米国関連

最大16発のヘルファイアを搭載可能、GA-ASIが重武装の新型UCAVを12月に公開予定

ジェネラル・アトミックスは対戦車ミサイル「ヘルファイア」を最大16発も搭載できる新型の無人戦闘機(UCAV)を開発していると報じられている

参考:General Atomics is secretly flying a new, heavily armed drone

ジェネラル・アトミックスはMQ-1Cグレイ・イーグルを再設計した重武装の新型UCAVを開発中、年内に詳細情報を公開予定

ジェネラル・アトミックス(GA-ASI)が開発を進めている新型の無人戦闘機(UCAV)はMQ-1Cグレイ・イーグルの航続距離拡張バージョン(Extended Range)を再設計したもので、新型機はオリジナルのMQ-1Cよりも更に主翼の長さが延長されており、対戦車ミサイル「ヘルファイア」を最大16発も搭載できるのが特徴だ。

出典:GA-ASI Gray Eagle Extended Range

新型機の原型であるMQ-1Cはヘルファイアを最大8発、MQ-9は標準的な構成で最大4発しか搭載できないため「ヘルファイアを最大16発も搭載できる」というのは非常に特徴的なセールスポイントだが、匿名の関係者によれば「実際に新型機がヘルファイアを16発搭載すると耐久能力(滞空時間のこと)が低下し、搭載センサーや他のミッションシステムに必要なスペース、電力、冷却能力が制限を受ける」と証言しているため、この構成は能力向上によって実現したのではなく「何かを得ると別の何かを失う」というトレードオフで実現した能力なのだろう。

ただ匿名の関係者は「新型機の運用環境は厳しい状況下を想定しており離着陸に必要な滑走距離は800フィート(243m)以下で荒れた飛行場、未舗装の道路、平坦な河川敷、条件を満たせば艦艇からの発艦と着艦も可能だ」と述べており、耐久能力の低下についても「紛争に近い場所で離陸して16発のヘルファイアを直ぐに発射すれば機体重量が減るため滞空時間を改善することができる」とGAは考えているらしい。

因みに新型UCAVはGAの自社資金で開発が進められているため特に販売先がある訳ではなく、米軍の統合特殊作戦コマンドが調達を予定している特殊作戦支援機「アームド・オーバーウォッチ」に新型機をねじ込むことをGAは狙っている。

このアームド・オーバーウォッチは特殊部隊が要求する空からの支援を行う航空機のことで、1発のパンチ力よりも「多彩な攻撃手段(ヘルファイア以外にもAPKWS、GBU-39、GBU-69、AGM-176、ADM-160、コヨーテUAVなど)の同時行使」が要求されており最終候補に残った3機種(AT-6E、AT-802U、M28/C-145の改造機)はどれも有人機だが、GAは「新型UCAVの性能を見れば統合特殊作戦コマンドがアームド・オーバーウォッチの最終候補を再考するかもしれない」と期待しているだ。

出典:public domain MQ-9リーパー

果たしてGAの思惑通り統合特殊作戦コマンドが考えを変えるのかは謎だが、テロとの戦いから大国間との戦いに戦力構成を移行中の米軍はMQ-9やMQ-1Cといった既存のUCAVに見切りを付けており、GAは何とかして既存のプラットフォームの生き残りを図ろうと開発したのだがMQ-1Cベースの新型UCAVなのだろう。

つまりMQ-9やMQ-1CというUCAVが役に立たないという意味ではなく、これらのプラットフォームを大量に保有している米軍は「これ以上MQ-9やMQ-1Cを新規に調達しない」と言ってGAに製造ラインやサプライチェーンに需要縮小に対応するよう促しているのだ。

勿論、GAはステルスを取り入れた生存性の高いプラットフォームの開発も進めているが現段階で米軍受注には至っておらず、海外市場ではMQ-9やMQ-1Cと同じカテゴリーに登場してきたトルコのバイラクタルTB2に潜在的な顧客であったポーランドを奪われるなど苦しい状況が続いており、米軍からステルスUCAVの受注を確保するまで「MQ-9やMQ-1Cへの投資も維持しながら販路の拡大に打って出ないと収益力や成長を維持できない」という意味だ。

