KC-46Aは空中給油中の事故を起こしたばかりだが、今度は航空機動軍団がKC-46AのAPU使用制限を指示し、War Zoneは14日「APUは地上要員や設備への依存軽減目的で導入されているものの実際には逆効果になっている」「APUの使用制限はKC-46Aの柔軟な運用性を阻害するだろう」と指摘した。
参考:KC-46 Crews Ordered To Drastically Curtail Use Of Jet’s Onboard Auxiliary Power Unit
APUの使用制限を招いた問題がドレインマストの欠陥に起因しているか、全く別の問題が発見されたのかは良くわからない
KC-46Aの空中給油システムは信頼性が高いKC-10のものを使用するはずだったが、米空軍は予備設計後に空中給油システムの制御をアナログからデジタルに変更するよう要求、未検証の技術で構築されたリモートビジョンシステム=RVS1.0は新規設計と呼ぶに相応しいものだったにも関わらず、予備設計の審査を簡略化して初期設計に移行し、プロトタイプのテスト中に報告された不具合も軽視した結果、RVS1.0とブームの設計に深刻な不具合が残されたまま調達が始まってしまう。

出典:DoD Photo by U.S. Army Sgt. James K. McCann
KC-46Aのブーム操作はRVS1.0を使用するため、KC-10やKC-135の目視操作よりも作業の正確さや効率が向上すると期待されていたのだが、RVS1.0の映像は光の加減で見えにくくなったり、映像自体に歪みが発生するためオペレーターがブーム操作を誤って給油対象機を損傷させるリスクが、ブームの抵抗値も想定より大きくA-10の給油口にブームを押し込むことできない問題を解消するにはRVS1.0とブームを1から作り直すしかなく、米空軍とBoeingはRVS2.0と新設計のブームを開発中だ。
輸送軍司令部はRVS1.0のリスク軽減策=ソフトウェア修正を受け入れて「A-10を除く航空機」への空中給油を許可したものの、これは一般飛行、演習参加、輸送等に限定され、2022年6月「RVS2.0と新しいブームをテストするまでKC-46Aの運用は作戦支援に限定される」「実戦を伴う作戦にはKC-46Aを投入しないという2020年の立場は現在も維持されている」と述べたことがあり、この判断は空中給油中の事故が多発するKC-46Aの現状にマッチしたものかもしれない。
Posted to the Air Force amn/nco/snco Facebook page. This is the KC-46 that landed at Seymour-Johnson after the accident the other day. pic.twitter.com/0s4Svb92Ir
— Steven Fortson (@zaphod58) July 12, 2025
2020年にKC-46Aのブームが給油口から外れてF-15Eのキャノピーを直撃しそうになり、2022年10月にKC-46Aの能力を議員に説明するテスト飛行でブームが収納できなくなり、2024年6月にオランダ上空でKC-46Aから給油を受けていたF-16Cの給油口と機体構造が損傷し、2024年8月に給油を受けていたF-15Eが損傷してKC-46Aもブームを失い、2025年7月にもF-22に給油中だったKC-46Aがブームを失う事故が発生し、このF-22も損傷した可能性が高いと言われている。
F-22A、F-35A、B-2にとって「機体表面の僅かな損傷」もステルス性能に影響を及ぼし、この手の修復には大金と長い時間が必要になるため事故原因と損傷範囲に注目が集まっているのだが、今度は欠陥を抱えるAPUの問題が深刻化し、航空機動軍団司令部はKC-46A運用部隊に「APUの使用制限」を指示したらしい。

出典:U.S. Air National Guard photo by Staff Sgt. Victoria Nelson
War Zoneは14日「機体後部に搭載されたAPUは主エンジン起動前にKC-46Aのシステムに電力を供給するための小型エンジンで、地上要員や設備への依存を軽減する目的で導入されているものの、実際には逆効果になっており、航空機動軍団司令部はAPUで問題を発見したため使用制限を指示した。空軍担当者は『APUの問題を確認し対応策が検討されている』『その間の摩耗を軽減するため可能な限り地上支援設備を使用する指示した』と回答したが、いつ問題が発見され、この制限がいつまで継続される見込みなのかは不明だ」と報じ、APUの使用制限はKC-46Aの柔軟な運用性を阻害するだろうと指摘している。
APUには当初からカテゴリー1に分類される「ダクトクランプの欠陥」と「ドレインマストの欠陥」が存在し、前者は対応策を講じて欠陥レベルをカテゴリー2に格下げ、後者も暫定的な解決策が見つかったため欠陥レベルをカテゴリー2に格下げしたものの、それ以降もドレインマストの亀裂が多発したため欠陥レベルの引き下げを撤回し、現在も未解決のままカテゴリー1の欠陥に分類されており、APUの使用制限を招いた問題がドレインマストの欠陥に起因しているか、全く別の問題が発見されたのかは良くわからない。

