要があり本末転倒。
そもそも、侵攻理由はウクライナがNATOに入ろうとしたこと。なぜNATOに入ってほしくないかというと、NATO加盟国と国境を接したくない。
大陸の大国は大国と国境を接するのを嫌い、間に緩衝国を欲します。
侵略したロシアが100%悪いですが、NATOの東進圧力が大規模侵攻の引き金の1つであるのは否定できないと思います。
首都に大攻勢をかけたのは短期決戦に終わらせるため。あれが成功してたら今頃戦争してないです。ウクライナはそれを耐え切ったから、今の西側の支援があり、泥沼となってる。
いや、4州占領で停戦しようとしてもウクライナが認めずにミサイルを撃ち続けて来れば全土を占領する他の解決策は無い様に思えます。
緩衝国と言ってもウクライナは完全に敵国な訳ですし、ソコに西側の軍事援助が続くなら存在自体が無意味です。
いつかは完全に達成出来る目標では有りますが、費用を考えると4州割譲でNATO「準加盟」を認めるのが利口だと思います。
シリアの例もあるし正直優勢でも最終的な結果は誰にも分からない。でもまだまだ続くことは確か
>“部分的動員の開始から3年目を迎えた前線では動員兵(契約で定められた勤務期間を終えれば除隊できる契約兵とは異なり、2022年9月に実施された部分的動員で強制動員された人々は戦争終結まで除隊できない)が契約兵になるか、前線部隊に転属するかの選択を迫られている。
やはり動員兵は戦場に投入されないという前提は守られなくなってるみたいですね
戦場で猛烈な消耗戦を繰り広げていて、貧困層の契約兵化のスピードも鈍化してると言われてたから次は動員兵に白羽の矢を立てたほうが角が立たない
これややこしい話なのですが
ウクライナ侵攻にあったてロシア軍では
契約兵
動員兵
徴集兵
と言う3つの存在がありまして
契約兵は軍と契約して契約期間内に主に前線で戦闘に従事する兵士で
動員兵は予備役から動員された兵士で前線に配置されることもありますが多くは後方支援業務に投入されています
そして前線に配置しないやウクライナに投入しないなどの決まりは特にありません
そして徴集兵は年2回の定期徴集で徴集される兵士で
こちらは主に訓練を受けたり国境警備などに配置される兵士で
任務は本国の防衛に限られておりウクライナには投入されないことになっていますし今のところ侵攻最初期を除いて投入は確認されていません(本国の防衛になったクルスクには投入された)
この3つがごちゃ混ぜに語られるので度々混乱を引き起こしています
それらのうち、動員されたのち経済的な動機などで自発的に志願兵になったパターンなどでさらに入り乱れることに
動員兵の戦場投入はないとここで言いくるめられたのでそう思っていたのですが、今調べると遠慮なく最前線に投入されてるみたいですね
ウクライナの戦場への投入がないのは徴集兵で
動員兵は最初から戦場への投入前提であくまで後方勤務が多いと言うだけですね
かなりごちゃ混ぜになっています(定期徴集の時期になると動員兵と混同した記事や言説が出回る)
士気の高い地元の志願兵もいるし、脅されて前線に志願させられた兵も居ると思いますが
老若男女所構わずにウクライナの様に誰もが強制的に徴兵される理由では無いのが
マシだろう思います、ウクライナ全土を取る何て多くの犠牲を払うよりも
兵力を削っていく消耗戦の様な戦いで、殆ど契約兵で戦ってるロシア軍は
それなりに上手くなってるように見えます
ウクライナの全土占領とか政権転覆とか要りませんよ。「武力で領土を収奪して国際的に領土割譲を認めさせる」ことさえ出来ればロシアの大勝利です。
これまで武力による現状変更は、名目上禁止されつつ実際は世界各地で行われてきた訳ですが、唯一「西側/明確に西側よりの国」に対してだけは絶対に許されてこなかった。西側が勢力圏外の国に好き勝手しても許されてきたが、逆は許されなかった。
