ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは25日「ドネツク州ドブロピリア方面の状況は厳しい」「ウクライナ軍がロシア軍の突出部を切り落とそうとしている」と報告、ロシア人ミルブロガーのTwo Majorsも「ロシア国防省の発表は美しい報告書に過ぎなかった」と批判した。
参考:Бои малых штурмовых групп
参考:Два майора
暫く攻勢が見込めないのならスヘツケ~スヴォロヴェ~ボイキフカ~ノヴォトレツケのラインまで下がる方が賢明だろう
DEEP STATEはドネツク州ドブロピリア方面について9日「ウクライナ軍がノヴォトレツケからロシア軍を押し戻してグレーゾーンに移行した」と報告していたが、ウクライナ軍がノヴォトレツケ集落内=Ⓐでロシア軍歩兵部隊を待ち伏せ攻撃する様子が登場し、これまでドブロピリア方面におけるウクライナ軍の反撃を認めてこなかったRYBARも24日「ウクライナ軍がドロジニェからニカノリフカを経由してノヴォトレツケに侵入している」と言及。
さらにRYBARは25日「ロシア軍がシャコフ西郊外に前進した」「ロシア軍がパンキフカを迂回してシャコフ西郊外の森林地帯に終結している」「最も緊迫した状況はノヴェ・シャホヴェ~ニカノリフカ~ヴォロディミリフカの間で発生している」「ウクライナ軍がマヤックとボイキフカに向けて前進している」「ウクライナ軍がゾロティ・コロディアズ方向に伸びる突出部を根本から切り落とそうとしている」「ドブロピリア方面の状況は依然として厳しいままだ」と報告、視覚的にもウクライナ軍がシャコフの北西郊外=Ⓑでロシア軍を攻撃する様子、ウクライナ軍がマヤック西郊外=Ⓒでロシア軍を攻撃する様子が登場。
ロシア人ミルブロガーのДва майора(Two Majors)も24日「敵がノヴォトレツケへの突破に注力しており、集落内で敵部隊とロシア軍部隊が銃撃戦を繰り広げる映像が公開された。敵は我が軍の突出部を切り落とそうとしている。現地部隊からは数週間にわたり美しい報告書が続いており、この中には以前に『占領』した集落の支配状況に関するものが含まれている」と、25日にも以下のように報告した。
“尊敬するRYBARと国防省の戦況図を比較すると、後者のポクロウシク方面に関する状況は『楽観的な見解』を一般向けに提示たものと結論づけられる。これは敵のみを欺く目的で行われたものであると確信している。勿論、一般向けに提示したものと政治・軍事的指導者に報告される戦況図は異なるはずだ。何故なら、幾つかの集落は控えめに言っても解放されておらずグレーゾーンだからだ”
Two Majorsが言及した戦況図とは「ゲラシモフ参謀総長が8月末に発表した夏季攻勢の結果を示す戦況図」のことで、特に「ハルキウ州クピャンスク方面」と「ドネツク州ポクロウシク方面(ドブロピリア方面を含む)」の攻勢結果を誇張しすぎたため、ロシア人ですら「ありえない」と言っており、これを「敵のみを欺く目的で行われたものである」と表現したのは完全な皮肉であり、ロシア人すら信じないものにウクライナ人が騙されるはずがない。

出典:Минобороны России
両軍とも塹壕に兵士を詰めて前線ラインを守る戦術は「ドローン戦争において無用な損害を被るだけだ」と気づき、程度の差はあっても「グレーゾーンをドローンによる監視と攻撃で維持する戦術」を採用、さらにロシア軍は前線ラインの戦力密度低下を逆手にとって浸透戦術による後方陣地=ドローン部隊や迫撃砲部隊への襲撃を強化し、この浸透戦術はリマン方面、シヴェルシク方面、フリアイポレ方面で大きな成功を収める要因の1つとなった。
ロシア軍はポクロウシク方面のロディンスケ攻略に行き詰まったため、他の方面で成功を収めた浸透戦術でゾロティ・コロディアズ方向に突破を図り「守りの固いロディンスケ」「強固な防衛陣地があるシャコフ」の背後に回り込もうとしたものの、ウクライナ軍の対処と増援投入が素早かったためゾロティ・コロディアズ方向への突破は中途半端な形で頓挫し、ウクライナ軍も戦力密度が薄い部分を狙って反撃を開始。

出典:Минобороны России
RYBARも「敵はロシア軍の戦力密度が低い前線ラインを狙って反撃を繰り返している」と述べており、結果論から言えば「中途半端な形で終わったゾロティ・コロディアズ方向への突出部」はロディンスケとシャコフに挟まれる形になってしまい、新たな攻勢開始まで時間がかかるようなら突出部の状況はロシア軍にとってジリ貧状態で、暫く攻勢が見込めないのならスヘツケ~スヴォロヴェ~ボイキフカ~ノヴォトレツケのラインまで下がる方が賢明だろう。
ウクライナ軍にとっては突出部維持に拘ってくれた方が敵戦力を削りやすく、ポクロウシク方面の攻勢が停滞しているうちに「どこまで状況を改善できるか」も重要になってくるだろう。但し、現在のウクライナ軍に大規模な反攻作戦を実施する余裕はないため、ロディンスケ方向のロシア軍を少しでもカゼニ・トレツ川方向に押し戻せたら御の字、ロディンスケ方向の突出部をカゼニ・トレツ川の東岸まで押し戻せたら奇跡だ。
関連記事:ロシア軍が東部の複数方面で前進、ウクライナ軍はドブロピリア方面で反撃
関連記事:ロシア軍がドネツク州、ドニプロペトロウシク州、ザポリージャ州で前進
関連記事:ロシア人ミルブロガー、ゲラシモフが言うほど攻勢は上手く行っていない
関連記事:リマン方面の状況は急速に悪化し、ロシア軍はフリアイポレ方面でも前進
関連記事:ロシア軍がポクロウシク市内に支配地域を確立か、緊迫してきた南郊外の状況
関連記事:平穏でなくなったザポリージャ戦線、ロシア軍が東から西に押し込む状況
関連記事:ロシア軍がクピャンスク市内で支配地域を拡大、グレーゾーンも市議会付近に到達
関連記事:ロシア軍がシヴェルシク方面で前進、ウクライナ軍はポクロウシク方面で反撃
関連記事:また美しい報告書が登場、ゲラシモフ参謀総長がクピャンスク包囲を発表
※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ






















