ロシア関連

露メディア、第5世代戦闘機「Su-57」が米国のF-22やF-35より優れている理由

スホーイ設計局のチーフエンジニアは、米国が開発した第5世代戦闘機F-22やF-35よりもロシアが開発した第5世代戦闘機Su-57の方が優れている理由を説明している。

参考:Su-57 Chief Engineer Explains Why Russian Jet is Superior to US F-22 and F-35 Fighters

Su-57を開発したロシア人技術者から見たF-22とF-35の共通した欠点とは?

スホーイ設計局のミハイル・ストレッツ氏はチーフエンジニアとして開発に携わった第5世代戦闘機「Su-57(NATOコードネーム:FELON/フェロン)」が、米国が開発した第5世代戦闘機「F-22ラプター」や「F-35ライトニングⅡ」よりも優れている点について説明した。

世界で初めて第5世代戦闘機に分類された「F-22ラプター」はF-15と同じ「制空戦闘機」として開発したため、同機のウェポンベイはサイズが小さく空対空ミサイル以外の携行を大きく制限しており、単発機の「F-35ライトニングⅡ」は多用途戦闘機として開発されたが何方かと言えば「攻撃機」としての正確が強いため加速性や機動性に難点があり、視界内戦闘に限って言えばロシアの第4.5世代戦闘機「Su-35」や「MiG-35」に圧倒されるかもしれない。

出典:Photo by U.S. Air Force Airman 1st Class Erin Baxter

ストレッツ氏によれば両機に共通する欠点は「特定目的に特化」しているという点で、ロシアの第5世代戦闘機「Su-57フェロン」は多用途戦闘機として開発された推力偏向式ノズル付きの大型双発機なので、空対空ミサイル以外の攻撃兵器も搭載することができ空中での加速性や機動性も優れているため、欠けた性能がなくバランスの良い真の第5世代多用途戦闘機だと主張している。

ただ、この評価は相対的なものなので公平性に欠けており、ロシアの第5世代戦闘機「Su-57フェロン」は米国の第5世代戦闘機に比べてレーダー反射断面積(RCS)の数値が高いためステルス性能では分が悪い。

これはロシアの技術力が米国に劣っている訳ではなく運用方針の違いや空中での機動性などを優先したためで、同じように米国もステルス性能を優先したため空中での機動性が犠牲になっているが、視界内戦闘に持ち込まれる前に中距離空対空ミサイルで制圧してしまう運用方針を掲げているため多少加速性や機動性が悪くとも問題ないため、実際には両国の第5世代戦闘機は甲乙つけがたい存在だ。

出典:Dmitry Zherdin / CC BY-SA 3.0

もう一言付け加えるなら、ロシアのSu-57は機体形状を工夫してステルス性能を高めるよりも電子戦技術を駆使して機体を保護する「デジタルステルス技術」に力を入れており、米国でも電子戦技術の分野ではロシアの方が進んでいることを認める。

要するにステルス性能で分が悪いSu-57でもデジタルステルス技術を駆使すれば、F-22やF-35を捕捉できる距離まで近づく事が可能だという意味だ。

なぜ米国がロシアに電子戦技術で遅れをとることになったのかは諸説あるが、米メディアは米軍が冷戦終結後に電子戦技術への投資を減らし陸軍や空軍が電子戦部隊を整理したため技術発展のスピードが鈍化し軍もノウハウを失ってしまったと主張している。逆に第5世代戦闘機を開発しなかった欧州ではユーロファイターの生存性を向上させるため「デジタルステルス技術」の研究開発に積極的で、恐らくこの分野では米国よりも先行している可能性が高く、米軍でも欧州のBAEシステムズに資金を与え次世代の電子戦技術開発に取り組んでいる。

開発を請け負ったBAEによれば複雑で未知のレーダーを検出するの新たな技術を開発中で、これをデジタル無線周波数メモリを使用した妨害技術と統合していると説明している。

補足:デジタルステルス技術とは電波妨害装置、ミサイル接近警報システム、レーダー警告受信機、レーザー警報受信機、フレア・チャフディスペンサー、ダミーデコイなどを組み合わせた総称で、主に敵のレーダーが照射した脅威を検出すると直ぐに解析して使用された無線周波数を割り出し、その情報を元に機上で再プログラムが可能なデジタル無線周波数メモリ(DRFM)やデジタル周波数技術ジェネレーターを同時に駆使して広範囲に自機の位置や速度を偽装した誤信号を発信し機体を敵の攻撃から保護することを指している。

逆にスホーイ設計局のストレッツ氏が強調した機動性だが、Su-57の飛行特性を最大限引き出すためにはパイロットに相当の肉体的負荷が掛かり、最新のパイロットスーツを着用すれば最大で11.5Gまでの負荷に耐えられるようになるらしいが、このような極端な負荷はパイロットのブラックアウトを誘発する可能性が大だ。

そのためプロトタイプのSu-57を操縦したテストパイロット達が見せた驚くべき空中機動を、一般の空軍パイロットで再現可能なのかは非常に怪しいと言わざるを得ない。

結局、このように見ていけば幾らでも怪しい点が出てくるため本当に何方が優れているのかは実際に交戦してみるまで分からないというのが正解だろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Christopher Quail

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 4月 02日

    でもロシアは76機しか配備しないのよね…
    スペックに偽りありとしか

      • 匿名
      • 2020年 4月 02日

      ブカチョフコブラだって最初はびっくりしたけど、実戦では役に立たないでしょ。

      1
    • 匿名
    • 2020年 4月 02日

    やってみなけりゃわからないって、言っちゃいけないんだろうな。

    0
    • 匿名
    • 2020年 4月 02日

    まぁ自国の戦闘機が仮想敵国のそれより劣るなんて報道するマスコミはいないよね
    特に共産圏では

    1
    • 七面鳥
    • 2020年 4月 02日

    後出しじゃんけんで負けてりゃ世話無いっすからね。

    • 匿名
    • 2020年 4月 02日

    ステルス機同士の戦闘って、お互いを補足できなくて何もしないで帰りました、なんてことになりそう。

      • 匿名
      • 2020年 4月 03日

      異種格闘技戦のような様相を呈するのでしょうね。

    • 匿名
    • 2020年 4月 03日

    >補足:デジタルステルス技術とは電波妨害装置、ミサイル接近警報システム、レーダー警告受信機、レーザー警報受信機、フレア・チャフディスペンサー、ダミーデコイなどを組み合わせた総称で、

    補足の前半部分、良く分かりません。が、既存の電子防御装置で担っている機能を含むものでしょうか。(> 管理人さま)

    戦闘機搭載型電子防御装置(F-15搭載)
    リンク

    >主に敵のレーダーが照射した脅威を検出すると直ぐに解析して使用された無線周波数を割り出し、その情報を元に機上で再プログラムが可能なデジタル無線周波数メモリ(DRFM)やデジタル周波数技術ジェネレーターを同時に駆使して広範囲に自機の位置や速度を偽装した誤信号を発信し機体を敵の攻撃から保護することを指している。

    後半部分は相手方レーダーや通信等を無力化し得る、いわゆる電子戦装置を指しているんですよね。

    リンク

    1
      • 匿名
      • 2020年 4月 03日

      既存技術を組み合わせて熟成させたものをそう呼称してるだけって話でしょ
      イージスシステムとかもその類な気がする

      2
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