ロシア関連

ウクライナの迎撃ドローンはGeran-3の速度に対応、Geran-5も時間の問題

ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは13日「迎撃ドローンによってGeran-2が迎撃されるようになり、ウクライナはターボジェットエンジンを備えたGeran-3の速度にも対応してきた。いずれGeran-5の速度に対応して来るだろう」と指摘し、結局のところ速度を巡る戦いは矛と盾の競争にすぎない。

参考:FEDOROV
参考:Реактив не панацея и дроны-перехватчики тоже
参考:“Герань-4” с ракетами Р-60: что известно о новом дрон-убийце РФ (фото)

参考:Показаны кадры удара БПЛА «Герань-5» по нефтегазовому объекту в Сумской области

双方が変化への適応を怠らなければ「自爆型無人機の高速化による極端な優位性の獲得」は発生しないだろう

ウクライナのミハイロ・フェドロフ国防相は9日「迎撃ドローンはウクライナの発明品であり、既に我が国の防空にとって重要な要素になっている」「ウクライナ軍は迎撃ドローンを使用してShahed、Gerbera、Molniya、Zala(恐らくLancetのこと)、Orlanなど各種ドローンを3月に3万3,000機以上も撃墜した」「この戦果は2月と比べて2倍以上に相当する」と明かし、ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARも13日「迎撃ドローンによってGeran-2が迎撃されるようになり、ターボジェットエンジンを備えたGeran-3を開発したものの、もうGeran-3の速度にもウクライナが対応してきた」と指摘した。

ロシア軍が運用するShahed型無人機はShahed-131=Geran-1、Shahed-136=Geran-2、Shahed-238=Geran-3、Geran-4、Geran-5が確認されており、攻撃の主力は現在も継続的な改良が続けられるGeran-2だが、ターボジェットエンジンを搭載したGeran-3(最高速度は350km/h~500km/hと言われている)は後方から迎撃ドローンに何度も迎撃される様子が確認されており、RYBARは「ウクライナ軍の迎撃ドローンはGeran-3よりも高速で飛行でき、後方からGeran-3に追いつくことができる」と指摘。

Geran-4についても正確な情報はないものの、ウクライナメディアは「Geran-4はGeran-3よりも高速(巡航速度は500km/h)で短距離空対空ミサイル=R-60を搭載することができ、地上目標だけでなくドローンを迎撃する航空機やヘリコプターにとって脅威になるかもしれない」「Geran-4の最大離陸重量は450kgで弾頭重量は50kgだ」「このGeran-4は地上発射装置だけでなくSu-25からの空中発射にも対応している」と報じており、Geran-4の重量はShahed-136/Geran-2の約2倍で運搬できる弾頭はShahed-136と同じ、Geran-2改良型の約半分となる。

そのためGeran-4の特性は非常に特殊な立ち位置で、Geran-2やGeran-3よりも構造が複雑で生産コストが高価な可能性が高く、ロシアのディフェンスメディア=Военное обозрениеはGeran-5について「形状はドローンというよりもミサイルに近い」「このドローンは最大90kgの弾頭を搭載でき、弾頭を50kgに押さえれば射程を1,500kmまで伸ばすことができる」「Geran-5の最大速度は600km/hだ」「一部の情報源は最大900km/hだと主張している」「Geran-5は本質的に低コスト巡航ミサイルで実戦投入は4月4日に初めて確認された」と報じたが、結局のところ速度を巡る戦いは矛と盾の競争にすぎない。

RYBARも「迎撃ドローンの高速化に対するロシアの回答はGeran-5で、まだ敵の迎撃ドローンはこの速度には追いつけていないが、ウクライナはいずれGeran-5の速度に対応してくるだろう」「そうなれば新しいGeranの登場を促すことになる」と述べ、技術的に自爆型無人機の速度を引き上げることが可能なら迎撃ドローンの速度を引き上げることも可能で、結局は戦術を工夫して作戦効果を上げるしかない。

さらに言えば速度は迎撃を回避する一要素でしかなく、自爆型無人機のような低コスト兵器は「量による対処能力への圧力」も役割の一つで、RYBARも「迎撃ドローンで迎撃されるからといって古いGeranが用済みになったと意味ではない」「機動射撃部隊や迎撃ドローンで領土の隅々まで完璧に保護するのは不可能で、最前線において敵の地点や防衛陣地を叩くためにGeran-2を使用することに何ら制約はない」「ウクライナ軍も機動射撃部隊で自陣をカバーすることは不可能だからだ」と述べている。