ところで、戦場が美しい場所であるかのような美しい写真が、この戦争ではたくさん出てきますね。
スポンサード戦争だからなのかしら。
どの戦争も目立たないだけで、スポンサーの意向にかかわらずお互いのプロパガンダのために美しい写真を撮るものだ。でかい戦争のたび色々な作品?が生まれてきた。
”ウクライナ軍にとっては突出部維持に拘ってくれた方が敵戦力を削りやすく”
とはいえウクライナ軍にとっても予備軍をいつまでもポクロウシク方面に拘束されているのは他戦線のロシア軍の進撃をみるとあまり良くないので、どう見るかでしょうね。
ロシア軍の突出部がある限りウクライナ軍も予備軍を他戦線へ移動させられないのですから。
ウクライナ軍側にとっても思いの外ロシア軍突出部が短期間に崩壊してくれないから焦りもあるのかもしれません。
2022年のロシア軍の撤退の記憶が残っていれば、ロシア軍は不利になるとすぐ撤退するはずという意識があるはず。勿論そういった意識は2023年の反攻作戦、2024年を通して薄れているとは思いますが。
ポクロフスク北の突出部に拘泥しているうちに南からポクロウシク市街地戦が始まっててそっち放棄してまでこだわる戦場かという揺さぶりが発生していますからね。
このまま主要都市4つほど落とされた後に突出部を蹴散らしたという小さな戦果上げて大きく宣伝戦する可能性は大分ありますが
ようやく戦場の霧が少し晴れたのですかね
ポクロウシクにどれだけの兵力が突っ込まれているのかがわからないのでなんとも言い難いですが、現状を見る限りだと年内は保ちそうのなのかな
この記事の塹壕に兵士をつめ守るのではなく監視と攻勢で維持するって、そのまんま制空権が航空優勢の概念に置き換えられたものの地上戦版だよな。結局塹壕線の引き方すらも防御陣地じゃなくて概念的な力でぼんやりと維持するものになったんだな。いや、なっていたという方が正しいのかもだが。
現状はウクライナ側が戦力集めてポクロウシク北側では反撃に成功しつつあるという所でしょうか、局地的に戦況悪いと下がる印象のロシア軍も今回は美しい報告を上層部が直近で行ってしまっており整合性取れないので簡単には下がれないとなり仕方無いので火力支援を強化ながら増援を送り込んでいる感じになりますかね、現場はいつも貧乏クジですね。とはいえ、ウクライナ軍も他戦線が非常に厳しことになっており特にクピャンスクは大規模に戦力補強しないと川向こう含め全滅の恐れが高いのでどういう形で防衛するのか注目ですね。
今回視覚的証拠の出たノヴォトレツケは、DEEPSTATEの地図に準拠すればグレーゾーンで一度もロシア軍支配域に入った事にはなっていないので元からここが前線位置だったのかウクライナ軍が反撃でここまでロシア軍を押し戻したのか判断が難しいですね
少なくとも5日前には、グレーゾーンになっていたヴォロディミリフカを地図上では奪回している事からドローン攻撃による集落への定着拒否で無人地帯になっていたノヴォトレツケまで5日掛けてた進出に成功したと考えるのが妥当でしょうか?
ゾロティコロディアズについてはDEEPSTATEの地図に従えば十数名の軽歩兵に過ぎないロシア軍が1ヶ月弱も包囲下で持ち堪えている事になってしまうので南のウクライナ軍支配域は存在しない良くてロシア軍支配寄りのグレーゾーンと考えるのが妥当だと思います
最前線の指揮官・前線歩兵は、両軍ともに苦労させられますね。
中間管理職の悲壮さを感じるわけですが、部下も命懸けなわけで大変だなあと。
別の戦争ですが、あまりにも酷い指揮を続ければ、背中から撃たれるなんて話しもあったわけですし…
「美しい報告書」ってワード、軍事界隈で見る機会が増えてきていて、日本では専ら「大本営発表」がメジャーでしたが、ミーハーな軍オタはこっちに切り替えてきそう
これは現場が挙げる報告という意味で主にロシアで好んで使われているので用途が違うのでは。ミーハーが誤用しているかもしれませんが。
語感の良さでは大本営発表に勝てるのは早々無いでしょう()
突出部の切り落としができそうなのは結構なのですが、それが限度で少しでも押し戻せれば御の字というのが切ないです···
本当にクルスクがいつまでも祟ってくる
戦争だから双方が戦果盛りまくるのが常だけどこのサイトと見るとロシアだけやってるようなそんな錯覚が。
そうかな?
クピャンスクのパイプラインの時とかハルキウの国境地帯とかそれなりの数「美しい報告書」の存在が記事に出てたような気もしますが