ロシア関連

2月24日に向けてロシア軍は攻勢拡大? それとも準備不足で実施困難?

今のところロシア軍は攻勢はクピャンスク、クレミンナ、バフムート、マリンカおよびヴーレダー、ザポリージャ方面で確認されており、まもなくロシアにとって象徴的なウクライナ侵攻日=2月24日がやって来る。

2月24日に向け攻撃規模が拡大していくのか、まだロシア軍は大規模な攻勢を行う準備が出来ていないのか

ロシアにとって象徴的なウクライナ侵攻日=2月24日に合わせて大規模な攻勢を仕掛けるという予測があり、ウクライナ軍関係者は「敵が戦車1,800輌、装甲車輌3,950輌、大砲2,700門、多連装ロケットシステム810門、戦闘機400機、ヘルコプター300機を準備している」と見積もっているものの、ロシア軍が掻き集めた兵力30万人以上の大半は3ヶ月程度しか訓練を受けておらず、装備も中央・東部軍管区から引っ張り出した旧式か保管していたものを整備したもので「侵攻初期と比較して戦闘能力が低い」と予想されている。

出典:Минобороны России

さらに2月24日に合わせて機械化部隊による大規模な攻勢を行うのではなく「バフムートで効果を挙げている兵士の波(歩兵と砲兵に依存した戦術)を大規模に採用してくる」という意見が多く、ウクライナ大統領府の高官達は「この攻勢は既に始まっていて2月24日に向け攻撃規模が拡大していく」と見ているが、諜報機関の国防省情報総局は「まだロシア軍は大規模な攻勢を行う準備が出来ていない」と主張しており、何が真実なのかは2月24日が来るまで誰にも分からない。

今のところロシア軍は攻勢はクピャンスク、クレミンナ、バフムート、マリンカおよびヴーレダー、ザポリージャ方面で確認されており、ウクライナのレズニコフ国防相は最低でも3ヶ所でロシア軍が攻勢をかけてくると予想している。

出典:ウクライナ全体の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

因みにロシア軍は敵拠点(街や陣地など)を兵士の波で正面から攻めるのではなく、拠点同士を結ぶ防衛ラインに小さな突出部を同時に作り出し「拠点を側面から攻めることで制圧するか後退を強いる」という指摘があり、この小さな側面攻撃を繰り返して前線を押し上げ「ある程度のスペースが確保されると砲兵部隊が移動する」というサイクルで徐々に土地を削り取るらしい。

ロシア軍が毎日多くの兵士を消耗しているのは「小さな突出部を作るための犠牲」で、死傷者の数でロシア軍を下回るウクライナ軍が後退を強いられるのはそのためだ。

出典:Mil.ru/CC BY 4.0

もし両軍が同数の兵士で戦っていればウクライナ軍に戦いの主導権が回ってくるのだが、ロシア軍は兵士の波に必要な人的資源を次から次に戦場に投げ込んでくるため、火力で圧倒できるようになるまでは同じだけの人的資源を敵と同じように投げ込むか、側面に回り込まれたら後退して常に有利な拠点や陣地で戦うを繰り返すしかなく、バフムートの戦い方はどちからというと前者に近い。

追記:13日から民間人や報道関係者のバフムート立ち入りが制限(滞在には特別なパスが必要)されるらしい。クラスナ・ホラを失ったためウクライナ側はバフムートの万が一に備え始めているのだろう。

関連記事:ウクライナ侵攻353日目の戦況、ロシア軍がクピャンスク方面でも積極攻勢か
関連記事:極度の緊張に包まれるウクライナ、南部でもロシア軍が攻勢に出る可能性
関連記事:ロシア軍の攻勢用戦力、兵力30万人以上、戦車・装甲車輌5,500輌以上、砲兵装備3,500門以上

 