2026年の前線にどんな新しい変化が登場するかは不明だが、自爆型無人機の高速化による優位性は迎撃ドローンの高速化で打ち消される可能性が高く、逆にロシアも自爆型無人機の高速化による脅威に晒される可能性があり、双方が変化への適応を怠らなければ「自爆型無人機の高速化による極端な優位性の獲得」は発生しないだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Wild Hornets

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コメント

  • コメント (16)

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    • たむごん
    • 2026年 4月 14日

    戦争は、新型兵器の投入=対抗兵器=さらなる新型兵器の投入の投入…この繰り返しで兵器がドンドン進化しますね。

    他国も戦訓を取り入れて、似たような兵器を当然のように開発・配備していくわけですから、世界の兵器水準が高まっていくなあと。

    日本は、狡猾な外交を続けながら上手にやっているわけですから、他国の戦訓を上手に取り入れたり・国内企業を育成していきたいですね。

    18
    • paxai
    • 2026年 4月 14日

    Geran-5はもうミサイルなんじゃ・・・そしてこれを迎撃出来るのはもう迎撃ミサイルなんでは?

    20
      • ろみ
      • 2026年 4月 14日

      FIREPOINTが言うにはコストの大半は官僚的な承認手続きで発生するものでありそこを抑えるために自社製品は巡航ミサイルのFP-5も開発中の弾道ミサイルFP-7も全てFP-1等と同じドローン兵器として予算計上することで安さを実現しているとかいうロジックがあるらしいですからね
      Geran-5もGeran系列のドローン兵器てことにしておけば承認手続きが色々省けて都合が良いのではないかと思われます
      ぶっちゃけやってることは腐敗と癒着の温床に他ならないと思いますが両サイド共に開発のスピード感が最優先の戦時中故に許されるのでしょう

      24
        • TKT
        • 2026年 4月 14日

        「ドローン」
        は世界的に最先端の兵器で、
        「ミサイル」
        はもう時代遅れの兵器、という一種の言葉遊び、
        「文学」
        の話ですよね。M&Aは乗っ取りではない、プライベートクレジットファンドは闇金融ではない、みたいな話です。

        18
      • nachteule
      • 2026年 4月 14日

       もう固定で炸薬搭載してい推進力を持つミサイルとUAV(ドローン)の境なんて殆ど無いから呼び方なんてどうでも良いのでは?自律飛行か外部誘導はどちらでも、種類問わず推進力を持つのも同じで当て嵌まるならどちらでも良い。

       個人的に固定された多様な攻撃手段(弾頭)を持ち自爆前提の使い捨てで一般的に見て弾薬なら「ミサイル」、回収しやすく再利用が出来、偵察・内蔵外装兵器による攻撃とか様々な目的に使用出来るプラットフォームであればUAV(ドローン)とか明確に分けるべきだとは思う。

       迎撃に関しては後追いでも破壊出来る確率が高いのは高速のミサイルだが当然コストも絡んでくる話。プロペラ推進は速度限界が見えているので、段階的に性能向上していくよりジェット推進で1000km/h位までレンジを引き上げる可能性はあるよね。どこかの時点で高性能迎撃ドローンのコスパが悪くなりミサイル優位になればミサイル使うでしょうね。
       現状だとちょっと前に出ていたゼウス誘導ミサイルを戦術無人航空機プラットフォームに搭載とかあるので、安価にミサイルを作れると思うからより高速で長射程のミサイルを地上からもドローンから発射する(射界の確保と移動速度)みたいな感じにはなるかもね。ただ、安価とは言え現状でも800万円で高性能迎撃ドローン作っても100~200万円で済みますならまだまだミサイルへの移行は無いと思う。