出典:U.S. Air National Guard photo by Staff Sgt. Victoria Nelson
因みにWar Zoneは「輸送軍司令部と連絡をとってAPUの使用制限に関する詳しい情報の入手を試みている」「新たな情報が得られれば記事を更新する」と述べている。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air National Guard photo by Staff Sgt. Victoria Nelson





















APUはベース機のB-767にもあるはず。
民間のB-767でAPUの不具合多発なんて聞かないけど。
不思議だ。
KC-767でもE-767でも聞かない話がゴロゴロ出てくるのホント不思議
これはボーイングがドレインマストのカップリングシール(繋ぎ合わせた部分から漏れないようにする仕組み)をミスって別の場所にしてたのが原因ですね…
既に発見して改修中(来年に完了予定)
ちなみにヒビ割れはレセプタクル(コネクタ)の強度が原因でこっちも改修中です(コックピットに燃料が漏れてくるとか、えぇ…)
B767のAPU搭載は初めからなので「初飛行から40年以上経過してなぜ?」という疑問がありますね。
環境性能などで地上設備(GPU)を使った方が最適、というのはわからなくもないのですが、B767の進化の中で旅客・貨物の民間機がGPU利用がメインになり、APUを使う頻度が下がったために見過ごされていたのなら、これはこれで問題ですね
KC-46AとF35はいつになったら完成形になるのだろうか。。。
見えない(´・ω・`)
F-35は改良を続けていく事になっているので「完成形」という物は無いかもしれませんよ!
もうガワだけ残して中身総入れ換えでKC-767と同じ仕様にしたほうが早くないかと思うほどのトラブル続きだ。
APUがないと電力と圧縮空気が地上設備頼りになり、エンジンの始動がめっさ面倒臭いことになる
即応性はまず期待できない
そしてハンドリング要員の方々は御愁傷様
APUはぱっと見た感じ民間とそう違わなそうなのに、なんでこんな不具合が出たのやら
日本において空中給油機の存在を正当化する主張の一つに戦闘機の空中退避
ってのを見た記憶がある。
地上施設への攻撃への対策として戦闘機はなるべく空中に置いておこう、と。
このゴミだと多分無理だろうがアイディアとして実行可能なのかは今でも気になる。
確かにWW2以降戦闘機を空中退避させておくって戦術は行われている。
でもレシプロ機が接近してくる速度なら離陸も間に合うけど現代の攻撃なら?
弾道ミサイルなら着弾まで十数分程度だったりするし。
ウクライナ空軍が結構上手くやってるようだけど別に空中給油とかしてないしな。
十分に分散しておくことが大事なら滑走路がんばって増やした方がマシっぽくは見えるが…
ウクライナは戦闘機を空中待機させて開戦時の難を逃れたと発表しているのですけど…
そりゃ弾道ミサイル撃つだけならそうだけどその後どうすんのて話
日本とかに攻めるためには港に物資を用意して輸送しないといけないわけで
衛星で事前にバレてしまうしレーダー網もしっかりしてるから現代のほうが退避しやすい
じゃあどうやってKC-46Aを使えというのか
日本も受領してしまった2機はともかく、のこりの2機は、全部改修が終わってから納入しろ!くらい言えれば良いのですけどねえ。
まだ根本的に治らないのか、或いは致命的な問題なのか?
かなり投資する分野何だし、直近でも地球を半周する大作戦で使われたものなんだから、諸手を挙げて戦力と出来る状態になって欲しいな
基本的には全部治る不具合だし致命的でもないけどやっぱり時間は掛かりますね(これはボーイングどうこうの話ではなく、お役所や大企業が関わる物は大抵こんなもん)
昔だって、こういう開発時の不具合はいくらでもあったのでしょうけど、ちゃんと時間とお金をかけて潰してから、実戦配備したんでしょうね。
スペースシャトルが爆発した頃から、こういうのが目立つようになった印象。
スペースシャトル前のアポロ計画とかも見ればわかるけど宇宙航空分野なんて昔から競争のための見切り発車なんて日常茶飯事
ちゃんと潰してなんかしてたらソ連に負けるからして無いよ
デジタルツインの発展により、こういった欠陥をデジタル上で解決したり洗い出せてたらいいのになと、最近眺めることがあります。
ステルス機が損傷するのを考えれば、レーダーに捕捉されやすくなり、ステルス機の意味がなくなるわけですから頭の痛い問題ですね…
デジタルツインには「現実データとのすり合わせ」が必須で、シミュレーションできないのは「人間が未考慮の点(=条件に含めてなかった)」が多いようです。
デジタルツインには必ず現実のフィードバックとなる仕組みづくりが必要ですが、物理的な試験が不十分だったり仕組み作りに失敗すると、うまく回らないのが現状のようです
F-47大丈夫?