今回のロシアのウクライナ進出はそれをひっくり返す偉業です。白昼堂々西側寄りの主権国家をぶん殴って領土を奪うという前例を作ることの価値は物凄いものです。ロシア国民1億4000万を戦火にくべてでも達成する価値がある。戦後ロシアが経済崩壊してもロシアの勝ちといってもいい。試合に負けても勝負に勝ってるのだから。
それはむしろ精神的勝利に近いような
これ皮肉じゃなく本気で言ってるとしたらだいぶ香ばしいな…
まあ、頂点捕食者が蹴落とされるのは見てみたいと思わなくもない
西側と我慢比べしているロシアも当然のこと非常に苦しく、一気に状況打開出来る様な軍事的外交的な現実的な所での手段も無いので現状は戦場の優位を活かして当面はウクライナ軍の兵員の損耗を最大化する為に動いている感じでしょうか。
相当高い確率で1年後も戦争継続しているでしょうしその際に今を振り返ると答え合わせは出来そうだと思いますが、果たして世界情勢は現状よりも良くなっているのでしょうかそれとも分断進みブロック経済の様相呈して来るのか興味深い所ですが個人的には悪い方向に進む様な気がしますかね。
一度戦争が始まり大規模化すれば、終わらせるのは本当に大変ですね。
アルメニア=アゼルバイジャン、インド=パキスタン、タイ=カンボジアなど、首脳陣は色々言われたりしていますが、早期終結させているのは優れた判断を持っていると思ってます。
日本は何の関係もない第三国の立場ですから、中東の戦争もですが関わっても復興の美名で『請求書送ってくる』だけなので、距離置いといて正解だったなあと感じています(パレスチナ国家承認に、距離とりましたね)。
「保管されている戦闘車輌の数や砲身の供給能力などから推測されるロシア軍の攻勢限界」は半分現実化しているのではないかとも思えるが
ロシアの大突破かと言われたが突出部はそれ以上続かなかったことから結局進軍には機甲部隊が必要ということが分かったでしょう
ロシアが機甲部隊を欠いている状況が改善されない限りは攻勢にも限界があるのでは?
戦線を突破するには機甲部隊が必要なんだけど機甲部隊を投入したらFPVドローンと対戦車兵器の餌食になって大損害をくらって撤退するのがおちだからな…なんとも厳しいところ
それはウクライナ側にも帰ってくる話で、西側がウクライナに渡した大量の装甲車連中は現状何の役にも立ってないし、ウクライナからすればストックがあるからマシかもしれないが、西側からすれば金と取り返しのつかない時間を犠牲にして無駄な支援をした事になる。
装甲車の量で今の戦場を測れる程単純ではないんじゃないか。
滑空爆弾も決め手にはならないんですね
初めて聞く名前です。
売り出し中の人なんでしょうか?
結局ロシアの戦場での隠然たる実力は示されたし、西側の準備不足も露呈してしまったが、結局ウクライナを屈服できそうにはないし、今後の西側の介入の余地がある分、ロシアにとって不愉快な話になるんだろうな。対して西側は、ウクライナが独立を維持したことで最低限の面目は立ったが、産業界の軽視や外交戦、情報戦の失態が続いたせいで、支援や制裁でロシアの戦術的優位を覆せなかったのは事実だ。
結局ロシアにとっては西側によるウクライナ取り込みの余地があるし、西側にとってはロシアによる再三の侵攻もありうる、何も解決してない状態での手打ちしか待ってないのか。
今のロシアの戦術的優位でドネツクの最終拠点クラマトルスクを落とせるかが、「今回の」戦争の停戦ラインになるんじゃないかな。クラマトルスクに近づけば近づくほどウクライナ軍の抵抗も激しく、これまでみたいな郊外から迂回して都市を包囲する事も難しくなるが、現状ロシアもクラマトルスクを大包囲する形を取っている。
でも結局紛争の火種は消えそうにもないが。