       当然迎撃ドローンの速度問題はドローンだけに留まらず減りとか他のプラットフォームにも関係する話だから最終のゴールキーパーとしてとか棲み分けになるんだろうね。

      • バーナーキング
      • 2026年 4月 15日

      俯瞰して見れば「ミサイル」ってものが「分かりやすい単機能」故に先行して発展した「高速自爆型ドローン」で「先行したから別のカテゴリ名がついてる」だけでしかない訳ですよ。
      そして今後は本邦の目標観測弾とか更にどっちか分からんシロモノがどんどん増えていくでしょう。

      8
    • ソロブロマイド
    • 2026年 4月 14日

    こうして一方通行ドローンは高速化の一途を辿り最終的には量産効果で可能な限り安くした超音速地形追従ハイエンド巡航ミサイルに成り果てて、ハイエンドHIMADの撃ち合いに回帰しそう()

    19
      • ドゥ素人
      • 2026年 4月 14日

      そして再び性能を限定した安価なドローンの製造配備に回帰するまでがセットですね

      22
    • せい
    • 2026年 4月 14日

    進化が早すぎてミサイルの再発明みたいになってきたな
    安価である以上に大量に作れるのがドローンの強みだから、対空側でも攻撃側でも多少の性能の変化で腐らないのは良いことなのか、悪いことなのか

    24
    • もへもへ
    • 2026年 4月 14日

    安さと数が最大の武器だったのに、改良で双方ともにコストがどんどん上がる。
    一部機種はもう巡航ミサイルの方が安くて威力大きいってことになりそうな勢い。

    8
      • 名無し
      • 2026年 4月 14日

      迎撃ドローンが高性能化、高コスト化するなら結局ゲラン2の数に対応できなくなるから高性能化が全てではない定期

      11
    • cosy
    • 2026年 4月 14日

    使い捨てドローンって結局、爆弾の投射輸送プラットフォームであって
    高価高性能化して少数になった既存の攻撃ミサイルに対して
    推進飛行方式と誘導装置の簡略化で低速性能低下の代わりに機体コストを抑えて
    量産性で数を揃えて、高性能だが高価少数の既存迎撃システムの穴を
    ついていられたうちが華で、迎撃システム側が低性能低コスト多数に
    対応すれば、ある程度の大国同士の作戦で防御の硬い拠点を数で
    突破できなければ高性能化するしかなく、高性能化の手段はミサイルと変わらず、
    ミサイルの方が性能コスパが良いってことにしかならなくなるだろう

    10
    • 航空太郎
    • 2026年 4月 14日

    結局これは爆撃機と戦闘機の関係そのものなんですよね。爆撃機側は爆弾を搭載する分大きくて重くて遅くて鈍い。戦闘機側は爆撃機が落とせる程度の火器だけ搭載すればいいので小型で軽くて軽快と。ロシアの長距離自爆ドローンが効果的な破壊効果を生むだけの爆薬を搭載する以上は、その分重く鈍重になるのは避けられない。あと、ロシア側の自爆ドローンは撃ちっぱなし、その場での対応を自律的にさせるしかないのに対して、迎撃側のウクライナの方は、いくらでもリアルタイムのフォローが効くところにも非対称性があるでしょう。ウクライナ、頑張って欲しいですね。

    6
    • 暇な人
    • 2026年 4月 14日

    戦争してるとゼロ戦が数年で陳腐化してしまうからなあ。

    3
    • あろは
    • 2026年 4月 14日

    そのうち、Geran-5が飛んでいる中を、Geran-2をしこたま搭載した航空機からばらまいて速度の差を付けた上で、飽和攻撃を狙うなんていう戦術も現れるかもしれないですね。
    なんでもアリというかもう様々なパターンをどれだけ産み出せるか。柔軟な発想で色々試す感じになりカオスな戦場が生まれような気がします。
    そういう意味でも難しい時代になったと改めて思わされます。

    6
      • nednir@yahoo.co.jp
      • 2026年 4月 17日

      同時着弾するように発射するという戦術は昔からありますが、1970年とかだと司令部の人間が専用コンピュータプログラムで計算して指揮するようなことになって、電話だと限界があるし自動化されたデータリンク構築はものすごく金がかかる。当時の環境だとプログラムの修正や新しいプログラムを配信することもめっちゃ大変。

      飛翔体や爆薬としての兵器の性能はそこまで変わってないので当時の理屈が通用する部分もありますが、戦術的な違いはとんでもないことを改めて思い知らされます。

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