米国が発表したウクライナへのエイブラムス提供は米軍備蓄からの引き出しではないため、米ディフェンスメディアは「エイブラムスの装甲には秘密が多いためウクライナに届けられるのは早くて年末」と予想している。
参考:M1 Abrams Tanks In U.S. Inventory Have Armor Too Secret To Send To Ukraine
カービー報道官が言及した「数ヶ月」という表現は最大9ヶ月間=2023年10月を指すので「何年も先」になることは無いと思うが、、、
米国のバイデン大統領はエイブラムスのウクライナ提供に関する4億ドルのパッケージを発表、さらにカービー報道官も「国防総省がエイブラムスの訓練計画を策定して開始するまで数週間はかかる」と明かしたが、このエイブラムス提供は米軍備蓄が引き出される大統領権限(PDA)ではなく、ウクライナ安全保障支援イニシアチブ(USAI)を通じて行われるため「メーカーから新規にエイブラムスを購入する」という意味で「提供までに数ヶ月はかかる」と述べている。
この問題について米ディフェンスメディアは「エイブラムスの装甲には秘密が多いためウクライナに届けられるのは早くて年末、もしかすると何年も先になるかもしれない」と予想しているのが興味深い。
劣化ウランを使用したエイブラムスの複合装甲パッケージは「Green Grape」と呼ばれる最高機密を保護するプログラムで保護され、1988年にキュリティレベルを「シークレット」に格下げされたものの、運用上におけるキュリティレベルは依然として厳しく、オーストラリア、エジプト、イラク、クウェート、モロッコ、サウジアラビアに輸出されたエイブラムスには劣化ウランを使用していない複合装甲パッケージを提供している。
つまりPDA経由でエイブラムスをウクライナに提供しないのは「オリジナルの複合装甲パッケージを採用したエイブラムスを提供できない」という意味で、ポーランド向けのエイブラムスも装甲の変更に時間を要しているらしい。
因みにエイブラムスのオーバーホールを行うリマ戦車工場の生産能力は月15輌で、米陸軍向け(2023年度22輌を発注)以外にも台湾向けのM1A2T×108輌、オーストラリア向けのM1A2/SEPv3×75輌、ポーランド向けのM1A1/FEP×116輌とM1A2/SEPv3×250輌にも対応する必要があり、この後ろにウクライナ向けの発注が入れば「納品は何年も先になる」という米ディフェンスメディアの主張は妥当なところだろう。
逆に輸出仕様の台湾向け、オーストラリア向け、ポーランド向けの一部をウクライナに回せば「数ヶ月以内の提供」も可能だが、安全保障に直結する問題なので関係国の了承を得られるか微妙で、米ディフェンスメディアは「輸出仕様を1,380輌も保有するエジプト」「導入した370輌内170輌が保管状態のサウジアラビア」からウクライナ提供分を持ってくる可能性も指摘したものの「ロシアとの関係が実現を難しくしている」と述べている。
まぁカービー報道官が言及した「数ヶ月」という表現は最大9ヶ月間=2023年10月を指すので「何年も先」になることは無いと思うが、果たしてどうなることやら、、、
関連記事:独米、レオパルト2とエイブラムスのウクライナ提供を正式発表
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Spc. Christian Carrillo
これはフルスペックの劣化ウラン装甲、劣化ウラン弾装備のエイブラムス送ってきてもウクライナも困るからしゃーない
本土決戦で戦闘するたびに酸化ウラン粒子撒き散らすわけにもいかねえし
ロシアがバラ撒いているんじゃないかな?
装甲のスペックとかよりも、ガスタービンエンジン運用出来るのかが心配。
航空機燃料を別で用意しなきゃならないし、消費量も半端じゃないしで、正直、導入国があるのがビックリな燃費の悪さ。
燃料切れで鹵獲されるだけじゃとかと思ってしまう。
ガスタービンエンジンは原理的にはディーゼル燃料でも問題なく動くのでそこは問題ないかと思います。まあメーカーは推奨しないでしょうが…
本邦の10式も供与するとしたら結晶粒微細化鋼板を普通の装甲板に変更するのかしら?
そうなるとただ軽いだけで防御力が犠牲になってる軽戦車みたいな扱いになる。。。?
10式は日本の山間部の多い地形での行動に特化した戦車なので輸出は想定されてないでしょう。
海外では射撃時の地形に合わせた姿勢変更は不要ですから。
姿勢制御機能は別に日本じゃなくても重宝するでしょ
別に日本の山間部向けって訳じゃなくって
適当な起伏があればそこに車体を隠して稜線射撃出来ますよ〜ってだけなんだから
平地が多い?とされているウクライナでも起伏がある以上は絶対役立つ機能だよ
もしウユニ塩湖だけで使う事を想定してるなら 姿勢制御する機会は無いかもしれんけどね
M1A1無印は、残っていないのかな?