※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России

サーブ、年間40万発の対戦車ミサイル生産を2025年までに可能する?前のページ

ソ連時代の地獄を忘れないポーランド、GDP比4.0%以上を国防予算に投資次のページ

関連記事

  1. ロシア関連

    ウクライナ軍総参謀本部、オデッサへのロシア軍上陸は真実ではない

    ロシアのインテルファクス通信は「ロシア軍が黒海に面したオデッサとアゾフ…

  2. ロシア関連

    露下院の有力議員がロシア軍を批判、真実に基づいてない嘘の報告を止めろ

    ロシア下院のアンドレイ・グルレフ議員は17日「特別軍事作戦の問題は“真…

  3. ロシア関連

    露軍元大佐、バフムート勝利は不要で戦略の馬鹿さ加減と戦死者数は別格

    ロシア軍元大佐のイゴール・ガーキン氏は「クレムリンの老人達が頭に思い描…

  4. ロシア関連

    努力するロシア軍、地上拠点をUAVによる攻撃から保護する新戦術をテスト

    ロシア国防省は25日、敵の無人航空機から地上拠点を保護するため新しい戦…

  5. ロシア関連

    ロシア軍がバフムート周辺で大きな前進を遂げる、ソレダルの防衛ラインを突破か

    どうやらロシア軍はバフムート周辺の戦いで大きな前進を遂げ「ソレダルを守…

  6. ロシア関連

    21日にプーチン大統領が演説予定、ロシア人は国を離れる方法に関心を示す

    まもなくプーチン大統領がドネツク、ルガンスク、ザポリージャ、ヘルソンで…

コメント

    • 名無し
    • 2023年 2月 12日

    >ロシア軍は敵拠点(街や陣地など)を兵士の波で正面から攻めるのではなく、拠点同士を結ぶ防衛ラインに小さな突出部を同時に作り出し「拠点を側面から攻めることで制圧するか後退を強いる」

    管理人先生の戦況図を毎日見ていると、これ、禿げ上がるくらい分かりやすい。

    29
    • 戦略眼
    • 2023年 2月 13日

    ここだけでも、トルコ南部の地震に相当する方が亡くなっているのだろう。
    天災より人間の方が、遥かに恐ろしい。

    14
      • baru
      • 2023年 2月 14日

      人間を殺そうという意思すら持ってないのに、ほんの一週間かそこらで戦争に匹敵する死傷者出す天災のがこえーよ

      3
    •  
    • 2023年 2月 13日

    私は既に攻勢が始まっていると判断しています。
    根拠はT0504の橋が破壊されたことです。
    これは明らかにおかしい、バクムトを守るにしろ、撤退するにしろ、攻めるしにろ、両軍にとってこの橋は現状で落とすべき橋ではありません。
    ではなぜ落としたか、それは落とす理由があるからに他なりませんが、それがあるのはロシアです。
    とどのつまりイワニフスキー方面からの攻撃を警戒しているのでしょう。
    攻めている立場でなぜこの攻撃を逆に恐れているのかというと、戦力をバクムトではない方面に指向性するためです。
    数日内にコンスタンチノフカがホットスポットとなり誰もバクムトを気にしなくなると予想します。

    14
    • mun
    • 2023年 2月 13日

    全ての戦場で高性能な機械化戦力や機甲戦力が出てくるとは思わないが
    西側の高性能戦車が出てくる前の今がロシアにとっての好機なので

    限定的ではあるだろうけど、重要なポイントでは
    高性能な機甲戦力を投入してくると思う
    楽観視はできない、とはいえ何ができるかといえば
    基本的にはある程度の後退も許容して耐えるしかない

    19
    • ななし
    • 2023年 2月 13日

    ロシア軍は今までの戦いで優秀な将校・下士官を多数失っており、
    兵隊の数を増やしても、どこまで戦えるのか疑問

    10
      • トブルク
      • 2023年 2月 13日

      総力戦は、初期配備の優良な下級将校や下士官を消耗してからが本番ですよ。
      ロシア軍にとって、将兵の質の問題で高度な戦術を採用できないなら、短い訓練期間で大量に兵士を投入して、火力で敵を圧倒するシンプルな消耗戦に持ち込むのは、過去の戦訓からみても合理的な戦略なんです。

      2
    • 匿名
    • 2023年 2月 13日

    訓練していない軍隊だと命令はほとんど出来ないから今のような戦いで領土削るでしょうね。
    バフムトという七万人の街で時間稼ぎ出来れば出来た分だけウクライナも準備できますからね。
    公表される情報は今では敵に情報渡すからウクライナもロシアも5割は嘘なんでしょうけどね。

    11
    • おわふ
    • 2023年 2月 13日

    準備は充分ではないが無理矢理実行してくるというのが正解かと思います。
    泥沼の戦いの中、消耗戦でしばらくは動員数に勝るのロシア優勢で事が運ぶといったところでしょうか。

    12
    • panda
    • 2023年 2月 13日

    ロシア軍の戦力は大幅に低下しており大きな成功を収める可能性は低い
    とは言えウクライナ軍に押し返すだけの戦力も乏しく、一定の前進の後、膠着・消耗戦になるんじゃないでしょうか

    21
    • もへもへ
    • 2023年 2月 13日

    ミリクラ界隈では今回のロシアが目論む攻勢は事実上のカイザーシュラハトやアルデンヌと言われていて、その理由はこれ以上の戦争は銃後が医薬品と農薬不足で持たないからとされています。