出典:GS-ASI MQ-Xコンセプトイメージ

まぁ一つだけ興味深い点は「新型UCAVが条件を満たせば艦艇からの発艦と着艦も可能」と言及している点で、GAはイタリア海軍のような潜在的な顧客の能力不足を補うため新型UCAVを調整するとも言及しており「強襲揚陸艦や軽空母運用国の艦載機に新型UCAVを対応させる」と言いたいのかもしれないが、これは恐らくトルコが強襲揚陸艦運用に対応したバイラクタルTB3を開発しているための「対抗策」である可能性が高い。

追記:ジェネラル・アトミックスは12月中に新型UCAVの詳しい仕様や機体の写真を公開するらしい。

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※アイキャッチ画像の出典:GS-ASI Gray Eagle Extended Range

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 11月 15日

    非ステルス無人機だし、問題は値段だろうさ

    8
    • 匿名
    • 2021年 11月 15日

    スペック上はアメリカ級やトリエステの甲板からも運用可能だけど(フアン・カルロス1世級やひゅうが型では若干甲板が足りない)、果たしてこの種の低速巡航UCAVを今更先進国の海軍が欲しがるかどうか。地中海の不審船対策を重要任務の一つにしているイタリア海軍に潜在需要があるのは確かだろうけど、密輸船や難民船にいきなりミサイルぶっ放す訳でもないしな。

    5
      • 匿名
      • 2021年 11月 15日

      ん? もしかして離着陸に必要な距離をそのまま甲板長に当てはめてる?
      艦の航走による合成風や見かけの甲板長延伸が計算に入ってないのでは?
      戦闘機や大型有人機に比べて低速な滞空型無人機では特にこれらの恩恵が大きいよ。

      11
        • 匿名
        • 2021年 11月 15日

        それは考えてなかった。それなら日本はもとより西土豪にタイやブラジルに韓国まで艦載できるね

        2
          • 匿名
          • 2021年 11月 16日

          写真見る限りかなり翼幅拡大してるみたいだからむしろ幅の方が心配かもね。MQ-1Cで既に17mあったし。
          合成風をフル活用するなら出来るだけ左右均等が良いだろうしね。

          1
    • 匿名
    • 2021年 11月 15日

    でもお値段はアメリカ価格なんでしょ?

    23
    • 匿名
    • 2021年 11月 15日

    お値段異常なアメリカの無人機より
    トルコのバイラクタルがいいな
    まあ、何時ものように日本に売りつけて
    嫌々、買わされるだろうが

    11
      • 匿名
      • 2021年 11月 16日

      日本に売りつけるなら既にあるより大型で高価なMQ9でも売りつければ良いのに、なんでわざわざより小型で安価なMQ1Cを売りつける必要がるのか、これがわからない。

    • 匿名
    • 2021年 11月 15日

    アパッチみたいに地を這う機材から発射するなら、ヘルファイアは最適だが、こいつ、いかにも高空に留まってそうな見かけだし、それならMAM-Lみたいな滑空爆弾でいいんじゃないかと思ってしまう。
    射程同じで重さ半分だから、32発積むか、16発でフル機能いけるんじゃないの。

    10
    • 匿名
    • 2021年 11月 15日

    上陸支援時の対戦車ヘリの脆弱性はかねてより言われてたけど、海上でもお株を奪われたら対戦車ヘリはいよいよ姿を消すだろうね

    6
    • 匿名
    • 2021年 11月 16日

    値段云々言ってる人は性能とかどのように運用するのか考えて話ししているのか疑問があるんだよな。これが性能に差が無くて値段安いならそれは買いだろう。でも、そのやすさにつられて買って高い物なら1機で済むものが安い奴は3機必要ですとかになると必要な人数とかランニングコストとか違ってくるぞ。

    1
    • 匿名
    • 2021年 11月 16日

    多彩な武装を載せられるなら、A-10のアヴェンジャーを載っけたバージョンを作ってやればアメリカ地上部隊が喜ぶんじゃないだろうか。
    A-10を無人機化できるなら、そっちの方が手っ取り早かろうが

    1
      • 匿名
      • 2021年 11月 16日

      機関砲やガトリング砲は重すぎて載せても飛行できないよ

      3
    • 匿名
    • 2021年 11月 16日

    アヴェンジャー(GAU-8)のシステム重量は1.8tでベースのMQ-1Cの最大離陸重量1.45tをはるかに超えてるんだが。
    翼を拡張してようやくヘルファイア16発(700kgちょい)積めるぞドヤァしてる機体にその2.5倍のGAU-8積むのは無理だろう。

    2
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