イラクに渡された140輌のうちの、ISとの戦いで
残ったものを買い取ればいいのにと思ったりします。
グレードは一緒でしょう。
使わずに倉庫においている様ですから。
やっぱ供与分はモンキーモデルになりますよね。
ただ以前から言われていましたが、ディーゼルエンジン搭載・簡易装甲・簡易FCSの供与用エイブラムスを用意しておくべきではありました。
まあ劣化版でも高価ですし技術の進歩もありますから、供与を見越して事前に製造・保存というわけにはいきませんが。
おやおやモンキーモデルですか。
湾岸戦争での伝説のやわらか戦車、輸出仕様のT72のような醜態をさらさなければいいけど。
前の記事のスロヴァキアのT72×30輌の方が現実的でしょうか。
ついでに、Mig29も一緒に。
どなたがEUの基金の査定担当か知らないのですが、早めに決断してほしいものです。
あと、西側戦車は、今の所、チャレンジャーが最初に供与となりそうですね。
120mm砲弾の心配をしてもらわないと、ですね。
湾岸戦争でモンキーモデルのT-72をばったばった倒してたエイブラムスが今度は倒される番になったら面白いけど面白くない
数か月から数年なんて言い方を見ていると、エイブラムスは、ドイツに対して「ウチもちゃんと戦車を出すから」という呼び水的な役割なのかな?供与するという既成事実だけ先に作って、レオ2が実働する様子を見ながら時期や台数を決めてゆくとか。ウクライナにしてもぶっちゃけ欲しいのは、少数のエイブラムスよりも、まとまった数のレオ2の方だろうし。
輸出モデルとは言え複合装甲を装備するでしょうし
旧ソ連系の戦車に撃ち負けるようなことはないと思いますけどね
コルネットのような対戦車ミサイルが最大の脅威になりそうですね
イスラエルの2006年レバノン侵攻の際、防御力が高いと言われていたメルカバ戦車がタンデム弾頭のロシア製対戦車ミサイルにつぎつぎに撃破されて衝撃を受けた記憶があります。
エイブラムスもイラクではIEDで何輌も吹っ飛ばされましたし、政治的存在価値以上のものが有るのかは不安なところ。
対戦車ミサイルによる戦車不要論もありましたが
ハルキウ機甲突破でやはりその攻撃力は侮れないことが証明されました
使いようなんでしょうね
供与されるエイブラムスとレオパルドにイスラエル製トロフィーAPSが乗っていると個人的には嬉しいですね。
ラファエルに勤めている私の大学同期生が開発に携わり、実戦での車輌生存性の向上を酒飲むたびに自慢していたので、灼熱の砂漠から泥水低温環境でも効果を発揮するかとても興味があります。
IEDは手投弾を使った簡易な物や、対地ミサイルを改造した大掛かりな物まで色々あります。
流石にミサイルの爆薬を使われたらひとたまりもないよ。
ウランを使ったM1は売らんとな
M1の装甲変更にはそんなに時間を要しないはずですよ。湾岸戦争時、サウジアラビアに到着したM1A1は劣化ウラン装甲を装着しておらず、現地で装甲を入れ替えてM1A1HAとなって地上戦に備えましたから。当時のPANZER誌にそういう記述がありました。
記事によればエイブラムスのウクライナ提供は新規製造車とされ、現在、台湾、オーストラリア、ポーランドの先約があります。
いずれも劣化ウラン装甲ではない輸出版ですから、装甲変更は提供可能時期と関係ないでしょう。
>ポーランド向けのエイブラムスも装甲の変更に時間を要しているらしい。
のは追加導入が契約されたM1A1/FEP×116輌についてかと思います。
供与に踏み切ったという時点で役割は終わってるのかも。
M1って正面以外はウラン複合板の重ね張りだっけ?あれ全部を代替素材で取っ替えるのが工数膨大で時間食うと言うなら施設防護用のセラミックボールでも流し込んで高分子樹脂で固めちゃえばいいと思う。言うても40年前の装甲材でEAAKと大差無い特殊装甲でしょあれ。
正面以外は外装装甲で可変する今どきに内装特殊装甲でそんなに慌てる必要あるのか?問題は正面特殊装甲では?レオ2A6もだけどそれどうすんのかが問題だと思う。中東仕様のは120mmAP耐弾しないので良かったかもだが対露となればAP耐弾必要だから本当の意味でのモンキーでは意味がない。
だがこれを見る限りは40年前の劣化ウラン構造の特殊装甲でも輸出不可と言ってる。では一体何が出来上がるんだ?っていう。M1なのに楔形のが付いて正面装甲だけがなんか長いやつの爆誕ですか?
>「輸出仕様を1,380輌も保有するエジプト」「導入した370輌内170輌が保管状態のサウジアラビア」
いつでも第5次中東戦争ができるレベル
湾岸戦争の時には装甲パッケージと主砲の交換がワンセットでと月15輌ではなく1日15両ぐらいしてなかったけ?
それもサウジアラビアにデボを設置してそこでしていたけどなぁ…。