    今まで何度もロシア崩壊説が唱えられ外れてきましたが、今度はどうなんでしょうか。

    ウクライナ側でも春の攻勢に失敗した場合、西側からの無尽蔵の支援があるとはいえもう一度大攻勢仕掛ける力はあるのでしょうか。
    銃後や人的資源的にウクライナも日頃の発表とは裏腹に苦しいように推察するのですが。

    5
      • 2023年 2月 13日

      > カイザーシュラハトやアルデンヌと言われていて
      普通はそうなんですが、スターリンソ連で軍人1400万人民間含めて2000万人死傷して、将校をあらかた失って(犯人はスターリンだが)それでも勝利。
      今回はレンドリースは無いが、シベリアに抑留された日本兵が現地人が戦勝国のそれでないこと証言しているので、困窮に耐える能力がソ連人にはあった。

      今回もロシア国民の反旗が上がってもおかしくないが、耐えているところを見ると、今回の侵略戦争でも継戦できてしまう気がする。
      ロシアはドイツみたいな普通の国ではないのだなと思う。

      5
      • nachteule
      • 2023年 2月 13日

       ウクライナは人的損失が抑えられ支援はあるけど扱う兵器の種類が広すぎてどこまで戦力化が出来るかがネックになると思う。
       それに現役兵や海外訓練兵にとって野戦と市街戦能力のバランスがどうなっているのかも不明。基本的に両方バランス良くなのかどちらかに偏るのが普通で、使い分けるのかバランス型の兵士で攻めるかで展開も変わってくると思う。

       ロシアだって現状維持なのか隠し球があるかも分からないし、実際にどう転ぶかは分からないんじゃないだろうか。ウクライナが自国の自走榴弾砲を作る体制整えたようにロシア側だって量産に近い状態だった自走榴弾砲はあるわけだし。西側支援だってどこかでブレーキが掛かるか、支援があったってウクライナ側の国土を含めたリソースが受け入れ余地があるのかも不明、誰も分からないんじゃないかな。

      4
    • せい
    • 2023年 2月 13日

    ロシアニトッテモウクライナにとっても悪夢の始まりの日なのに、無理にでも象徴的にしないといけないとはなぁ。
    侵略者ってのは本当に滑稽で醜悪で悍ましい。
    日本もそんな奴等にじゅうりんされないように備えないとね。

    16
    • 58式素人
    • 2023年 2月 13日

    人の波を破砕するのは火力でしょう。ミサイルではないでしょう。
    朝鮮戦争とベトナム戦争でその方法は確立していると思います。
    VT信管をつけた迫撃砲弾の集中射撃と、キャニスター/フレシェット弾
    を用いた中口径(100mm級)以上の無反動砲の直射と思います。
    それと短射程のMRLでしょうか。
    いずれにせよ、短時間に大火力を浴びせることと思います。
    そうした面制圧火器と大量の弾薬を最前線の歩兵に協働させることでは。
    前にも書きましたが、記事を読んでいる限りでは、
    最前線の郷土防衛隊にそうしたものが足りないように感じています。

    6
    • TKT
    • 2023年 2月 13日

    まあ今の規模の攻勢が続くだけでも、すでにバフムトは完全包囲寸前で、クレミンナへのウクライナ軍の攻勢はどうやら失敗に終わったようで、ザポロジェからのウクライナ軍によるメリトポリ奪回作戦も全く行われる兆候はなく、バフムトだけでなくシベルスクも包囲されそうになっています。

    ロシア軍やプーチンが、象徴を重視する、2月24日というような日付を重視するというような根拠は全く何もありません。

    レズニコフ国防省は解任騒動もあり、ウクライナ政府内でさえもどこまで信頼されているかは疑問と言えます。ブダノフ准将のいる国防省情報総局と意見が一致しないのも当然です。

    問題は、別にロシア軍の攻勢の規模が拡大せずに、このままの規模で続くだけでも、バフムトやシベルスクは近いうちに補給が遮断されて陥落するかもしれないということです。

    今のロシア軍の攻勢の規模でも、ウクライナ軍の陣地線は各地で次々と突破されているわけで、2月24日だけを心配してもどうにもなりません。

    7
      • panda
      • 2023年 2月 13日

      バクムト近郊では優勢と言って差し支えないですが他地域で大きな前進を遂げたという情報でもありましたっけ?
      各地で次々に突破されている、というからには相当の戦果が上がっているのでしょうね

      13
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  2. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  3. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  4. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  5. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
PAGE TOP